NO | 団体名 | 主な企画内容
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社会福祉法人 扶助者聖母会 星美ホーム(東京都) |
「百名山 ~海抜0mからの挑戦 THE FINAL~」 2005年から継続的に実施している企画の最終章。長野県の青木湖からスタートし、槍ヶ岳など百名山を含む山を3つ以上登り、スタート地点である青木湖へ帰還する。移動はすべて徒歩、食事は自炊、テント泊や山小屋泊で9日間かけて活動。困難を乗り越え、達成感、充実感、自己肯定感、仲間意識などを体験的に学ぶ。 |
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速報レポート1 星美ホーム百名山~海抜0mからの挑戦~20年目の挑戦
活動日: 2024年 7月20日(土)~27日(土)
活動場所: 長野県 北アルプス
参加人数: 中学生 7人 / 大人 3人 / 指導者 人 / 合計 9人
<活動内容>
Lake To Summit 青木湖から北アルプス(燕岳・大天井岳・槍ヶ岳縦走)へ
2005年から実施しているこのプログラム。本来は海をタッチして海抜0mからスタートするのだが、今年は20年目、過去19年で47座に登頂しており、今年で50座制覇を予定している。今回は20周年、50座を目指す特別企画として、星美ホームが様々な活動でキャンプベースとして利用しており、思い出がたくさん詰まっている青木湖をスタート地点とした。
青木湖をスタートし、約45km先の中房温泉登山口まで1泊2日で歩く。そこから燕岳、大天井岳、槍ヶ岳を登頂し、同じルートで中房温泉登山口まで戻る合計6泊7日のプログラム。壮大な挑戦であり、心身への負荷は大きい。だが、その分返ってくるもの、得られるものは何物にも代えがたい。児童養護施設で生活する子ども達の壮大な冒険プログラム。自己への気付き、他者への思い、自然に対する畏怖や感動、自然の中での過酷な活動を通して人間性の成長につながることを期待している。
7月20日(土) 移動日 東京・星美ホームから長野県青木湖へ
7月21日(日)
2時49分 ~ 9時6分 (活動時間6時間17分)
歩行距離 約31.4km 青木湖 ~ くぬぎの森キャンプ場
初日、青木湖をタッチして Lake to summit がスタート。暑くなる時間帯を避けて、午前3時前に出発。
日の出前の幻想的な木崎湖を通過し、時速5km以上の快調なペースで進む。安曇野アルペンルートをひたすら進む道になる頃に太陽が顔を出すが、それでもペースを落とすことなく快調に進み、約6時間で31.4kmを歩き切った。
7月22日(月)
2時6分~13時47分 (活動時間 11時間41分)
2時6分~5時38分 約15.1km くぬぎの森ガーデンキャンプ場~中房温泉登山口
6時15分~11時29分 中房温泉登山口~~燕山荘
12時45分~13時47分 燕山荘~燕岳~燕山荘
登山口までの約15kmの道のりをひたすら登る。今日のコースタイムと暑さを考慮し、子ども達からもう少し早い時間に出発できないかという相談がある。ヘッドライトやセーフティライト、反射テープの装着を徹底し、午前2時からの活動開始となる。登り坂にもかかわらず、時速4kmの快調なペース。中房温泉登山口に到着の後、登山靴に履き替えるなど本格的な山の装備を背負い、いよいよ登山開始。〝北アルプス3大急登〟と称される登りに苦戦しながらも、星美ホーム百名山、第48座となる燕岳を制覇した。
7月23日(火)
5時31分~15時56分 (活動時間 10時間25分)
5時31分~8時40分 燕山荘~大天井岳
9時2分~15時56分 大天井岳~殺生ヒュッテ
燕山荘から大天井岳まで、北アルプスの表銀座と呼ばれるルートを進む。天候にも恵まれ、最後に目指す槍ヶ岳を眺めながら雄大な景色の中を進んでいく。8時40分、49座目である大天井岳を制覇。次の山、槍ヶ岳が迫るように見え、テンションも上がる。西岳を通過し、東鎌尾根のはしごはもう少し時間がかかるかと思ったが、全員しっかりとした足取りでスムーズに進んでいった。10時間を超える過酷な活動だったが、最後まで集中を切らすことなく黙々と進んでいく姿が印象的だった。
7月24日(水)
槍ヶ岳登頂予定日だったが、悪天候のため天候回復を待ち、殺生ヒュッテで1日待機。
身体の回復にも努める。1日中、雨風が吹き荒れていた。
7月25日(木)
4時58分~10時22分 (活動時間 5時間24分)
殺生ヒュッテ~大天荘
天候が回復せず、この状況での槍ヶ岳登頂は危険と判断し、下山に向かう。子ども達からは無念の声があがったが、無理はできない。往路の晴天とは打って変わった濃霧と風の中の東鎌尾根にも怯むことなく着々と進んでいく子ども達。岩場やはしごも慎重に確実に登り降りしていく。自分達で設定したコースタイムよりも30分以上早く目的地に到着することができた。
7月26日(金)
5時41分~10時36分 (活動時間4時間55分)
大天荘~中房温泉登山口
最終日、昨日よりも更に快調なペースで進む。グループが一体となった時の推進力はすさまじく、見ていて感動を覚える。無事、下山し中房温泉登山口の看板を全員でタッチしてゴールとなる。子ども達からは歓声、充実感、安堵感などポジティブな感情が伺えた。
7月27日(土)
移動日 青木湖から東京・星美ホームへ
ふりかえり
<活動を終えて>
槍ヶ岳は残念ではあったが、山で出会ったたくさんの方々との素敵な交流、雄大な自然、本気になった子ども達の目、子ども達のもつ底力…。
この活動は引率する職員にもたくさんの学びを与えてくれる。このプログラムはただ山に登るだけではなく、山に登るまでにも過酷な活動がある。その中でグループが醸成され、グループの心地よさ、大切さを実感することになるのではないか。自分の頑張りはもちろん、他者に目を向けざるを得ない環境の中で、大切な何かを体験的に学んでいると思う。体験しなければわからない、スマホやチャットGPTでは教えてくれない貴重な体験ができたことを心から嬉しく思う。本物の体験、本物の感動を通し、児童養護施設での生活を余儀なくされている子ども達が、少しでも自分に自信をもち、前向きに生きていくこと、そしてこれらの体験が心の栄養となり、これからの力になってくれることを願っている。子ども達の中から来年、このメンバーで槍ヶ岳登頂を目指すという新たな目標も出てきた。今後の更なる成長に期待したい。
<子どもたちの感想:毎日の一言日記より抜粋>
・山から見た景色は最高だった。一生忘れることはない。
・みんなでがんばったからゴールできたと思う。
・見た景色。山も、夕日も、朝日も、槍ヶ岳の上に浮かんだ月も、全部最高。
・歩きはつらかったけど、自分が思っていた以上の感動が返ってきた。
・出会った人。励ましの言葉が胸に刺さり頑張れた。人間関係の大切さを知った。
・みんなが頑張ったからこそのゴール。みんなとほめ合ったり、活動中も楽しく登れるように、誰か1人じゃなくて各自が努力した。最高の思い出。
・辛かったけど、あの景色は忘れない。槍ヶ岳、絶対リベンジしたい。また行きたい。
・活動中は疲れたとか辛いとか思っていたけど、目的地に着いた時の達成感、開放感がすごかった。
・達成感が気持ちよかった。
・あきらめないで一歩ずつ進んだ。山の美しさを知った。
・この活動は心を強くさせてくれた。色々なことに興味をもつようになった。
・槍ヶ岳、いつか絶対に登りたい。このメンバーで行きたい。
・百名山はとても辛かったけど、最後までやり通したことは幸せです。これからも自分を信じたい。
■別年度のレポート
2018年度 星美ホーム百名山 〜海抜0mからの挑戦〜 実施レポート
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