NO団体名主な企画内容
37 NPO法人 自然回復を試みる会・ビオトープ孟子(和歌山県) 「日本ユネスコプロジェクト未来遺産運動」
日本ユネスコ協会連盟主催第1回プロジェクト未来遺産登録地の海南市孟子不動谷において、自然体験・環境教育・調査研究活動「未来遺産運動」を行う。子どもたちが生きていく上で必須の様々な能力を育む活動。

速報レポート4

実施日時 令和2年10月3日(土) 10:00~14:30
集合人数 8名

ベニトンボ雌(とんぼ科)


未来遺産運動の一環として、和歌山県立向陽中学校理科部の皆さんによるとんぼ池周辺の寮生爬虫類を中心とした動物調査活動を行いました。参集した生徒の皆さんは総勢8名。とんぼ池、炭窯周辺をセンサスし、出現した両生爬虫類を記録しました。両生類調査後、1名の生徒が、自由研究のデータ所得のため現地に残り、孟子不動谷のトンボ相調査を行いました。

(当日確認できた両生爬虫類)
アカガエル科  ニホンアカガエル(和歌山県RDB絶滅危惧Ⅰ類)成体
        トノサマガエル(和歌山県RDB準絶滅危惧種) 成体・上陸亜成体
        ヌマガエル   成体・上陸亜成体
        ウシガエル   上陸亜成体
カナヘビ科   ニホンカナヘビ 成体・幼生
ナミヘビ科   ヤマカガシ   幼蛇・成蛇
        シマヘビ    成蛇

ニホンアカガエル(アカガエル科)の上陸亜成体が全く見られなくなりました。当日採取できたニホンアカガエルは大型の立派なメス成体3頭のみでした。ニホンアカガエルは、上陸すると、孵化場所であるとんぼ池周辺から離れ、林内に移動するようです。かわってとんぼ池周辺には、来年2月の産卵に備えて、生殖能力のある成体が産卵待機のために降りてくるのです。今回調査エリアをとんぼ池周辺に絞っているので、そこで採取できる個体のステージを記録することで、各ステージ毎の季節による移動状況をデータ化することができそうです。今後の課題は上陸亜成体がどんな風に行動圏を広げていくかですが、この課題は次回両生爬虫類調査を行う5年後に調査方法を工夫することにより解明できればと考えています。
トノサマガエル(アカガエル科)は、今回の上陸亜成体・成体とも確認できました。トノサマガエルについては、生殖活動後もとんぼ池周辺で残留する成体もいると同時に、上陸亜成体もとんぼ池周辺にとどまる個体が多いようです。
ヌマガエル(アカガエル科)については、今回の調査においても、体長1cmほどの上陸したての亜成体を採集することができました。ヌマガエルは、トノサマガエル以上に産卵時期の分散が見られるようです。
今回ヘビの確認数はシマヘビ1、ヤマカガシ1と少なかったですが、体長1mを優に超える大型のシマヘビ黒化タイプが採集できました。孟子でこのサイズのシマヘビを見たのは初めてのことでした。ヘビの大型個体が確認できるのは、長生きする個体がいるということで、里山環境のポテンシャルの高さを指標するものです。
トカゲ類は、今回ニホントカゲが1頭の採集することができませんでした。今回1頭の採集できなかったことは、彼らの1年の生活史を解き明かす「ヒント」になるかもしれない事象なので、大事にデータを保存しておきたいと思います。ニホンカナヘビについては、幼生が多く採取できましたが、立派な成体が1頭採取できました。
午後のトンボ相調査では、9月まで確認できた夏のトンボの個体数は一気に減少し、ネキトンボ、コノシメトンボ、リスアカネ等のアカトンボ類(Sympetrum)や、秋に産卵を行うオオアオイトトンボ(アオイトトンボ科)など、秋に確認できる種類に変化していることが確認できたようです。
とんぼ池では、2019年に参入してきた熱帯性の種・ベニトンボ(とんぼ科)が多く確認できました。翅の色が「ショッキングピンク」に変化した立派な成熟雄個体が2頭縄張り占有行動を行っており、その周辺に雌個体2頭、雄未成熟個体1頭が見られました。とんぼ池の限定されたエリアに、5頭の成虫が確認できたのは初めてのことです。今日の状況をみると、ベニトンボは孟子不動谷に完全に定着した様子です。



速報レポート1 向陽中学校理科部漁政爬虫類調査
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