NO | 団体名 | 主な企画内容
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網地島(あじしま)ふるさと楽好(宮城県) |
「網地島ふるさと楽好 〜限界集落の島の自然体験活動による 大切にされ 愛される記憶を子どもたちに〜」 "限界集落の島の食事体験(海からとってきたウニ、あわび、ひらめ、貝、海藻等)を島の高齢者に教えてもらいながら、みんなで調理し、楽しく会話しながら食べる体験を通じて、震災の心の傷を癒してもらう企画。" |
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速報レポート1
実 施 日 2019年8月2日(金)~4日(日)
参加者数 小学生14名,中学生8名,(高校生3名)
(参加してくれた子どもたちは,実の両親から
虐待を受けて来た子ども達や東日本大震災で
両親を亡くした震災孤児です。)
指 導 者 島のお年寄り等16名
ボランティア 首都圏・関西圏,四国等からの学生ボランティア等42名
目的
- 網地島の暮らしを使った自然体験を通じて,海と生きる島のお年寄りとの交流を通じて,虐待の苦しみや震災で親を失った悲しみを少しでも癒してほしい。
- 透き通った海やオニヤンマ・アオスジアゲハが飛び交う網地島で,子どもの頃の楽しい思い出をたくさん作ってほしい。
- 自然に生かされた網地島の生活を,自然体験を通じて学んで,島に対する理解を深めてほしい。
- 時間の決められた体験はしないで,網地島をふるさとだと思って,のんびり過ごしてほしい。
イラストいっぱいしおり とても楽しみに
東日本大震災を乗り越えた子ども達との絆
東日本大震災の際には,大津波による,処理し切れない膨大なガレキが網地島にうず高く流れ着き,島のお年寄りは気落ちしていました。震災後すぐに,島に来てくれた子ども達から,たくさんの励ましの手紙が届きました。手紙を見て,島のお年寄りは奮起し,わずか1年でガレキをすべて撤去し,裸足で入れる海を取り戻し,翌年の夏には,子ども達を迎え入れました。
東日本大震災の時に,子ども達が送ってくれた手紙は,これまで交流を続けて来た島のお年寄りから学んだ「こころ」の表れです。支援が必要で,弱い立場にあると思っていた子ども達からの手紙が,島のお年寄りを励まし,復興に立ち向かう勇気を与えてくれました。
迎え入れる準備
うにやあわびや海藻は,「口開け」といって,取ることのできる日が決まっているので,半年以上前から,島のお年寄りは,迎え入れる準備のため,食材を少しずつ集めていきます。
来てくれる子どもたちのことを思いながら集めます。
「マルコ」という貝は,東日本大震災の地盤沈下で,陸地が1.5mも水没したため,8年経った今でもなかなか取れなくなっています。島のお年寄りは,早くマルコが復活し,子どもたちにたくさん食べさせてあげたいなあといつも言っています。
成果
- 網地島に来たばかりのよそよそしかった子どもたちが,みんなで一緒に作る食の体験や網地島だけの魚釣りアナゴ抜きを通じ,次第に打ち解けて,島のお年寄りと仲良くなりました。
- 食事づくりは,島のおじいさんが海から取ってきたものをみんなで調理しました。うには,子どもたちも大好きですが,食べられるようになるまでは,中の肝を取らなければならず,たいへん手間がかかります。子ども達は,興味をもって,取り組んでくれました。
- 網地島の豊かな自然の中から登場する魚,うに,カニ,ヤドカリ,つぶ貝,ひらめ,大ムカデ,アオスジアゲハ,オニヤンマ,ショウリョウバッタ,コクワガタ,ウミネコ,カラスとの出会いが,子ども達に驚きと感動,そして,小さな生き物に対する優しい心を育んでくれました。人は,大きく温かな自然の中で生かされていることを実感することができたと思います。
- 3日間,おいしいご飯づくりの指導をしてくれた島のおばあさんに対しても,子ども達から自然と感謝の気持ちを述べることができるようになりました。
- 子ども達は,網地島の楽しい思い出を胸に,笑顔いっぱいになって,帰路につくことができました。また網地島に行きたいという子どもがたくさんいました。網地島の自然体験,温かな島のおじいさんやおばあさん,ボランティアとの関わりが,そして,愛情のこもった食事をおなかいっぱい食べることが,目には見えない子ども達の心の傷を少しだけ癒し,大切にされ,愛される記憶を持つことができたと感じています。
- 島のお年寄りにとっては,子ども達の笑顔から元気をもらうことができたと思います。
- 全国から集まってくれたボランティアは,子どもの貧困や虐待,東日本大震災の被災地支援に関心のある方々です。突然,「お母さんはいるの?」と子ども達から聞かれ(自分の境遇がどれほど辛いものかを確認する行為),ボランティアは,明るく振舞っている子ども達の内面の寂しさや悲しさに触れることができたと言っていました。多くのボランティアが,子ども達と接することによって,貴重な体験をすることができたと思います。
体験内容
8月2日(金) 1日目
7:30
仙台出発
10:00
かつての捕鯨基地「鮎川港」に到着
海をのぞき込み,魚を見つけて,大喜びでした。
エサ(せんべい)を付けて,針を垂らしましたが,何もかかってくれませんでした。
10:00
島のお年寄りが用意してくれた船に乗って,網地島に渡る。
船では,ウミネコにえびせんをあげる。
ウミネコのうまい空中キャッチに,みんな驚く。
ウミネコに食べさせずに,自分が食べる子どももいました。
10:30
網地島に到着。島のお年寄りが出迎え。島のネコも出迎え。
11:00
開校式
みんな緊張していました。
11:30
昼食・準備・片付け
島でとれた貝や島でとれた夏野菜をたっぷり入れたカレーライス。
子どもたちは,「おいしい,おいしい」と言って,何回もお替りします。
3:30
網地白浜でのシーカヤックやライフジャケットを着た海水浴
シーカヤックは,昔の子どもたちが使った小舟の代わりになる体験です。シーカヤックは,海を身近に感じることができる舟です。子どもたちは,初めは,漕ぎ方が分からず,思うように進むことができません。体重の軽い子は,潮に流されたり,風に流されたりして,港の東の方に流されてしまいます。穏やかに見える海には,いろいろな力が作用していることを子どもたちは理解します。それを勘定に入れて,シーカヤックを漕ぐ方向を決めていきます。子どもたちは,すぐにコツを覚えて,簡単に操作できるようになります。小学1年生でも,自分が船長であり,自分の判断で操作しなければならないことから,うまくできたときには自信になります。みんな頑張って,操縦し,一人で,岸に戻って来てくれます。子どもたちの諦めない心を鍛えます。
岩場に引っかかって,動けなくなった子どもがいると,みんながその場に行って,パドルでシーカヤックを押してあげたりして,助け出します。うまくできたときは,みんな自信を持つことができます。
シーカヤックが転覆し,慌ててしまい,海水を飲んでしまった子どももたくさんいました。海の怖さを感じる瞬間です。漁船で子どもたちを見守ってくれていた島のおじいさんが助けてくれました。なかなか船に引き上げるのが,難しく,落ちた子どもも,びっくりしていました。
初めて着たライフジャケットの浮力に,みんな驚きます。沖の方に泳いで行き,「もう足が届かないところまで来た。」と自慢します。透き通った海なので,海の中を見ると,3m以上の深さがあっても,海の底を見ることができます。
海の砂の中には,ひらめが隠れていて,子どもたちが踏むと,ムニュとした感覚があります。ひらめは大急ぎで,逃げていきます。
大きな荷物を背負って出発
お出迎え
島の夏野菜いっぱいのカレー
シーカヤックに乗るぞ
気持ちいい
透き通った網地白浜
ひらめがたくさんいる網地白浜
16:00
夕食準備
おばあちゃんたちが,あじ,鮭,いか,カツオ等の魚をさばいて行きます。ふだんは,切り身になっている魚しか見ていない子どもたちは,台所で,おばあちゃんたちに,「この大きな魚の名前は?」といろいろな質問をします。あじは,網地島の大謀網からもらいまいた。大謀網では,年に何回か,島の人たちに,魚を無料配布します。無料配布が島内放送されると,バケツや鍋を持って,たくさんの人が集まります。これを楽しみにしているお年寄りもたくさんいます。今回は,子どもたちのために,たくさんいただきました。子どもたちからは,「魚をたくさんもらえるなんて,羨ましい。」と声が上がりました。
海からとってきたばかりのうにの殻むきです。うにの口の部分を小刀で広げ,中の茶色の肝を取り除きます。これがなかなかたいへんです。うにの殻むきの作業中ですが,手伝ってくれた子には,島のおじいさんから,「食べてみろ」と言われ,早速,試食できる幸運もありました。一口食べると,今まで食べたことのない,うにのおいしさです。
うにの殻むき
うにがたくさんあるので,みんな手伝ってくれました
17:00 夕食・片付け
児童養護施設では,食中毒の危険があるため,お刺身は出ません。そのため,子どもたちは,ふだん食べられないお刺身をお腹いっぱい食べます。何年ぶりかに食べたお刺身はとてもおいしかったようです。うにを10個も食べる子どももいて,みんな大満足の夕食でした。
うにを10個以上食べる子どもも
身がぎっしり
うに山盛りの夕食
島のおばあちゃんがお刺身を作っています
うにが動いている
食べられた後も動くのでタワーに
18:30
Tシャツへのロゴ「網地島ふるさと楽好」の印刷
自分で印刷する場所を決めて印刷します。自分だけのTシャツを作ります。でき上ると,宝物を得たような表情になります。
どこにプリントしたい
アイロンをかけて出来上がりです
19:30
キャンプファイヤー・花火
島のおじいさんが,山から枯れた松の木や杉の葉っぱを持って来るように話して,子ども達に集めてもらいます。子ども達は,どんな物が燃えるんだろうと考えながら,木を集めて来ます。中には,火を付けたことのない子どもがいて,青々とした草を持って来たりします。何事も実際にしてみないと,分りません。着火剤は,島のおじいさんの自慢のオリジナルです。天ぷら油や松の実等をこの日のために,ずっと前から集めています。着火剤があるので,すぐに,炎は2m以上の高さになります。子どもたちは,みんな大喜びです。ふだんは,火を間近に見ることがないため,必要以上に近づいて,火が熱いという子がいます。写真や映像でしか見たことがない火を実感することができます。そして,火の怖さを覚えます。また,火は,一様に燃え続けるのではなく,わずかな風で,方向が変わり,生き物のようになります。煙も囲まれると,今度は,目にしみて,とても痛いです。そういったことも,子どもたちは,体験から学んでいきます。
花火は,ここでしか体験できないので,子どもたちは,大喜びです。
21:00
就寝
早起きすると,カブトムシやミヤマクワガタやノコギリクワガタがたくさん捕まえられると教えてあげると,みんな素直に寝てくれます。
島の夜は,海から涼しい風が吹いてくるので,寝苦しくなく,ぐっすりと眠ることができます。
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