NO団体名主な企画内容
5 あじ島冒険楽校(宮城県) 「あじ島冒険楽校「昔の子どもたち」から「未来の大人たち」へ「島の夏休み」を伝えたい」
島の高齢者たちが先生になり、島外の子どもたちに島の伝統漁法や自然あそびを指導する体験活動。

「『昔の子どもたち』から『未来の大人たち』へ『島の夏休み』を伝えたい」 [8/2-3]

日  時:
場  所:
参加者:
 
2008年8月3日(土)12:30〜4日(月)14:00
網地島(宮城県石巻市)
未来の大人たち(子ども)27名、昔の子どもたち(保護者※)13名
※スタッフとして参加
 <活動のねらい>

網地島の高齢者が60〜70年前に過ごした「島の夏休み」を島の高齢者が先生となって
「未来の大人たち」に体験してもらうことによって、
「昔の子どもたち」が普通に遊びとして行われていたものを自然体験活動として復活させ、
心健やかに強い連帯意識を持った日焼けの似合うたくましい子どもたちにしてあげること。
また、網地島の海を体感できるシーカヤックを子どもたちに1人で体験させ、
自信と的確な判断力を持たせるようにしてあげたい。
さらに、砂浜に打ち上げられた流木や貝殻等を使ったクラフトにより
豊かな表現力を身に付けさせるようにしていきたい。

 <プログラム>

--- 8月3日 ------------------
12:30  自己紹介ゲーム:シーカヤックの順番を決めながら、友達の名前を覚えよう。
13:00  開校式
13:10  網地島の獅子踊り指導
14:00  網地島の海を体験(シーカヤック・海水浴)
16:00  シャワー・身支度
16:30  自由時間(どんな遊びをするか子どもたちで決定)
17:30  ながぐつ和吉先生の網地島の植物教室
18:00  郷土料理体験・夕食・後片付け
19:30  あじ島冒険楽校のロゴをTシャツにプリントしよう
20:00  肝だめし
21:00  就寝準備
21:30  就寝

--- 8月4日 ------------------
※朝からの雷雨のため、スケジュールを変更して実施
06:00  起床・身支度・宿泊教室の清掃
06:30  トイレ・浴室・廊下・玄関の清掃
07:00  朝食準備・朝食・後片付け(終了した者から自由時間)
08:00  自由時間1(どんな遊びをするか子どもたちで決定)
09:00  自由時間2(どんな遊びをするか子どもたちで決定)
11:00  早めの昼食:味噌焼きおにぎりが美味しい。
11:20  記念写真・出発(雷雨が止んで釣りができるようになりました)
11:30  本物の漁師が教える魚釣り・釣り上げた魚を焼いて食べてみよう・磯観察
14:00  閉校式

 <レポート>

「網地島の獅子踊り指導」
島の高齢者の指導を受けながら、子どもたちも実際に獅子踊りを体験。
子どもたちのユーモラスな踊りに会場は笑いに包まれました。

「自由時間・1」
あじ島冒険楽校は、「遊びは、やりたいことはみんなで考えて、相談してから決める」が基本方針。
そして、また遊びながら考える。
また、各講師は各教室におりますが
子どもたちから「教えてください。お願いします。」と言われなければ、何もしないこととしています。
子どもたち自身が他者との関係づくりを学べるようにしています。
・竹鉄砲作り教室 島にあるたくさんの竹は、
おもちゃが簡単に手に入らなかった時代には、子どもたちの遊びの材料でした。
昔は自分のナイフを持ち、竹とんぼや竹鉄砲を作って遊びました。
竹鉄砲は、細い竹を使って作ります。筒の部分は節を避けて作り、持ち手の部分は片方に節を残します。
後は、筒の中をきつくなく、またゆるくなく、ぴったりに通る細い竹を見つけて
心棒として持ち手の部分に付けて完成です。
木の実やちり紙を筒の両側に詰め、持ち手に付けた心棒で一気に押し出すと、大きな音とともに玉が発射します。
・流木や貝殻を使ったクラフト教室
いつもよりたくさんの作品ができあがりました。
浜辺に打ち上げられた流木や小石は、そのままでは何の価値もないものですが
子どもたちが「目」「鼻」「口」「ひれ」「手足」「しっぽ」を付けると
あっという間に、楽しい魚や動物に大変身します。子どもたちの豊かな発想力にいつも驚かされます。
・校庭や体育館での活動
・楽校周辺での虫採り 等

「ながぐつ和吉先生の網地島の植物教室」
40年前に網長中学校に勤務していた高橋和吉先生に指導していただいています。
先生はいつも長靴を履いていたことから、「ながぐつづ先生」と呼ばれていました。
島にたくさんある「トクサ」を使った昔の遊び方は、節の部分で茎を折り
もう一度つないで、「どこ接いだ?」というものです。素朴な遊びですが、みんな大喜びでした。
また、かつて網地島ではヤマユリの根を食用に栽培していました。
今では栽培している人はいなくなりましたが、そのヤマユリが自生しており
夏になると島中が甘い香りに包まれます。
子どもたちに目をつむらせて、ヤマユリとスカシユリの臭いを鼻の近くで嗅がせると
ヤマユリのきつい臭いに みんな鼻をつまんでしまいます。
「素敵な香りのヤマユリなのに!!」と、みんな驚いていました。

「郷土料理体験」
夕食には、網地島の海女さんが採った「うに」や「あわび」を出します。
贅沢といわれるかもしれませんが、島ではとても安く手に入ります。
動いている「うに」や「あわび」に子どもたちはみんな驚いていました。
回る寿司屋の「うに」とは味が違っていて、びっくり。もちろん、網地島の「うに」の方が美味しい。
また、対岸の鮎川が捕鯨の基地であったことから
今となっては懐かしいくじら肉の味噌焼きやくじらの脂身を使った豚汁風の「トイ汁」を出しました。
何度もおかわりする子どもがたくさんいました。

「あじ島冒険楽校のロゴをTシャツにプリントしよう」
あじしま 冒険楽校のロゴを、持参したTシャツにプリントします。
ロゴは毎年新しくなります。
インクで文字をTシャツに写し、それをドライヤーで乾かした後にアイロンで熱を加えると完成します。

「肝だめし」
冒険楽校恒例の「肝だめし」。
保護者が肝だめしの「おばけ役」。保健室や体育館は子どもたちの絶叫が響き渡りました。
あまりにも怖くて、泣き出す子が続出。

「朝食づくり」
朝食の材料は、米、卵、トマトを除いてすべて島で採れたものばかりです。
島の朝食には欠かせない「マルコ汁」、メカブ、ひじき、銀鮭。
使っている味噌や梅干しも全て手作りで作ったものです。

「自由時間・2−1」
・昼食の味噌おにぎりを作ろう
・校庭で遊んでみよう

「自由時間・2−2」
朝からの雷雨のため、自由時間を設定。「植物を使った昔の遊び教室」、「流木や貝殻を使ったクラフト教室」を開講。もちろん、子どもたち同士で自由に遊ぶんでもよいことしています。
・植物を使った昔の遊び
島に伝わる植物を使った遊びを体験しました。
今となっては自然体験活動と呼ばれるかもしれませんが、昔の子どもたちは当たり前のこととして遊びました。
素朴で単純な遊びですが、子どもたちは熱中して遊びました。
おもちゃが買えなくとも自然のものを生かし、子どもたちの創意工夫で
いくらでも遊びは考え出すことができると思いました。子どもたちの創造力と連帯意識を育むことができます。
・流木や貝殻を使ったクラフト教室
いつもよりたくさんの作品ができあがりました。
浜辺に打ち上げられた流木や小石は、そのままでは何の価値もないものですが
子どもたちが「目」「鼻」「口」「ひれ」「手足」「しっぽ」を付けると
あっという間に、楽しい魚や動物に大変身します。子どもたちの豊かな発想力にいつも驚かされます。

「本物の漁師が教える魚釣り・釣り上げた魚を焼いて食べてみよう・磯観察」
網地島の子どもたちが熱中した魚釣りで、島では「あなご抜き」と呼ばれています。
仕掛けは簡単。
針の付いているテグス20cmくらいを竹竿の先端に付け、餌は岩場で採れた「えらこ」を使います。
本物の漁師が教える魚釣りは指導が厳しいのですが、
子どもたちは自分の力で魚を釣りたいので真剣に高齢者の話を聞いてくれます。
この釣りでは、ザリガニ釣りのように次から次とたくさんの魚が釣れます。
参加した子どもたちのほとんどが、魚を釣り上げることができます。

魚は浜辺で塩焼きにして、子どもたちにごちそうします。
本当に不思議ですが、ふだん魚を食べない子どもでも
自分が釣った魚となると骨までしゃぶるように食べてしまいます。
また、多くの子どもたちは 串付きのソーセージを食べるように
串の先端から食べる習慣があるようで
魚も尾びれの固いところを最初に食べます。
大人だったら一番美味しいところから食べるのに、
そうできない子どもが多いことに驚かされました。
そして、人間の生活の原点である自然活動体験の重要性を
改めて認識させられました。
磯観察では、磯だまりに カニ、ヤドカリ、ウニ、ナマコ、ヒラメ、小さな魚がたくさんおり、
多くの生物が生きていることで自然界が成り立っていることを網地島の豊かな海で実感できます。
子どもたちは、それらを捕まえたりして大喜びでした。

「閉校式」
島から去る者はみんな船に乗らなければなりません。
一度船が出ると途中で降りることができないため、本当の別れになります。
スタッフは防波堤の先まで走り、船が見えなくなるまで手を振っていました。

 <参加者の感想>

・あじ島冒険楽校のスタッフは楽しそう。
 大きくなったら、「スタッフー」にしてほしい。
・大学生になったら、スタッフにしてほしい。
・網地島の人は毎日、うにやあわびを食べられてうらやましい。
・網地島はいいところだ。住んでみたい。
・シーカヤックは難しかったけど、楽しかった。
・竹鉄砲から煙が出て、嬉しかった。
・肝だめしにはもう参加したくない。
・肝だめしをやろうとするスタッフの気持ちが分からない。
・もっと怖いおばけが出ると思っていた。
・漁師のおじいちゃんに怒られたけど、最後に魚が釣れて良かった。
・来年もあじ島冒険楽校に参加したい。
・いつも抽選にもれて参加できなかったけど、あじ島冒険楽校に参加できる最後の中学2年生になって
 5年ぶりに参加できました。
 5年前はホームシックになって職員室で泣いてしまい、夜遅くまで島の方に優しくしてもらいました。
 大きくなった自分を島の方に見てもらうことができてよかった。



あじ島冒険楽校「昔の子どもたち」から「未来の大人たち」へ「島の夏休み」を伝えたい 実施レポート(1)
あじ島冒険楽校「昔の子どもたち」から「未来の大人たち」へ「島の夏休み」を伝えたい 実施レポート(2)

■別年度のレポート
2009年度 あじ島冒険楽校『昔の子どもたち』から『未来の大人たち』へ『島の夏休み』を伝えたい 実施レポート

プログラム検索に戻る