NO団体名主な企画内容
23 駒ケ根市立中沢小学校(長野県) 「太陽ふれあいネイチャープロジェクト~藍を育てて布を染め、手作り卒業アルバムを作ろう~」
6年生が藍を種から育て、摘んだ葉で染物をし、1年をかけて忘れられない思い出と一生大切にできる宝物を仲間と共に作る自然体験企画。

速報レポート1

日 時  2012年9月10日(月) 9:00~12:30
場 所  中沢小学校 (藍畑・理科室)
参加者  講師1名 担任1名 子ども26名
活動目的

地域に住む染め物職人や自然体験の会の方々と交流をしながら,藍を種から育て,摘んだ葉を使って染め物をする自然体験を通して,藍の緑の葉から美しい藍色に染め上がる神秘や自然が作り出す美しさを感じたり,職人さんたちの手仕事から一つのものを作り出す苦労を学ぶ。
また,染めた布を使って手作り卒業アルバムを作ることを通して,自然からの恵みや一つ一つ手作りすることのよさを感じとらせるとともに,卒業を迎える27人が忘れられない思い出と一生大切にできる宝物を作る。

活動の状況

子どもたちが大切に育ててきた藍にようやく花が咲きはじめました。そろそろ収穫できるというサインだと言うことを講師の前田さんが教えて下さいました。
予定では7月に行うはずだった生葉染めですが、苗がうまく育たなかったため、2カ月遅れでの実施となりました。子どもたちは土師えての草木染めにワクワクしているようでした。

1時間目と2時間目を使って、丁寧に藍の葉を摘み取ります。講師の前田さんからは、「葉だけを摘み取ること。茎はで気だけ入れないこと。」と教えていただきました。
子どもたちはそれをしっかり守り、1枚一枚丁寧に藍の葉を摘み取り、持ち寄ったかごやビニール袋いっぱいの藍の葉を摘み取ることができました。いよいよ藍の染液を作って染める「生葉染め」に挑戦です。 

なにしろ初めての草木染め。布を染液につけるまでは、どんな色になるんだろう…とドキドキしながらの挑戦でした。
みんなが摘んできた藍の葉をジューサーにかけて細かくします。少しお水も入れます。藍独特の香りが教室中に広がります。
「藍染め」と言うと藍色を想像しますが、生葉はきれいな緑色。まるで青汁のようでした…。

それをストッキングのように細かい網目のもので濾して、染液を作ります。染液は緑色なのですが、手に着くと青くなるので不思議です。
講師の前田さんが「藍は空気に触れて参加すると青くなる」ということを教えて下さいました。とても不思議でした。手袋をしていなかった子は手が真っ青になってしまいました。

布に直接葉をたたきつけて、葉っぱの模様を出す叩き染めに挑戦した子もいました。藍の葉は不思議なもので、葉っぱによって微妙に色の出方が違って、緑色だったり、ちょっと青っぽかったり…神秘的できれいでした。
一人ひとり模様の違うきれいな布になりそうです。

絞り染めにも挑戦しました。持ち寄ったビー玉やおはじき、割り箸を使って模様作りをするのです。輪ゴムの縛り方で随分模様が違うそうです。一人ひとり、いろいろな模様作りに挑戦できました。
青汁のような藍の染液につけると…何とも言えないきれいな緑色!良く水で洗うと淡い青緑色にもなり、十人十色の布が出来上がりました。とってもきれいです。

中には子どもたちの縛り方が緩かったのか、思い通りの模様が出なかった子もいたようです。なかなか難しいものです。それでも自分たちで染めた布の出来栄えは、一人ひとり違った味のあるものとなり、子どもたちはとても嬉しそうでした。3学期はこの布を使って、いよいよ製本作業に入ります。世界で1冊だけのオリジナル卒業文集に仕上がる予定です。楽しみです。

残った葉っぱは乾燥させてから、水に浸して発酵させる「藍建て」に挑戦します。
講師の前田さんのお話だと冬の方がいいそうです。甕や樽に入れて水を入れ、0~40℃の温度を保ちながら、藍菌の繁殖によって発酵させて約10日から2週間たつと、発酵が進んで液は黄緑色を帯びた飴色になり、液面に泡を生じ、これが空気に触れて酸化して藍色になるそうです。活動は冬に続きます。

成果と課題

○自然の植物や草花を使ってこんなにきれいな色に染め上げることできるという体験ができたことは子どもたちにとって貴重な体験となった。特に藍の葉は緑色なのに、それが空気に触れると青くなるという体験は神秘的で心に残ったようである。使い捨てのものがあふれる世の中ではあるが、自分たち思い思いの模様に染め上げた布はオンリーワンの魅力ある作品となった。
○活動がこれで終わらず、この布を使って卒業文集を作るというところに子どもたちの夢がある。ある子がこの日の日記に書いていたが、この布張りの表紙の卒業文集を見るたびに、みんなで藍を育てたこと、藍染めをしたことなどを思い出すことができるだろう。
○植物は育てるのは大変だが、畑で土に触れながら働く経験もできた。また植物は種にして残しておくことができると言う良さもある。今年初めて育てた藍は種を採取して、来年の6年生にプレゼントする予定である。今後このような活動が本校の6年生の活動として続いてくれるといいなという子どもたちの願いもある。
●植物を育てて収穫するという活動は気候条件や栽培時期、栽培期間など様々な条件があり、非常に難しかった。藍は子どもたちも教師も初めて栽培するものであり、栽培していらっしゃる方が近くにおられず、どのように育てたらよいものかわからなかったので苦労した。特に今回は種まきの段階から失敗し、苗をおこすことができなかったため、以前藍を育てていたという畑に子どもたちとこぼれ種から出た芽を探し行き、採取して育てた。およそ1カ月遅れの定植となった。そのため育ちも悪く、予定では7月と9月に2度生葉染めができるはずだったが、1回しかできなかった。
●藍はタンパク質を良く染めるそうで、本来であれば絹などが向いているそうである。しかし、今回使った布は木綿。事前に処理をして染めやすくしたものの、思うように色が出なかった面もある。次回は感謝の気持ちを込めてお家の方にプレゼントするハンカチを染めてみたいと思うが、その時は絹を使ってみたい。

子どもたちの日記・感想から
今日、1・2・3・4時間目に藍染めをしました。まず、1・2時間目に藍の葉を摘みました。すごく大きくなっていて、いっぱい葉もついていました。ビニール袋いっぱいに取るのはとっても大変でした。でもしっかりできて良かったです。3・4時間目は藍染めをしました。まずたたき染めをしました。布をずらさないようにやるのがとっても大変でした。でもうまくできて良かったです。次にミキサーで葉を粉々にして、ストッキングでこす仕事をしました。そうして3分ほど布を染めました。きれいな緑色が染められて良かったです。うまく藍染めができて良かったです。また他のやり方でもやってみたいです。
1~4時間目に藍染めをやりました。1・2時間目は葉を摘む作業でした。季節によって藍色ではなく、緑色に染まるようになっていました。摘み取って理科室へ持って行って布を染めました。きれいな緑色に染められうといいなぁと思い、ミキサーにかけたり、ストッキングで液にしたりして染めました。いい卒業文集になりそうです。小学校最後の日、卒業式には色々あったなぁと思いだすことでしょう。
ぼくは植物で染めるのは初めてで、「どんなもようにしようかな」と考えながらしました。藍からは意外と絞り汁が出ました。布にもよく色がつき、「こんなに色がつくのか」と驚きました。うまくできるか心配だったけれど、楽しかったです。
「この布は染まるけど、これはうまく染まらない」など、色んな不思議がたくさんあって面白かった。藍の葉をミキサーにかけてドロドロにしたときは「すごい色だな」と思ったけど、布に染めたらきれいな緑色になって嬉しかった。初めてやって、難しかったけど、自分で工夫をしてたたき染めやしぼり染めができて良かった。


プログラム検索に戻る