NO | 団体名 | 主な企画内容
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特定非営利活動法人 地球野外塾(東京都) |
「熊野ロングキャンプ」 世界文化遺産の熊野古道の「大雲取・小雲取越」の全行程を8泊9日で歩き、定着キャンプと、移動キャンプを経験する活動。 |
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「熊野ロングキャンプ」 [8/8-16]
日 時:
場 所:
参加者:
協 力:
2008年8月8日(金)〜16日(土) 8泊9日・車中(バス)1泊
尊勝院、クアハウス熊野本宮
子ども10名、大人1名、主催者スタッフ2名
ボランティア5名(井手均様、東功様、東英子様、木内龍児様、佐古智行様)
<活動概要>
「手つかずの自然を体験したい」「野外で使える実力を養いたい」 そんな方を対象に、
南紀の清流「古座川」、豊かに生き物をはぐくむ「熊野灘」、そして、世界遺産・熊野古道を活動地として
野外で自分と仲間の安全を守りながら充実した活動をするために不可欠な知識や技術を
集中的にマスターするキャンプとして本活動は企画されました。
<活動の目的>
・合理的で実践的な野外技術と知識を習得する
・自分で考えて行動する方法と習慣を身につける
・南紀の豊かな自然を思う存分体感する
<8月8日・晴れ 出発>
21:25 JR池袋東口から夜行バスにて活動地へ向け出発
<8月9日・晴れ 「古座川」清流体験・1>
08:50 バス終点・勝浦温泉着
勝浦町在住のご協力者、井手さんが出迎えていただけた。JR紀伊勝浦駅からJR古座駅へ移動。
10:30 JR古座駅着
徒歩で古座川支流小川(こかわ)の幕営指定地である直見(ぬくみ)まで7kmの行程を歩く。
11:30 東さんと合流・昼食
1時間歩き、キャンプ初日フル装備の重い荷物に子どもたちが辟易していたところへ
古座でのご協力者、東さんが軽自動車で通りがかる。
迎えにきてくれたそうで、子どもたちの荷物を軽自動車の荷台に入れてくれる。
空身になった子どもたちは大喜び。
元気を取り戻して炎天下を再び歩き出し、幕営地への途中にある東さんのお宅で昼食。
昼食は、古座川で獲れた川ガニの炊き込みご飯だったが、
子どもたちはカニとご飯のコンビに違和感を感じていまいち食いが悪い。
昼食後は東さんの家のすぐ下を滔々と流れる古座川で遊び始め、
東さんの仕掛けた川エビ捕獲のための罠をのぞきこむ。
すでに数匹いた手長エビを見て喜んでいた。
13:00 東さん宅を出てキャンプ場に向かう
着後、広い河原にテント設営し、水着に着替えて淵でも底まで見える清流で水遊び。
焼けつくような太陽にあぶられながら歩いてしぼりとられた汗を流してようやく一息ついたようだ。
「川といえば釣り」と楽しみにしていた子は、釣り好きなスタッフの佐古君とともに
河原に生えるしの竹(節が長く細い竹)をとってきて
私たちが持参したごく単純な仕掛けをつけ、明日に備えていた。
16:30 夕食準備
夕食前に幕営地の至近にある東さんの家庭菜園で野菜を収穫させていただく。
農薬を使っていないからそのまま食べられるので、トマトはカゴに入るよりも先にまず口に入る。
東さんの手作り味噌のほか地産米、東さんが商っている地元の天然鮎などを使って夕食の準備をしつつ、
東さんが私たちにくださったたくさんの川エビを河原に作った石組みのカマドで炭焼きにする。
山に日が落ちて涼しくなるとともに蚊がやってきた。
ポリポリと手足をかきむしりながら初日は昔ながらの豊かな夕食となった。
19:30 シソジュースの作り方を習う
昼間に東さんのお宅でごちそうになったシソジュースの作り方を子どもたちが聞いたところ、
簡単にできるというので東さんに教わりに行く。
採ったばかりのシソの葉を茹でてクエン酸を入れると鮮やかなシソの色が出る。
そこに砂糖を入れて冷ませばできあがり。
奥様が空いたビンに入れてくれたので明日からおいしいシソジュースが飲める。
ジュース作りのあとは昔懐かしい「麦焦がし」とお茶をいただき、一服してお暇した。
21:00 川エビ・うなぎとりの仕掛けを川にセット
22:00 一日の振り返りと明日の行程を確認・就寝
<8月10日・晴れ 「古座川」清流体験・2>
06:30 罠を確認しに行く
東さんとともに、昨晩仕掛けた罠を確認。
たくさんの川エビと、天然うなぎ大小2匹が仕掛けにかかっていて子どもたち驚く。
小は逃がして大きい方をさっそく東さんが軽自動車のうえで見事にさばく。
肝をだれか食べないか、と東さんがいうので、ひとりの子が名乗りを上げてぺろりと生肝を飲み込んだ。
こういう好奇心が体験濃度を高くするのだ。
09:00 飛込岩に向かう
ライフジャケットを付けて今日の活動地である3km下流の飛込岩まで水に浮かびながら移動する。
流れが緩やかで意外に時間がかかり、体が冷えたので途中から道に上がる。
地元のカッパ(子ども)たちの集まる飛込岩は、最高部は優に7mある。
飛び込み地点からは岩の形状により下部が目視できないので、生理的に腰が引ける。
ここから飛び込めたのはひとりだけだったが、
最高部からやや低い地点から跳び込んで下調べをしてから意を決して飛び込んでいた。
地元の子どもたちはワイワイと5、6名で到着するや否やウォームアップのように最高部から飛び込み
余裕をみせる。
釣りを楽しみにしていた子は次々と昨日自作した釣り竿で次々とウグイを釣り上げていた。
ほかの子の釣り竿にはなかなか当たりさえない。これが釣りのふしぎなところ。
15:30 昼食
キャンプ場へ戻り、遅い昼食。昨日いただいた川エビをゆでてネギと煮つけてうどんにかけて食す。
16:30 テント設営方法の習得練習
一度設営したテントをたたみ、再度子どもたちだけでテント設営。
要点の飲み込みが早く、このあとのテント設営は子どもにすべて任せられるようになった。
18:00 夕食準備
夕食は地産の魚のアラを調達し、焼いた石を具材が入った鍋に投じる「猟師鍋」を試みるが
火力が充分でなく改善の余地あり。
<8月11日・晴れ 「熊野灘」海体験・1>
07:00 東さんとお別れ
今日はお世話になった東さんご夫妻とお別れの日。
東さんは参加者全員に手紙を書いて渡してくださった。私たちも後ろ髪を引かれながら撤収。
井手さんが早朝から車でお越しいただき、共同装備を運んでくれる。
井手さんはお父様の初盆の合間を縫ってご協力いただけた。
熊野の地で、東さんや井手さんのように
わずかなきっかけがご縁で親身になっていただける方々と知り合えるのはまさに僥倖だと感謝。
08:15 町営ふるさとバスでJR古座駅まで移動。
10:30 キャンプ場到着
JR紀伊田原駅から歩いて荒船のキャンプ場着。
個人装備は全部背負わせたので、わずか2kmばかりの距離だったが疲れた様子。テント設営して一息つく。
このキャンプ場は眼前が静かな磯になっていて伊勢エビやアワビなどの生息地となっている。
いっぽうキャンプ場には清潔なプールがあり、
暑い道を歩いてきた参加者とともにスタッフもからだを冷やすためにプール遊びに興じた。
が、その後 海に行こうと誘ってもなぜか数人の参加者はプールに入ったまま。
理由をきくと海はからだがべたべたするからという。複雑な気持ちになる。
17:00 夕食準備
今日のメニューはチキンカレーライス。
フライパンで作るのがミソで、肉と野菜からでる水分だけでじゅうぶんなので加水しない
、ルーを使わずにカレー粉を利用する。
子どもたちは「フライパンでカレーが作れるんだ!」と驚いていた。
簡単でだれでもできるこの方法は新鮮だったようだ。もちろん、味もおいしくできあがり、即完食となった。
21:00 早めに就寝。
連日の厳しい暑さが疲れをいや増す。
<8月12日・晴れ 「熊野灘」海体験・2>
08:00 出発
読図とプレート型コンパスの使い方を修得する日。
私たちがいるキャンプ場から尾根を越えて下りきった入り江沿いにある浦神東集落を目指し、
荒船半島のオリエンテーリングに出発。
11:30 浦神東集落到着・昼食
はじめは歩きやすかった道は数軒の農家がある場所から廃道となり、
雑草が生い茂ってクモの巣だらけの細い踏みあととなる。
つねにこの地の1/25000地図を手に持たせて、
細い沢沿いに棄てられた田のあぜや林業用の作業道に誘い込まれそうになるキーポイントでは
子どもたちにコンパスで現在地と進路を確認させながら行動。
一時は地図上でどの地点にいるか特定できなくなったが尾根へでるとはっきりした踏みあとを発見、
それを下ると集落へ続く舗装道路へ予定通り出ることができ、集落のよろず屋の前で昼食。
13:30 浦神東集落出発
復路には往路に比べると踏みあとが明らかな小径を選ぶ。
このルートは尾根を越えて海岸線に出る直前で道が消えるため、
よく見極めないと海岸線の崖を避けてうまく浜にでられない。
参加者は踏み跡をよく観察しながらルートを見定めて無事に浜へ出た。
14:20 海遊び
足場が悪い山道から広々とした磯に出てきたのでさっそく海遊び。
伊勢エビの触角が動いているのを発見したり、トコブシが生息しているのも観察。
16:30 荒船キャンプランドに戻る
この日は米の炊き方を特訓。子どもたちだけで米と水の分量を量って炊飯。
芯がなくふっくらと炊きあがってスタッフもほっとする。
<8月13日・晴れ 「熊野古道」山歩き・1>
08:30 テント撤収・出発
テントを撤収してJR紀伊田原駅へ徒歩で向かう。
今日はJR那智駅から那智山までの約8kmを熊野古道沿いに歩く。
参加者は共同装備以外の私物はすべて背負って歩いた。
10:30 JR那智駅に隣接する海で遊び、昼食をすませる。
13:00 東京と佐世保からくる2名の新しい参加者を待ち、JR那智駅を出発。
16:30 熊野那智大社・那智山青岸渡寺到着
補陀洛山寺、市野々王子、大門坂を経て、熊野那智大社・那智山青岸渡寺到着。
参拝の後、今日の宿泊地、宿坊「尊勝院」に到着。
今日の行程中の白眉である大門坂は、那智大社まで石の階段が800余段続くため
子どもたちは重い荷物で苦しんでいた。
大門坂に至る途中、地元のおばさんが重い荷物に汗する子どもたちをみて
ご自分の自転車の荷台に子どもの荷物をくくりつけて1kmほど運んでくれた。
こうした出会いがあるのもまた忘れがたい経験になろう。
17:00 夕食
ひとに食事を作っていただくありがたさを一同あらためて実感。
夕食後に扇風機の風に吹かれて熊野古道のVTRで見ながらうたた寝をする子も。
今晩は布団の上で寝ることができる。もうひとがんばり。
19:00 ミーティング
ミーティング時に参加者に献立を決めてもらう。
最後の夕食(8/15夕食)は、参加者自身が決めた献立を参加者だけで作ってもらうため
この日に材料の発注をする。
チャーハン、サラダ、スープに決定。
<8月14日・晴れ 「熊野古道」山歩き・2>
05:00 那智山青岸渡寺で朝の勤行体験
東の空が明るみ周囲はまだ薄暗い頃、ご本尊の観音様を礼賛するお経のあと、お坊さんから寺の縁起を聞く。
和尚さんが子どもたちの勤行参加に眼を細めてお下がりをくださった。
06:00 那智の滝を見に行く
だれもいないと思ったら売店は開いているし、ひともけっこういたので驚いた。
08:00 山歩き出発
熊野古道・大雲取越を経て小口まで16kmの行程に出発。
この日からは井出さんが車でサポートしていただけたので、
参加者は雨具や水、行動食などの最低限のものだけ持って歩くことができた。
16:40 小口自然の家到着・休憩
行程中の最高標高点である越前峠、神々の憩いの場といわれる円座石を経て小口自然の家着。
この日も日陰以外はものすごい日射。
小口に一軒だけある小売店にてみんなでアイスを食べ、やっとひとごこちつく。
17:00 テント設営・夕食準備
テント設営、夕食準備をすばやく進める。
キャンプ後半になるとこれらの作業がはかどるので、参加者がちからをつけてきたのがよくわかる。
<8月15日・晴れ 「熊野古道」山歩き・3>
05:00 起床
前日同様早く起床、今回のキャンプで最も長い17kmの行程に備える。
07:40 出発
今日も暑い。日陰を歩きながらやっぱり山では早く出発する必要があると痛感。
南斜面を一気に登る桜茶屋跡への道で、
これがあと1時間あとだったら容赦なく太陽にあぶられただろうと考えてぞっとする。
11:40 休憩
間を縫うように進む古道のなかで、視界が一気に開ける百間ぐら着。
山並みがどこまでも続く開放的な場所でしばし休憩。
13:40 請川着
昼食は地元名産のめはり寿司。
ここからは国道に沿ってアスファルトの道をキャンプ場に向かって歩く。
午後の強烈な日射にあぶられ参加者の熱中症を懸念した。
14:50 クアハウス熊野本宮到着
本日のキャンプ地、クアハウス熊野本宮(キャンプ場)着。
日帰りでキャンプ場を利用している人が多いのですこし空くまでテントを張らずに待つ。その間に入浴。
充実した入浴施設ですっきりとした。
17:00 夕食準備
参加者が2日前に考えた献立で夕食準備。
これまで伝えた炊事技術を活かして調理がむずかしいチャーハンもべたつくことなく仕上がった。
サラダと卵スープもタイミングよく、味もよく仕上がり、非のつけどころがなかった。
20:00 キャンプ場のそばで夜の散歩
そぞろ歩きながらキャンプ最後の夜を楽しむ。
<8月16日・晴れ 「熊野古道」山歩き・4>
07:00 出発
熊野古道最後の日。大日越5kmの行程に出発。
参加者のうち1名が2日前から自分の全装備を背負って歩いたことに触発されて、
この日はさらに2名が自分の全装備を背負って歩きだした。
09:10 熊野本宮到着
湯峰王子、鼻欠け地蔵、大斎原を経て熊野本宮着、正式参拝。
10:30 路線バスにて新宮へ
速玉大社を参拝して、本キャンプで熊野三山(那智大社、本宮大社、速玉大社)を巡り終える。
12:30 徒歩でJR熊野新宮駅へ。
14:00 井出さんとお別れ・帰路
多忙な中を終始裏方に徹してご協力いただいた井手さんと別れ、JR新宮駅を出発し帰路に就く。
19:13 JR東京駅着・解散
■別年度のレポート
2009年度 多摩川環境調査隊 実施レポート
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