NO団体名主な企画内容
13 東京シュタイナーこどもの会 5年生クラス(東京都) 「夏休み小学生体験「ぼくらの家を建てよう!」」
大工指導の元、日本古来の在来工法による本格的な木造の家を造り上げるダイナミックな自然体験活動で、努力して得られる喜びを身につける。

速報レポート3 「子ども家づくり体験その3・家をたてる」

日時:2012年8月8日(木)~11日(土)
場 所:神奈川県三浦半島・森戸川村
参加者:小学生12名
活動内容

3月「木を切る」6月「木の皮をむく」につづいて、いよいよ夏休み3泊4日の家づくりスタートです!
子どもたちはみんな前日から張り切って準備しています。
すべて自分たちでやる、手作りの活動なので、親たちも全員スタッフとして、何日も前から準備していました。
子どもたちが最後まで怪我なく頑張れるよう、念入りにチェックします。
しおり作成、送迎の手配。宿泊場所の確保、掃除、寝具の用意、
食事も大人数分なので、お母さんたちが手分けして買い出し、炊き出し、片付けやゴミの処分。
お父さんたちは、運搬や送迎、作業補助などの当日の裏方。体力勝負でした。

---------1日目午前---------

森戸神社へ参拝
山へ入る前に氏神さまへお参りし、みんなが無事に活動できるようお祈りしました。

基礎作り準備

建設予定地の雑草を抜き、スペースを確保
床枠の制作。枠材をのこぎりで切り、防腐塗料を塗る
床枠を建設場所の地面の上に置く
丸太柱の位置(四隅とその間、全8本)を決め、印をつける
印の上ををタコと呼ばれる道具を使って突き固める

床作り

突き固めた地面の上に砂利を撒き、基礎石を据え付ける
床枠の四隅のうち、一番低い位置の基礎石に枠を仮留めし、
水平器で水平を取りつつ、他の3箇所を仮留めしていく
床が完全に水平になったことを確認し、四隅をしっかりと固定する

---------1日目午後---------

枠の横木を65mmのネジで留めていく
横木(8本)を取り付け終わったら、床材を張っていく
そして床が完成!

壁パネル作成

木材切り出し→塗料→枠作り→横木をつける
パネルは全6枚制作

---------2日目午前---------

パネルの内壁側に杉板を張る。

軸組み作り

基礎石の上に丸太柱を8本立てる
丸太柱が垂直に立つように、柱の両側に
壁パネルを取り付ける。

---------2日目午後---------

丸太柱の上に棟木をつける
壁パネルと壁パネルの間を繋ぐ
部屋の壁がついた!

---------3日目午前---------

透明ポリカーボネイトの波板を使い、屋根を作る。
透明なので、夜、小屋から空を見上げると星空が見える仕様!
外壁にも杉板を張っていく
入り口の扉作り
デッキ作り

---------3日目午後---------

子どもたちから、ロフトを作りたい、というアイディアが。
丈夫なコンパネを使ってロフトを制作。
2階建て、完成!

扉、取り付け
窓に防虫ネット取り付け

ここまで来ると、泊まることもできます。
この日、子どもたちだけで寝袋を持ちこんで、天窓から星空を眺めながら眠りました!
(もちろん大人が数名、近くにテントを張って、危険のないよう見守りました)

---------4日目午前---------

窓も二つ、つけました。
一つは縦長で、回転する、忍者の隠し窓みたい。
もう一つは木々の緑を眺められる大きな窓。
みんなで布に絵を描いて、カーテンにしました。

子どもたち数人が自発的に靴箱を作り出す
丸太を剥いだ木の皮で屋根の中心を葺く
外壁の杉板張り、最後の仕上げ

子どもたちの感想

毎日少しずつ出来上がっていくのにワクワクした。
いやだったことが一つもなかった。

はじめ、本当にできるのかな?と思っていたけど、
ぼくたち全員が入っても、よじ登っても、びくともしない、
丈夫な家が建ってうれしかった。

最初に土台を作るのが一番緊張した。
何度も水平を測って、地面を突いて固くして、柱をまっすぐに建てた。
これが一番大事な仕事だと大工さんが言っていた。
土台がゆるかったり、柱が傾いていたりしたら、
そのあとどんなに頑張っても、
頑丈で住みやすい家にはならないのだとわかった。

家がどうやって作られるのかがわかった。
ノコギリの引き方、釘の打ち方、モノの運び方・・・何にでもコツがあって、
ずっとやっていると、どんどん上手にできるようになった。

普段使わないプロの道具を使えて楽しかった。
見たこともない面白いものもいろいろあって、
大工さんに使い方を教わって使えるようになった。

最後にカーテンを作って、絵の具でみんなの絵と名前を描いたら、
もう仕事が終わってしまうと思って、少し淋しかった。
いつか今度は、お父さんやお母さんも住めるくらいの
大きい家を建ててみたい。

出来上がった家をお母さんたちが見に来たとき、
「どうぞ入ってください」と言ったら、
「お邪魔します」と言って入ってきたので、おもしろかった。

少し疲れたけど、みんなで家を完成させて、その家で寝る事ができて、本当に良かった。

大工さんの感想

子どもたちは、初日は指示を待って動いていたが、
3日目くらいからは、こちらが何も言わなくても
作業を予測し、どんどん動けるようになった。
ロフトを作りたいとか、隠し窓を付けたいとか、下駄箱を置きたいとか、
希望もどんどん挙がってきて、
そのたびに自分たちで図面も描いて、
大人の僕も一緒にわくわくしながら作業した。

先生の感想

仲間と共同作業をすることで、子どもたちはずいぶん成長しました。
やりたいことを競い合い、奪い合いすることが結果を悪くする。
一人でできないことは、手伝ってくれる人を呼ぶ。
時にはケンカし、時には小さなケガもする。
そのたび、自分たちで解決できていたように思います。

「子どもたちに家づくりを体験させたい」そう思い始めてから丸2年。
保護者との何度もの話し合い。新たに参加児童を募集すること。
場所さがし。大工さん探し。宿泊場所探し。費用をどう調達するか。建築許可はとれるのか。
問題は山積み。
皆で心を合わせ、知恵を絞り、人脈を掘り起こし・・・
やっと今回の実現に至りました。
この活動を通して、たくさんの地域の人々と知り合い、支えられたこと、
本当にありがたかったと思います。

【保護者の感想】

衣食住のうち、衣食は生活上で毎日考える事柄ですが、
住を考える機会というのはなかなかないと思います。
家づくりを通して、住を考える種まきができたことは本当に良かったと思います。

作業中に、いやだという子、怠ける子が一人もいなくて、
みんなが自発的に、力を惜しまず頑張れた。
その結晶が素晴らしい形となった。
最後の夜、自分たちで作った家で過ごしたことは、
一生の思い出になることでしょう。
子どもたちにこんな機会を与えていただいて、感謝の気持ちで一杯です。

記録係として、作業に半日同行しました。
作業前の大工さんの説明を驚くほど真剣に聞く子ども達。
無駄口もきかず、常に集中して仕事を進めて行く子ども達。
それは、普段なかなか見る事のできない子ども達の姿でした。
真剣な中にも、初めての体験に目をキラキラさせ、
ワクワクしながら、作業を進めていました。
記録係の私の向けるカメラにも一向に気付かないようでした。

子どもそれぞれのペースで、しかもお互いに助け合い、譲り合って、
作業を進めていく様子に感心しました。
工具を使っての難しい作業を、力を合わせ、呼吸を合わせ、しかも綿密に、
時には相談しながら、分担しながら進めて行けるほどに
成長したことに驚きました。

こどもたちが、気持ちを一つにして仕事進めることができたのには、
素晴らしい大工さんや指導者の影響も大きかったと思います。
プロの仕事を見て、それを直接学ぶ機会を与えられた事、
心と手を動かして大きな仕事をやり遂げた事、
この体験は、こどもの心に根を張って、将来大きく花開くことでしょう。
家作りの体験ができたこと、それをサポートできたこと、
多くの仲間と喜びを共有できた事。全てに感謝したいと思います。



















活動レポート1 「子ども家づくり体験その1・木を切る」
活動レポート2 「子ども家づくり体験その2・木の皮をむく」
速報レポート3 「子ども家づくり体験その3・家をたてる」

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