NO団体名主な企画内容
31 学校法人 滝の坊学園 三好桃山幼稚園(愛知県) 「七転八起CAMP」
七回の“転ぶ活動”をたくさんの“起きるプログラム”で支える。まさかのいきなり登山、竹みがキーフォルダー、七転八起ノートの作成、火打石で自炊に挑戦、置き去りウォークラリー、巨大ソーセージ争奪ドロ運動会、八起ファイアー、七転八起まつりなどイメージ力を掻き立て、能動的な行動を促す。

七転八起CAMP(ななころびやおきキャンプ) 実施レポート1

日 時:8月4日(火)AM9:00〜8月7日(金)PM8:00
場 所:神田ふれあいセンター(旧神田小学校)
人 数:年長児30人・小学生49人・中学生6人・大学生ボランティア5人・リーダー(先生)14人・サポーター12人・カメラマン1人・地域指導者4名  合計121人
キャンプテーマ:原体験に刻む4日間
キャッチコピー:「たくさん転んで!たくさん起きる!転んだ数だけデカくなる!」
1日目

いきなり登山
七転八起CAMP一転び目の “いきなり登山”。当日は気温も高く想像以上に過酷な登山となりました。年長児と1年生は2時間、2年生と3年生は2時間30分、4年生以上は3時間をかけてそれぞれ違うルートを通り、岩古谷山799Mの登頂になんとか成功。「つらくてつらくて疲れた・・・」「こけるだけこけたけど、最後までがんばった!」「まだこんな所?って何回も思った。」子どもたちからでた感想がこの登山の過酷さを物語っていました。リーダー達も「あと3日大丈夫かな〜」と心配したほどです。精神的にも肉体的にも大きな転びとなりました。

竹みがキーフォルダー
このキャンプの体験を日常生活にリンクさせるキーフォルダー。キャンプ中、時間を見つけては磨き、思い出も一緒に竹に磨き込みます。そして、キャンプ後にランドセルやカバンに付けたこのキーフォルダーを見た時「あんなことあったな〜」と思い出してほしい、そんな想いから取り組んだ竹みがキーフォルダー。地域の方にお願いして竹を分けてもらい、竹林から切り出し、自分で輪切りにして、起き上がり小法師のように何度でも起き上がるキーフォルダーにしました。ノコギリ初挑戦の子も多く意外と手こずりましたが、班の仲間とじっくり協力して取り組んでいました。登山で疲れた心と体を仲間との協力が癒してくれているようでした。その後も少しの時間を見つけ、こつこつと磨き続けていました。「先生触って〜」とツルツルになった表面をアピールし、先生との関係を確かめる子の姿も多くありました。

2日目

置き去りウォークラリー
おもしろ目隠しをしてバスに乗せられ、知らない場所に置き去りにされるこの活動。班の仲間で協力をしてキャンプ地に戻ります。バスの曲がった方向と回数を記憶する班や、川の流れの向きからキャンプ地の方向を推測する班、数少ない民家を探し出し人に尋ねる班など、知識と感覚を駆使してキャンプ地を探していました。
「あれ?川がある?」「蝉の鳴き声が変わった!」視界を遮られた分だけ、耳に神経を集中させていたため、どの子も様々な自然の音に出会っていました。神田の自然と人に五感を使って触れ合うことができました。

火打ち石で自炊
天候が悪化したため、各班での自炊は断念。その代りに、“班対抗野菜下ごしらえ対決”と“火打ち石対決”を行いました。野菜の下ごしらえでは切った野菜を料理チームの先生に評価してもらい、どの班が高得点を出すか競いました。切るだけではなくトレーへの盛り付けを工夫したり、ハート型や星型に切ったりと班ごと工夫に工夫を重ねていました。火打ち石対決では、どの班が一番に火を起こせるかを競いました。時間が経つにつれ火花の出る量は多くなってきましたが、火口(ほくち)が湿気にやられ着火はどの班もできませんでした。「火花は出るのに!なんで火がつかないの!」「今度こそ火をつけたいな〜」対決形式にした分、子どもたちの意欲には着火していました。

ロエールクッソ
「私の靴がない!」朝起きると自分の靴がなくなっていました!そこには『ロエールクッソ』と書かれた紙が置いてありました。「ロエールクッソ?」「名前?」「暗号かな?」子どもたちはなぜ靴がなくなったのか、残された紙をヒントに思考と会話を重ねていました。靴のなくなってしまった子は川用に持ってきた靴を代用して履いていましたが、川で使用し濡れていたため、履き心地も悪く「このまま出てこなかったらどうしよ〜」と不自由さから愚痴をこぼす子、怒ってへそを曲げてしまう子、それぞれが転びを経験していました。
ロエールクッソを続けて言うと『クツソロエール』→『靴揃える』になります。“靴が揃うと心が揃う 心が揃うと靴が揃う”キャンプで経験した何かが、子どもの中に残ってほしいという想いで組み込んだこのプログラム。子ども達も必死で暗号解読に努めていました。そしてついに3日目の朝に、3年生の男の子が解読に成功!それはあっという間に全員に伝わり、靴を揃える事に意識が向くようになりました。

3日目

巨大ソーセージ争奪泥リンピック
お昼ご飯に巨大ソーセージが付くか付かないかを賭け、フェイスペイントで赤チーム白チームに分かれ、田んぼで“綱引き”“ビーチフラックならぬ泥ボール”“手つなぎリレー”の3種目で競いました。競技が進むにつれ全身泥だらけ!豪快に頭から田んぼに突っ込むシーンが会場を盛り上げました。すべての競技が終わってまったくの互角。最後に先生全員での泥ボールで決着をつけることになりました。子どもたちの大歓声の中スタート!大の大人20人が高々と泥しぶきを上げて、田んぼに浮かぶ7個のボールを本気で取り合いました。結果は赤の完全勝利!負けた白チームからは大きなため息がもれました。お昼ごはんでは赤チームがおいしそうにかぶりつく巨大ソーセージを恨めしそうに見ていました。本気で勝ちたい気持ちから、班での協力とチームでの協力が加速した泥リンピック。そこに“泥だらけ”という開放感も交わり、子どもも大人もとてつもない一体感を感じることができました。ここでの一体感がこの後のキャンプファイヤーへの最高の導入となりました。

キャンプファイヤー
夕方の雨も早くに上がり、キャンプファイヤーを行うことができました。ロケット点火の儀式で井桁に火が付くとゲームで大盛り上がり!班ごとに『キャンプだホイ』の替え歌を作り、班の特徴を発表し合いました。声がかれるほど大声で歌っている子もいましたよ。井桁の炎の落ち着きに伴い、エールマスターの語りが始まるとキャンプファイヤーの幻想的な雰囲気に子ども達はじっくり炎を見つめ、このキャンプを振り返っていました。そんな時、突然校舎の裏山からあやしい光が!神田神社の神様と名乗る不思議な声に真剣に耳を傾けていた子どもたち。靴を揃える事の大切さをわかってほしくて神様が靴をとったと告げられ、靴を返してもらうと、帰ってきた靴をしっかり揃えている姿が印象的でした。

4日目

ロエールクッソ
『靴が揃うと心が揃う 心が揃うと靴が揃う 人の靴を揃えるとその人の心も揃う』神様が残したその言葉は、この日の朝の靴の揃え方を見ると、子どもたちの心に届いていたと実感しました。中でも友だちの靴までも揃える姿や、トイレのスリッパもきっちり揃える姿が印象的でした。「神様も靴を取らないで、揃えてくれればよかったのに〜」そんな言葉も飛び交い、靴を揃える事の大切さを転びから学んだ子どもたちでした。

靴探しウォークラリー
ここで終わらないのが桃山CAMP。ロエールクッソの事は子どもは勿論、保護者にも内緒のプログラム。そして、この靴探しウォークラリーは先生にも内緒のプログラムでした。昨夜のキャンプファイヤー後、取られた先生の靴も返ってくるはずでしたが、靴の代わりにコマ図が置いてあり「先生の靴を探し出せ!」と記されていました。先生たちもびっくり!その様子に子ども達もびっくり!本当に神様の存在を信じイメージを膨らませるきっかけになりました。そして、照りつける日差しの中、先生の靴を求めてコマ図を頼りに川の中まで探しに出発!それまで疲れの見えていた子ども達も、次々と変化する川の表情にテンションが上がり大張りきり!「先生!靴あったよ!」「木に吊るされている!」最終日にもう一度、班の団結力を確かめることができた活動になりました。

その他

七転八起インタビュー
毎晩、その日の“転び”を振り返り記録に残していく七転八起インタビュー。書くことより話し合うことを重視しました。書く前に言葉にして班の仲間と伝え合うことで、相互理解を深めることができました。これにより“明日はどうする”“何をしたい”が明確になり班の仲間と想いを共有することができ、目的と見通しを持って活動に臨むことができました。更に、先生が見えにくい子どもの心の状態を肌で感じることができ、子どもの心に寄り添うことができました。その変化を毎夜子どもが寝静まった後、育ちの記録(何に転びどう起きたかを記録する“七転八起MEMO”)として残し、保護者にプレゼントしました。子どものキャンプ中の様子を詳細に伝えることできました。

まとめ

 子どもの将来の幸せのためにこの4日間でできる事、それを考え抜きプログラムとして組み込んできました。
 転ばぬ先の杖をしないで、子どもの転び(躓き)を見守り、時には支え、起き上がりを共に喜ぶ。転んだ時にこそ立ちあがるイメージと意欲を持ち、ピンチをチャンスに変えられる力を育みたい。そんな想いをリーダーである先生に伝えキャンプに臨みました。キャンププログラムの進行も順調に進み、安全面でも充分には配慮したため大きな怪我はありませんでしたが、本当の意味でこのキャンプが子どもにとってどうあったのか、結果や成果が出るのはまだ先かもしれません。今後の保護者からのアンケートや、子どもたちの言葉を参考に検討を重ねていきたいと思います。
 最後に、子どもも大人も学生もが真剣に向かい合ったこの4日間は、お互いがお互いに刺激を与え合い、最高の共育ちの場になったと実感しました。


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