NO | 団体名 | 主な企画内容
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NPO法人里豊夢わかさ(福井県) |
「生きる力を育む里山自然体験活動 ~里山丸ごと体験で、伝承されてきた子ども独自の文化をよみがえらそう~」 里山の自然にふれる農業・間伐体験、火おこし、秘密基地づくりなどを通して、自然の中で五感を働かせ、感性と創造性を育む。さらに、異年齢集団の活動ならではの知恵や行動を培い、子ども独自の文化をよみがえらせる活動。 |
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速報レポート2 水あそび
実施日 令和2年日年7月19日(日)
会 場 NPO法人里豊夢わかさ活動地 能登野地籍里地里山「のとのの里」と串小川上流
参加者 小学生25名 中学生1名 高校生1名 幼児5名 保護者25名 スタッフ7名 計64名
スケジュール
9:00 「のとのの里」集合‥‥受付け・健康確認(検温と体調確認)
活動に対する注意事項と活動内容変更の説明
9:30 竹細工‥‥ソーメン用器・マイカップ・マイ箸づくり
11:50 昼食‥‥ソーメン
フリータイム‥‥自由遊び
〈川へ移動〉
13:30 水あそび‥‥川あそび 魚とり 魚釣り スイカ割り
15:50 現地解散
活動内容
ほぼ2週間振りの晴天に恵まれたが、集合時には既に気温29℃、湿度80%越えで、少し動いただけで汗ばむ環境となったため、コロナ対策に加え、熱中症対策として日陰の利用とこまめな水分補給をお願いした。
今回の活動内容は、午前中は「のとのの里」で自然素材である竹の有効利用で、昼食時に使用する食器などを作る活動を行った。昼食後、30分ほどのフリータイムを設け、その後、約2.6km離れた串小川へ移動し、水あそびを行った。今年は、参加している子どもたちの学校ではプール授業がなくなり、夏季休業中のプール開放も行われないとのことで、解放感を味わい、水あそびを満喫してもらいたいという思いで活動を行った。
(1) 竹細工...ソーメンを盛る器・つけだし汁を入れるカップ・マイ箸を作る活動
昼食時に自分が使用する食器などを竹を利用して作る活動である。活動案内には、同じく竹の利用として、昔の遊び道具である水鉄砲づくりを入れていたが、コロナ対策と竹挽きのこぎりが12本しか準備できなかったことなどからカットした。結果的に、子どもたちが最も楽しみにしていた水あそびの時間がしっかり確保できたことから良い選択であったと判断している。
のこぎりを使った経験のある子どもは約3分の1であったが、協力し合って器となる部分を切り出していた。幼児も親やスタッフが手を添える場面もあったが、最後だけは自分で切り落とし、満足していた。切り出した器は、切断面のささくれによるケガ防止のため布やすりで磨いて滑らかにしていた。
一番手間取っていたのがマイ箸づくりである。竹を割って2本の竹の棒を作り、ナイフで箸の形に成形し、最後に布すりで磨いて仕上げていくのであるが、ナイフ使用経験者が少なく、うまく削れずに手間取っている子が多かった。主に早くできた子どもたちが手分けをして、遅れている子どもたちを手助けしてくれたおかげで全員マイ箸を仕上げることが出来た。最後の磨く段階は、人手を借りず納得できるまで自分で行っていた。
ほとんどの参加者は、自分が作って使用した器や箸を家でも使うということで持ち帰った。
竹の切断活動の場所は、日陰を求め、密になることも考慮し、何度も移動していた。
しっかり動かないよう竹を押さえてもらい、幼児以外は最初から最後まで、自分の力で切断していた。
お父さんのサポートで、輪切りにした竹をなたで割り、箸づくりの第一段階である2本の棒を作っている。
黙々とナイフで竹を削り、マイ箸を作っている。やや密状態になったが、会話はなく、全員が緊張感をもってナイフを使っていた。
マスクをはずしてマイ箸づくりに熱中している1年生。集団から離れた場所に移動し、のどが渇くとお茶を飲み、黙々と取り組んでいた。
でき上がったった1家族4名分の食器類である。父親の器だけ少し凝っている。
(2) 昼食...ソーメン
計画では、昼食は流しソーメンで、その準備をしてもらっていたが、コロナが再び拡大傾向になっているなか感染の心配はもとより子どもたちの教育のためにも問題があると判断し、取りやめることとした。。それに代わって、各自が竹細工でソーメンを盛る器を作り、その器にスタッフが一人前ずつ盛ることとした。
多人数のソーメンを茹でるために薪ストーブと炉を設置し、スタッフに対応してもらった。高温多湿の中、マスクをしての作業であるため、水分補給は十分すぎるほどとってもらった。茹で上がったソーメンは荒熱とぬめりを取る氷水にいれ、続いての氷水で洗い、冷やす過程を経て、各自がつくった器に盛ってもらった。この作業ために大量の氷を必要としたが、参加者が各家庭で作って持参してくれた牛乳パック2本の氷で賄った。
食事場所として、カウンター席を三か所設置し、対面での食事を避けるようにした。やはり里山の自然のオゾンに包まれた野外での食事は、美味しさが倍増し、食欲旺盛となり一人当たり2人前で用意したソーメンをきれいに食べつくしてもらった。
なお、地域の農家の方からチソとネギを薬味として差し入れてもらったのはありがたかった。
薪ストーブを使ってのソーメン茹では、高温多湿のなか、マスクをしての作業でとても過酷な作業となった。
茹で上がった麺は、まず氷水でぬめりと荒熱をとり、次の氷水で冷やして参加者の器に一人前ずつ盛り付けてもらった。
ソーシャルディスタンスを意識して、ここでも間隔をあけて並んでくれていた。
カメラを向けると、「おいしい!」とソーメンを食しながら思わず笑みがこぼれるアコちゃんとおじいちゃん。
対面での食事を避けるために新しく設置したカウンター席で冷たいソーメンを食する子どもたち。
(3) 水あそび
ここ数年利用している水あそび場は、手狭で、幼児には不適であったため、新たな水あそび場を探した。幸い参加者の一人から幼児にも安心で、多様な水あそびができること、さらに監視も容易な場所が身近にあるという連絡を受け、串小川の上流を案内してもらった。そこは、駐車場とトイレを借りることとなったお寺から鬱蒼とした林道を歩いて15分ほど先にあり、トンネルを抜け出たように急に開け、川幅も小川にしては広く、河原もある。清流で、川あそびや魚取り、釣りまで楽しむことができ、子どもたちの水あそびの場としては最適の場である。その場で集落へ許可申請を依頼し、水あそび場として利用させてもらうこととした。
活動日前々日の豪雨により、川の水は少しの濁りがあったが、他は問題なく、予定通り2時間ほど水あそびでを行った。安全を期するため、参加してくれた高学年の保護者の協力を得て、監視位置についてもらった。
水あそびの幕開けは、水かけから始まり、体を冷たい水に馴染ませていた。幼児は水に親しむために親に連れられて川の浅瀬に入り、冷たい感触を楽しんでいた。救命胴衣を着けた低学年の子どもたちは、やや流れが速い、腰ぐらいの深さの場所で川の流れに身を任せる「人間いかだ」を楽しんでいた。
川あそびを堪能した後は、魚釣りと魚取りに夢中になった。この川は 毎年アユとヤマメが義務放流されている川であるため、子どもたちが魚を釣ったりとったりする許可を事前にいただいた。ただ、このような魚は子どもたちが手にしている道具では難しく、釣ったり、網ですくってとった魚はカワムツだけであった。それでも子どもたちは十分に満足していた。場所を離れる際には約束通りとった魚をすべてリリースしていた。
活動の最後に広場でスイカ割りを楽しんだ。割ったスイカをほおばり、川へ向かって種飛ばし競争を行っている子どもたちもいた。
まだ、あそび足りない子どもたちがいたが、利用した場所にゴミなどが落ちていないか見て回り、閉会式を行った。
駐車場から15分ほど川沿いに林道を歩いていくと、いろいろな水遊びに対応できる空間地が現れる。(Google Map写真)
水あそび開始の合図で始まった入水後の儀式である水の掛け合い。奇声をあげ、はしゃぎ、次第に体を水に馴染ませていた。
救命胴衣を身に付けている子どもたちは、浮いて川の流れに身を任せたり、泳いだりと川あそびを楽しんでいた。
目でも確認できるほど魚が多く、魚を追い込んで網ですくいとっていた。
流れが緩やかな淵では、釣りを楽しむ子どもたちが集まった。魚肉ソーセージがえさであるため、釣れたのはカワムツだけで、中には掌サイズも釣っていた。
水あそびの最後にスイカ割りを行った。棒を握って構えている姿が様になっている子は剣道を習っている子どもたち。見事にスイカをたたくと拍手喝采である。
(4) フリータイム
昼食後、今回も子どもたちが自由に遊ぶ時間を確保した。子どもたちが自分の意思で自然に触れたり、関心を持っていること、自分のやってみたいことに気兼ねなく取り組める時間である。
昼食が終わると、思い思いに子どもたちは散らばり、いくつかのグループが生まれている。草わらに入り虫とりに夢中になっているグループを見ていると楽しくなってくる。虫を捕った子が大声でそのことを告げるとその声にみんなが集まり、捕った虫を観察し、その虫について子どもなりの評価が始まる。その中に物知りの子がいて、虫に関する情報を伝え、さらに虫捕りの意欲を掻き立てている。
他にも通常のブランコ遊びで物足りず、二人乗り、三人乗りなどいろいろ試して楽しんでいたり、その横では登りロープでステーの梁にタッチを試みている子どもたち、クヌギ並木で樹液が出ている木をチェックしている子どもたちがいた。この樹液をチェックしていた子どもたちは、クワガタやカブト虫を後日捕りに来る許可を求めてきた。僅か30分程度しか遊び自由遊びの時間が取れなかったが、それぞれが自分のやりたいことができたようで、満足していた。
最近は、異年齢の子どもたちがこのように集まり、一緒に外遊びを楽しむ機会がほとんどなくなっているようであるが、小さな活動でも遊びの楽しさを共有でき、年上の子が持っている情報や知恵を伝える貴重な場となる。フリータイムは、遊ぶ仲間がいるから楽しさが倍増していることが実感でき、生きる力を育む貴重な場となっている。
草はらに入り、虫捕りをおこなっている子どもたち。まだしっかり羽が生えていないコーロギなどを見つけると宝物を見つけたように騒いでいた。
ブランコに興じるこどもたち。順を決めて乗っていたが、二人乗り、三人乗り、‥‥それも体勢を変えて楽しんでいた。
小さい子どもも声援を受け、登りロープで梁を目指して頑張っていた。2つの登りロープを使い、競争も行っていた。
活動を振り返って
度々大雨注意報が出るなど雨天が続いていたが、奇跡的に19日は晴天となり、野外での自然体験活動が予定通りできたことがありがたかった。
活動日前々日の県内におけるコロナ感染の報道があったその日に19名の欠席連絡が入り、参加者がいなくなるのではと不安に駆られたが、それ以上は増えず活動実施を決めた。ただ、参加者の多くは不安を抱えての参加と思われるため、感染対策と活動の進め方を再検討した。感染対策として、受付け時に非接触型体温計を使って体温を測定し、健康確認を全員行った。マスク、使い捨て手袋、消毒液などを準備し、会話の際はマスクを付けることとソーシャルディスタンスを守ることをお願いした。しかし、活動が始まると子どもたちは固まって行動するため親の協力を得て、3密をさせるようにしてもらった。しかし、水あそびでは、注意を促しても、すぐ普段の遊びのスタイルになっていた。自然に溶け込み、はしゃいでいる様子を見ていると、次第に注意喚起が疎かになってしまったようである。これは、9月の活動の在り方の課題となった。
今回の活動でもコロナによる長期の臨時休校・自粛の悪い影響が見受けられた。活動に30分以上遅れて父親に無理やり連れて来られた子どもがいたが、その期間中にゲームづから抜け出せなくったようである。親からは、生活習慣立て直しのきっかけにしたいという思いで参加申し込みをしたと聞かされたが、到着後、1時間以上「家に帰りたい。」と泣きわめいたり、親に体をぶつけたりと活動に参加することなく親に当たっていた。前回の活動で見受けられた親子べったりの様子は今回も見受けられ、長期自粛の影響は深い傷のように残っていると思われる。ただ、いずれの子どももフリータイム以降は、元気に動き回り、表情も明るくなり、活動を楽しんでいた。ここに解決の糸口がありそうで、閉会式で、夏休みに入り、少しの時間でもよいから自然の中で遊ぶ機会を持ってもらうことをお願いした。
今回の活動に中学生と高校生の姉妹が参加してくれたが、この二人が最初に参加してくれた時の年齢は、2歳と5歳で以降10年間、ほぼすべての活動に参加してくれており、ガキ大将の素質をもった姉妹である。気が付くと乳児をあやしていたり、幼児と一緒に遊んだり、子どもたちへそれとなく適切なアドバイスを与えるなどを行ってくれている。面倒見がよく、気が利き、後片付けなども率先して行ってくれたおかげで、他の子どもたちは真似をして片づけを行ってくれていた。とても頼りがいのある姉妹で、子どもたちからは慕われている。
参加人数が増えることはそれだけ気になる子どもも増えているのが現状である。そんな中でのコロナ対策を考慮しながら行う体験活動は、神経をすり減らすことにもなり、活動後、高齢スタッフの一人が「10年以上活動に参加していて、今日ほど疲れたことはなかった」と漏らしていた言葉は重く響いた。子どもたちが当たり前のように、気兼ねなく触れ合い、思いっきり自然を楽しむことができる日が早く訪れることを切望した体験活動であった。
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