NO | 団体名 | 主な企画内容
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学校法人滝の坊学園三好桃山幼稚園(愛知県) |
「見知工作CAMP(みちくさきゃんぷ)」 「道草を食う」をテーマに、道草食堂や道草キャンプファイヤー、川魚捕獲大作戦など、時間にとらわれず寄り道をしながら行う様々な体験を、キャンプに詰め込んで、道草を食う企画。 |
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速報レポート
日 時:7月26日(月)AM9:00~7月29日(木)PM8:00
場 所:神田ふれあいセンター(旧神田小学校)
人 数:年長児18人・小学生58人・中学生4人・高校生3人・リーダー(先生)13人
サポーター14人・カメラマン1人・地域指導者3名 合計114人
知恵を育む4日間
「見て!知って!工夫して!作って!知恵を育む4日間」
活動内容
・班分け 1日目
予めひとり一個手渡されていた木片。そこには暗号が記されていました。暗号の一致する仲間を探すために、いろいろな子に話しかけながら関わりを初日から持つ事をねらいとした“班分け”。初めて声をかける相手に少々恥ずかしがる子、積極的にいろいろな相手に話しかける子などその様子は十人十色。暗号が揃うと「やったー!」と大きな歓声が上がり、その声に、まだ揃っていない班の焦りは増すばかり。その焦りの中で、残りの班の仲間を探そうと力を合わせる度に、“協力”という名の芽がニョキッと顔を覗かせていました。
・おぼん作り 1日目
4日間ずっと使う“おぼん”を作りました。作り方は一切教えていません。あえて教えないことで、子どもたちは一生懸命に完成品を見て、材料と工具を照らし合わせ、どう作ってあるのかをイメージしていました。そのイメージを班の仲間と話し合う中で“段取り力”と“知恵”を育んでいました。班のリーダーも出来るだけ口を挟まないことで、子どもたちは能動的に自ら考えて取り組んでいましたが、その分失敗もたくさんありました。木工用ボンドをつけ忘れる子、釘がとび出る子、短く切りすぎてしまう子、失敗の度にリーダーは見守り、時には付き添い支えることで子どもたちは、失敗を修正していく体験の中でたくさんのことを学んでいきました。大人が教えないことで、子どもの中で動き出すものの大切さを改めて実感しました。
そんな思いをして作ったおぼんを使って食べる食事は最高でした!
・川魚捕獲大作戦 1日目~3日目
【捕る】
釣り竿を作って釣るもよし。仕掛けを使って捕るもよし。網で追い込むもよし。川魚の捕獲方法は自由です。川遊びをしながら魚のいそうなポイントを探し、予め用意した仕掛けや竿で次々と捕獲している班もあれば、何回やっても1匹も捕まえられない班もいました。釣りを選択した子どもたちは真剣そのもの、1時間以上釣りに没頭していました。「お米でもこんなに釣れるんだ!」と魚のたくさんいる良いポイントに出会い大漁だった子もいれば、「お米だから釣れないんだ!」と釣れないのを餌のせいにしている子もいて、同じ餌でも感じ方はそれぞれでしたが、釣れた時の喜びは同じ、みんな最高の笑顔を見せてくれました。
捕獲した魚は班専用の水槽で観察。この水槽はキャンプ中ずっと設置しておいた為、川で見る時とは違う横から見える魚の姿にみんな釘付け、水槽の周りにはいつも子どもたちがいました。
【作る】
キャンプ地に昔から伝わる料理“川魚の甘露煮”を地域のおばあちゃんから教えてもらいました。内臓を出して、塩揉みし、綺麗に洗って、味付けして煮込む流れの中で一番苦労したのが、さっきまで生きていた魚の内臓出すことでした。「かわいそ~」「こわい!」中には涙を流しながら包丁を持つ子までいました。「私やらない!」「食べない!」と言った3年生の女の子に、「焼肉食べたことある?」「いつも食べている牛や豚にもこんな時があったんだよね。」「いつも言っている「いただきます」は命をいただきますってことなんだよ。」リーダーの言葉にしばらく考え込んでいたその子は、最後の一匹に手を掛けました。
命をいただいて生きている。だから食べ物を粗末にしちゃいけない。
命をいただいて生きている。だから人の命も大切にしなくちゃいけない。
そんなメッセージが少しずつ子どもたちの心に浸透していくのを感じました。
【食べる】
日本酒・醤油・みりん・砂糖・山椒の絶妙なバランスで味付けされ煮込まれた川魚は絶品でした。あっとう間に魚をたいらげた後は、煮汁をご飯にかけて何杯もおかわりをしていました。いつもは食卓に座ってさえいれば出てくる料理を、作るだけでなく、捕ってくることろから体験した子どもたちの食欲には、圧倒されました。「家族にも食べさせてあげたい。」6年生の男の子から自然と出たその言葉に、この活動で学んだ事の本質が込められているようでした。
・丸ごとチキン争奪田んぼで道草運動会 3日目
赤チーム青チームに分かれ、勝ったチームだけが丸ごとチキンを食べられる田んぼで道草運動会。フェイスペイントで赤青に色分けする時から子どもたちのテンションは最高潮でした。競技は3つ、“田んぼで大相撲”“田んぼでビーチフラック”“手つなぎリレー”でした。中でも田んぼでビーチフラックは大盛り上がり。勢いよくターゲット目がけてダイビングしていました。例年よりも田んぼの水量を減らし、よりドロドロ感をアップさせたため、競技が進むにつれて全身泥だらけになりました。大自然に囲まれた田んぼで全身を泥だらけにして、なんともいえない開放感を味わった子どもたちでした。勝負は赤チームが大差で勝利!手でも簡単にほぐれるほど柔らかくジューシーな丸ごとチキンを満足気にほお張っていました。負けた青チームにも鳥の手羽元が1人1本配られました。
前日の魚の料理体験から一夜明け、おいしそうに鳥肉をほお張る子どもたちに、たくましさと生きる力を感じました。これらの体験が後々に少しづつ、子どもの中で繋がってくれたらと願っています。
・愛情に包まレタ― 3日目
最終日前夜に子どもたちに手渡された“愛情に包まレタ―”。予め保護者に『子どもの心が、保護者の愛情に包まれるようなお手紙をお願いします。』と伝え、愛情たっぷりの手紙を用意してもらいました。あと一日でお母さんお父さんに会える3日目夜に見る、家族からの手紙は心にしみわたったようです。恥ずかしそうに部屋の隅っこで読む子。読み終えた後もしばらく手紙を眺める子。カバンの中を探るふりをしてそっと涙を拭う子。それらの様子が、子どもの心が家族の愛情に包まれたことを物語っていました。親元から離れて3日。離れてみてより一層家族の温かさを痛感した子どもたちでした。
まとめ
1日目2日目の晴天が嘘のように3日目の夜から最終日にかけて豪雨となり、キャンプファイヤーを急遽、キャンドルファイヤーに変え、登山も危険と判断し断念。キャンプの締めくくりに保護者も参加して行う見知工作祭も、屋内でカレー祭に変更しました。子どもたちはもちろん、ここまで準備を進めてきたスタッフも悔しさを隠しきれませんでした。しかし、登山をするはずだった時間を有効に利用し、関わった仲間全員から4日間使用したおぼんに寄せ書きをもらいました。見知工作CAMPの終わりを仲間と惜しみながら、活動を振り返る良い時間を充分に過ごすことができました。
幼稚園を卒園して10年が経ち、高校生になってもキャンプに参加してくれた仲間がいます。高校生になっても参加したい幼稚園が企画するキャンプ。小学校低学年にあこがれる年長児。高学年にあこがれる低学年。中学生にあこがれる高学年。高校生にあこがれる中学生。そんな空間そのものが共に育ち合う“共育ち”の場として機能しているのだと思います。
見る・知る・工夫する・作る体験を通して知恵を育むCAMPと称して実施した3泊4日。様々な活動を通して子どもたちの中に浸透した事柄の一つひとつが、キャンプ後の生活の中で段々と思い出され、表現される様子をこれからも見守っていきたいと考えています。
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