NO団体名主な企画内容
50 独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立沖縄青少年交流の家(沖縄県) 「無人島アドベンチャーキャンプ2013 〜みんなとちがう夏・冒険しようぜ!〜」
儀志布島で6泊7日の無人島生活。カヌーを漕いで島へ上陸し、漁や釣りで食料を確保して野外炊飯を行う。基礎的な野外活動技術を学んだ子どもたちが、技術を生かして主体的に活動するサバイバルキャンプ。

速報レポート1

期 間:平成25年7月28日(日)~8月3日(土)
対象者:小学生13名、中学生11名計24名 
場 所:沖縄県島尻郡渡嘉敷村儀志布島、国立沖縄青少年交流の家海洋研修場
(はじめに)

 私たちは、沖縄県島尻郡渡嘉敷(トカシキ)村の儀志布(ギシップ)島を中心に6泊7日の日程で「無人島アドベンチャーキャンプ2013」を実施しました。
 国立沖縄青少年交流の家は創立41年目を迎えましたが、所のメイン行事としてこの無人島キャンプを40年間実施してきました。その対象は主に青年層が中心でしたが、一昨年前から小学生(5、6年生)、中学生を対象とした事業に切り替えています。一年目は試行も兼ね3泊4日、昨年は台風接近のため渡嘉敷島にある本所のキャンプ場を中心に6泊7日の実施で、今年は計画通りで6泊7日の無人島キャンプを実施することができました。
 約240名の応募の中から、選抜された24名(小学生13名、中学生11名、男13名、女11名)の参加者は、実施期間中の強い日差しや波酔いなどで体調を一時崩した参加者もいましたが、最終日の8月3日に全員元気な姿で保護者に報告会を実施することができました。
 以下活動内容を報告します。

平成25年7月27日(金)キャンプ前日

 キャンプ前日、他府県(大阪府、兵庫県、宮城県)や沖縄県の離島(宮古島、石垣島、久米島)から参加する子供たちを午後那覇空港で迎え、ホテルで前泊を行った。

7月28日(日)キャンプ初日

 那覇市泊にあるターミナル施設「とまりん」で8時半より受け付けを行った。担当カウンセラー3名(今回参加者を8名3班に編制し、各班の指導者をカウンセラーとして配置)、副カウンセラー3名(沖縄県立青少年の家指導専門職)、本所職員一人とともに10時のフェリーで渡嘉敷島に向け、保護者の見送る中出港した。
 11時10分に渡嘉敷港へ入港し、国立沖縄青少年交流の家海洋研修場(キャンプサイトを併設)移動、11時45分オープニングセレモニーを開始した。
 お互い名前も知らない、地域も違う仲間同士であるが、オリエンテーションや簡単なアイスブレーキングにより緊張をほぐしていった。
 3名のカウンセラーを中心に、班ごとで昼食をとり、その後無人島で使用するスノーケリングセットの選択、翌日無人島へ渡る大型カヌーの操舵練習、初歩のスノーケリング講習を行った。その講習中にはウミガメが現れ、子どもたちを楽しませていた。
 夕方からは、施設内の調理場でカレー炊事を行い、薪の代わりとなる小枝や葉っぱを拾いあつめ、火興し器で火を作り出す作業に参加者は苦労したが、みんなで作り上げたカレーはとてもおいしかったと話していた。
 初日に限り、施設内のシャワー、水洗トイレ、水道を使用させたが、寝床はテント泊ではなく、無人島で実際に使用するブルーシート一枚を使って一人で眠り、キャンプ一日目を終えた。





7月29日(月)二日目

 いよいよ海洋研修場(渡嘉志久ビーチ)から儀志布島に向けて大型カヌーで出発する日を迎えた。
 ところが、一人の参加者A君が、昨日からホームシックにかかり、家に帰りたいと訴え担当のカウンセラーの説得にもなかなか応じず、涙ぐんでいた。私と担当カウンセラー、さらに電話でA君の母親にも協力してもらい、出発直前まで説得を続けどうにか全員が大型カヌーで無人島へ向け出港することができた。その後A君は今までのホームシックを脱し、キャンプ生活では仲間に指示を出すまでに元気を取り戻していた。
 大型カヌーは21名定員で、カウンセラー一人が操舵し、参加者20名でパドルをこぎながら出港した。残りの参加者4名とスタッフは併走する船舶3艇と水上バイク1艇に乗り込み、無人島までの航路上で大型カヌーのメンバーを入れ替えながら無事1時間30分かけて目的地に到着した。
 海上の大型カヌーはゆっくりゆっくりと進み、参加した子供たちも疲労感が出てきていたが、周りのスタッフのかけ声や海上の途中休憩を挟みながら、参加者の手で約6.5キロあまりの行程を自力で渡ったことに自信がつき、同時にスタッフも子どもたちが一心不乱に櫂を漕ぐ光景に心を打たれた。
 昼食後すぐに各班で宿泊場所の選定に取りかかり、各班ごとにビバークテントの設営を行った。
 初日とは違い、シャワー、電気無しの無人島生活がスタートした。
 夕食は食材確保の時間が無く、缶詰などの非常食を食べたが、空き缶を利用して個人用の炊飯を行うなど工夫を凝らしていた。
 夕食後班長会議を持ち、一日の振り返りと各班の状況説明、明日の日程の確認を行った。班長会議には各班のカウンセラー、副カウンセラー、班長、副班長がそろい、本部の主担当を交えて意見交換を行った。(毎日実施)
 各班長は会議で決まったことを各班に持ち帰り、メンバーに伝えるとともに、班の状況を本部へ報告してくれる重要な役目を担っていた。
 無人島での初めての夜、満天の星々が輝き、参加者はみな大きなブルーシートに川の字に眠り、一夜を過ごした。



7月30日(火)三日目

 三日目は、今後使用する食材確保の技能習得を図るため、スノーケリングの講習、釣り道具作成や実際の釣りを体験した。
 早速大きな貝やタコをとる班もあり、食材に余裕が出てくる班がある一方、なかなかうまくいかず、缶詰を利用する班もあったが、火興しは徐々にうまくなっていった。
 夜の班会議では、翌日二人でペアを組み野営するペアキャンプについて話し合う時間を取った。
 この日から沖縄の強い日差しや波酔いで体調を崩す参加者もでで、本部テントで休息を取る者もいたが、おおかたは活発に活動していた。



7月31日(水)四日目

 四日目からそろそろ疲れが見え始めると思いきや、海に入るとほとんどの参加者が元気に活動していた。
 今日からの任務は「食糧確保」。どれだけ海の幸にありつけるか、メンバーで力を合わせて漁労を行った。
 この日から参加者の食卓には魚や貝が並び始め、仲間で収穫した食材を食べる喜びを体験する機会となった。
 今日のもう一つの試み、「ペアキャンプ」もスムーズに行え、怖がる子どももなく無事一日を終了した。



8月1日(木)五日目

 朝、ペアキャンプから目覚めた参加者を感動させた出来事があった。ウミガメの赤ちゃんが砂の中から数匹現れ、海に向かって進む姿を一人が発見。それを聞きつけた子どもたちが一斉に本部テント周辺に集まり、全員で観察会を行い自然の神秘に身近に触れることができた。
 この日も食材確保がメインの活動テーマであったが、キャンプ中日とあって、休息を長めに取り入れる班もあり、ゆったりした時が流れた。
 午後に医師による健康診断を行い、全員体調に異常はなくキャンプを続行することとなった。
 五日目の夜は、自分を見つめ直すという意味も込めて、仲間から離れて一人で野営する「ソロキャンプ」を実施。過去に一人で夜を過ごすことに不安を感じる参加者もいると聞いていたが、今回はその心配もなく、みなそれぞれの班の周辺でブルーシートを敷き、一夜を無事に過ごした。夜の無人島は風があり、肌寒く感じる環境で、昼間の強い日差しとは真逆の世界であるが、ブルーシートにくるまり子どもたちは日々たくましくなっていった。



8月2日(金)六日目

 今日は無人島アドベンチャーキャンプ最大のイベント、「追い込み漁」を午前中に行った。講師を渡嘉敷島在住の漁師に依頼し、スタッフの協力を得て刺し網張りを行い、その後子どもたちに追い込み漁の説明を行った。
 今まで三つの班を中心に活動してきた子どもたちが、講師の指導の下、一つのチームとなって取り組む初めての作業となった。追い込み漁は全体のチームワークが試される作業で、だれかが興奮のあまり急いだり、人と人との追い込みの間隔を均等に取らないと逆に魚は方向転回して網とは逆に進んで逃してしまう。
 そのことをみな頭に入れ、後ろから指導するスタッフの呼びかけに答えながら、海面をばたばたと音を立て魚を網へ追いやった。
 結果は大漁であった。大きな収穫を手に写真に収まる参加者の喜びの笑顔、これまでの無人島生活の集大成である大がかりな仕掛けを実体験した喜びに、参加者は大きな満足感を得た。
 午後はこの収穫で各班それぞれ割り振られた料理を作り、夕食はそれを持ち寄り、「分かち合いの集い(お別れパーティー)」を実施した。
 会が始まると持ち寄った料理を紹介し合い、夕食を取った。みなそれぞれの料理自慢や各班が作った料理に舌鼓を打ち、これまでのキャンプの事や日々の出来事などを語りあい、楽しい時間が過ぎていった。
 そして各班の出し物がはじまり、ゲームや踊りを取り入れた楽しい交流会が持て、最後の無人島の夜を飾るにふさわしい集いが行われた。




8月3日(土)最終日

 いよいよアドベンチャーキャンプも最終日を迎えた。満ち潮の関係で船を陸地近くまで近づけるため、参加者とスタッフは早朝5時起き。6時には荷物だけを積んだ船が渡嘉敷島の港に向けて出港、つづいて第1陣、第2陣と参加者、スタッフを乗せた二艇の船も儀志布島を離れた。
 渡嘉敷港からキャンプ初日に活動を行った海洋研修場に移動し、これまで各班で使用したスノーケリング機材、使用食器類、火興し器やブルーシート等の道具の整理を行った。 遅い朝食をカップラーメンで済ませ、久々のシャワーを浴び、昼食まで休息を取った。
 昼食は青少年の家本館地区に移動し、レストランにて全員でBBQを行った。
 午後には解散式を行った。式に先立ち、宮城県仙台市から参加したB君から、東日本大震災の状況を参加者に説明する時間を設けた。当初B君はこのキャンプの応募志望動機に、全国の仲間に震災の状況を伝えたいとの事を強く望んでいた。参加者はテレビとはまたちがう視点の生の体験者の話に聞き入り、ライフラインが途絶えた状況の様子や復興が遅れている被災地の現状、災害への備えの大切さなどを改めて確認した。
 最後に参加者あいさつを小学生二人が行い、その後各カウンセラーがこのキャンプを通しての総評を行った。参加者のみではなく、カウンセラーを含むスタッフもこの貴重な一週間の体験を振り返り、不便さを乗り越えて「いつもとちがう夏、冒険しようぜ」のテーマを実感できたとお互い感謝し、喜びを分かち合うことができた。
 解散式後、渡嘉敷島から船で那覇市泊港に移動し、ターミナルビル内の地下会議室で、保護者への報告会を行い全日程を終了した。 



プログラム検索に戻る