NO団体名主な企画内容
13 NPO法人里豊夢わかさ(福井県) 「生きる力を育む里山自然体験活動 ~里山丸ごと体験で、伝承されてきた子ども独自の文化をよみがえらそう~」
里山の自然にふれる農業・間伐体験、火おこし、秘密基地づくりなどを通して、自然の中で五感を働かせ、感性と創造性を育む。さらに、異年齢集団の活動ならではの知恵や行動を培い、子ども独自の文化をよみがえらせる活動。

速報レポート1 森のしごと体験

実施日 令和2年6月14日(日)
場 所 NPO法人里豊夢わかさ活動地 能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者 小学生5名 中学生3名 幼児0名 保護者8名  スタッフ6名 合計22名
スケジュール

9:00 のとのの里集合 施設の説明・活動内容・体調確認・スタッフ紹介
9:15 ピザづくり① ピザ生地作り
10:00 サツマイモの苗植え
12:00 ピザづくり② トッピング・石窯で焼く
12:30 昼食(ピザと焼きそば)・フリータイム
13:30 森のしごと体験
    ① 杉の間伐  ② 玉切り  ③ 薪割り  ④ 薪の収納
15:20 道具の片付けと後始末
15:30 一言感想・解散

活動内容

 雨も小康状態となり、9時過ぎに活動を開始した。参加者の半数近くが初参加であったため、会場説明や注意事項の説明にいつもより時間をとった。活動は、計画通りピザづくりからスタートした。朝7時の段階ではサツマイモの苗を植える畑は前夜の豪雨で冠水状態であったが、9時半過ぎにはほぼ排水でき、計画通り10時からサツマイモの苗植えを実施した。午後から「山のしごと体験」として間伐と薪づくりを行った。
 蒸し暑い中で、時折降る雨のため雨具を着用して活動する時もあり、さらに、マスクを外さずに活動している子どもがいるため、のどが渇かなくても30分おきに水分補給の時間をとった。

(1) 食に関する活動‥‥ピザづくり
 自分が食するものは自分で作る活動としてピザづくりを行った。小麦粉をこね、十分に発酵させた後、生地を伸ばしてトッピングを行う一連の流れである。最後の焼き上げる段階は、ピサ窯内の温度が350℃近くを維持管理することと窯全体が高温で危険を伴うため、子どもたちはピザ窯に近寄らないこととを守ってもらい、専門のスタッフに、一度に3~4枚のピザを焼いてもらった。
 昨年からピザづくり活動は、子どもたちの主体的な活動へと移行している。リーダーは自然発生的に出ており、今回は中学生3名が、お湯の計量と投入、ドライ―スト・塩・オリーブオイルの投入など、見事な連携で進めていた。初めてピザづくりに挑戦する子どもと大人への指導も中学生3名が行ってくれ、すべての行程で気を配り、簡潔でサラッとアドバイスを送っていた。小学校2年の子どもには中1の生徒がそれとなく面倒を見ていた。


生地作りの活動

活動中、気なることがあればすぐ話し合い、解決している

進み具合や生地の出来具合を見周り、必要に応じてアドバイスを送っている


初参加の2年生二人への指導をしている中1の生徒 手出しは控えて

焼きあがったピザを自分好みに切断

窯全体の高温を維持できるように火の管理をするスタッフ

(2) サツマイモの苗植え
 事前に借用する畑の3畝に炭堆肥を入れ、雑草を防ぐマルチで覆って活動に備えていた。朝7時の下見の段階でその畑は冠水状態であったが、9時半過ぎにはほぼ排水でき、予定通りのサツマイモの苗植えを実施した。植える苗は270本である。足元が悪く、泥のなかに靴がめり込むため、1本植え終え、次の1本を植えるために移動するのも一苦労していた。泥に埋まった長靴が抜けず、人の手助けで引き抜いてもらう様子があちこちで起こっていた。思った以上の重労働となり、時間もかかるため一畝だけにしてはという意見も出たが、相談の結果、「汚れたついで、全部植えてしまおう」という意見にまとまり、3畝、270本すべてを植え終えた。植え終えた後も大変で、長靴にへばりついた泥をまず竹べらでそぎ落とし、用水路へ移動し、水と川底の砂利で泥を落としていた。
 低学年の子も疲れて途中で投げ出すことなく、最後までしっかり活動してくれた。初参加の子どもたちにとってはやや過酷な体験となったが、「えらかったけど、楽しかった。10月は大きいいもをほりたい。」と話してくれ、秋の収穫を楽しみにしていた。


270本の苗植えに取り組む

水がまだ残った状態の畑でサツマイモの苗植え

靴が泥にめり込み、容易に抜けず、次に植える隣へ移動もままならない


3畝、270本の苗を植え終えた

靴底にへばりついた泥を用水路で洗い流すのも一苦労

(3) 森のしごと体験
 サツマイモの苗植えに時間をかけ過ぎたため、森のしごと体験の間伐は中学生に、薪づくりは小学生にと、2つの活動を並行して行った。
 事前に準備をしておいた間伐予定地は斜面であったが、、前夜の雨で足場を固めようとしてもずっていくため安全に伐採活動ができないため、山の持ち主の許可を得て平地の杉の間伐を行った。マダニ対策のため、新しい間伐地一帯の草刈り(主に笹)を行い、3人がそれぞれ1本ずつ伐採を行った。伐採した木は、枝を切り落とし、運べる長さに切断して山から引きずり下ろした。この間伐材は、乾燥後、11月の活動で薪づくりの材料ととして活用することとしている。
 小学生は、昨年秋に伐採し、乾燥しておいた間伐材と雑木の玉切りと薪割りを行った。初めてのこぎりを手にした初参加の2年生には細い木をあてがったが、固く、切るのに苦労していた。切り終えた後のヤッター感でニコッと笑顔を見せてくれたのが印象的であった。薪割りは、昨年度まで油圧式薪割り機を使用していたが、自分の力で割ったという満足感を得ることが出来ていなかったため、新たに購入したキンドリングクラッカーを使用した。これが正解で子どもたちの関心は高くなり、割った後の満足感もしっかり味わっていた。最初、低学年は木づちを使って割っていたが、高学年がカケヤを使って一撃で割っている様子を見て、挑戦し始めた。重いカケヤを振り上げると最初ふらついていたが、コツをつかむと次から次へと割って楽しんでいた。自分が割った木は、自分で薪小屋に運んで積み上げていった。使用した道具を全員で数を確認し、片付けて終わった。この薪は、冬の体験活動時の燃料として使用することとしている。


間伐により、伐採された杉の木が倒れて行く瞬間 見事狙った位置へ

伐採した間伐材の枝を切断

伐採した間伐材を切断し、山からロープを使って広場へ搬入


初参加の2年生、昨年間伐した杉の丸太の玉切りに初挑戦 結構様になっている

初参加の2年生、初めてののこぎり使用で丸太を切断し、ニッコリ

玉切りした丸太をキンドリングクラッカーで薪割り 重いカケヤにふらつきながらも挑戦

活動を振り返って

 4・5月開催に予定していた体験活動は、いずれもコロナ感染拡大により中止を余儀なくされた。6月の活動は、当初計画は「秘密基地づくり」であったが、今後の活動を考慮し、5月の活動内容をそのままスライドして実施した。
 自粛解除後の活動であったが、集団活動で密になることを懸念され、参加者は少なく、さらに追い打ちをかけたのが開催日前夜から明け方にかけての集中豪雨で、当日欠席の連絡も入る状況下での活動となった。
 活動は、雨による足元の悪さがでサツマイモの苗植えで予定よりも多くの時間を要したが、参加者の協力で計画した活動はすべて実施することができた。
 コロナウイルス感染拡大による長い臨時休校と自粛の影響は大きく、参加者の中には、親子べったりで、これまでの活動時と異なる親のお節介と子どもの親への甘え・依存が見受けられた。それも、ピザづくり入ると親の手だしはなくなり、子どもは親から離れ、活動に熱中していた。また、事前に受け取ったメールなどから子どもたちの生活リズムが乱れていることとストレスが溜まっていることが知らされた。自然にふれる体験活動が規則正しい生活リズムの立て直しとストレス発散に繋がると信じて活動を行った。特に薪割りは、ストレス解消に効果があったようで、子どもたちは活動に夢中になり、そろそろ終わりにしようかと呼び掛けても、「もう少し‥‥」とか「もう一本割るまで待って‥‥」という言葉が返ってきた。薪割りが終わった後、割った薪を片づける際、「こんなに割ったよ」と満足して薪を片づけていた。
 子どもたちの多くは、自分たちがつくった薪がどの様な役割を果たしているのかはまだ理解できていないと思うが、今後、回を重ねるごとに、バイオマスと純化型社会に対しても視野を広げ行ってくれるものと信じている。
 月曜日、学校で疲れが出ないかと心配するほどがんばりであったので終わりのあいさつで、「今日は、早めにお風呂に入り、早めに晩ご飯を食べ、いつもより早く寝て、しっかり疲れをとって、明日は元気よく学校へ行こう」と話した。早く寝て早く起きる生活リズムを整えることの大切さも最後に参加者にお話した。
 活動は、コロナ対策を考慮しながらで多くは望まなかったが、体験活動を通して自然への興味・関心を持ち、自然を身近な存在にすることはできたと判断している。

活動後、初参加の親からいただいた感想

「里山でこんなに楽しい、充実した活動ができるとは思ってもいませんでした。子どもの生き生き活動している姿を久しぶりに見ました。感動です!私にとって初めてのことばかりで、子ども以上に楽しませてもらったかもしれません。次回も参加します。」(小2女児 母親)
この母親の情報発信で、7月の活動参加申し込み者が3倍強も増加している。



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速報レポート2 水あそび
速報レポート3 秘密基地づくり

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