NO団体名主な企画内容
4 青森大学大学院 関研究室(青森県) 「青い森と一緒に遊びましょう」
参加生徒の生命観、共生観の変化を研究。「巨木に会いに行こう」「森ヒバでのクラフト」「山の作業現場体験」など長期に亘る体験活動。

7月29日(木)晴れ 「八甲田・田代平の森編 〜あがりこに会いに行く〜」
青森大学にて初顔合わせ。「これから一体何が始まるんだろう?」子供たちの不安と緊張の入り交じった表情が印象的だ。
 そんな緊張をよそに、青森大学大学院生スタッフは「青い森と一緒に遊びましょ!」へと誘う。今回は地元八甲田山系・田代平(たしろたい)を訪れる。ここは映画「もののけ姫」の舞台のように幻想的な雰囲気をかもし出している。この田代平の森のブナはかつて薪炭材として切り出されていた。その証として、一度伐採された幹から枝が再び張り出した「あがりこ」にお目にかかれる。
 しかし子供たちにはそのことはあえて伝えていない。森という空間を身体の中に思う存分しみ込ませて欲しい、そのことをもっとも大切にしたかったから、大人たちの解説は最終回にとっておくことにする。
山に入る前にお宮の前でお参り。「山の神様にあいさつ、そして感謝」「深い自然に分け入る時は、謙虚な気持ちで入る」このことを、スタッフ一同伝えていきたい。
 普段の生活ではしない笹のやぶこぎをしてブナ林の中を進む。みんな慣れない道なので、ちょっと不安そうだ。しばらく進み、田代平を代表する「あがりこ」に到着。こぶだらけの奇妙ないでたちのブナに、子供たちの驚く顔。いつの間にか木登りが始まった。「あがりこ」ということも知らずに・・・ね!(笑)。
とにかくこの森では、子供たちは自由に散策し、森の空気を吸った。田代平のマザーツリーを目指しながらさらに進み、到着。大きな老木だ。支えきれなくなったのだろうか、枝が折れて横たわっている。子どもたちは倒れている丸太にのっかって遊んだ。森よ、私たちを受け入れてくれてありがとう。

8月8日(日)晴れ 「下北半島・風間浦村編 〜ぼくの私の夏休み①〜」
今日からの2泊3日は、本州の北端の風間浦村で過ごすことになる。ここでは、青森県木である「青森ヒバ」を専門に扱っている自然塾「わいどの木」(私たちの木の意味)を拠点にしている。社長村口要太郎氏は、名物社長である。青森ヒバの製材を本業とされているが、木工教室や宿泊施設も経営している。何と行ってもその木工の腕は素晴らしい。その上、子どもたちの教育についても頼もしい存在なのだ。子どもたちは、下北が生んだ要太郎氏と出会い、そして総ヒバ造りの「わいどの家」で生活しながら、村全体を使って遊ぶ。ここで、スタッフが留意した点がある。それは、極力、子どもたちの話し合いで生活のルールや、やりたいことを決めて実行させることだ。果たしてどんな2泊3日になるやら!
 お昼ごろ「わいどの家」に到着。この家での生活のルール作りに取りかかった。
昼食の後は、要太郎氏から周辺を案内していただいた。さて、風間浦村の山へ遊びに行こうか〜!「この村にはどんな自然があるんだろう?」沢遊びやカブトムシ探しをしながらさらに山奥に進むと、野生のサルに出会う。車中、子供たちが歓喜の声を上げた。野生動物の姿を目撃できたのは、本当にラッキーだったね!
 今度は高台から風間浦村を見てみよう。おっとその前に村の神様にあいさつしなくちゃ。神社でおまいり。高台から見晴らすと、海、川、山、そして人々の生活圏のつながりが一望できた。
夕食後は夜の神社まで散策。慣れない夜の道に怖がる子供たち、星のきれいさに感動する子供たちと、反応は様々であった。漁り火を見たのも初体験ではないだろうか。
わいどの木に戻ったあとは明日の活動にむけて、子供たちは個々に思いをはせる。興奮のためか、床についてもなかなか眠れなかったようだ。

8月9日(月)晴れ 「下北半島・風間浦村編 〜ぼくの私の夏休み②〜」
朝、6時半起床。・・・のはずだったが、興奮している子どもたちの朝は早い。5時過ぎにはわれわれスタッフがつきそって、朝のカブトムシ探しが始まった。残念ながら捕まえることはできなかったが、まだ目覚めていない村の散策は、早起きは三文の徳に値する価値があったように思う。
さて、帰ってからは、子供たちとともに朝食作り。そして、昼のおにぎり弁当作りをした。
午前中の自由活動は、すべての子どもが海を選択した。9時半頃、歩いて10分の海へ行く。釣り、海水浴、浜歩き、海の自然物観察など、強い日差しの中、みんなで遊ぶ。ちなみに海釣りではカレイとハゼが釣れた。そして生きているウニを手にとることができた。よかったね!
昼食後は川グループと海グループに分かれる。川では要太郎氏の指導の下、イワナ釣りを習う。しかしながら収穫ゼロ、残念。いつのまにか沢の中にジャブジャブ入って泳ぎ始めた。天然のウォータースライダーあり!だ。一方、海グループはのんびりと釣りをしながら泳ぐ、というスタンスである。ぼ〜っとできる時間も子どもたちには必要だ。
夕方、「わいどの家」へ戻る。夕食は流しそうめん。ここでの生活は、食事作りも自分たちでやらなければならない。スタッフとともに包丁を使う姿は、なかなか様になっていた。「上手なもんだね〜」ナイトプログラムは、花火とすいか割り。
今日一日は、子供たちが全力で遊び、笑った日だった。さすがに遅くまで起きていられないでしょう!?夜の10時にはみんなが寝ていた。正確には「おちていた」という方が正しい?

8月10日(火)晴れ 「下北半島・風間浦村編 〜ぼくの私の夏休み③〜」
今日は6時に起床。荷物整理をしてから、車で30分程の大間町へ向かう。大間町はまぐろ漁で有名だ。「こんな朝早くに何するの〜?」ここでは、昆布漁の漁船の帰りを待ち、漁師さんと一緒に昆布干しを体験した。ねばねばしている天然の昆布に初めて触れる子どもたち。
私たちの口に入るまでに、こんなに大変な仕事をしている人々がいるんですよ。
その後は、海辺で朝食。昨日の遊び疲れがたたってか、寝起きの悪い顔が並ぶ。そして本州最北端の大間崎を経由して朝9時頃、「わいどの家」に戻った。
9時半ころから、要太郎氏の指導の下、木工が始まった。その方針は、子どものアイディアを最大限に重視するところが特長だ。青森ひば材を子供たちがめいめいに選び、作りたいものを自由な発想で決定し、作っていく。そのおかげでパチンコ台や飛行機、オブジェ、小物入れなど、オリジナルの作品ができあがった。今まで使ったことがないような製材所の機器を利用することで、木工の奥深さも味わえたのではないだろうか。
 作業終了後、昨日青森ひばをしこんだドラム缶式炭釜を見る。結果は、失敗だった・・・。当然でしょう。次回は炭焼き名人をたずねる。この失敗が生きてくるといいな。
チキンラーメンの昼食を食べたあとは、心に残ったことを絵日記で書く時間。この2泊3日がどのような経験となって残るのか、それはもう少し時間がたたないとわからない。
午後2時に風間浦村を出発する。県内なのに、3時間も移動をすると、まるで故郷に帰ってきたかのような感覚におそわれる。力一杯遊んだ子どもたちが保護者のみなさんが待つ青森駅に到着したのは、午後5時15分であった。


以上が、4日間の報告です。9月の1泊2日のプログラムは、巨木が倒される現場を見たり、炭焼き職人に会い、巨木を見る予定になっています。



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