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38 森林ボランティア 菊炭友の会(兵庫県) 「クヌギの植樹を通して生物多様性の循環サイクルを学ぶと共に身近な場所にある里山を知る」
自然への関心を高め、地元の名産である茶道具用の炭、「菊炭」について学ぶ。クヌギの植樹や整備をメイン活動に、羽釜ごはん炊きや椎茸狩りなどのお楽しみも用意し、子どもたちが1年間体験する。

速報レポート1 「クヌギの植樹を通して生物多様性の循環サイクルを学ぶと共に身近な場所にある里山を知る」

 兵庫県川西市北部黒川地区は気候と土壌に恵まれ、良質のクヌギが育ち、古くは室町時代から茶道にはなくてはならぬ高級炭(池田炭)=菊炭=が今も焼き続けられている。
 クヌギは萌芽再生と言って伐採後も切り株から新芽が再生するために植林の必要がない。そして、伐採後7~10年で茶道用炭として適当な太さに育つ。従ってクヌキ林は7~10年周期で輪伐され、その伐採後がパッチワーク状にみられるのが本来の里山風景ということで、黒川地区は日本一の里山と言われている。しかし、全国の例にもれず、過疎化・高齢化が進み黒川地区も里山に手が加えられず、里山放置林となっている。




 児童にとって最も身近にある自然、里山での生物多様性について1年間をクヌキを通して体験する企画を取り入れ、クヌギを育て、成長の過程を体験することにより、郷土の名産菊炭をはじめ里山の恵みを味わう計画を組んでいる。
 この計画に当たっては、兵庫県が推進する小学3年生対象の「環境体験学習」、川西市が実施の小学4年生対象の「里山体験学習」に参画し、川西市立牧の台小学校と共に、それぞれ10年間と8年間の実績を重ねている。
 1年を通して生物多様性について学ぶ場として、10月の体験学習時にドングリ(クヌギ)の種を各自1個づつ拾い学校に持ち帰り、ポリポットで発芽させ、翌年新1年生に引き継ぎ、1年生が校庭の苗床に移植し、2年間水遣り、草取りなどの世話を行ない、3年次に「桜の森(菊炭友の会活動地)」に移植し、4年次は自分たちが3年次に植樹したクヌギの下草刈り等をすると同時に植樹されたクヌギの成長等を観察して、一連の生物循環サイクルを体験する。

(1)里山体験学習 《小学4年生》里山の手入れ(下草刈り)、炭焼き擬似体験(炭焼の説明・窯出し)
日 時 : 2017年5月9日(火) 8:20~15:00
場 所 : 川西牧の台小学校、 黒川「桜の森」
参加者 : 児童68名、教師5名、保護者6名、指導者(菊炭友の会会員)17名、合計96名

 牧の台小学校4年生は、3年次に植樹したクヌギが周辺の雑草に埋もれてクヌギの姿が見つけにくい。同じ植物でも成長の速度に違いがあること、他のものにさえぎられて日光が当たらなくなると植物の体の養分を作れなくなり枯れてしまうことを説明し、児童に笹刈り用には剪定バサミと鎌を用意して、下草刈りの実施と炭焼きについて、2月から3月に行なった炭焼きの炭窯見学と併せて窯からの炭だし体験を行なった。


「森の教室」にてオリエンテーション

炭焼窯の内部見学と炭だし


(2)里山体験学習 《小学3年生》クヌギを植える、桜の森を探検する
日 時 : 2017年5月16日(火) 8:20~15:00
場 所 : 川西牧の台小学校、 黒川「桜の森」
参加者 : 児童93名、教師5名、保護者9名、指導者(菊炭友の会会員)20名、合計127名

 牧の台小学校3年生の「環境体験学習」第1回。まずは、桜の森に出かける前に「地域交流スペース」で『環境体験学習』についてのオリエンテーション。みんなが住んでいる大和と黒川との景色、家の建て方の違いを聞いた後に徒歩にて棚田、栗林を通って桜の森へ向かい、校庭の苗床で2年間育てたクヌギが、黒川「桜の森」へ植樹できるまでに成長しています。桜の森では、会員により事前に穴掘り等下準備がされ、児童2人で1本、保護者も含めて64本を植樹し、植樹したクヌギに全員がバケツリレーで水遣りをした。この「水遣りバケツリレー」は毎回大変な人気である。


「地域交流スペース」でのオリエンテーション

「黒川バス停」から地区内散策



クヌギの植樹地に2人で1本植樹


植樹したクヌギへバケツリレーで水遣り

(3)里山体験学習 《小学4年生》里山体験「薪・炭を使った昔の生活体験」(薪づくり、炭焼き)
日 時 : 2017年5月30日(火) 8:20~15:00
場 所 : 川西 緑台小学校、黒川「桜の森」
参加者 : 児童57名、教師3名、保護者3名、指導者(菊炭友の会会員)24名、合計87名

 緑台小学校4年生が桜の森に初めてやってきます。事前学習では自分たちの住んでいるグリーンハイツと黒川地区との違い、また昔の暮らしと今の暮らしとの違い等を学びました。
 里山体験学習なので、薪・炭を使った昔の生活の一部実体験です。「羽釜・七輪・火鉢」などを使っての勉強です。”薪に火をつけよう”の実演では、直接マッチを擦って薪に火をつけようとしましたが当然火はつきません。今の児童はマッチで火をつけることをあまりやっていないようです。
 次いで、薪割りと薪束づくりの体験。最後に炭焼きについての説明と炭窯見学を実施しました。


「みどりルーム」での事前オリエンテーション

羽釜を使っての生活体験


薪割り体験


(4)里山体験学習 《小学1年生・4年生》クヌギ苗の引継ぎ式
日 時 : 2017年6月 6日(火) 8:50~10:00
場 所 : 川西 牧の台小学校 校庭、
参加者 : 児童117名、教師10名、指導者(菊炭友の会会員)2名、合計129名

 牧の台小学校4年生から1年生へクヌギ苗の「引継ぎ式」が行われました。これは昨年の秋に集めた「ドングリ(クヌギ)」を新4年生が3年生の時にポットに植えて育てたものです。校庭に並んだ4年生から1年生に引継ぎのメッセージを述べ、4年生が一人ずつ1年生と「クヌギの苗」を新しい苗床に運びました。1年生はこれから2年間、水遣り・草取りをして育てます。 


「クヌギの引継ぎ式」4年生と1年生が対面


4年生と1年生で新苗床へ


菊炭友の会会員が1年生への「育て方」の説明



速報レポート1 「クヌギの植樹を通して生物多様性の循環サイクルを学ぶと共に身近な場所にある里山を知る」
速報レポート2 (5)里山体験学習 《小学3年生》里山の生活体験(椎茸狩り)、植樹したクヌギ周りの下草刈り
実施速報レポート3 (6)里山体験学習 《小学4年生》「桜の森」で里山の恵みを満喫する(オリエンティリング、ヒサカキ伐倒体験)
実施速報レポート4 「クヌギの植樹を通して生物多様性の循環サイクルを学ぶと共に身近な場所にある里山を知る」

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