NO団体名主な企画内容
7 社会福祉法人 扶助者聖母会星美ホーム(東京都) 「小中学生女子キャンプ ~PRIDEを白馬岳縦走に賭けて~」
児童養護施設の女の子の、女の子による、女の子のためのプログラム。2泊3日テント泊の白馬岳縦走の活動を通して、性別や境遇を越えて「人として」大事なことを学び成長してくれることを期待している。

速報レポート1

実施日  9月19日(土)~9月22日(火) 
開催場所 白馬岳
参加者数 小中学生 女子 9人   
スタッフ 当施設職員3名 
活動目的

 児童養護施設で生活する女児のみで実施するプログラム。
 発達段階や体力的な面における負荷などは考慮すべきだが、「女の子だから」、「男の子だから」ということではなく、「人として」大事な部分を、自然の中での活動を通して追求していく。
 この年代の女児は、自立意識が高い反面、きっかけさえあれば、自分の思いを語ることを厭わない積極性もあり、活動をふりかえり体験を言語化することで、今の境遇に負けることなく、今後の成長につながっていくような活動になることを目的とする。
 児童養護施設で生活する児童は、その境遇から自己肯定感が低い傾向があると言われている。自分の生い立ち、世間からの偏見など、当事者にしかわからない苦悩があるが、自然は誰に対しても「平等」であるという観点から、雄大な自然の中で挑戦する体験により、少しでも前向きに生きられる精神性を培ってほしい。

活動内容

 白馬岳 登山縦走。
 本来8月に実施する予定であったが、コロナウイルスの影響により9月の連休に延期した。
 また、猿倉から大雪渓を経由するコースで白馬岳山頂を目指す予定だったが、出発日に猿倉荘から「登山道の状態が悪く、猿倉からのルートは通行止めになる」との連絡が入る。
 そのため、ゴール予定の栂池から登り、栂池に下るルートに急遽変更を余儀なくされた。

9月18日(土)
 東京から車で猿倉荘へ。予約でいっぱいと聞かされていたが、猿倉からのルートが通行止めになったことからキャンセルが相次ぎ、貸し切り状態。ミーティングで明日のルートを再確認する。過去2回、白馬岳に挑み、悪天候などもあり2回とも登頂できずに終わった女児からは「今年は絶対に達成したい」と発言し、強い意志が感じられた。

9月22日(日)晴れ
午前6時 
 車にて栂池ロープウェイ乗り場まで移動。7時から運行予定であり、その少し前に到着したが、すでに長蛇の 列。7時30分には登山開始できるだろうという目論見は崩れ去る。結局、予定時間から大幅に遅れて9時 登山開始。
 白馬乗鞍岳までの急峻なガレ場に苦しめら、弱音を吐く児童も。コースタイムより若干遅いタイムで白馬大池 に到着。この時点で12時30分であり、ここから白馬岳、更に宿泊予定地の白馬岳頂上山荘キャンプ場への 到着時間が懸念される。当初は15時までにはテン場に着く予定だったが、ロープウェイ混雑により予定が狂ってしまった。しかし、天気に恵まれていることもあり決行を決断。船越の頭、小蓮華山までの登坂にペースは上がらず時間ばかりが過ぎていく。15時あたりに小蓮華山であり、到着は夕暮れ時と覚悟する。気温も下がり、児童も疲労の色を隠せない。それでも、ゆっくりではあるが歩みを止めず進み続ける。白馬岳への最後の急坂を登り切り、白馬岳登頂成功。星美ホームの女子としては初の白馬岳登頂となった。
 17時45分、白馬頂上宿舎キャンプ場にてテント泊。

9月21日(月)晴れ
 体調の優れない児童の回復を待ち、7時20分出発。昨日のコースを戻り、栂池を目指す。天気は快晴であり、 雲海、周りの山々が見渡せる絶景の中、黙々と歩く。昨日の疲労もあり、ペースは上がらないがひたすら歩き 15時13分、都賀池に到着した。児童からは「もう二度とやりたくない」という声が聞こえたが、その表情は達成感と安堵感に満ちていた。下山後、青木荘キャンプ場に宿泊。

9月22日(火)晴れ
 青木荘キャンプ場にて、この2日間をふりかえる。
各自、自分の言葉で感想を述べていた。表現方法がわからず、言葉に詰まる場面もあったが、自分の気持ちを言語化することで、客観的に自分をふりかえることができる。思っていた以上に過酷で雄大で素晴らしい体験であったことが発言や、その後の作文から読み取ることができた。













星美ホーム史上初めての女子による白馬岳制覇!
※児童養護施設の特性上、メディアNGの児童の写真は掲載しておりません。

子どもの感想より (抜粋・原文のまま・一部漢字に変換)

 「最初は「何でこんなことをやらなくちゃいけないの?」と思った。でも、登っているうちに、景色とかすごくて、とても気持ちがいいと思うようになった。辛くて大変だったけど、普段絶対に見ることができない すごい景色と、白馬岳の山頂に立つことができたことは最高の思い出になった。」 

 「私は中学1、2年生のとき2年連続で白馬岳に挑戦したけど、登りことはできませんでした。今回3回目で  最初はとても不安だったけど、登ってることができました。やればできるんだと初めて思いました。来年は高校生になるので、キャンプに行くのはこれが最後です。だから、達成できてよかったです。これからも、たくさん大変なことがあると思いますが、この経験からやればできるということがわかったので、何事もあきらめずに挑戦していきたいと思います。」

 「下りたときは「もう二度とやりたくない」と思いました。でも、時間が経つと山の上から見た景色や夕焼け、青い空、雲の上を歩いているような感じなど、けっこうすごいことをやってきたのかなぁと思うようになり  ました。職員の人から「星美ホームの女の子で初めて白馬岳に登った」と聞いて、何だか少し嬉しくなりました。」

 「人も多くて、山もきつくて嫌すぎた。でも、登ったときは嬉しかった。」

 「登山もテントも初めての体験でした。やる前はけっこう簡単かなと思って自信があったけど、その自信が  打ち砕かれるくらい大変でした。登るのに時間がかかってしまって、着いたのは夕方でした。寒くて疲れて もう歩きたくないと思ったけど、そこから夕陽が見えました。雲が燃えているみたいでなんだかとてもすごくて、よくわらないけど泣きそうになりました。この景色が見れただけでもやってよかったと思いました。」

 「登っている途中は絶対無理だと思った。頂上に着いても嬉しさより疲れのほうが上だった。終わった後は、もう二度と来ないと思った。でも、帰る日にみんなで職員がスマホで撮った写真を見たら、景色がこんなにきれいだったのかと思った。」
  
「無理だと思っていたことができた。嬉しかった。」

「歩いても歩いても着かなくていやになった。でも、着くことができた。あきらめずに歩き続ければ着くんだと思った。」

「2年連続で登れなくてとても悔しかった。今年こそは絶対登ろうと思っていた。登った後思ったことは、前までは気持ちで負けていたんだと思った。職員の人からすごくがんばったことを認めてもらえて嬉しかった。」

 直前のルート変更、予定時間に出発できず、到着時間がずれ込むなど、想像以上に過酷な登山の中、子ども 達は自分と向き合い、雄大な自然に触れ、何かを感じてくれたものと思います。社会的養護の中で生活する子ども達にとって、偏見や後ろ盾のない生活を余儀なくされることが少なくありません。そんな中、今回の経験が少しでも子ども達の心に残り、「がんばった自分」を正当に評価し、様々なことに挑戦、乗り越えていくための力になればと思っています。



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