NO団体名主な企画内容
38 財団法人 大阪市青少年活動協会(大阪府) 「忍者体験キャンプはやて」
日本的な要素を取り入れたキャンプの創造を目指して、「忍者」をテーマにしたキャンプ。物聞修行(ハイキング&地図作り)、物聞会(地図を使って発表)、火まつり(キャンプファイアー)、秘密指令による、アウトドアロールプレーイングゲームなどを行う。

忍者体験キャンプはやて 実施レポート

日 時:平成21年8月26日(水)〜8月29日(土) 3泊4日
場 所:大阪市立伊賀青少年野外活動センター(青少年の家)
参加者:小学生31名 スタッフ13名
    小学1年生〜3年生 (はやて) 男子9名  女子8名  小計17名       
    小学4年生〜6年生 (かすみ) 男子6名  女子8名 小計14名
目的

 日本的な要素を取り入れたキャンプの創造を目指し、こどもたちの大好きな「忍者」をテーマにあて、「物聞(ものぎき)修行(しゅぎょう)」「忍び絵図作り」「物聞会(ものぎきかい)」「夜道の心得・天遁(てんとん)の術」「忍術大会」「秘密指令」等の忍者体験を通じて、仲間意識を高め、仲間との協力や喜びを感じ忍者の知恵や自然観を楽しみながら学びます。

組織

組織もすべて忍者風に!
※当キャンプではグループを組と呼んでいます

・CD(キャンプ・ディレクター)
  キャンプの責任者
・MD(マネージメント・ディレクター)
  SSに指示しキャンパーやスタッフの安全管理及び物品管理をします
・UD(ユニット・ディレクター)
  プログラムの進行やGCの指導をします          
・GC(グループ・カウンセラー)
  グループのこどもたちと寝食を供にし、グループの指導や生活支援をします
・SS(サービススタッフ)
  MDの指示を受けキャンプの運営を支えます

総 括

 例年100名を越える参加者が集まる「忍者体験キャンプはやて」ですが、今年度は当団体参加者の8割を占める大阪市内参加者が、新型インフルエンザの影響で夏休みが短縮され、当キャンプに参加することができなくなってしまい大幅に減少してしまいました。
 そのため今年は「はやて」「かすみ」を完全に分離運営せず、「はやて」「かすみ」の交流プログラムを設けることで、「はやて」のこどもたちは年上の「かすみ」に憧れを持ち、「かすみ」のこどもたちは年下の「はやて」を気遣う姿を見ることができました。
 延べ200名近くの通常規模ではできない今年ならではの運営をすることができました。
 また今年は、天候に恵まれために全てのプログラムを順調に実施することができました。
 忍者になりきった楽しい4日間に、こどもたちも満足してもらえたことと思います。
詳しい内容はプログラムで報告いたします。

プログラムのコンセプトと留意点

とにかく楽しい内容と忍者にこだわったキャンプを目指します。
また忍者プログラムだけでなく、グループを利用した小集団援助指導技術(グループワーク)を意識した流れの内容を組み立てます。
プログラムとプログラムの間に余裕を作り、グループで自由な活動ができる幅を設けます。難しい言葉や文字をあえて使います。本来キャンプでは難しい言葉を避けこどもたちがわかりやすい言葉を選びますが、当キャンプでは 難しい言葉=興味ある言葉 と位置づけ、GCがその事をわかりやすく伝える事で信頼関係を高める効果と、新語を知る喜びや忍者になっている充足感を高める効果をねらいます。

1日目2日目3日目4日目
集 合
[忍者体験1]
伊賀流忍術博物館見学
[忍者体験3]
物聞修行
[秘密指令]
”月影破りの術を探せ!”
[忍者体験8]
忍術大会
はじめのつどい[忍者体験4]
忍び絵図作り
物聞会
[忍者体験6]
忍術大会準備
おわりのつどい
スライド・歌・お話による
ふりかえり
解 散
[忍者体験2]
合い言葉・合図班旗作り
[忍者体験5]
伊賀の火まつり
(キャンプファイア)
[忍者体験7]
夜道の心得と天遁の 術(星座観察)
プログラムのねらいと実際

1日目  仲間とのスタートの1日であり、まずはメンバー同士が打ち解けて安心きる環境を作るため、 お互いのコミュニケーションを図るレクリエーションを行うと共に、こどもたち一人ひとりが抱いている忍者像を伊賀流忍者博物館や忍者屋敷を見学することで、忍者に対するイメージの共有化を図りました。
 忍者屋敷では「どんでん返し」のしかけを体験し、忍者屋敷のくノ一(女性忍者)の方の説明を真剣に聴いている姿がとても印象的でした。また、当キャンプでは最初から忍者への興味がある子が多く、「水蜘蛛はこんなふうに使うねんで」と教えてくれたり、壁の説明を一生懸命書き写す子や、写真に撮って残すこどもたちがいました。
 施設に着いてからは「はじめのつどい」で、これから行う修行や「おきて」の説明をし、忍者の替え歌を使って楽しい雰囲気を作りました。
 その後、当キャンプ「はやて・かすみ」の合い言葉を教え、「立ちすぐり居すぐり」(風魔忍者の故事)を説明すると共に、その事を体験できるオリジナルレクリエーションゲーム「立ちすぐり居すぐりゲーム」を行いました。自分たちの部屋に入ってからは、自分のグループだけがわかる「合い言葉」や「合図」を作り、「はちまき」や「旗」をみんなで作って仲間意識を高めました。できあがった「旗」や「はちまき」は夜に発表会の時間を設け、みんなで翌日から始まる本格的な忍者修行に備えました。
 また翌日から行う忍者時間(江戸時代の定時法)の見方を説明し、習得してもらいました。




2日目 「忍者流自然観察法(野外禅+自然と対話)」や「物聞修行」などグループで行う忍者体験を通じてグループ内の仲間意識を高め、「物聞会」や「火まつり」など全体プログラムを通じて、お互いの影響関係(相互作用の全体版)の効果をねらいました。
 朝のつどいで行う「忍者流自然観察法」では、忍術書に書かれている「音や気配を感じるときは目を閉じ、目で集中するときには耳をふさげ」の最初の部分を引用し、グループで円に座り、目を閉じて音や気配に集中します。
そのあと目を開けて、それぞれが興味を持った場所に移動し各自観察します。観察終了後、グループでそのことを分かち合いました。
 2日目行った場所はコナラ林の中だったので鳥たちの鳴き声はもちろんドングリが森に落ちる音も聞こえ始めました。
 目を開けたあと、「これがさっき落ちたドングリやで」と嬉しそうに緑色のドングリを見せてくれました。
 ツクツクボウシの鳴き声が聞こえる側では、セミの抜け殻を見つけて感動していました。
 午前中のプログラム「物聞修行」では、大組頭から田代池の周りを歩いて地図を作り、見つけてきたことを「物聞会」で報告して欲しいという指令を出しました。
 一人ひとりに渡された忍者衣装を身につけると、みんな気合いも入り元気に出発しました。
 高学年の「かすみ」には、松尾芭蕉忍者説にちなんで、池を巡りながら俳句を作って欲しいという追加指令が出ました。
 午後からの「物聞会」では、各グループとも林の中の広場で忍び絵図を使って午前中の探索結果の共有を行いました。
 どのグループも嬉しそうにみんなの前で「忍び絵図」を発表していました。
 夜の「火まつり」では、点火用の火を火打ち石で点け、火薬の扱いに長けていた伊賀忍者についてのお話を交えてスタートしました。
 みんなで火を囲んで忍者風にアレンジした歌やゲームで大いに盛り上がりました。





3日目 「秘密指令」(アウトドアロールプレーイングゲーム)や忍術大会へ向けての準備過程を通じて、グループでのより強い結束を促すと共にグループ内の相互作用を高めました。
 「秘密指令」では、九字の呪文にまつわる名の9カ所のポイントを巡りながら忍者修行をすると共に、日食と忍術にまつわる創作話「月影の術と花影の術」をして花影の術に関する情報と術を見つける課題を併せて出しました。
 ちびっ子忍者たちは9つの楽しい忍者修行をしながら「忍び文字」の解き方や、水につけると浮かび上がる文字に驚きつつ、全員が頑張りぬきました。
 最後に各グループが見つけた花影の術に関する情報を結集し見事に「花影の術」(水に浮かぶ花の絵)を完成させました。
 「夜道の心得」では、忍者の秘伝書に書かれれている暗闇の中を明かり無しで歩く体験をしました。
 こどもたちは忍者の知恵に驚きの連続でした。
 最後にヒメボタル(陸生ホタル)の幼虫の生息場所に案内した時には「きれい!」「すごい!」の歓声があちこちで聞こえてきました。
 3日間の忍者体験を通じてお互いの信頼関係で結ばれたこどもたちは、たとえ小学校低学年であっても、誰一人として暗闇をいやがったり泣き出したりしないことです。
「仲間がいれば怖くない!」このプログラムが始まる前に、おきて風にその事を話すとみんな良く頑張りました。
 こどもたちにとって暗闇は誰もが心細いものです。
 そんなとき誰かが自然発生的に歌い始めると、他の子が続きやがて大合唱となります。
本来のナイトハイクは静かに歩くものですが、私はその事へのこだわりよりも、歌でお互いを支え合うこの「勇気の歌」が大好きです。





4日目 「忍術大会」での忍術発表を通じてグループ活動の最高点とし、「おわりのつどい」では活動中の写真をスライドショー形式にまとめた「映像によるふりかえり」と「歌のメドレーによるふりかえり」、「お話しやアンケートによるふりかえり」を行い一人ひとりにとってこの4日間がどうであったのかを考えてもらいました。
 「忍術大会」では各グループとも期間中にあった出来事をスタンツ風の忍術に仕上げたり、山を歩いているときに火打ち石の原料となる石を見つけて来たこと等を忍術風に発表したり、忍者クイズに手作りの景品を用意してくれたりと、それぞれのグループとも特徴ある発表をしてくれました。
そして何より嬉しかった事は、自分たちの発表だけでなく、他のグループの発表も真剣に見終わった後に大きな拍手が起こったことです。
その瞬間このキャンプの中で積み重ねてきた事が成果として実感することができたと思えました。
忍術大会を通じてキャンプ全体がまるで仲良しの術にかかったかの如く素敵な時間に感じられました。




 「おわりのつどい」では、のべ500枚にのぼる写真が映し出されると期間中の事が思い出されてか、歓声と共に感動して泣き出すこどももいました。
 こどもたちにとって親元を離れての4日間は、とてもつらいことであったと思います。
 しかしその事を乗り越えて大きなけがや病人も出ず、全員元気に過ごせたことは何よりも嬉しく思いました。
 伊賀を出発する時、あるこどもが「お館は、思い出忍者さんや、僕らにいっぱい思い出の術をかけてくれて、僕らから去っていくねんなぁ」と声をかけてくれました。
 その子には「来年はもっとたくさんの思い出の術を用意しとくからね」と答えました。
 これからのちびっ子忍者たちの活躍と心身ともに健全に育ってくれることを心から期待したいと思います!



プログラム検索に戻る