NO団体名主な企画内容
51 NPO法人 かごしま子どもと自然研究所(鹿児島県) 「新島・桜島の大地から学ぶ ~活火山とともに生きる私たちにできること~」
火山の鼓動を感じる桜島、噴火によって生まれた新島をフィールドに、市街地では経験できない自然体験活動を行う。さらに、地域の方々との交流を通して「足るを知る」ことで本当の豊かさやライフスタイルについて考えたり、環境問題や地域の魅力を再発見する機会に繋げていく。

速報レポート1 桜島・新島アドベンチャーキャンプ1日目

活動日: 2023年8月29日(火)
活動場所: 桜島、新島(鹿児島県鹿児島市)
参加人数: 小中学生 7人 / 大人 2人 / 指導者 4人 / 合計 13人
活動内容

 二十四節気では、処暑(暑さが少し和らぎ、暑さが落ち着いてくる頃)にあたる8月末でしたが、鹿児島は厳しい暑さが残る夏休み最終週となりました。

 台風で延期になっていた今回のツアー実施を心待ちにしていた子どもたち7名とともに、鹿児島市内の港からフェリーで約15分の航路で、鹿児島県のシンボル「桜島」に上陸しました。

 鹿児島県には、活火山(噴火の記録のある火山及び現在活発な噴気活動のある火山)が11あり、全国111の活火山の1割を占めています。桜島はそのうちの一つです。

桜島
 まず、溶岩と植物に囲まれた烏島(からすじま)展望所へ。約100年前は、沖合約500mにあった海の上に浮かんでいた「烏島」。桜島大正噴火の溶岩は海を埋め立てながら進み、「烏島」を飲み込んだそうです。噴火の凄まじさを物語る場所の一つと言われています。四方が見渡せる見晴らしのよい場所で、参加者みんなで顔を合わせて座り、「新島で楽しみなこと・やってみたいこと」を聞いてみました。海、シュノーケル、釣り、まだ分からないからこれから考えるなど、一人ひとりの期待や緊張の表情を見ることができました。



 次に、桜島ビジターセンターへ。鹿児島に住んでいるけれど、子どもたち全員が初めて訪れたというこの場所。活火山とともに生きる、これからも生きていく子どもたちに知っておいてほしい桜島や新島の歴史を学ぶ時間になりました。
 解説をしてくださったのは、テレビ番組でもお馴染みの福島大輔さん(理学博士。専門は火山地質学。NPO法人桜島ミュージアム理事長。)です。桜島の成り立ちや植生のことなどを、桜島ビジターセンターの展示物などを用いて分かりやすく、解説してくださいました。


地層を見ると、その時代に起きたことがよく分かるね。

真剣に話を聞く子どもたち。

 次に、湯之平展望所へ。桜島の展望所で最も山頂に近く、山肌を間近に見ることができる場所です。ここでは、自宅から持参した弁当をみんなで食べ、記念撮影をして出発です。

新島
 そして、いよいよ新島に渡る船の乗り場(浦之前港)へ。鹿児島市が運航している桜島〜新島の行政連絡船もありますが、曜日と時間、定員が限られているため、今回は新島現地ガイドの佐々木直行さんの海上タクシーで新島へ向かいました。新島は、もともと海の底だったところが1779年の大噴火によって押し上げられて陸地となった島です。海上タクシーの上から新島の周囲全体をぐるっと一周見ながら、錦江湾の海の真ん中で、霧島山や桜島、開聞岳まで続く活火山の存在や錦江湾の海の豊かさについて解説を聞きました。



 海上クルージングガイドを終え、ついに新島へ上陸です。新島在住ガイドの佐々木和子さんと一緒に島内を散策しながら、現在は建物がない場所にも昔は人々の暮らしや活気があったことを感じながら、新島の昔や今のことについて解説を聞きました。


五社神社。佐々木さんご夫妻が再建にご尽力され、大切にされている場所の一つ。

昔の井戸。子どもたちが水を汲んで、家まで運んでいたそう。実際に担いでみると、バランスが難しい。

小学校跡地。昭和時代は、約250人が暮らしていたそう。2013年無人島に。               現在は島民2人。

 島内散策を終え、キャンプの拠点となる「すさき海岸」で男女に分かれてタープ張りです。参加者の子どもたちは、かごしま森のようちえんのジュニア(小学生)クラスで、毎月1回森の中で活動しています。ロープやノコギリを使って何かを作ったり、ブルーシートを使ってテントを作ってビバークをしたりするなど、これまで体験の中から技術を身に付けてきています。石や木の棒、ゴミ袋に砂を入れて作った即席土嚢などを使って、自分たちの力で何とかタープを立てようと試みましたが、予想以上の海風によってタープを張ることを断念することになりました。

 早々にタープ張りに見切りをつけた男子チームは、火起こしに挑戦。乾いていない木々、マッチ、麻紐を使って、強風の強い厳しい環境下でも、何とか火を起こすことに成功しました。これまでの経験から得られた、仲間と知恵を出し合って、限られたある物で工夫して何度も挑戦するという姿勢が生かされる場面の一つでした。




 夕食はカレーライスです。これまで、森の中で何度も炊いてきたメスティンご飯。ベテランの子どもたちでしたが、初めて経験する強い海風を防ぐことができず、カチカチのご飯に。その後メスティンを焦がしながらも焚き火を使ったり、物を使って風を防ごうとしたり、工夫しましたが、空腹に耐えられずある程度のところで食べることにしました。自然の中で調理することの難しさを知り、普段当たり前に食べている温かくておいしいご飯のありがたみに気付く経験にもなりました。どうやったら強風を凌いでメスティンご飯を炊くことができるか、子どもたちの次の課題ができました。



 桜島・新島アドベンチャーキャンプ1日目は、家を出てから桜島〜新島と長い旅路になりました。シャワーを浴びた後は、焚き火を囲んだり、カードゲームで盛り上がったり、男女それぞれの時間を過ごしました。そして、自分たち以外には人がいない、街灯のない真っ暗なすさき海岸の海辺で、マットと寝袋だけを敷き、ビバークすることになりました。「こんなサバイバルキャンプになるとは・・・。」と心の中で思いながら、ライトが必要ないくらい明るい月夜の下、虫の存在に怯えながら、穏やかな波音を聞きながら、眠りについたのではないでしょうか。

子どもたちの感想

  • ほぼ無人島で初めは怖いと思っていたけれど、活動していくうちに自然って楽しいなあと思った。でも、海のそばにいたからこそ、海の満ち引きの怖さも感じた。
  • 月の明かりが強すぎて眠れなかった。
  • もう一度、テントを立てることにチャレンジしたい。



速報レポート1 桜島・新島アドベンチャーキャンプ1日目
速報レポート2 桜島・新島アドベンチャーキャンプ2日目
速報レポート3 桜島・新島アドベンチャーキャンプ3日目

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