NO団体名主な企画内容
48 独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立諫早青少年自然の家(長崎県) 「平成24年度国立諫早青少年自然の家教育事業「ナチュラリスト養成キャンプ」」
“本物”をみる5日間と題し、恵まれた自然環境を活かし、五家原岳登山、動植物観察、沢登りなどの活動を行う。知的好奇心を持ち、体験を行うことで自然に対する科学的な視点を育て、実感の伴った理解を深める企画。

速報レポート 「ナチュラリスト養成キャンプ」

期 日 平成24年8月3日(金)~7日(土) 4泊5日
会 場 国立諫早青少年自然の家及び周辺,島原半島世界ジオパーク,長崎大学熱帯医学研究所
    長崎歴史文化博物館
参加者 小学校5・6年生,中学校1~3年生  24名
事業の背景

近年理科離れが問題になって久しい。学校における授業では,自然科学的な実体験の機会が取りづらく,本物に触れる機会も少ない。さらに子どもの家庭生活の中においても,塾やお稽古事,ゲームやアニメに時間をとられ,実体験の機会が減少し,理科離れを食い止める,若しくは理科好きの子どもをさらに伸ばしていくチャンスに乏しい。
このような状況の中,学校を離れた場で見知らぬ者が集い,自然科学を実体験し,互いに刺激しあいながらその知的好奇心や探究心,さらには科学リテラシーを育成することができる機会を,自然の家がその持てる豊富な資源や,過去2年間のジオパークキャンプの高い実績を活かしながら提供するという視点で本事業を企画した。

目 的

自然の家として,所有する資源を活かした自然体験活動を通し,科学的な見方や考え方を育成し,知的好奇心を涵養し,探求的な態度で科学に接する力を育成する。また,フィールドワークによる実体験を通し,実感を伴った知識の習得や理解の深化を図り,理科好きで,将来学校の理科の時間においてリーダーとして周囲に影響を与え,「楽しくおもしろい理科」を広げる活躍ができる子どもを育成する。
さらに,科学が人間生活の場に貢献している大きな例の一つである医学について,長崎大学熱帯医学研究所を見学し,さらに,長崎歴史文化博物館において,鎖国時代から海外に窓を開き,先進的な科学を取り入れてきた長崎の歴史も学ぶことで,科学に対する視野を広げる。

特 色

4泊5日という長期合宿を行う中で,本所近辺の多良山系の自然を活かし,山や沢を実際に歩きながら自然観察を行う。さらに島原半島ジオサイトにも出かけ,地形や岩石について広く学ぶ。活動全体をとおし,環境にできるだけ負荷を与えない形での標本採集や観察の手法も体験した。また,日常生活ではほとんど体験できない,光害がほとんどない場所での天体観測も体験した。このようなフィールドワークを中心とした,全国の先駆けとなる先進的な教育事業を展開した。
講師として,フィールドワークの経験豊富で,その知識や教育力において県内最高の講師陣を招聘し,さらに長崎大学熱帯医学研究所教授,長崎歴史文化博物館館長をお迎えし,充実した講座が開講された。
参加者全員に,事業参加で得られた成果を発表する機会を設け,皆の前で発表することで情報をまとめる能力や表現力さらには発信力をも発揮させた。

事業プログラムデザインに関して

(1) 4泊5日の長期合宿とする
(2) 事前学習とフィールドワークをセットにする
(3) 多良山系の自然と島原半島世界ジオパークを資源として活用する
(4) 本物に触れさせる(地形,地質,岩石,動物,植物,星空)
(5) 観察結果をまとめて成果発表させる
(6) 今回の事業を研修支援事業等に還元する
以上の視点を盛り込みつつ日程を策定し,本事業のプログラムを作成した。

活動日程

【8月3日(金)】
12:30 受付
13:30 開会
14:30 事前学習I
17:00 夕べのつどい,夕食及び休憩
19:00 事前学習II

【8月4日(土)】
9:00 本日のポイント
10:00 五家原岳(多良山系)での実習
17:00 夕べのつどい,夕食,
19:00 シャーマントラップ設置
20:00 夏の星座や土星の観察

【8月5日(日)】
9:30 本日のポイント,トラップ回収
11:00 沢登り(Cコース)
15:30 植物標本の作製
17:00 夕べのつどい,夕食,休息
18:30 明日のジオパークツアーについて

【8月6日(月)】
8:00 ジオサイトツアー
16:30 岩石標本作り
18:00 夕食,休憩
19:20 全体発表会
20:00 講評および茶話会

【8月7日(月)】
8:40 出発
9:40 長崎大学熱帯医学研究所見学
12:00 長崎歴史文化博物館見学
15:00 閉講式

活動の状況

 8月3日(金)は開会行事に引き続き事前学習として講義を受講した。初めて顔を合わす参加者は,アイスブレイクの後,やや緊張を残しながらも真剣なまなざしで講師の話に聞き入っていた。参加者の年齢では少々レベルが高いかと思われる内容にも,非常に良くついてきており,指名せずとも活発な質問等があり,事業が順調にスタートした。(写真:事前学習Iの受講風景,真剣なまなざしに期待が持てる)

 8月4日(金)は早速五家原岳(多良山系1057m)の頂上から自然の家までの「仏の辻コース」で,植物を中心とした自然観察を行った。山頂付近の日当たりが良いところの植物と登山道沿いの林床の植物を観察し,その違いを認識したり,切り株の年輪の観察などを行った。また,多良山系の溶岩の採集も行った。夜には天体観測も行った。(写真:山頂付近での植物観察の様子,参加者全員が講師の説明を聞くためのインカムを装着している)

 8月5日(日)は朝からネズミを捕らえるため,前日仕掛けた「シャーマントラップ」を確認した後,沢登り「Cコース」を中心とした自然観察を行った。滝ができる理由や,板状節理についての説明を受けながら,タゴガエル,タカハヤ,サワガニなどの動物観察も行った。植物の□(さく:肉月に昔)葉標本作りも体験した。体力的にも適度かつ魅力的なフィールドであり,参加者の目の輝きが印象的であった。(写真:講師の寺井先生から説明を受ける)

 8月6日(月)は昨年度まで実施していたジオパークキャンプから引き続いて,ジオサイトツアーを行った。島原半島にある各ジオサイトを巡りながら,雲仙火山だけではなく,九州全体の成り立ちまで含めた学習を行った。ツアー中に採集した岩石を使っての岩石標本作りも参加者にはきわめて好評であった。これまではただの石ころが,参加者にとって宝物になった瞬間である。(写真:平成新山ネイチャーセンター付近で,火砕流堆積物の露頭を観察し  ながら講師の大野先生の説明を受ける)

 また,この日はナチュラリストキャンプの成果発表会も行った。各参加者がこの日までの活動をとおして感じたことを短くまとめ,フリップ一枚と1分間の持ち時間で皆の前で発表した。限られた資源をフルに使って表現するという難度の高い発表であったが,それぞれの想いが見事に伝わる良い発表会になった。また,将来に対する熱い決意も数多く発表された。(写真:参加者のリーダー格として,キャンプ中すべてにわたり活躍した中  学校2年生の男子。)

 8月7日(火)は長崎大学熱帯医学研究所と長崎歴史文化博物館を訪れた。最終日ということと,これまでのフィールドワーク中心の学びとは異なる活動であったが,参加者の興味関心は衰えることなく,意欲に満ちていた。特に熱帯医学研究所の博物館はもっと時間が欲しい様子であった。解散でそれぞれの保護者が迎えに来たくれたときの第一声で「楽しかった」「おもしろかった」などが多く聞こえてきて,この事業の満足度の高さを表していた。(写真:熱帯医学研究所でマイクロピペットの操作体験後に,ウイルス模擬検出を観察する様子)



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