NO団体名主な企画内容
16 独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立妙高青少年自然の家(新潟県) 「YES, I CAN IN 信濃川 2012~この夏 見つける 輝く自分~」
小学5・6年生の「自立」を目的に、「実行力」を引き出すプログラムを開発する3年計画の1年目の取組み。E-ボートで移住、1人乗りイカダ作り、信濃川下りなど、水辺の活動を中心にテント泊、野外炊飯を通して「自信」「自己効力感」「意欲」といった子どもたちの「身につけたい力」を支えるプログラムを展開。

速報レポート

期 間 平成24年7月25日(水)~8月5日(日) 11泊12日
会 場 国立妙高青少年自然の家,甲武信ヶ岳,信濃川流域市町村(長野県川上村,
    上田市,飯山市,新潟県十日町市,長岡市,三条市,新潟市など)
参加者 対象 小学校5,6年生 参加者数 18名(男子12名,女子6名)
事業内容

本事業は,平成24年度事業方針における重点テーマ「体験活動を通した青少年の自立」を目的とし,そのために必要な力を引き出すための資質や条件を明らかにし,普及啓発する3カ年計画の取組である。
昨年の東日本大震災,そして大川小学校の事例からも学べるように,子どもたちに「困難に直面した時,自分のすべきことが分かり,そのこと向かって一歩を踏み出して行動できる力」としての「実行力」を育てることが重要である。
このような背景の中で,本事業長期チャレンジキャンプの柱としてのテーマを「実行力」とし,今だからこそ子どもたちに身に付けさせたい力として取り組みたい。そのために,子どもたちがもつ「実行力」を効果的に引き出すためのプログラム開発とその検証や学校・青少年教育団体等への普及啓発を行うこととした。
国立妙高青少年自然の家がこれまでに蓄積してきた,青少年を対象とした長期キャンプについてのノウハウをフルに活用し,11泊12日のチャレンジキャンプを展開する。

〔第1ステージ〕源流トレッキング   (2日間/7月25日から7月26日)
(ねらい)・ 川に親しむ
     ・ スタートに立つ
     ・ 仲間作り
(内 容)・ 信濃川源流トレッキング(甲武信ヶ岳)

 スタート地点となる千曲川・信濃川の源流を目指し,長野県川上村で活動した。まず は,源流のある甲武信ヶ岳を目指した。標高2475mの山に登るのは,子どもたちに とっては肉体的にも精神的にも困難な活動である。グループごとに励まし合い助け合い ながら,千曲川・信濃川の源流が湧き出る地点まで到着した。源流の水を全員が飲み,スタートの決意を新たにした。そしてさらに山頂を目指す。山頂までの道は険しく,困難であったが,見事登頂に成功。ここに降る雨の一滴が源流のわき水となって信濃川になることを確かめた。
ここではこれからの活動のスタート地点に立ち,自分のめあてをしっかり確認させた。 そしてこれから始まるチャレンジキャンプに期待感をもたせるとともに,活動場所とし ての川を知り,慣れる場面として設定した。またグループで挑む登山では様々な困難が発生し,今後,自分たちでそれを乗り越えていかなければならないという課題を意識することができた。そして,困難に立ち向かおうとする力と集団内の人間関係をより円滑にしなければならないという思いが生まれていった。


信濃川源流に到達

山頂までさらにひとがんばり

〔第2ステージ〕MTB(上流,中流編) (4日間/7月27日から7月30日)
(ねらい)・ 主体性の発揮
     ・ 修正する力
     ・ 継続する力
     ・ 自分を見つめる
(内 容)・信濃川流域(MTBによる長距離サイクリング)
      各グループでの計画を実施する


地図でルートを確認

6人全員で長岡市へ到達

 初日をスキルのトレーニングとし,3日間で170kmをMTBで走破した。初日の上田~飯山間の70kmでは後半に暑さと疲れのため,2名が完走を断念し休息をとった。しかし,2日目からも変わらない暑さだったが,仲間の励ましや,計画の修正などを行ったことで,残りの道程は誰も脱落することなく,最後は笑顔で長岡市まで到着することができた。
 このステージは,道程・休憩の計画など,グループが立てた計画を基に活動をしていった。1日目のスキルトレーニングで基礎的な技能を身に付けた。また,3日間,同じ活動内容を設定することによって,子どもたちが自ら日々を振り返り,計画の修正をし,前日にうまくいかなかったことを改善したり,よかったことを互いに認め合ったりする姿が見られるようになった。
 スタッフのかかわり方も徐々に手を離し参加者が自主的に行動できるようにした。

〔第3ステージ〕川下り(中流編) (2日間/7月31日から8月1日)
(ねらい)・ 主体性の発揮
     ・ 修正する力
     ・ 継続する力
     ・ 協力する力
(内 容)・ Eボートでの川下り

 このステージでは,川の中に入りEボートで川を下る。困難な状況の中で,互いの信頼関係を築きながら協力する場面を設定した。
 Eボートは約60kmの行程を2日間で進む。途中大きな堰を3つ越えなければならない。その3つの堰は中を通してもらい進んだ。下流に行くに従い川の流れも緩やかになり,6人の気持ちをそろえて,必死にこがないと進まない。この活動の繰り返しである。日々の反省を生かし,互いに意見を言い合う。そのため,衝突し,時にはけんかになる場面もあった。また,目的意識の高さにも差が出てきた。夜は,今までの自分たちの活動を振り返り,今後の目標を再認識しながら,話し合い活動を行った。


協力しながらオールをこぐ

夕暮れのゴール,満足感

〔第4ステージ〕川下り(下流編)(4日間/8月2日から8月5日)
(ねらい)・ 主体性の発揮
     ・ 修正する力
     ・ 継続する力
     ・ 協力する力
(内 容)・ いかだ作り
     ・ 手作りいかだでの川くだり

・ 活動の振り返りと活動発表会
 このステージは,第1ステージから第3ステージまでに身に付けた力を発揮するステージである。そのために,より困難な活動としていかだを自分たちで作り,そのいかだで川を下る活動を設定した。より困難な課題にチャレンジすることで,個人およびチームとしての力を発揮できように。そして,自分を振り返り,自分の成長を確かめることができるように計画した。
 いかだはEボートと違い推進力はあまりなく時速約1kmにしかならない。途中参加者は互いに励まし合いながら進んでいった。どのようにすれば早く進むのか,またみんなで一緒にゴールできるのか,参加者の中で課題を解決するための話合いも行われた。
 新潟市みなとピア前をゴールとした。最終日,参加者はこのゴールを目指し,仲間の力を結集し,心をそろえていかだをこいだ。そして全員が爽やかな笑顔でゴールすることができた。その笑顔はすばらしく感動的であった。
 参加者一人一人がこの2週間を振り返り,自分の成長を感じ取っていた。そして,これからの自分はこうありたいという新たな目標をもって12日間を終えた。一人一人の顔つきが出発の時と比べ,とても生き生きとしていたのは各ステージごとに身に付けた「実行力」が子どもたちの中に息づいているからではないか。子どもたちの顔には達成感や充実感,そして自信が表れていた。


なかなか進まないいかだ

圧倒的達成感,最高の笑顔



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