NO団体名主な企画内容
51 NPO法人 かごしま子どもと自然研究所(鹿児島県) 「新島・桜島の大地から学ぶ ~活火山とともに生きる私たちにできること~」
火山の鼓動を感じる桜島、噴火によって生まれた新島をフィールドに、市街地では経験できない自然体験活動を行う。さらに、地域の方々との交流を通して「足るを知る」ことで本当の豊かさやライフスタイルについて考えたり、環境問題や地域の魅力を再発見する機会に繋げていく。

速報レポート3 桜島・新島アドベンチャーキャンプ3日目

活動日: 2023年8月31日(木)
活動場所: 桜島、新島(鹿児島県鹿児島市)
参加人数: 小中学生 7人 / 大人 2人 / 指導者 3人 / 合計 12人
活動内容

 ついに、桜島・新島アドベンチャーキャンプ最終日となりました。起床後は朝食(ホットサンド)を食べ、身の回りの片付け、荷物置き等で使わせていただいた「桜峰校区公民館 新島分館」の掃除をしました。新島滞在中に自分たちが出したゴミは、鹿児島市の分別方法に則って分別し、自分たちで持ち帰りました。

 帰り支度を終えると、新島散策ツアーの続きに出発です。

貝化石層
新島は、1779年の桜島安永噴火の際に海底でも噴火が起こり、マグマが海底を持ち上げて(隆起して)できた島です。それを物語る場所である「貝化石層」は、新島の南部に位置するすさき海岸から歩いて数分のところにある自然の博物館です。


約5000年前の貝化石層


ハイジブランコ
 すさき海岸、貝化石層から歩いて数分のところにあるハシゴを登り、草をかき分けて進むと、高台が現れます。「子どもたちが楽しく遊べる場所を」という人々の思いが集結し、ここには大きなブランコが設置されています。この日はあいにくの天候で桜島の全景を望むことはできませんでしたが、とても素敵な場所を教えてもらいました。



晴れた日にまた来ようね。

 桜島の北東約1.5kmのところに浮かぶ新島を出てから、約10分で桜島の浦之前港に到着しました。


ありがとう新島。

ありがとうございました和子さん、佐々木のおじちゃん。

黒神埋没鳥居(桜島)
 桜島の浦之前港から約3km(車で10分)、桜島の東側にある「黒神埋没鳥居(くろかみまいぼつとりい)」へ。約100年前の桜島大正噴火の後、たった1日のうちに軽石や火山灰に埋め尽くされた場所です。もともとの高さは3mですが、今は笠木部分の約1mを地上に見せるのみです。ここは、県の天然記念物に指定されており、鹿児島県の子どもたちが使う社会の資料集にも載っている場所です。しかし、「本物は初めて見た!」と子どもたち。大噴火の凄まじさを後世に伝えるために住民が大切にしている場所で、桜島大噴火の凄まじさを知りました。


黒神埋没鳥居(腹五社神社)。左横にはアコウの木。

桜島マグマ温泉
 黒神埋没鳥居をあとにして向かったのは、桜島港近くにある「桜島マグマ温泉」です。鹿児島県は、約100の温泉地があり、源泉数は2,700カ所以上で全国2位。温泉大好きな子どもたちは、2泊3日の汗と疲れをゆっくり流しました。

道の駅「桜島」 火の島めぐみ館
 温泉の後は、温泉からほど近い道の駅「桜島」で昼食です。桜島には、火山のもたらす恵みがたくさんあります。道の駅「桜島」には、「桜島大根」や「桜島小みかん」といったここでしか手に入らない、食べられないものや、鹿児島県産の美味しいカンパチが食べられるお店があります。それぞれ好きなものをいただき、垂水港へと向かいました。

垂水港からフェリーで鴨池港(鹿児島市内)へ
 鹿児島県には、鹿児島市(薩摩半島)と桜島を結ぶ「桜島フェリー」と、鹿児島市(薩摩半島)と垂水市(大隅半島)を結ぶ「鴨池・垂水フェリー」があります。桜島は、約100年前の桜島大正噴火で流れ出た溶岩によって、桜島と大隅半島が陸続きになりました。帰りは、陸路で桜島から垂水港へ向かい、「垂水・鴨池フェリー」で約30分の航路で鹿児島市内に到着です。車やフェリーの中では、今回の「桜島・新島アドベンチャーキャンプ」の思い出話をしながら過ごしました。保護者の方に港までお迎えに来ていただき、14時解散となりました。

まとめ
 桜島・新島アドベンチャーキャンプは、新島在住の佐々木さんご夫妻を除き、ほぼ無人島で2泊3日を過ごしました。スーパーも、病院も、電気屋も、ゴミ焼却場も、娯楽施設もなく、あるのは避難所となっている公民館と、佐々木さんご夫妻が経営される民宿とカフェだけです。
 飽食の時代、モノや情報に溢れた時代に生きる子どもたちは、ない(十分でない)ことが不安や不満につながっているように感じます。また、十分満ち足りていることを感じる・気付く機会に触れることも少なく、もっともっとと欲して生活しているようにも感じます。
 今回の桜島・新島アドベンチャーキャンプでは、衣食住が完全に満たされた訳ではなかったと思います。

しかし、
 ・自分たちの故郷鹿児島にある桜島は、こんなにもエネルギーをもっているんだ。
 ・鹿児島県の他の活火山にも行ってみたい。
 ・ゲームがなくても、自然の中で新しい面白い遊びを見つけることができた。
 ・日の出日の入りだけを気にして、自由に遊ぶことができた。
 ・タープが張れなくても、この気候ならビバークすることができた。
 ・雨が降れば、ビニールシートを使って屋根を作ればいい。
 ・同じ境遇を共にする友達がいれば、なんだか心強いし、最高に楽しかった。
 ・暑いし、虫がいるし、嫌なこともあったけれど、少し我慢すれば乗り越えられた。

 自分の可能性や底力、自然の脅威や雄大さ、島の歴史や島の生活の不便さ、島に流れる穏やかな時間の素晴らしさ、仲間の大切さ、モノのありがたみ。この体験から見えたこと、感じたこと、考えたことを、子どもたちがこの先どう生かしていくのか。キャンプを体験した子どもたちのこれからを見守っていくのが楽しみです。


2泊3日を共にした仲間たち。

新島の看板犬「りゅうくん」と。

新島から見える雄大な桜島。

子どもたちの感想

  • 今度は、魚釣りで釣った魚を焚き火で焼いて食べてみたい。
  • 性別関係なく、仲良く楽しくできてすごく良かった。
  • 「自然の怖さ、自然の楽しさ、みんなで協力の日々、自分の命は自分で守る」ということを学ことができた。
  • 他のみんなにもぜひ、新島にきて何もかもが当たり前ではないということを知ってもらいたい。

参考文献

  • 「桜島!まるごと絵本」(2014)NPO法人桜島ミュージアム・さめしまことえ,燦燦舎.
  • 「かごしま暮らし」 https://kagoshima.life/3442/



速報レポート1 桜島・新島アドベンチャーキャンプ1日目
速報レポート2 桜島・新島アドベンチャーキャンプ2日目
速報レポート3 桜島・新島アドベンチャーキャンプ3日目

プログラム検索に戻る