NO団体名主な企画内容
4 あじ島冒険楽校(宮城県) 「あじ島冒険楽校『昔の子どもたち』から『未来の大人たち』へ『島の夏休み』を伝えたい」
島伝統の「アナゴ抜き」、竹とんぼ、竹鉄砲作り、シーカヤック、クラフト、植物観察などを行うとともに、「限界集落」となった島の将来をお年寄りと交流しながら、考える機会をつくる。

あじ島冒険楽校(あわびコース) 実施レポート

日 時:2009年8月3日(月)12:30~4日(火)11:00
場 所:網地島(宮城県石巻市)
参加者:未来の大人たち(子ども)24名 昔の子どもたち(保護者)14名
※保護者はスタッフ扱いの参加
活動のねらい

・網地島の高齢者が60~70年前に過ごした「島の夏休み」を島の高齢者が先生となって,「未来の大人たち」に体験してもらうことによって,ごく普通に子どもたちの遊びとして行われていた自然体験活動を復活させ,心健やかに強い連帯意識を持った日焼けの似合うたくましい子どもたちにしてあげたい。
・昔のこどもたちは艪で船を操って遊んでいました。今ではそういった船はなくなってしまいましたが,シーカヤックを使って,網地島の海を楽しむ体験させています。子どもたちに1人で体験させることで,自信と的確な判断力を持たせるようにしてあげたい。
・砂浜に打ち上げられた流木や貝殻等を使ったクラフトにより,豊かな表現力を身に付けさせるようにしていきたい。
・島の高齢者との交流を通じて,思いやりのある心優しい子どもになってほしい。

プログラム

(1日目)
12:30アイスブレーキングゲーム
輪になって,他のお友達の名前を紹介しよう。
13:00開校式
13:10網地島の獅子踊り指導
島の高齢者の指導を受けながら,子どもたちも実際に獅子踊りを体験。子どもたちのユーモラスな踊りに会場は笑いに包まれました。
13:30網地島の海を体験(シーカヤック・シーサイクル・海水浴)
網地島の海を体感できるシーカヤックを子どもたちに1人で体験させています。小学校の低学年の児童は体重が軽いため,風や波に流されて,なかなかシーカヤックを操作するのが難しいようでしたが,頑張って岸にたどり着くことができました。また,シーカヤック同士がぶつかることも多かったのですが,自然と「ごめんなさい。」という言葉も出てきました。自信と判断力,連帯感を持たせることができたと思います。
15:30シャワー・身支度
16:00自由時間(子どもたち自身がどんな遊びをするか自分たちで決定)
あじ島冒険楽校の基本は,「遊びは,やりたいことはみんなで考えて,相談してから決める」が基本方針。そして,また遊びながら考える。
また,竹鉄砲等の各講師は,各教室におりますが,子どもたちから「教えてください。お願いします。」と言われなければ,何もしないこととしています。子どもたち自身が他者との関係づくりを学べるようにしています。
・竹鉄砲作り教室
島にあるたくさんの竹は,おもちゃが簡単に手に入らなかった時代には,子どもたちの遊びの材料でした。昔は自分のナイフを持ち,竹とんぼや竹鉄砲を作って遊びました。竹鉄砲は,細い竹を使って作ります。筒の部分は節を避けて作り,持ち手の部分は片方に節を残します。後は,筒の中をきつくなく,またゆるくなく,ぴったりに通る細い竹を見つけて,心棒として持ち手の部分に付けて完成です。木の実やちり紙を筒の両側に詰め,持ち手に付けた心棒で一気に押し出すと,大きな音とともに玉が発射します。
・ながぐづ和吉先生の網地島植物教室
ながぐづ先生こと高橋和吉先生は,今から40年前に網長中学校で理科を教えていた先生で,いつも長靴を履いていたことから,島民から「ながぐづ先生」と慕われていました。網地島の植物を研究し,「網地島植物誌」という本を執筆しています。この教室では,冬でも緑の島となっている網地島の秘密やタブノキ,トクサの秘密,ヤマユリとスカシユリの臭い等の秘密を学ぶことができます。
・校庭や体育館での活動
・楽校周辺での虫採り・昆虫観察 等
17:30夕食準備
バーベキューのため,子どもたちに火おこしをお願いしましたが,たちまち火おこし競争が始まりました。小さな火からおこすのに初めは苦労していた様子でしたが,周りの大人たちのアドバイスを受けながら,徐々に大きな火としていきました。中には炭の置き方にこだわる子や団扇で一生懸命にあおぐ子どももいました。体で考えながら,みんな様々な工夫をしながら火おこしを楽しんでいました。
18:00郷土料理体験・夕食・後片付け
夕食には,網地島で採れたうにやあわびを出します。動いているうにやあわびに子どもたちはみんな驚いていました。回る寿司屋の「うに」とは味が違っていて,びっくり。もちろん,網地島のうにの方が美味しい。また,対岸の鮎川が捕鯨の基地であったことから,くじら肉の味噌焼きやくじらの脂身を使った豚汁風の「トイ汁」を出しました。何度もおかわりする子どもがたくさんいました。
19:30あじ島冒険楽校のロゴをTシャツにプリントしよう
「あじしま冒険楽校」「2009」「太陽マーク」を好きなところにプリントして,自分だけのTシャツを作りました。
20:00冒険楽校恒例の「肝だめし」
保護者が肝試しの「おばけ役」。保健室や体育館は子どもたちの絶叫が響き渡りました。あまりにも恐くて,泣き出す子が続出。肝だめしが終了した子どもには,流木や貝殻を使ったクラフト教室を楽しんでもらいました。
・流木や貝殻を使ったクラフト教室
浜辺に打ち上げられた流木や小石は,そのままでは何の価値もないものですが,子どもたちが「目」,「鼻」,「口」,「ひれ」,「手足」「しっぽ」を付けるとあっという間に,楽しい魚や動物に大変身します。子どもたちの豊かな発想力にいつも驚かされます。
21:00就寝準備
21:30就寝

(2日目)
6:00起床・身支度・宿泊教室の清掃
6:30トイレ・浴室・廊下・玄関の清掃
7:00朝食準備・朝食・後片付け(終了した者から自由時間)
8:00自由時間(子どもたち自身がどんな遊びをするか自分たちで決定)
・昼食の味噌おにぎりを作ろう
9:00記念写真・出発
9:15本物の漁師が教える魚釣り・釣り上げた魚を焼いて食べてみよう・磯観察
網地島の子どもたちが熱中した魚釣りです。仕掛けは簡単で,針の付いているテグス20cmくらいを竹竿の先端に付け,餌は岩場で採れた「えらこ」を使います。本物の漁師が教える魚釣りは指導が厳しいのですが,子どもたちは自分の力で魚を釣りたいので,真剣に高齢者の話を聞いてくれます。この釣りでは,ザリガニ釣りのように次から次とたくさんの魚が釣れます。参加した子どもたちのほとんどが,魚を釣り上げることができます。魚は浜辺で塩焼きにして,子どもたちにごちそうします。本当に不思議ですが,ふだん魚を食べない子どもでも,自分が釣った魚となると,骨までしゃぶるように食べてしまいます。また,多くの子どもたちは串の先端から食べる習慣があるようで,魚も尾びれの固いところを最初に食べます。本当に不思議です。
11:00閉校式
島から去る者はみんな船に乗らなければなりません。一度船が出ると途中で降りることができないため,本当の別れになります。船はゆっくりと離岸するので,お互いの顔を見ながら,思い出をかみしめながらお別れをします。

未来の大人たち(子ども)の感想

・網地島の人は毎日,うにやあわびを食べられてうらやましい。
・くじらの肉は初めて食べたけど,とてもおいしかった。
・竹鉄砲から煙が出て,嬉しかった。
・肝試しにはもう参加したくない。なぜこんな恐いことをするのか分からない。
・肝試しで賞品がもらえてよかった。
・漁師のおじいちゃんに怒られたけど,最後に魚が釣れて良かった。
・シーカヤックは1人じゃ怖いと思っていたけど,なかなか楽しかった♪
・傷に海の水が浸みて,とっても痛かった。
・中身を食べられても,うにが動いていて,びっくりした。
・アワビを3個も食べた!
・肝試し怖い(女の子)
・お化け出たとき必殺技を使ったんだ!(男の子)
・また来たいな
・ご飯5杯も食べた
・1番大きい魚が釣れた!おいしい。
・アオスジアゲハはとてもきれいだった。