NO団体名主な企画内容
14 東京大学教育学部附属中等教育学校(東京都) 「課題別学習『Outfitters Training』」
総合的な学習の時間で、キャンパスライフに必要なロープワークや、事故への対処、火起しや野外調理を学ぶ。最終的には朝から夕方まで1人で活動する、ソロキャンプを目指す。

実施レポート

実施期間:2010.4.13〜9.30
はじめに

 東京大学教育学部附属中等教育学校(以下、東大附属と記す)は、JR新宿駅から西へ3km程の所にある。在校生の7割が東京都内在住で、残りの生徒も東大附属を中心に90分以内で通学できる周辺に居住している。学校の敷地内は300mトラックと人工芝グラウンド、野球場、テニスコート2面、屋外バレーコート2面の広い校庭を保有し、学校の回りは大きな樹木で囲まれている。
 東大附属では、教科学習の教材研究の他に、古くから総合的な学習の研究を実践している。1,2年を基礎期、3,4年を充実期、5,6年を発展期の2年ごとの教育期間に分け「ゆっくり、じっくり」を念頭におき、生徒が自主的に学習、研究活動を実践していく力を育てている。「アウトフィッターズ トレーニング」は、充実期にあたる3,4年生に、自然体験を基にした教育活動で育てることを目的にした教育カリキュラムである。

現代教育における体験学習の重要性

(アウトフィッターズ トレーニングの授業構想)
 現代社会で暮らしている子どもたちは舗装された道路を歩き、柵で仕切られている川を眺め、登れない樹木を眺めているだけの生活を送っている。
一方学校では1時限50分間(小学校では45分間)の短い時間で、1日に4〜6科目の教科の授業をこなしている。そのため教師は習得効率を上げるために、疑問や課題を生徒に与えた後の授業結論は正解を提示し、時間内に授業を完結させてしまう学習法を採ってしまう。生徒が間違えたことや躓きを大切にし、更にその内容を深める工夫等はなされていない。またそのような教育活動がしたくても各教科の時間数確保のために知識の詰め込み型の授業形態にせざるおえないのが現状である。失敗体験を活かして自分の内面に浸透させていく教育が望まれるが、多くの情報に縛られ様々な知識を吸収させようとする現代教育では「失敗から考えさせる授業」は時間が掛かりすぎてしまうと敬遠されてしまう。
100年前の教育と現在の教育の比較において、
100年前の教育 ⇒「Good Experience Poor Information」
現在の教育   ⇒「Good Information Poor Experience 」
と言われている。知識として学んだことを体験で活かし、さらには学校や仲間のため、ひいては社会のために生かせることを知ってこそ子供達は輝くのではないかと考える。

(1)社会の進歩と学校環境の逆転現象
1960年代までの学校は日本文化の期待であり象徴であった。ほとんどの生徒の自宅には無いピアノ、百科事典、体育館、プール等、子どもたちは「今日学校で何をしようか」と期待していた。学校には子ども達の興味、関心を刺激する十分な内容と教材があった。彼らは想像力を働かせ、遊びを創造することが出来た。
1978年インベーダーゲームの誕生が転換期となった。テレビゲームは「現実からの想像」を奪い「バーチャルな世界」へ子ども達を引き込んでいった。社会の進歩は、学校環境よりかなり速く進み、学校より社会の方が刺激的であり、子ども達の興味、関心は学校の外に向いてしまった。
創造力の欠如は、子ども達に無気力、依頼心・依存心を増長させる原因となっている。
教育学者のホイジンガーは、1920年に「人間は、遊びの中から生きる術を学び、人生・社会を創造してきた。」と著書の『ホモ・ルーデンス』で述べている。
「作られた遊び」だけでは、子ども達は育たない。教育もまた作られた知識の詰め込み型になっている。
知識の詰め込み型の現代教育では、自主性を十分に育てきれず、社会人になっても上司の支持を待ち、自信の無さを表面に浮かべた若者が多くなってきているのではないかと思われる。
現代教育は大量生産を目的とした社会状況から生み出された効率主義の教育であり、労働力(マンパワー)としての育成を目指すため、集団で一律の授業が主流になる。体験活動が多くなるということはそれだけ知識の習得効率が落ちるため、その機会を極端に縮小されてきた。
これからの社会は、大量生産よりも「共生・共存」を強調していかなければならない。

(2)教師の資質と増加する仕事量
 現時点での教員養成大学のカリキュラムは、2010年の学習指導要領改訂に伴い多少の改良はされてきていると思われる。しかし教育実習等の体験教育の期間と回数、その内容は筆者が学生だった頃と変わっていない。一方、初等、中等教育学校における教師の仕事量は飽和状態までにきているように思われる。日々の指導案の作成、校務日誌、生活指導記録、進路指導計画等々生徒が下校した後も事務的仕事に追われ生徒とまともに話し、寄り添う時間を作るのが困難になってきている。現在の激務に対応でき、生徒中心の教育活動が展開できるスーパー教師を養成できるほど教育系大学の講義内容は進化していない。
このような問題に対して自然体験活動は、現代の教育に大きな効果を生むものと考えられる。
全ての生活内容を自らの知恵と力で創造していかなければならない野外活動は、生活時間がゆっくり流れ、じっくり自分の行動を考え実践に移すことができる。
また自然の前では、火がなかなか着かなかったり、風雨でテントが飛ばされたり、食事が食べたい時間に出来上がらなかったりと失敗することが多いため、子どもたちは自然と失敗を恐れず、失敗から次に成すことを考えられる力を育んでいくようになると考えた。また生徒への指導面は、教師がしっかりとした年間カリキュラムを作成した後、自然体験活動推進協議会と綿密な打ち合わせを行い、授業内容に応じて適切な指導者をお送りいただいた。授業のコーディネーターとして教師は授業計画を行い、授業時間は生徒と共に過ごすことができるので生徒の隠れた一面や才能を発見することが出来ると考えた。

授業計画と実践

トレーニングキャンプを目指して、毎週火曜日はアウトドア!
 3,4年生(中学3年、高校1年相当)が学ぶ東大附属の課題別学習は、今年度は16講座が開講し、自然・環境分野、人間・社会分野、科学・産業分野、創造・表現分野の4分野に分けられ募集された。「アウトフィッターズ トレーニング」は16講座中最も人気がある講座だった。年間の授業計画は表1のように組み、それぞれの内容に複数回の授業時間を分配して「ゆっくり、じっくり」学べるようにした。
10月5日から3泊4日でおこなわれるアウトフィッターズ トレーニングキャンプのために、アウトドアでのライフスキル向上を目的としたロープワーク、テンティング、ライフクラフト(立ち釜作りとフィールド整備)、火起こし、アウトドアクッキング、ネイチャークラフト、救急法等の実習講義をおこなった。チャレンジゲームとネイチャークラフトを除く講義内容には必ず自然体験活動推進協議会(CONE)の推薦してくださったそれぞれの専門家がゲストティーチャーとして指導に来ていただいた。ゲストティーチャーとしてご協力いただいた野外教育の専門家の団体及び個人の方々は以下の通りである。
・ロープワークとテンティング⇒ボーイスカウト日本連盟
・アウトドアクッキング⇒ガールスカウト日本連盟
・火起こし⇒森の遊学舎代表 大西 琢也氏
・救急法⇒日本キャンプ協会 高瀬 宏樹
この他に10月後半から11月初旬にかけて実施予定している木登りの授業には、ツリークライミング協会のスタッフに依頼することになっている。

表1  課題別学習「Outfitters Training」        
年間の指導計画

回数実施日実施内容備 考(活動場所)
14.13ガイダンス グルーピングゲーム大教室
24.20イニシアティブゲームとフィーリングゲームグランドと体育館
34.27イニシアティブゲーム
45.11キャンプ用具とテンティング(ライフクラフト)① ロープワーク教室
55.18キャンプ用具とテンティング(ライフクラフト)② フィールド作り裏庭(トレーニングフィールド)
65.25キャンプ用具とテンティング(ライフクラフト)③ 釜戸作り etc①〜③で講師を1回
76.8火おこしと野外調理 ①①〜③で講師を1回
86.15火おこしと野外調理 ②
96.22火おこしと野外調理 ③
106.29事故への対処
117.13事故への対処
129.7上半期のまとめ (トレーニングフィールドでクラフトミーティング)裏庭(トレーニングフィールド)
野外実践 10/5(火)〜8(金)(3泊4日)予定
1310.12野外実践のまとめ アウトフィッターズ マニュアル作成空き教室を使用
1410.19野外実践のまとめ アウトフィッターズ マニュアル作成
1510.26木登り①①〜③で講師希望
1611.2木登り②シュガーパイン希望
1711.9木登り③
1811.16クラフト①
1912.7クラフト②
2012.14野外実践のまとめ アウトフィッターズ マニュアル作成空き教室を使用
211.18野外実践のまとめ アウトフィッターズ マニュアル作成空き教室を使用
221.25グループごとの野外実践実習裏庭(トレーニングフィールド)
232.1
242.8
252.15野外パーティーの企画準備空き教室を使用
262.22野外パーティー裏庭(トレーニングフィールド)

(1)チャレンジゲーム 実施日:4/20(火)     指導担当:井口
 「アウトフィターズ トレーニング」は、募集人数を40人に決めた。これは3、4年生全員の6分の1にあたり16講座中最も参加人数が多い。今回は希望者多数だったため各学年の男女別で抽選を行いそれぞれ10名ずつ選ばれた。体調不良を理由に4年生の男子が授業開始後1名辞退したため、今年度は3年生男女各10名、4年生男子9名女子10名合計39名で実践することになった。この授業は常にグループで実施する内容が多いことから普段の学校生活における学年(年齢)差、性差をできる限り意識しないで行動できる必要があった。参加者全員が誰とでも打ち解け、協力できるようにするための課題解決型のゲームを授業当初に実施し、アイスブレイクとグループワークの向上を図った。
39名の生徒を13人ずつ均等にグループ分けし、3種類のアクティビティーに1種目18分の時間制限を設けて実施した。




1)トラストフォール
 一人が後ろ向きに直立姿勢のままグループのメンバーが受け止める場所に倒れていくという課題。仲間を信じ、一歩を踏み切る勇気と決断力が必要となる。台の上で動けなくなる生徒や思い切れず制限時間内に実施できなかった生徒が涙ぐむ場面も見られた。「できない」ことを悔しく感じる事の少ない日常においてこの経験は大きかったようだ。

2)アルファベットチェンジ
 風呂で使用する椅子の上に一人ずつ上がり、右側から「A、B、C、D・・・」と声をかけさせる。この状態から制限時間内に左からA、B、C、D・・・になるように並び替える課題。並び変わる際に風呂の椅子から降りてはいけない。普段、他者との身体接触を極端に避ける子どもたちだが、この課題によってグループのメンバーとの距離を縮めることができたようだ。

3)レールロードリレー
$3# 一人40cm程の長さにカットされた雨樋を持ち、スタートからゴールまでの距離(約30m)を、ボールを途中で止めたり落としたりしないで雨樋の中を転がして進む課題。
簡単に思えるようだが実施してみるとボールが加速するため途中で落としてしまったり慎重になりすぎてボールを止めてしまったりと、制限時間内に2種類のボールで課題をクリアできなかったグループが多かった。

(受講した感想)
・皆が受け止めてくれることはわかっているが、1歩を踏み出すことができなかった。自分がとても弱く感じた。トレーニングキャンプでは踏み出せるようにしたい。
・怖かった〜!でも受け止めてもらえた時はうれしくてほっとした。
・うちのグループは、終了30秒前にアルファベットチェンジを成功させることができた。何度も失敗しながら一度も話したことのない下級生とも協力し達成した。超気持ちい〜!
・アルファベットチェンジを成功させるためには隣同士だけが協力するのではなく、その次のメンバーが手を差し伸べサポートすることが大切というこがわかった。
・3つの課題のうちで一番簡単のように思えたが、ボールが流れ勢いを増していくうちにメンバーの移動が間に合わなくなった。ボールの勢いを殺そうとすると止まってしまって気がつくと制限時間終了。1回しか成功できなかったのが悔しい。でもメンバーとは真剣に話せた気がする。
・体育の授業では、男子だけだからあまり気を使わなくて良かったけれど、女子と一緒に今回の課題をクリアしていくのにはすごく気を使った。
・課題をやっている時にどの課題の時にも、普段苦手と思っていた男子から励まされ応援してもらってびっくり・・・うれしかった。
・このメンバーとなら本番のトレーニングキャンプもうまく行くような気がする。自分が足手まといにならないようこれからの授業をがんばろうと思う。

(2)ロープワーク 実施日:4/27・5/11、  指導担当:ボーイスカウト日本連盟
 この授業は、2回(4時間)をかけて実施した。1回目の授業を体育館で、時間制限を
設けロープワークを中心にするライフクラフト(ハンモック、三脚、食器棚)等を作ら
せたり、もやい結びをできるだけ早く自分の身体に結ぶことができるようにすること等
をゲーム形式でおこなった。生徒は楽しみながら基本的な結び方を習得することがで
きた。
2回目の授業では、今まで習得した結び方を駆使してその後の活動で必需品となる立
釜戸をグループごとに作成した。


制作中の立ち釜戸

(受講した感想)
・釘や接着剤を一切使用しなで生活必需品を作れてしまうのにびっくり!楽しかった。
・もやい結びが人命救助の時に使われていたことを知った。これから使えるようにしたい。
・まき結びはとても簡単で力が加われば加わるほど強く縛れるから使い道が多そうだ。
・一人では全ての結び方を覚えきれなかったがグループのメンバーで2つずつ分担して覚えて後から教えあったので今回の授業で10通りの結び方をおぼえた。
・いつもはファスナーやチェーン等に助けられ、剣道、柔道の授業以外で自分で紐一本結ばない生活なだけに今回の授業はとても重要に思えた。 
・10月に実施するトレーニングキャンプでは自分ひとりで生活するソロビバークがあるので今回教えていただいたロープワークを一人で活用し生活しなければならないので忘れないようにしたい。今からできるか心配。

(3)テンティング 実施日:5/18     指導担当:ボーイスカウト日本連盟
今回はボーイスカウト日本連盟の指導のもと、ドーム型テントと大型タープの設営をおこなった。これもただ設営の手順を覚えるのに留まらず、ひと通りテント設営を全員が覚えた
ところでリレーでテントを建てたり、一人でフライシートを制限時間ないに設営するゲーム形式で理解を深めた。


テンティングの授業風景

グループごとのリレー形式でテント設営

(受講した感想)
・テントって設営にもっと面倒なものだと思っていたけれど意外に簡単なので安心した。
・前回教わったロープワークのトートラインヒッチが必要だった。忘れずいて良かった。
・設営場所の注意事項で、「高い樹があるとこを避ける」というのがあったが高い樹の下の方が安心だと思っていたのでびっくり!
・うちのグループはリレーではいつも遅かったけれど、どの班よりも確実に設営の手順を覚えていると思う。
・ソロビバークの時には一人でタープを張らなければならないので今日の張り方を忘れないようにしたい。
・この授業の時には3年生と4年生の学年の壁が無いので気持ちがいい。普段運動クラブの先輩でも気軽に話しかけてくれる。今回のテンティングも協力してできた。

(4)火起こしと野外調理 
実施日:5/25、6/8、15、22
指導担当:火起こし⇒森の遊楽舎代表 大西 琢也氏 野外調理⇒ガールスカウト日本連盟
この授業は、火起こし2回(4時間)野外調理2回(4時間)で実施した。火起こしの
授業は大西氏が手捻りでの火起こしの授業をしていただく前に、井口が薪の種類、薪の組み方、風の送り方、防火対策等を指導し、手捻りでの火起しを参加生徒全員が経験できるようにした。


大西氏による手捻りの火起こし授業

わずか10秒程で種火を

さぁ!僕たちも

野外調理は、1回目(2時間)に、飯盒での炊飯、ミートローフ等の一般的なキャンプ料理を紹介していただき、2回目は「調理器具を使用しないで作る食事」というテーマで鍋釜、まな板等一切使わない調理(使えるのはナイフ一本)を指導していただいた。牛乳パックをまな板代わりにし、竹と缶で米を炊き、アルミホイル、牛乳パック、紙袋で炒め、蒸す料理に生徒は驚き、目を輝かせて調理し出来たての料理を頬張っていた。
デザートも普段の生活では食べたれない、竹串に刺したマシュマロを焚火のおき火になったところで温め、柔らかくなったところをクラッカーに挟んで食べる「サモア」を紹介していただき、生徒は仲間と話をしながらゆっくりマシュマロを温めながらアウトドアクッキングを楽しんでいた。


1回目 ミートローフを作る

2回目 空き缶でパエリア風ライスを作る

(受講した感想)
・大西さんは普段の生活でも火起ししてお風呂に入ったり、食事をしたりしているそうだ。手の平にある火起し肉刺はすごいと思った。
・火起しで大切なのは火を起こす前の準備の段階であることが分かった。小さな火を大きくし利用できるようにするには、木端、小枝、小薪、中薪、太薪の順番で丁寧に組んでおくようにする。
・大西さんの様に数秒で火種を作れるようになるにはかなりの時間が必要だったと思う。今日だけでも手のひらの皮がむけてしまった。火種ができて薪に点火できた時うれしかった。
・飯盒を初めて使ってご飯を炊いてみた。ふっくらとした美味しいご飯が炊けた。お焦げも美味しかった。
・火から下ろすタイミングが遅かったのか半分が真黒のご飯になってしまった。
・空き缶で一人分のご飯ができた。とても美味しかった。
・コーヒーを入れ、マシュマロを炙りながら友達と話をしていてとても落ち着くのを感じた。本番のキャンプでも絶対やりたい。
・牛乳パックが野外調理で万能な調理器具になるとは知らなかった。まな板と蒸し器の役割を果たし、できた料理を牛乳パックのお皿で食べた。これから災害が起きても大丈夫!
・授業前、正直不衛生で食べたくないと思っていました。でも皆で作って食べたらとても美味しくお休みした友達の分まで分けて食べていました。
・本番のキャンプ料理が今から楽しみになってきました。

(5)事故への対処(リスクマネージメント)
  実施日:6/29、7/13  指導担当:日本キャンプ協会 高瀬 宏樹氏
この授業は、1回目が陸上(山野)での事故対処法について高瀬氏が、2回目が水上での事故対処法について井口が指導をおこなった。
山野でのリスクマネージメントは、フィールドでの事故を想定し、骨折、打撲、火傷、切り傷、刺し傷、虫さされ(蜂や百足等)等の処置方法と運搬法等を高瀬氏が分かりやすく説明し、運搬法と止血法については実習をおこなった。


高瀬氏の講義風景

運搬法の実習(生徒は真剣)

水上でのリスクマネージメトは、河川で流された時、海での引き潮で岸に戻れなくなったことを想定し自己の対応策と救助方法を説明しプールでの実習をおこなった。筆者が指導していたため水上でのリスクマネージメント実習の写真記録は残っていない。

(受講した感想)
・応急処置については3年生の保健の授業で習ってはいたがすぐに行動に移せなかった。日ごろからトレーニングが必要。
・山中で仲間が倒れた時、本当に助けられるのか心配になった。まだまだそんな力が備わった様には思えない。
・「川や海で流たされている人を見つけたら、その場にある物の中から浮力の高いものを見つけて、軽いものなら水等を入れて投げ易くする」と先生が言っていたけど、見つけているうちに流されてしまうのではないか。近くにある物に直ぐ反応出来るように普段から心がけたい。
・着衣泳は小学校でもやっていたけれど、ズボンを浮袋にしたり、意識を失った溺者を陸に揚げるための技術は初めてでとても勉強になった。
・私は家族でよく海に出かけるので、今回習ったことを覚えていて引き潮で岸に戻れなくなった時には慌てずのんびり海の上に浮いているようにしよう。

(6)トレーニングキャンプに向けて 実施日:9/7 指導担当:井口
 トレーニングキャンプの実施要項を生徒に配布し説明をおこなった。メインとなるソロビバークとプロジェクトアドベンチャーについては生徒の誰もが不安を隠せないでいた。最終日の夜に屋台形式のファイナルパーティーを開くことを予定しているので、グループに分かれ出店の計画を立てさせる。
10月5日から「アウトフリッターズ トレーニングキャンプ」が開校するわずか4日間の期間であるが今までの授業で培ったスキルを十分に発揮し、充実したキャンプを送ってもらいたい。そしてキャンプで何か一つ発見し、獲得してほしい。

トレーニングキャンプまでの授業を振り返って
 イニシアティブゲーム、ロープワーク、テンティング、クラフト、火起こし、アウトドアクッキング、リスクマネージメントと生徒は、4月から12回(24時間)の授業を受けてきた。生徒にとってこの12回の授業は、今までの授業にない新鮮さを覚えたようだ。授業は、成功体験だけで終わらない。
課題を解決できずできなかった結び方を克服しようと、休み時間や放課後までロープワークに打ち込んでいる生徒も見られた。
学校での実習で失敗したため、週末に自宅に飯盒を持ち帰りおいしいご飯を炊いてみたいので飯盒を借りにきた生徒がいた。
火起こしに凝り火起こし肉刺を作った生徒がいた。
「一生自分の道具として持っていたいと思う物を作りなさい」と言った筆者の忠告に、夏休み中少しずつ竹を削って小さなフォークを作った生徒がいた。
生徒はそれぞれこの授業から出される課題を前向きに受け止め、それぞれが自分のものにしようと真剣に取り組んできた。
10月5日からのキャンプで必要な全てのスキルが備わったわけではない。4日間のキャンプ生活では、多くの失敗をし、そこから自分自身で考え、仲間と協力をし、最後まであきらめずに取り組んでくれる生徒に育ってほしいと願っている。そしてキャンプ終了後は、普段の生活の中でもその精神を生かせる一人成長してほしい。
いよいよトレーニングキャンプ本番です!


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