NO団体名主な企画内容
26 学校法人滝の坊学園 三好桃山幼稚園(愛知県) 「3泊4日の自然体験活動【徹頭徹尾】」
「4つの基本遊び」から「無限の自由遊び」へと広げるプログラムで、好きな遊びを徹頭徹尾貫き、その先にしかない感動を経験させる活動。沢登りや山登り、竹の食器作り、泥競技などのプログラムを、ただ遊ぶだけでなく、遊びにリズムを付け、子どもたちが活動に疑問を抱き・話し合い・自覚するよう促す工夫で活動を実施。

速報レポート1

日時 :7月30日(火)AM9:00~8月2日(金)PM7:00
場所 :神田ふれあいセンター(旧神田小学校)
人数 :年長児28人・小学生81人・中学生6人・高校生1人・大学生ボランティア6人・リーダー(先生)15人・サポーター20人・カメラマン1人・地域指導者3名  合計161人
活動目的

朝早くから夕暮れギリギリまで近所の悪ガキグループが泥んこになって、近くの空き地や土手や雑木林で遊び回っている。今ではあまり見ることが無くなってしまった光景です。しかしそこは、様々な体験を通した学びの場でした。
「知ることは、感じることの半分も重要ではない」これは環境教育の祖【レイチェルカーソン】の著書【センスオブワンダー】にある言葉です。 “感じること”それは夕暮れギリギリまで、好きな遊びをとことんつらぬいて遊び、とことん仲間と共有し合う、そんな体験の向こう側にこそ多く存在するのだと考えます。
レイチェル・カーソン、彼女は更にこうも言っています。“子どもたちが出会う事実の1つ1つがやがて、知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒や豊かな感受性は、この種子を育む肥沃な土壌です。子ども時代は、この土壌を耕す時です。”
3泊4日の自然体験活動を通して、朝から夕暮れまで好きな遊びを徹頭徹尾貫いて遊び、その先にしかない感動を掴んで帰って来る。そんな活動を通して、子どもたちのさまざまな情緒や豊かな感受性を徹頭徹尾、耕したいと思います。

7/30(初日)




山から切り出した竹を使って、4日間使う竹の皿作りからスタートした自然体験活動初日。大自然に囲まれた小学校の校庭では、一心不乱にノコギリで竹を切る子。竹の幹の肉厚な部分にノコギリの刃が入りづらく苦戦している子。高学年や中学生のお兄ちゃんにおねだりして箸を作ってもらう子。ナタでスパッと割れる心地よさにハマり、何度も竹を割る子などなど、それぞれの子どもたちが何とか自分の食器を作ろうと、一生懸命に腕と頭を動かしていました。
竹の皿とお椀とお箸が出来上がると、周りの自然に興味深々に散策をはじめていた子どもたちでした。明日からの膨大な遊びの時間に、何をして過ごそうかとアンテナを貼り巡らせていました。
徹頭徹尾遊ぶ活動を決めるのに必要なのが情報です。「どこでどんな遊びができるか?」初めて参加する低学年の班に、これまで何度も参加して周りの自然を知り尽くしている高学年の班が、夕食時に遊びを伝えている様子がありました。お兄ちゃんお姉ちゃんの話しにイメージを膨らませ、「明日お兄ちゃんと一緒に川に行く!」「お姉ちゃんと山登り行ってから川にしよう!」など、明日からの遊びへの期待に胸を膨らませていました。

7/31(2日目)




山登り(岩古谷山799M)に挑戦した班の様子です。急激な岩の階段や、巨大岩のトンネル、鉄の鎖を手掛かりに登る岩の絶壁、子どもたちの興味と期待を裏切らない山の変化が続きました。「もう無理~」「頂上はまだ~」と言いながらも、逞しく登る高学年。泣きそうになりながらも必死に高学年の助けをかりながら登る低学年の姿がありました。みんなで声をかけ合いながら辿り着いた頂上はまさに絶景!山頂では自分たちで作ったおにぎりを美味しそうに食べていました。苦労の後にある喜びを体いっぱいに体感した子どもたちの笑顔は最高でした。





川遊びを選択した班の様子です。神田小学校の周りの川には6種類の遊び場所があり、それぞれの川の特徴にちなんだ名前が付けられています。『ナイル』『きんぎょ池』『めがね橋』『こんにゃく村』『エメラルド』『ドロの川』とバラエティー豊かな名称です。「午前はナイルに行って跳び込みしてから、午後はエメラルドに行こう!帰りにはきんぎょに寄って行こう!」「ドロの川に行ってから、きんぎょに行こう!」その場所でできる遊びに合わせて一日中川遊びを堪能した班も多くありました。





“遊びかたを発見する粉”として子どもたちに伝えた粉。その正体はガイロメという陶芸用の土でした。それを使った遊びの様子です。はじめは慎重に触って、きめの細かい土の感触に「これなんだろ~?」「気持ちいい~」「サラ砂みたい!」と幼稚園の園庭にあるサラサラの砂に近い感触を遊んでいた子どもたち。次第に汗ばんだ腕に土がつくとトロトロになり、すぐに固まっていく土の変化に目を付けた子が、「水と混ぜてみる!」と行って近くの水道に片手いっぱいの土を持って行き、トロトロの粘土状にして「泥パック~!」と言って遊んでいました。それを見ていた周りの子が、次々に土を水道に運んで泥パック遊びが盛り上がりを見せました。しかし、少しすると、カピカピに固まりはじめる粘土を見て、「おじちゃんの手みたい~」とか「ひび割れて気持ち悪い~!」と視覚的捉えて独特な粘土に驚いていました。中には「これコンクリートかも!」と言って、慌てて手を洗いに行く子もいました。
そこに川遊びから帰って来た高学年の班が、その様子を見るなり水着のままダイナミックな遊びへと展開していきました。大きく広げられたブルーシートにトロトロの粘土で絵を描いたかと思えば、体中粘土だらけになって、スケートのようにツルツル滑る粘土の上でバランスをとったり、滑る感覚と足の裏の感触を楽しんだりしていました。終いにはツルツル滑る上で相撲大会までエスカレートしていきました。
体を使ったダイナミック遊びはあっという間に広がりましたが、終息も早く1時間程度で「もう洗おう~」と言って体を洗いはじめた子どもたち。しかし、本当の遊びはこれからでした。ダイナミックな遊びには入りたくなかった子どもたちが、その遊びの隅っこでトロトロの粘土に土をかけ、固めの粘土にして造形遊びをはじめたのです。この“遊びを発見する粉”を使って様々な遊びが展開されてきましたが、静の活動(造形遊び)が時間的に一番長く繰り広げられました。「先生!トリケラトプスができたよ!」何とも満足気なその表情が忘れられません。

8/1(3日目)




この日は雨ふりからのスタートでした。午前中に計画していた田んぼで遊ぶ『徹頭徹尾“泥”』を午後に変更し、集会室で、昨日盛り上がりを見せたガイロメ粘土での造形遊びを行いました。大きなたらいにガイロメを入れ、静かに少しずつ水を足して、丁度よい硬さに練り上げてからそれぞれが好きな物を作りはじめました。ガイロメ博士(大学の先生)の指導もありましたが、昨日の展開とは全く異なり、静かに丁寧に粘土を遊ぶ姿が印象的でした。
蚊取り線香を作る子、竹の食器を粘土で作る子、子どもたち一人ひとり個性的な作品を作っていましたが、作り方は大きく分けて2パターンでした。まずは完成形をイメージして、それに向かって造形を進める子。隣で作っている友だちの影響はほとんど受けずに、ひたすら粘土と向き合っている姿がありました。そしてもう一方は、ゴールを決めず感性を頼りにどんどんいろいろな物を作る子。こちらはとにかく周りと交流し、会話を楽しみながら遊んでいる姿がありました。
3日目の疲れた体に、丁度よい休憩にもなりながら、心は躍る活動になりました。




午後になり雨がやんだので、すぐさま田んぼに向かいました。赤チームと白チームにフェイスペイントで色わけし、ビーチフラッグならぬ、ドロボール対決と手つなぎリレー対決をしました。毎年恒例のこの遊び。勝ったチームはデザートのフルーツゼリーが大盛りになります。食べ物がかかっているのでみんな真剣!「泥んこ嫌~」と泣いていた子も、いざ競技となると全力でボールまで走っていました。田んぼで泥だらけになることで心と体を大解放したいた子どもたちでした。

8/2(最終日)



 最終日、最後の最後まで片付けの時間ぎりぎりまで川に行って遊んだり、生き物を捕まえたりしていた子どもたちでした。本当に4日間徹頭徹尾遊び抜くんだ!という思いを体現しているようでした。この3泊4日の自然体験活動を通して子どもたちは、大自然の中で興味と言う名のアンテナを最大限に広げ、体を動かし、心を躍らせて遊び、感動に心を震わせていました。年長児から大学生までの三好桃山幼稚園卒園児がお互いに影響し合い、刺激し合い、育ち合い、徹頭徹尾遊びぬいた4日間は、子どもたちのさまざまな情緒や豊かな感受性を育んでくれたと確信しました。
 帰りのバス内での子どもたちの寝顔が、この4日間の遊びの密度を物語ってくれているようでした。



■別年度のレポート
2014年度 いたずらっこキャンプ 実施レポート
2012年度 帰ってきた!! 忍者キャンプ2012 実施レポート

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