NO団体名主な企画内容
39 菊炭友の会(兵庫県) 「牧の台小学校「里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-」」
川西市の「黒川・桜の森」でコナラとクヌギを通して、自然への関心を高める自然体験活動。クヌギの植樹、里山の観察、里山の手入れなどをおこなう。

「里山体験学習 −クヌギを通して里山を知る−」 里山のクヌギからの恵みを味わう [10/20]

日  時:
場  所:
参加者:
2008年10月20日(月)8:50〜14:30
川西市黒川・桜の森、黒川公民館、今西農園
3年生児童82名、教師4名、保護者13名、指導者16名(菊炭友の会)
 <活動の背景>

前2回の体験学習では、校庭でドングリから育てたクヌギを里山に植樹し
その成長を見守る過程を通じて里山への理解を深め、
植物と動物の関係や植物間の熾烈な生存競争を観察してきた。

今回は、里山体験活動の最終回でもあり、もう一度、森を良く見ておくこと。
里山と人との関係を知るために、成長したクヌギが人間に与えてくれる恵みとして
クヌギを原木にした炭(菊炭)のこと、クヌギを利用したシイタケ栽培を学び収穫し、炭火で焼いて試食する。
そして、里山を守る活動の一端とし、密生し森を暗くしているヒサカキの除伐作業を体験することとした。

黒川・桜の森に来るのが3回目ともなると、児童はすっかり慣れ
朝、入り口で迎えていると「おはようございま〜す」と叫びながら駆けこんで来た。
「きのうから、胸がワクワクしていた」など、嬉しいことを言ってくれる。
「山は気持がいい」「いい匂いがする」「学校よりおもしろい」と山にいることにとても満足げであった。


  (昼も暗いヒサカキ密生地/木が倒れると、サッ〜と光がはいる/木を伐るのに悪戦苦闘)
 <森の観察とドングリ拾い>

ドングリという名の木があると思っていた児童が大半。
ドングリにもいろんな種類があることを、標本を見て知る。

「ドングリは食べられるか?」の問いに
「食べられる!」「マテバシイ食べたことある!」と元気に答える子もいる。
ドングリ拾いには少し遅く ガッカリした児童も、バケツに沢山のドングリのプレゼントに大喜び。
このドングリは学校に持ち帰り、マイドングリとして自分の植木鉢に植え育てる。
その苗木は今の1年生が3年生になった頃、桜の森に植樹に来る。
こうして、クヌギの植樹は先輩から後輩へ受け継がれて行く。


  (ドングリの標本/森を歩いて観察/鹿に喰われてる)

ホウ葉みそ、ホウ葉寿司など食べ物を包んだりするホオノキの大きな葉っぱ。
赤い実をつけているエノキ。
秋のいま、花が咲き田植えの頃に実がなるナワシログミ。
全身、蔓に絡まれた樹高22mのエドヒガン桜の大木。
蔓を外してもらってほっとしているように見える、森のシンボルの樹になった樹高24mのエドヒガン。
それらの大木の前では何かを感じ取っているのだろう、静かに樹を見入っていた。

第1回の体験学習で児童が植樹したクヌギが最近鹿の食害に遭った。それを見せる。
「あっ!食べられてる。鹿の糞がある。やっぱり鹿が来てるんや」と子供たち。
「頑張って大きくなりや」「鹿に負けたらあかんで」「ずっとずっと長生きしいや」
クヌギの木を撫でながら思い思いに声をかけていた。植物は人が声をかけてあげると元気になると聞いて。

引率の保護者13名全員が、今日の指導者・菊炭友の会のメンバーの娘くらいの若いお母さん。
子供以上に勉強になっている様子。

申し訳ない。
高度成長時代の企業戦士であった我々、わが子には このような体験をさせてやれなかったな。

 <炭焼き学習>

里山は薪炭の生産林として、人が自然を改造した山である。
化石燃料の普及によって薪炭の需要は激減した。
過去には、この山にも三つも炭焼窯があった。今では天井が落ち使い物にならない。

ここに菊炭友の会が新たに窯を造り、茶道でなくてはならぬクヌギの炭(菊炭)を焼き啓蒙活動をしている。

児童にとって、炭は身近な物ではなく実感はないようである。
関心はもっぱら“火を焚く”ことにあるようだった。
窯の中に入ると目を輝かし「ワァ〜!」「オォ〜!」「スゲ〜!」と一斉に歓声があがった。
質問も「炭焼きをしていてハプニングは起こりませんか?」など、冒険・探検の対象のようであった。


  (炭焼窯/炭焼窯の中に入って/炭の種類)
 <原木シイタケ栽培見学、採取、試食>

(山中で自然栽培されているシイタケ)

里山の主樹であるクヌギとコナラを利用して原木シイタケを栽培する。
冬場に伐採した直径15cm程の木を長さ120cm位に切り揃え
シイタケ菌を打ち込んで、山中の乾燥しない日陰で寝かせて
シイタケを発生させる。

川西市黒川では炭焼き農家は1軒になってしまったが、
シイタケは数軒で栽培されている。
何も手を加えない自然栽培の収穫は10月では可能性が薄いために、
自然栽培の原木に散水するなど、刺激を加えて
この体験学習でシイタケ狩りも出来るように準備した。


  (炭火/炭火焼きシイタケ試食/収穫したシイタケ)

(児童の表情は輝いていた)


シイタケは小さいが沢山出ており、全員で10kgも収穫できた。
体験の場所は黒川では1軒になってしまった専業農家・今西農園である。

児童はもちろん、母親もシイタケ狩りは初めて。
「傘を持って取ると砕けてしまうぞ。根元をしっかり持てよ」
と採取方法を指導。
しかし、子供たちは我先に採ろうとするものだから
随分勿体ない採り方になってしまった。

炭火焼きでは、「わぁ!いい匂い!早く食べたい」とここでも歓声が上がる。
子供向きではない味かなとの思いに反して、さらに食べたくその場を離れがたい様子。

これで、里山体験学習は終了。

後日、3回を通してのまとめの質問に答える時間を持つと同時に
児童一人々々の植木鉢で、ドングリからクヌギの苗を育てるための指導に学校に出かける予定になっている。




牧の台小学校「里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-」 実施レポート(1)
牧の台小学校「里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-」 実施レポート(2)
牧の台小学校「里山体験学習 -クヌギを通して里山を知る-」 実施レポート(3)

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