NO団体名主な企画内容
21 静岡市立清水浜田小学校(静岡県) 「DREAM SPC2 WORLD We love Shimizu Port City 2nd Season 「海洋文化を生かした防災に強い町づくり」」
6年生が昨年度学習した地域の良さをさらに広げる自然体験活動と、小学校の校舎や体育館を使った避難生活、炊き出し体験をする。海洋文化と防災を二本柱とした活動を通して、生きた学習につなげる。

速報レポート1 Summer Challenge School 2023 <サマチャレ3泊4日>

活動日: 2023年7月23日(日)~7月26日(水)3泊4日
活動場所:7/23 水上バス 清水海洋科学博物館 みほしるべ Beach hotel gosea’s宿泊
7/24 三保海岸 富久屋 久能山東照宮 久能山東照宮博物館 
日本平ロープウェイ 日本平夢テラス 清水浜田小教室宿泊
7/25 清水浜田小教室、家庭科室 浜田小学区 清水浜田小教室宿泊
     7/26 清水浜田小教室
参加人数: 小中学生25人 / 大人5人 / 指導者10人 / 合計40人
活動内容

(1) 昨年度(5年生)から今年度(6年生)につなげた総合的な学習
日本三大美港である清水港を学区にもつ清水浜田小では、昨年度(5年生)4月から『We love Shimizu Port City』(SPC)に取り組んできました。浜田学区をもっと好きなり、自分たちのふるさと清水を大切にしたいという気持ちが大きくなるような学習を目指してスタートしました。海洋文化と防災を二本柱として清水のサブカルチャー的な要素は積極的に取り入れ、総合的な学習だけでなく他教科(社会で清水港の冷凍マグロ、国語でちびまるこちゃんの作者であるさくらももこさん、図工で清水港をテーマに創作活動を行っている清水区出身の松瀬千秋さんの「海の絵」指導、体育で静岡市出身の水鳥寿思さんのスポテクアプリを使ったマット運動など)とも関連させて、大きく清水の町を捉えていけるようにしました。そこから未来に向けて、魅力的なまちづくり、防災に強いまちづくりを考えていけるように、物、人、文化、歴史、自然、施設と積極的に関わり、常に自分の足で歩き、自分の目で見て、自分の耳で聞くことを大切に、自分の頭の中で清水の町づくりに参加している気持ちになれるように学習に取り組んできました。浜田地区連合自治会長さんにお話を伺う授業の中で、海洋文化と防災にはつながりがある事を学び「海洋文化を生かした防災に強いまちづくり」とテーマを一本化しました。
2回の防災散歩と子どもたちの自主防災散歩の継続で、浜田学区の土地の高さ(海抜)、防災倉庫、津波避難ビルの様子を自分の目で確かめ、学区地図にまとめることもできました。
子どもたちにとって大きな転機になったのが、昨年9月の台風15号による浸水や断水などの大きな被害を受けたことでした。自然災害の恐ろしさ、被災後の不便さを身をもって体験し、改めて生きた防災学習が大切であることを実感しました。この経験によって、自然災害に対して真剣に向き合っていくという姿勢が見られるようになり、地震による津波災害を想定したDIG学習にも生かすことができました。さらに震度7の巨大地震に「いつ」「どこで」「誰といる時」に遭遇するのか、その条件に合わせて、どんな判断をして、行動するのか考えたスーパーDIG学習を積み上げてきました。海洋プラスチックゴミ問題が、世界遺産の三保の海でも起こっていることを知り、クリーン散歩を子どもたち自ら計画し、2回実行することもできました。学習のまとめとして、1年間学んだ防災とまちづくりを地図に表したスペシャルマップ作りまで行いました。町の発展と共に、防災は欠かせないという意識をもてました。「SPC」は子どもたちにとって、浜田学区をもっと好きになり、自分たちのふるさと清水を大切にしたいという気持ちが大きくなるような楽しい学習になりました。

 今年度6年生の総合は「DREAM SPC2 WORLD(DSW)」と題して「MY DREAM PLAN(MDP…キャリア教育)」「We love Shimizu Port City 2nd Season(SPC2…防災+まちづくり+楽しい学校づくり+地元歴史の実践編)」「World UKIUKI Restaurant(WUR…国際理解)」の3つの柱をつなげていこうと思っています。SPC2の取組の1つとして、3泊4日のサマーチャレンジ教室を組み、さらに清水の良さを知る活動、体験、それに加えて、学校を使った避難生活を体験できるよう考えました。1年かけたDSWの最後は子どもたち自分自身の将来、つまり「MY DREAM PLAN(キャリア教育)」に集約されていくはずです。
3つの柱の流れ(計画)を説明します。
① 「MY DREAM PLAN(MDP…キャリア教育)」では、いろいろな職業の方とふれあったり、お話を聞いたりしていく中で、自分の将来を考えていく時間にします。静岡市出身の人間国宝芹沢銈介さんをスタートに様々な職業の方と出会えるようにしていきます。夏休みに将来なりたい職業の調べ学習を組みます。主な活動は下の通りです。予定も含みます。
 ・ 静岡市出身の人間国宝芹沢銈介さん…4月28日(図工:芹沢銈介風春夏秋冬)
 ・ 大学3年生の3週間の教育実習…5月8日~26日(先生になるための実習にふれる)
 ・ ネット被害防止教室…5月18日(清水警察署の方)
 ・ 劇団四季の俳優さん(心の劇場でミュージカルを見る)…6月8日
 ・ 租税教室…6月22日(固定資産税課の方)
 ・ 産業用ロボットを作っているIAIの方…6月29日
 ・ ディズニーキャストミュージシャンの望月秀剛さん…7月4日
 ・ 薬学講座…7月6日(学校薬剤師の方)
 ・ サマチャレ3泊4日の中で出会うたくさんの方…7月23日~26日
 ・ 大鉄観光(サマチャレ、修学旅行でお世話になる)の奈良将吾さん…8月30日
 ・ まあるの職業体験…9月7日(看護師さんのお話、お店体験)
 ・ 喫煙防止教室…9月12日(学校薬剤師の方)
 ・ キャリア体験学習…9月21日(6種の職業体験)
 ・ 12年後の私…9月(図工:自分の12年後の姿)
 ・ 修学旅行1泊2日の中で出会うたくさんの方…10月11日~12日
 ・ ものづくりキャリア体験学習…10月31日(タミヤミニ四駆制作体験)
 ・ 卒業制作…11月(図工:小学校時代の宝物)
 ・ 卒アル(クラスページ、個人文集)…11月(いい仲間と共に、自分を見つめる)
 ・ 夢の缶詰(マイタイムカプセル)…2月(小学校時代の思い出をつめこむ)
 ・ 卒業コンサート…3月8日(望月秀剛さんのバンドによる)
 ・ 卒業宣言(こんな人になりたい宣言)…3月18日(卒業式)
② 「We love Shimizu Port City 2nd Season(SPC2…防災+まちづくり+楽しい学校作り+地元歴史の実践編)」では、昨年度の経験を生かしながら、更に広く深く浜田学区や清水のことを知り、生きた防災の体験ができるような活動を組んでいきたいと思っています。社会の歴史の学習でできるだけ地元のものを題材にしたり、サマーチャレンジ教室で清水の良さや避難生活を体験したりできる活動を組んでいきたいと思っています。また、6年生として、楽しい学校づくりにも積極的に関わっていきたいと思っています。主な活動は下の通りです。予定も含みます。
 ・ 新任式での歓迎の言葉…4月7日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場①)
 ・ ペアよろしくの会…4月16日(ペアとの顔合わせ、自己紹介カード渡し)
 ・ 避難訓練…4月17日(地震・津波、避難経路確認)
 ・ 1年生を迎える会…4月20日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場②)
 ・ 石器使用、土器分類、火起こし体験…4月27日(静岡県埋蔵文化財センター出前授業①)
 ・ 登呂遺跡見学…4月28日(スプリングチャレンジ教室①)
 ・ 児童集会あいさつ大作戦…5月9日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場③児童会とコラボ)
 ・ 避難訓練…5月16日(火災、避難経路確認)
 ・ 児童集会あいさつ大作戦報告…6月6日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場④児童会とコラボ)
 ・ 賤機山古墳見学…6月8日(スプリングチャレンジ教室②)
 ・ 学年団集会…6月14日(56年生赤白対抗風船運びレース)
 ・ 社会「大和朝廷と廬原国」公開授業…6月14日(地元古墳出土の三角縁神獣鏡教材開発)
 ・ 交通安全リーダーと語る会…6月15日(学区の登下校中の危険箇所を調査、発表、提案)
 ・ 小さくても本格的な銅鏡作り…6月16日~7月6日(サマーチャレンジ教室①)
 ・ 避難訓練…6月27日(不審者対応、行動確認)
 ・ あぶトレ…6月29日(不審者対応、行動訓練)
 ・ 児童集会給食完食大作戦…7月4日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場⑤給食委員会とコラボ)
 ・ サマチャレ3泊4日…7月23日~26日(サマーチャレンジ教室② 清水の良さや避難生活を体験)
 ・ 児童集会○○大作戦…9月5日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場⑥○○委員会とコラボ)
 ・ 勾玉作り体験…9月12日(静岡県埋蔵文化財センター出前授業②)
 ・ 児童集会○○大作戦…10月10日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場⑦○○委員会とコラボ)
 ・ 修学旅行Challenge the TOKYO…10月11日~12日(オータムチャレンジ教室① 首都東京を学ぶ)
 ・ 駿府歴史旅…10月19日(オータムチャレンジ教室② 静岡歴史博物館、駿府城公園見学 徳川家康を学ぶ)
 ・ 運動会…11月18日(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場⑧)
 ・ 浜田地区防災訓練…12月3日(ウィンターチャレンジ教室① 中心となって働く)
 ・ 児童集会○○大作戦…1月(HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団登場⑨○○委員会とコラボ 最終回)
 ・ 初代HAMADA KIRARINS、浜田ブラック団から2代目へ引き継ぎ式…2月
 ・ 6年生ありがとうの会…2月21日(全校へお礼の言葉と歌)
 ・ ペアありがとうの会…2月23日(ペアへお礼の言葉とプレゼント)
 ・ お世話になった浜田地区、浜田小のために奉仕活動…2月(ウィンターチャレンジ教室②)
 ・ お世話になった先生方へ…3月5日(卒業式の総練習後、感謝のポップアップカードのプレゼント)
③ 「World UKIUKI Restaurant(WUR…国際理解)」では、日本の文化とちがう世界の国々のことを調べ、発信していけるようにしたいと思っています。主な活動は下の通りです。予定も含みます。
 ・ トルコ、シリアの大地震について調べる…4月
→ どんな国だろう、なぜ5万人以上も犠牲になったのだろう
 ・ 外国語で出てきた国を調べて、日本と比べてみる。…5月
→ その国の特色を調べる。名所、文化、食、有名人等
 ・ 歴史を学ぶことで、日本文化の良さにも触れる…6月
→ 短歌、俳句(国語)、水墨画(図工)、生け花(フラワーアレンジメント講座)
 ・ 世界遺産三保の松原、国宝久能山東照宮を知る…7月サマチャレで見学、活動
→ 日本に、世界にどんな世界遺産があるのだろう…9月
 ・ 自分の興味のある国を調べて、日本と比べてみる。…10月~12月
→ その国の特色を調べる。名所、文化、食、有名人等

(2) Summer Challenge School 2023 <サマチャレ3泊4日>の活動について
 昨年度の総合での取組が評価され、今年度7月23日(日)~26日(水)に、今までどこの学校でもやったことのないサマチャレ3泊4日の活動を組むことができました。子どもたちにとって、さらに浜田学区や清水が好きになる活動や小学校の校舎を使って避難生活を体験できる内容を組み込んで計画を立てました。
① 日程について 4日間の日程は次の通りです。
第1日目 7月23日(日)
9:10マリンパーク集合…9:20出発式…9:40水上バス日の出乗り場へ移動…9:55日の出乗り場出発…水上バス…10:20三保着…10:30ホテルgosea'sに大きな荷物を置く…10:45三保海洋科学博物館…12:00昼食…12:30みほしるべまでのハイキング(凍ったペットボトル)…13:30みほしるべ(みほしるべ施設見学→山田樹木医さんからのお話…三保の松原を守るための松葉の清掃活動)…16:30ホテルgosea'sまでのハイキング(凍ったペットボトル)…17:30ホテルgosea's到着…18:30夕食(ミックス定食)…19:30星空観察…20:30入浴…1日のふり返り…21:30班長・室長会…22:00就寝(男子424・426号室、女子423・425号室)
第2日目 7月24日(月)
6:30起床…7:00朝の健康観察、三保海岸散歩…7:30朝食(鮭定食)…8:15清掃活動(生活係の提案で)…8:35着替え、荷物の移動…9:00カヌー体験…11:30体験終了…荷物の整頓…12:30バス乗車…12:50久能山下「富久屋」昼食(特製エビフライ定食、イチゴジュース)…13:30移動…14:00久能山東照宮参拝→久能山東照宮博物館見学…15:30日本平ロープーウェイ…16:00日本平夢テラス見学…17:00バス乗車…17:30学校着…18:00シャワー…19:00夕食(チキンステーキ弁当、コーンサラダ)…19:30防災ゲーム「いえまですごろく」…洗濯実習(ゲームと並行して行う 男子理科室、女子児童会室に干す)…1日のふり返り…21:00班長・室長会…21:30就寝(男子6年1組教室、女子5年1組教室)
第3日目 7月25日(火)
6:30起床…7:00朝の健康観察、校庭散歩…7:30朝食(イカフライのり弁当、コーンサラダ)…8:00夏休みの宿題…9:00炊き出し体験(ごはん、ツナカレー、だしたまご、グラノーラクランチ作り)…10:30減災セミナー…12:30昼食(炊き出し体験で作ったもの)…13:45浜田フォトロゲイニング(凍ったペットボトル、配水車)…16:00終了…16:30プール、シャワー…18:00夕食(メンチカツ定食弁当、コーンサラダ)…19:00校内ミステリーナイトツアー…1日のふり返り…21:00班長・室長会…21:30就寝(男子6年1組教室、女子5年1組教室)
第4日目 7月26日(水)
6:30起床…7:00朝の健康観察、校庭散歩…7:30朝食(豆腐ハンバーグ弁当、コーンサラダ)…8:00夏休みの宿題…9:00清掃活動(生活係の提案で)…10:00サマチャレを通して学んだこと(ふり返り)+100文字作文…11:00終了式…11:30解散

② サマチャレ3泊4日「宝物の活動メニュー」について 活動は下の全19活動でした。
第1日目 7月23日(日)
 ○ 活動1  水上バスで三保に渡る                責任者:班長
 ○ 活動2  三保海洋科学博物館見学               責任者:活動A係
 ○ 活動3  みほしるべまでのハイキング             責任者:班長
 ○ 活動4  みほしるべの活動(施設見学、松を知る、松葉清掃)  責任者:活動B係
 ○ 活動5  ホテルgosea'sまでのハイキング           責任者:班長
 ○ 活動6  星空観察                      責任者:活動A係
第2日目 7月24日(月)
 ○ 活動7  カヌー体験                     責任者:活動A係
 ○ 活動8  国宝 久能山東照宮参拝、久能山東照宮博物館見学    責任者:活動B係
 ○ 活動9  日本平ロープウェイ乗車               責任者:活動B係
 ○ 活動10 日本平夢テラス見学                 責任者:班長
 ○ 活動11 防災ゲーム「家まですごろく」            責任者:班長
 ○ 活動12 洗濯実習                      責任者:生活係
第3日目 7月25日(火)
○ 活動13 夏休みの宿題                    責任者:各自
○ 活動14 炊き出し体験(日本赤十字清水奉仕団の方)      責任者:活動A係
 ○ 活動15 減災セミナー(日本赤十字社静岡県支部の方)     責任者:活動B係
 ○ 活動16 浜田フォトロゲイニング               責任者:班長
 ○ 活動17 自由プール                     責任者:班長
 ○ 活動18 校内ミステリーナイトツアー             責任者:班長
第4日目 7月26日(水)
○ 活動19 夏休みの宿題、ふり返り、100文字作文  責任者:各自

③ サマチャレ3泊4日の活動レポート
7月23日(日)~26日(水)の3泊4日、ずっと天候に恵まれ、全て計画通りに活動を行うことができました。暑さ対策、熱中症防止対策として、サマチャレの前の週に浜田小で備蓄している水のペットボトル(5年間の保存水のうち今年度のうちに使い切りたいもの)を6年生の子どもたちが職員室と家庭科室、理科室に運び、そこにある冷凍庫、冷蔵庫で冷凍、冷蔵しておきました。冷凍のペットボトル200本と冷やしたペットボトル200本を準備して当日を迎えました。ペットボトルを使用して冷凍庫、冷蔵庫に空きができれば、どんどん補充していきました。
冷凍のペットボトルと冷やしたペットボトルは、クーラーボックスにつめて、学校外での活動の時には、荷物車両のトランクに積んで、子どもたちが自分で持参した飲み物がなくなったときには、すぐに渡せるようにしてありました。猛暑日の中で、子どもたちが長い距離を歩く活動の際には、凍らせたペットボトルを1本ずつ手に持ち、首や頬、おでこなどを冷やしながら歩きました。その結果、全ての活動中に具合の悪くなる子は1人も出なかったので、とても効果を感じました。

第1日目 7月23日(日)
サマチャレのスタートは清水港のマリンパークの水上バス乗り場付近でした。6年生25名全員、時間に間に合うように元気に集合できました。班長の企画で出発式を行い、みんなで気持ちをそろえてから、水上バスに乗り込みました。多くの保護者の方や浜田小の先生方も駆けつけてくれて、サマチャレをスタートする6年生を見送ってくれました。三保に渡り、この日宿泊する「Beach hotel gosea’s」に大きな荷物を置き、三保海洋科学博物館に入りました。大型水槽には体長2mを超えるシロワニ<画像1>を始め、約50種1000個体以上の魚たちが泳いでいてとても迫力がありました。駿河湾の豊かな海の深海生物の展示もかわいらしいクマノミの水槽も子どもたちに大人気でした。さらに津波実験水槽では、津波の仕組みや波の動きを見ることができました。海底が急激に隆起した場合と、陥没した場合の津波の寄せ方の違いや、地形による違い、また防波堤のある港とない港での違いなどを自分たちの目で確かめることができました。
自分たちで持参したお弁当を日陰で食べ、三保海洋科学博物館からみほしるべまでのハイキングです。手には凍ったペットボトルを持ち、身体を冷やしながら、水分補給をしながら、車に気をつけて歩きました。浜田学区よりも多い、津波避難タワーや避難ビルの様子や電柱に掲示してある「海抜○m」の表示を見つけながら歩きました。
「三保を知る」と「道しるべ」という意味が込められている「みほしるべ」(静岡市三保松原文化創造センター)に到着すると、施設内を見学し、世界遺産富士山の構成資産「三保の松原」の歴史・文化について学びました。子どもたちはクイズラリーの用紙を手に展示を見て回ったので、意欲的に楽しく見学できました。クイズラリーの答え合わせを兼ねて樹木医の山田さんから松の生態についてとても興味深いお話を聞くことができました。松葉の清掃活動の必要性も教えてもらい、子どもたちは張り切って三保の松原へ向かいました。松原の中央付近には、天女と地元の漁師の出会いを描いた「羽衣伝説」の舞台として特に有名な「羽衣の松」があります。その「羽衣の松」のすぐ横の松林で1人1本ずつ熊手を持ち、松葉を集めました。<画像2>熊手でかき集めると松葉が山のように集まり、どんどんビニール袋へ入れていきました。1時間の清掃活動で大きなビニール袋60袋分の松葉をとることができました。<画像3>子どもたちもこの清掃活動が「とても楽しかった」と言い、三保の松原のためになる活動ができとてもうれしそうでした。
松葉の清掃活動が終わり、今度は帰り道、みほしるべからホテルgosea’sまでのハイキングです。再び手には凍ったペットボトルを持ち、身体を冷やしながら、水分補給をしながら、車に気をつけて歩きました。行きと別ルートの帰り道も通り沿いにある避難ビルや、電柱の海抜の表示を見ながら進みました。
ホテルgosea’sに到着後、豪華な夕ご飯をいただき、星空観察をしながら三保の海岸を歩いていると、対岸からきれいな花火が上がり、子どもたちは歓声を上げていました。就寝前の班長室長会議では、子どもたちの健康状態を聞き全員が元気であることを確認し、この日の活動の様子をふり返り「みんなしっかり活動できていた」「後ろ向きな言葉はだれも口にしなかった」「最高だった」「めちゃくちゃ楽しかった」ととても満足に1日目を送れた様子でした。最後に5年生から毎日続けている5題の漢字テスト「漢字コンクール」をやって就寝しました。


「大型水槽のシロワニと一緒に」

「松葉の清掃活動」

「松葉清掃60袋の成果を上げました」

第2日目 7月24日(月)
サマチャレの2日目、起床は6時30分でした。朝の健康観察時に男子1名に頭痛の症状がありました。朝の散歩では、まだ誰もいない三保の海水浴場を歩いてきました。朝食を食べ、生活係の指示で清掃活動を行い、子どもたちが楽しみにしていた、カヌー体験です。朝、体調の悪かった男子1名は朝食は食べられたものの、ホテルの部屋からの見学となりました。
カヌー体験では、インストラクターの方から、ライフジャケットの正しい身につけ方や「ダブルブレード」のパドルの使い方を教えてもらい、いよいよ2人乗りカヌーに挑戦です。2人乗りカヌーは安定性にすぐれたカヌーで、海面近くに目線があるので、より海を身近に体感することができます。2人の息を合わせて、スムーズに進むカヌーもあれば、思った方向に進まず苦戦しているカヌーもありましたが、子どもたちはみんな笑顔でした。ペアでカヌーの前後を交代しながら、パドルの操作の仕方も3つほど教えていただき、どんどん上達していきました。インストラクターの方からも「みんなとても話をよく聞くので驚くほど上手になりました。普段は2つぐらいの操作の話しかしないのですが、この子たちは3つも操作できるようになってすごかったです」とお褒めの言葉をいただきました。最後にみんなで記念写真を撮りました。<画像4>
着替えをして、荷物を整え、バスに乗り込み、久能山へ向かいました。久能山下の「富久屋」さんで特製エビフライ定食を食べました。メニューにはない定食を子どもたちのために作っていただきました。お店のご厚意で久能の特産の石垣イチゴを使ったイチゴジュースもいただくことができました。ありがとうございました。朝から体調の悪かった男子1名は回復せず、残念ながらここで保護者に連絡して迎えに来てもらうこととなりました。
エビフライとイチゴジュースのパワーで、国宝久能山東照宮へ向かう1159段の石段もみんなで登り切りました。久能山東照宮参拝<画像5>と久能山東照宮博物館見学は班ごと回りました。久能山東照宮は、徳川家康公をご祭神としておまつりする全国東照宮の創祀です。10月の社会の歴史で地元の教材として「徳川家康」を扱おうと思っているので、徳川家康に触れるいい機会でした。東照宮では子どもたちが「逆さ葵」を探しました。「逆さ葵」とは、社殿の屋根に付いている葵の御紋がわざと逆さまになっているところのことです。これは「世の中には完全なものはない。全ての物事は完成したその瞬間から衰退が始まる」という考え方からであり、さらなる発展を願い、わざと逆さまにして造り、この建物がまだ未完成であるということを表しています。事前にこの「逆さ葵」の話をして、少なくても2つはあると話していたので、子どもたちはしおりに載っていた2つを見つけ、さらにもう1つ3つ目の「逆さ葵」を見つけ、大興奮していました。久能山からは日本平ロープウェイで日本平へ渡りました。ロープウェイからは屏風谷の壮大な景色やきれいな駿河湾を眺めることができました。
日本平夢テラスの1階の展示は、日本平の歴史や成り立ち、文化価値をプロジェクションマッピングで表していて、子どもたちにとってもとてもわかりやすいものでした。
バスに乗り込み、清水浜田小学校へ向かいます。いよいよここからが避難生活の体験となります。プールのシャワーをお風呂代わりとして入りました。この2日間に着たTシャツや短パン、水着などを洗濯できるように各自で洗濯ネットに入れ、洗濯機も回しました。洗濯物は男子と女子に別れて、理科室と児童会室に干しました。弁当とサラダを教室で食べ、気持ちを防災にもっていくために組んだ防災ゲーム「家まですごろく」をやりました。基本的のルールは、すごろくと同じくサイコロを振ってコマを進めていきますが、途中に子どもたちが協力し、救助を行わないと先に進めないマスがいくつか存在します。実際に災害現場では人々の協力がないと出来ないことが数多く発生するように災害時のシチュエーションを疑似体験し、防災の知識を学びながら、遊ぶことができました。<画像6>


「カヌー体験記念写真」

「久能山東照宮楼門の前で」

「防災ゲーム家まですごろく」

就寝前の班長室長会議では、子どもたちの健康状態を聞き全員が元気であることを確認し、この日の活動の様子をふり返りました。「カヌーがとても楽しかった」「もっと長い時間やりたかった」「逆さ葵を3つ見つけられてよかった」と2日目も満足に過ごせたことを感じることができました。この日も「漢字コンクール」をやって就寝しました。男子は6年生の教室を女子は5年生の教室を使って宿泊しました。自分たちで寝るスペースを作り、寝袋を使って、堅い床の上で寝ました。熱中症対策で、エアコンだけは使用しました。夜中に見回ると男子も女子もよく寝ていました。

第3日目 7月25日(火)
サマチャレの3日目、起床は6時30分でした。堅い床の上で寝た子どもたちの感想は「体が痛い」「すごく堅かった」というものでした。これを感じて欲しかったのでしめしめという感じでした。朝の健康観察時に体調の悪い子がいなくて本当によかったです。みんなで朝の校庭を1周散歩して、弁当とサラダを食べました。いつも元気な子どもたちですが、さすがに疲れを感じているようでした。それでも、朝食後はみんなで夏休みの宿題を1時間みっちりやりました。
炊き出し体験では日本赤十字社清水奉仕団のみなさんが講師を務めてくださり、各班に1人ずつ付いて子どもたちにていねいに教えてくださいました。今回の炊き出し体験は家庭科室で包装食袋を使って非常食を作ってみました。包装食袋とは、高密度ポリエチレンを使用した調理用袋で、耐熱温度が110℃以上なので、沸騰したお湯に入れても安全に調理できるという利点があります。加えて、袋のまま一人一人に渡すことができるので衛生的であること、災害時は貴重である水を少ない量で調理でき、味付けも可能であること、袋の中に入れる水がきれいであれば、加熱用の水は生活用水や少々汚れている水でも調理できること、一つの鍋の中で、違うメニューを同時に作ることができること等、災害時にはとても役に立つものでした。子どもたちが作ったものはご飯、ツナカレー、だしたまご、グラノーラクランチ(デザート)の4つでした。用意していただいた材料を切り<画像7>、袋に入れ、よくもんで混ぜて、空気の入らないようにしばり、鍋の中へ入れます。その後5分から30分で完成です。待っている間に、教室に戻り、減災セミナーを受けました。減災セミナーは日本赤十字社静岡県支部の櫻井さんと松居さんが講師を務めてくださいました。地震や豪雨で災害が発生した時に予想される被害、避難生活などの課題を具体的にイメージしながら、いのちを守るさまざまな方法を学ぶことができました。避難所の生活はとても過酷になることが予想されますが、そこで使えるスリッパやペーパーバックを新聞紙で作ってみました。
昼食は炊き出し体験で作った、ツナカレーライス、だしたまご、グラノーラクランチを食べました。災害時に役に立つラップをかけた皿の上に盛り付けました。温かく、味もよく、びっくりでした。子どもたちからもとても好評でした。<画像8・9>


「炊き出し体験材料を切る」

「炊き出し体験料理完成①」

「炊き出し体験料理完成②」

午後の活動は、浜田フォトロゲイニングでした。浜田学区をよりくわしく知るための活動です。
班と先生のチームを作り、浜田地区のチェックポイントを回り、ちょうど2時間で帰って来るというゲームです。どの先生になるのか、スタートは何番目かはスタート前のくじ引きで決まります。「チェックポイントの得点は子どもたちが持っている地図上の赤丸の横に書いてある数字です。その得点の数字は地図の裏に載っているチェックポイントリストの写真の数字とも対応しています。ペアになった先生のスマホを使って、チェックポイントで班の全員の写真を撮ります。2時間に足りない時間とオーバーした時間は、1分につき5点の減点となります。得点の多い班の勝ちとなります。ただし、全員そろってのゴールが条件です」というルールで行いました。冷凍のペットボトルを一本ずつ持ち、途中で冷凍のペットボトルや冷えたペットボトルを補給できるようにクーラーボックスを積んだ配水車を用意して実施しました。驚いたのは、6つ全ての班が2時間ぴったりに帰ってきて、減点が0点だったこと、一人として具合が悪くならなかったことでした。1位は798点の3班でした。


「浜田フォトロゲイニング1位3班」

 小学校最後のプールとなる自由プールは最後にみんなでプールにお礼を言って終わり、その後お風呂代わりのシャワーを浴びました。弁当とサラダを教室で食べ、子どもたちが楽しみにしていた校内ミステリーナイトツアーです。近隣の小学校の5名の先生方も駆けつけ、手伝ってくれました。浜田小の先生方も所定の位置付いてもらい、1班ずつ5分おきにスタートします。真っ暗の校舎内からは子どもたちの悲鳴が盛んに聞こえ、勇気を出してとってきたお札カードを大切に持って、涙目で帰ってきました。でも「最高に楽しかった。もう1周してきたい」と満足そうでした。就寝前の班長室長会議では、子どもたちの健康状態を聞き全員が元気であることを確認し、この日の活動の様子をふり返りました。「おいしくて楽しくて怖くていい1日だった」と3日目も満足に過ごせたことを感じることができました。この日ももちろん「漢字コンクール」をやって2回目の寝袋での就寝となりました。

第4日目 7月26日(水)
サマチャレの4日目、最終日も起床は6時30分でした。体の痛みや、疲れを感じている子が多く、大丈夫かなと思っていましたが、体調が悪い子は一人も出ずよかったです。みんなで朝の校庭を1周散歩して、弁当とサラダを食べました。最終日ラストの半日のために元気を出して、みんなで夏休みの宿題を1時間しっかりやりました。生活係の提案で学校の中の使わせてもらった所の清掃を45分かけてやりました。ものすごく一生懸命やっていた姿から、使わせてもらったことを感謝している気持ちを感じることができました。
最後にこの3泊4日をふり返り、100文字作文に表し、4回目の「漢字コンクール」をやり、荷物を全て持って、昇降口に移動して、班長の企画で終了式をやりました。疲れているはずなのに、みんなしっかりとした態度でした。たくさんの感謝とお礼と楽しかったことを言葉にしていました。お迎えに来てくれたお家の方と一緒に帰って行く子どもたちの姿に充実感が漂っていました。サマチャレをやってよかったと思えました。たくさんの協力があってこのサマチャレ3泊4日が形となりました。感謝しています。ありがとうございました。
今後も更に「DSW」の取組を広げて、子どもたちのよい経験につなげていきたいです。

子どもたちの感想: * 子どものサマチャレ3泊4日のふり返りシートから
今回のサマチャレでは、集団で生活する大変さ、その中で毎日元気でいることの大切さを学べました。楽しいこと、大変なことどちらもたくさんあったけど、いつも違う環境で生活するにはみんなで協力することが大切と分かりました。いざ避難生活となった時には、落ち着いて生活できないと思うけど、少しでも心や体が健康でいるためには、みんなで支え合っていくことが大切だと思いました。今回は普段ふれることのできない体験ができ、その体験も仕事を分担したり、協力したりすることで、体験を楽しむことができました。自分が役をもった久能山での活動では、みんなに声かけしたり、体調が悪くないかを聞いたり、みんなが安全に過ごせるように心がけました。みんなで支え合ってとてもいい思い出になりました。



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