NO団体名主な企画内容
14 多摩市立愛和小学校(委託:一般社団法人エディブル・スクールヤードジャパン)(東京都) 「「畑につながる野外教室プロジェクト2017 自然の中にあるクラスルームづくり」」
子どもたちが設計図をつくって、家具づくりをする野外教室を地域住民と共に行う協働プログラム。苦労や苦難に立ち向かい、出来上がっていく達成感を感じるプロジェクトを通じて、仲間で助け合うことの大切さを体験する。

速報レポート3

実施日:2017年9月29日(金) 30日(土)
場所:多摩市立愛和小学校 学校菜園
参加者数:29日(金)児童8名 大人10名(内、保護者2名) 
     30日(土)児童24名 大人31名(内、保護者21名)

 最終回となった、愛和小学校の野外教室プロジェクトでは、2つのワークを行った。一つは、前回から引き続きガーデンの看板作りを完成させ、ガーデンに取り付けた。もう一つのワークは、野外教室で座るためのベンチ作りだ。そして、最終日9/30には、子どもたちが一番楽しみにしていたピッザパーティランチが催された。
 まずは、ベンチ作りからの報告。材料は、教室の柱と同様、昨年秋に伐採した校庭のイチョウの木が使われた。ノコギリ、ノミを使い、木を切り、ホゾを作り木づちを使って、脚の部分と座る部分を木組の要領で組み立て、最後は表面をなめらかにするために電動サンダーを使うなど、プロ仕様の様々な工具を子どもたちは次々に使いこなしていった。怪我をするのではないかとハラハラする大人の気持ちをよそに、子どもたちは実は慎重に道具を使うことを理解しているかのように、手元をじっと観察し、真剣そのものだった。子どもは道具を使うのが大好きで、その気持ちを尊重し、子どもを信じることの大切さを、大人が学んだワークでもあった。そして、子どもたちは大人と一緒何を体験をしたがっていることがひしひしと伝わってきた。
 出来上がったベンチは6台、一年生の身長を考え、低めのデザインとなった。出来上がったばかりのベンチに子どもたちは大満足、座り心地を確かめるようにみんなで代わる代わる座ってみたところ、「このベンチ涼しい!」と気づく子ども。「イチョウの木は水分を多く含んでいるので、乾燥するのに1年以上かかるほどで、だから座るとひんやりするんだよ」というガーデンティーチャーの話にじっと耳を傾ける。
 愛和小学校の校庭に何十本もあるイチョウの木、秋になると黄色に輝いてとても美しい風景を作ってくれるが、案外イチョウの木は子どもたちに人気がなかった。というのも、大量のギンナンを落とし、悪臭を放つ。臭い、臭いと嫌われていたイチョウの木だったが、この野外教室作りを通じて、子どもたちは捨てられる運命だった伐採されたイチョウの木が、野外教室やベンチとなって蘇ったことに、大きな満足感を覚えたようだった。
 もう1つのワークは、8月に作ったガーデンサインを完成させ、いよいよガーデンに取り付けることになった。合わせて、保護者と児童の協働で野菜の看板作りも行われた。大豆畑のコーナーにサインは取り付けられた。子どもたちの思い思いの粘土細工が可愛く色づけされ、オブジェのようなガーデンサインは緑色一色にガーデンに中でひときわ鮮やかだ。
 さて、この日は、野外教室の完成を祝って、ピッザパーティのランチとなった。学校に本物のピザ窯が運び込まれ、学校の中庭はまるでフェスティバルのような賑やかさ。「ここが学校なんて、すごいね!」と子どもたちは、ワクワクが止まらない様子。ピッザの作り方を指導してくれたのはイギリス人のマイケルさん、ドウの作り方レシピを黒板に描いてくれたが、その中の「愛をひと振り」というメッセージがとても素敵だった。子どもたちは、思い思いのピザを作り、焼いた。本当にうれしそうに、楽しそうに、夢中になってピザ作りに燃えた。最初の1枚は自分のために、そのあとはお世話になった人たちへ食べてもらおうと伝えたが、子どもたちはこの日、120枚ものピザを作り、焼き上げ、大人たちをもてなしてくれた。校長先生もお休みの中、駆けつけてくださって、代わる代わる校長先生にピザを運ぶ子どもたちの姿が微笑ましかった。
 そして、この日、とても素晴らしい出来事があった。実は8月の開催時に、チェーンソウを使用したことで騒音問題が勃発し、小学校の向かいの団地の方々に大変ご迷惑をおかけしてしまった。そのことで、その後学校、放課後クラブの関係者、私たちエディブル・スクールヤード・ジャパンとでお詫びに伺ったが、そのお詫びをした日、団地自治会の方々をピザパーティにご招待したところ、当日まで来てくださるかとても心配していたが、なんと、4人の自治会の方がピッザパーティに参加してくださったのだ。早速出来立てのベンチに座っていただき、お祝いの輪に加わっていただけたこと、心から感謝の気持ちでいっぱいになった。これからは、この活動がもっと地域の中に溶け込んでいけるよう、学校菜園がその集まりの真ん中になっていくことを願わないではいられない。

この日、子どもたちが学んだこと。
1、みんなで作ると色々なアイデアが浮かんでくる。
2、みんなで作ると早くできるし、楽しい、もっと作りたくなる。
3、プロの道具を使って、ものを作るのは面白い。
4、安全に道具を使うためには、手元から目を離さないこと。
5、野菜はあまり好きじゃないけれど、学校の野菜は食べちゃう。
6、学校のピーマンは甘い、生でも食べれちゃう。
7、ピザを作るには、材料の分量を正確に計ることが大事。
8、薪の火で焼いたピザはなんでおいしいんだろう、火ってなんだろう。
9、イチョウの木は座ると涼しい、水を含んでいるからだとわかった。
10、切られたイチョウの木が野外教室とベンチになって生き返った。
11、自分たちで作った野外教室とベンチを大切にしたい。