速報レポート参加者数:中学生8名、小学生11名
題材について
「水島」は敦賀半島の先端に浮かぶ小さな無人島で,海水の透明度が高く,景色が美しいことから「北陸のハワイ」とも言われ,毎年大勢の海水浴客が訪れる。保護者が民宿業や漁業を営んでいる生徒も多く,この島には幼い頃から親しみがある。また,西浦中学校から約800mの位置にあり,毎日の登下校の時はもちろん,水島の見えるランチルームで毎日給食を食べている。毎年夏に地域の方々と一緒に清掃活動も行っており,水島は生徒にとって大変愛着が深く大切な自然である。 ・いかだレースを成功させるための課題を見つけ,話し合いや調査を通して課題を解決する。 4 指導計画【11時間配当】
9 7月14日(木)6限 いかだ製作の計画 |
1〜8 調査活動・課題解決
9、10、夏季 制作・本番
11 まとめ
(1)テーマの決定
6月21日(火)に,今年で19回目となる「いかだレース」の最初の話し合いを行った。平成5年のレース発足当時の教頭先生(石亀嶽さん)とOB(竹腰優一さん)に来ていただき,レースが始まったいきさつや,いかだ製作の苦労話などを聞く。とても貴重なお話で驚きの連続であった。そして話し合いの結果,「楽しく競って西浦らしく」というテーマで活動を進めていくことになった。このテーマには,みんなのよい思い出にする,西浦の伝統を受け継ぎ発展させるという意味がこめられている。
(2)いかだ集会
7月6日(水)に,小・中学生全員でいかだ集会を行った。まず,テーマ発表を行い,次に小学生にいかだのチームを紹介した。(侍ブルーチーム,西浦ストロングチーム,ペンギンチーム,そして教員のレッツゴーチーム)また,レース当日は応援をしてくれる小学生の所属チームを発表し,これからがんばっていこうという決意を固めた。
さらに,応援旗のデザインについて話し合い,決まったチームは下書きに取りかかった。その後の制作は小学生が中心になって行った。
(3)いかだの設計
チーム名をもとに,いかだの設計が始まった。侍ブルーチームは,侍→兜→カブトムシという発想で,西浦ストロングチームは,ストロング→クジラを,ペンギンチームはその名の通りペンギンをモチーフに設計を進めていった。
材料は侍ブルーチーム,西浦ストロングチームは従来通りの発泡スチロールを主としたものに。ペンギンチームは,原点(第1回いかだレース)にもどり,ものの再利用に挑戦。養殖のいけすに使われていた発泡スチロールの浮きを利用することにした。教員チームは,今では少なくなったタイヤチューブを浮く素材として活用することになった。
(4)いかだの製作
①発泡スチロールの切断
手作りの電熱線カッターで,発泡スチロー ルを切断。切り口がなめらかで,切りくずが出ない点がよい。切り取り線に沿うように,2~3人で作業を行う。切り取り線を3~4面に入れると,正確に行うことができる。
元になる発泡スチロールは畳1畳分ほどの広さで,約30㎝の厚みがある。水の抵抗を減らしたり,デザイン豊かないかだにしたりするためには,この作業が重要になる。生徒は一瞬も気を緩めることなく,作業を進めていた。
②骨組み作り
切断した発泡スチロールを組み合わせるには,骨組みが必要になる。発泡スチロールは強度が低いため,竹等による骨組みが重要である。しっかりとした骨組みにするために,電動ドリルで竹に穴を開けておき,その穴を利用してロープで結ぶとしっかりとした骨組みにすることができる。
ロープで結んでいく時に発泡スチロールの角がくずれる場合がある。それを防ぐために竹をそえてから結んでいく。その竹にも穴を開け,ロープを通して緩みがないように結んでいく。
下の写真のように,いくつかの発泡スチロールを結合するのに,竹を通す場合もある。2本通すことで発泡スチロールが回転しないようになる。竹の端は発泡スチロールがずれないように,留め金のようなものを付ける。
③船体を削る
水の抵抗を減らすために船体の正面や底面などを削る。800mのレースを制するためには,とても重要な作業である。また,なめらかな船体にしたり,ユニークなデザインにしたりするためにも,削ることは必要である。
削ると細かなゴミが出るが,掃除機も使い
ながら作業を行うと出てくるゴミを回収できて効果的である。
④塗装
いかだ製作の仕上げは船体の塗装である。デザインに従って,耐水性のペイントでカラーリングをしていく。生徒は充実感にあふれた表情で作業を進めていく。色を塗るといかだの雰囲気もずいぶんと変わり,いかだに命が吹き込まれたように感じられる。
(5)いかだレース当日
最初に各チームそろって記念撮影を行った。また,小学生にはデザイン賞の投票や,いかだへのメッセージ書きをしてもらった。
開会式では,各チームが意気込みを語った後,小学生による応援が行われた。手作りの旗や鳴りもの用のペットボトルなどを使って,中学生を励ましてくれた。
9時30分レース開始。学校前の浜からゴールの水島(約800m)を目指してスタートした。小学生や保護者,地域の方々の応援を受け,精一杯のレースを展開した。
波は水島に向かって右から左へ緩く流れていて,それに流されないように「1,2,1,2…」のかけ声で懸命にオールを漕ぐ中学生。
「がんばれ」,「もっと右」など,たくさんの声援が海上をこだました。
優勝 侍ブルーチーム(24分36秒) 2位 西浦ストロングチーム(32分26秒)
3位 ペンギンチーム(32分48秒) 4位 レッツゴーチーム(先生)(34分57秒)