NO団体名主な企画内容
13 NPO法人里豊夢わかさ(福井県) 「生きる力を育む里山自然体験活動 ~里山丸ごと体験で、伝承されてきた子ども独自の文化をよみがえらそう~」
里山の自然にふれる農業・間伐体験、火おこし、秘密基地づくりなどを通して、自然の中で五感を働かせ、感性と創造性を育む。さらに、異年齢集団の活動ならではの知恵や行動を培い、子ども独自の文化をよみがえらせる活動。

速報レポート3 秘密基地づくり

実施日 令和2年9月13日(日)
会 場  NPO法人里豊夢わかさ活動地 福井県若狭町能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者 小学生9名 中学生1名  保護者6名  スタッフ7名 計23名
スケジュール

9:00 「のとのの里」集合‥‥受付け・健康確認(検温とマスク確認、体調確認)
    活動に対する注意事項(特に道具使用について)と活動内容変更の説明
9:20 竹飯ごう・マイ箸づくり
10:00 炊飯準備:米とぎ、飯ごうで水に浸しておく(60分程度)
10:20 火おこし体験‥‥ファイアスターター(マグネシウム火打石)で繊維くずに着火し、その種で焚火、「「竹飯ごう炊飯」」へとつなぐ 
11:00 炉で「竹飯ごう炊飯」
11:50 昼食:焚き上げたご飯とチキンラーメン
13:00 ロープワーク
13:40 秘密基地づくり(ステージ作り)
15:00 後片付け、一言感想、解散

活動内容

子どもたちが自然との共存や自然環境を考え、生きる力を身に付けることを目的とした自然体験活動であり、子どもたちが協力し合い、自然の素材を生かす実体験活動である。今回は、家庭で行うことが困難な焚火や「竹飯ごう炊飯」、秘密基地づくりを楽しく体験する活動である。
(1) 自然素材である竹を利用して飯ごうを作り、焚火でご飯を炊く野外料理活動である。
(2) ファイアスターターを使って火をおこし、その火で「竹飯ごう炊飯」を行う活動である。
(3) 木立を利用した秘密基地づくりで、子どもたちの冒険心をくすぐる活動である。
(4) 異年齢集団で子どもたち創造性を高め、協力し合って取り組む活動である。
(5) 秘密基地づくりのアイテムとしてロープワークを習得し、竹を固定してステージをつくる活動である。

(1) 竹で「飯ごう」づくり
前日に伐採してきた青竹を利用して「飯ごう」を作った。
① 太い竹の2つの節を残して両端を切断する.
② 飯ごうを炉に固定するために両端に切り込みを入れ、取り除く
③ 米をいれるところを切り抜き、蓋を作る
これらの活動を子どもたちはお互いに協力し合って行っていた。炉にかける部分が安定していることや米を入れる部分が水平になるように何度も確認し調整したり、火にかけたとき蓋が縮小して落ち込んだり、ずれないように蓋になる部分を斜めに切断するなど細やかな活動であったが、全員自分の飯ごうを作ることができた。


竹が動かないように押さえ、確認し合って太い竹を切断

蓋となる部分を斜めに切りとる小2女児。竹の固定は二人がかりで

炉に固定する両端の切込み部分にあてたナタを金槌で叩いて取り除く

(2) 火起こし
① 火打ち石で麻ロープ繊維に着火し、火種を作る
② その種火で焚火をつくる(落ちている杉の葉や杉の小枝を利用)
③ 各自が作った焚火を「竹飯ごう炊飯」を行う炉に集める
 火おこし体験といえば、これまで舞切り式火おこし器を使っていたが、参加している子どもたち10名の中7名が小学2年生であるため、ファイヤースターター(マグネシウム火打ち石)を使って火おこし体験を行った。この活動は、単に着火体験や焚火体験ではなく、着火から「竹飯ごう炊飯」までつなげていった。


マグネシウムの「ファイアスターター」を利用して麻ロープに着火

着火した火種を元に焚火まで火を大きくすることができ、満足のピースサイン

各自がつくった焚火を炉に集め、「竹飯ごう炊飯」の準備完了

(3) 「竹飯ごう炊飯」
① 1合のコメを器に入れもらい、水で簡単に研ぎ、米をこぼさないようとぎ汁を切る
② 竹飯ごうに米を入れ、炊きむらにならないよう水入れて平らにならす
③ 60分ほど水に浸した後、竹飯ごうを炉にもっていき、炉に載せてもらう
中学生1名以外の子どもたちにとって初めて取り組む活動であるため、スタッフが活動内容について説明した。米粒一粒一粒を大切にすることから、竹飯ごうを炉にかけるまでの流れと注意することを説明した。
子どもたちは一つ一つの活動を確認したながら慎重に取り組んでいた。竹飯ごうを燃えている炉に載せる際は、断熱手袋をしたスタッフが子どもたちから受け取り、炉に並べて行った。子どもたちはご飯が炊けていることを臭い嗅いで感じっとっていた。炉の火を落とし、しばらく蒸らした後、炉から下ろして竹の蓋をとると見事にふっくらとご飯が炊きあがっていた。昼食時、竹の香りも入ったご飯に大満足していた。


器の中に入れた米を水で軽く洗うように研ぎ、研ぎ汁を注意深く流す

研いだ米を竹飯ごうの中に慎重に移し入れ、手で平らに

焚火の炉に載せた竹飯ごうから出てくる臭いを嗅いで中の様子を想像


炉から下ろして並べられた竹飯ごう。まだ熱いため、自然に冷めるのを待つ

蓋を取って、まず炊き立てのご飯を一口。思わず「うまい!」

昼食は、炊き立てのご飯とチキンラーメンで、美味しさにみんな笑顔に

(4) ロープワーク
① 竹を土台に固定するために「とめ結び」を習得
② 短い紐2本を結び、長い紐にするために「本結び」を習得
秘密基地づくりに使用するロープワークをスタッフから学び習得する活動である。学んだ結びは、「とめ結び」と「本結び」で、即、秘密基地づくりに活用する技である。子どもたちは何度も結び、ほどいてを繰り返してその技を習得していった。


みんなの注目の先は、竹を固定するために必要なロープワークを披露する指導者の手元に

習ったばかりのロープワークを試行錯誤を繰り返しながら自分のものに

「本結び」をすっかりマスターしたアコちゃん。この習得した技でステージ作りに大活躍

(5) 秘密基地づくり
① 竹を秘密基地に運び込み、土台にのせる
② 習得したばかりのロープワークを駆使し、協力して土台の上に渡した竹を順にロープで固定する
③ 作り上げたステージの部分にのって出来栄えを確認する
秘密基地の土台となる材は、昨年秋の「森のしごと体験」で伐採した杉の間伐材を利用した。十分に乾燥しきれていない重い材であるため、事前にユニックで吊り上げ、ロープで固定しておいた。ステージとして敷き詰める竹も昨年伐採し、乾燥させておいたものを使用した。
 活動の最後にそのステージに全員がのり、自分たちの活動の結果を確認した。崩れないか心配そうにしていた子もいたが、慣れてくると飛び跳ねる子も出てき、「早く全部並べてここで遊びたい」と次への活動意欲につながったようである。まだ、全体の10分の1程度の仕上がりであるが、今後、フリータイム等を利用して徐々に仕上げていく予定である。


昨年12月に伐採し、乾燥しておいた竹を運びだし、土台の上に載せて行った

ステージの上と下と協業。ロープで土台に竹を固定していく

一部ではあるが、竹を固定した部分に全員がのって、出来栄えを確認

活動を振り返って

 新型コロナに振り回されるのは、致し方がないことであるが、今回は最大のピンチであった。福井県では8月下旬に入るとコロナ感染者数が第一波をはるかに超え、日々、感染者数過去最大が更新されていき、ついに8月28日、「感染拡大警報」が発表された。既に20家族から活動参加の連絡を受けていたが、警報発表、そして幼児や小学生の感染が報道されると参加キャンセルの連絡が次々と入り、参加表明してくれたのは1家族2名のみとなった。活動実施が困難な状況に追い込まれたが、ブログに書いた窮状を見たある母親の働きかけで9月の第1週に1家族3名、第2週に3家族11名の申し込みが入り、活動可能にしていただいた。
 今回の活動内容は、火おこしや焚火、飯ごう炊飯、秘密基地づくりなど、いずれも普段の生活環境では不可能な活動である。
 午前中は「竹飯ごう炊飯」をメインとした体験活動で、まず、青竹で飯ごうと箸をつくった。のこぎり使用は、2回目という子どもが多く、抵抗はなかった。子どもたちが苦労していたのが竹飯ごうを炉に載せたとき、ガタガタしないよう安定させることと炉に置いたとき米を入れる部分が水平になるようにすることである。子どもたちは、竹飯ごうをブロックに載せて不備なところを確認し、修正を加えていた。そのまなざしは真剣で、さながら職人さんである。
 炊飯に向けての次の活動は、一人ひとりが火おこしから焚き火に、その焚き火を集めて炉で炊飯を行う活動である。子どもたちにとっては初めての体験活動であり、特に火おこしは興味をもち、何度も行っていた。火種を作っても焚火まで持っていけない子どももいたため、次の火おこしの活動時は、割りばしでフェザースティック作りも活動に加えたいと考えている。

「竹飯ごう炊飯」に関する活動最後の「一言感想」から
「自分でご飯が作れると思ったことがなかったのでうれしかった。また、いろいろな物作って食べたい。」(小2女児)
「こんなんで(こんなもので‥‥竹で)ご飯ができるとは思っていなかった。うまかった。」(小2男児)
「燃えているところに竹を入れたら燃えてしまうのにと心配したが、焦げただけでご飯ができてびっくりした。今までで一番おいしいご飯でだった」(小2女児)

 今の子どもたちには外遊びと同様、ぜひ体験させたい有意義な活動であると思っている。。
 午後のメイン活動である秘密基地づくりは、活動広場を見渡せる杉林で行い、拡大の可能性を持っている。この場所は昨年9月の体験活動「秘密基地づくり」の話し合いの中で、子どもたちからのスケールの大きい秘密基地を作りたいという要望を受け、新たに借用した杉林である。子どもたちが立てた構想は、杉の木4本を利用して見晴らし台となるステージを作り、その上に小さな小屋を作るというものある。その構想実現に向け、既に、ステージの土台となる材木は、昨年11月に実施した体験活動「里山の冬支度」で子どもたちが杉の間伐を行い、乾燥させており、ステージづくりに使用する竹も昨年、伐採に最適の12月に30本伐採し、乾燥させておいた。土台となる間伐材はユニックで吊り上げ、杉の木立に固定してあり、今回の活動では、竹を使ってステージ作りである。子どもたちは、習得したロープワークを使って順に竹を固定していったが、わずか10分の1程度の仕上がりであった。今後やり方を工夫していくことと昨年の倍以上の竹を伐採する必要がある12月に伐採することを計画している。基地づくりの最後に竹を敷き詰めた部分に上って、仕上げ度を確認した。子どもたちは完成したステージを想像し、「みんなでお昼寝したい」とか「暑くないからここで遊びたい」とか、ステージ完成へ向けての意欲が高まったようである。一つの継続活動として今後、フリータイムなどを利用して完成にもっていきたい。子どもたちの想像力を生かし、子どもたちにとって身近なあそび場の一つになることを願っている。
 今回の活動をまとめると、子どもたちは、里山の自然の中で頭を働かせ、体を動かし、一つ一つの活動に真正面から取り組んだ良い体験活動であったと評価している。。
 今回の体験活動を終えたその日の夜にある親からメールが入ってきた。
 「何から何まで、大変お世話になり有意義な時間を子供達と過ごす事が出来ました。家では『ゲーム!ゲーム!』と言っていた子供の笑顔が何よりも自然の素晴らしさ、自然の中で活動する心地よさを物語ってくれていました♪‥‥。(略)」
 長期にわたるコロナ自粛生活で失っていた外遊びの楽しさを再認識し、乱れた生活リズムの見直しのきっかけになることを願っている活動でもある。


速報レポート1 森のしごと体験
速報レポート2 水あそび
速報レポート3 秘密基地づくり

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