NO団体名主な企画内容
32 尾鷲市立宮之上小学校(三重県) 「『僕らのあそび場づくり 〜山育・木育・おわせ行く〜』」
"世界遺産、日本農業遺産の山で、「林業」を学び、「あそび場づくり」を行う。活動を通して「自然で遊ぶ力の育成と楽しさの認識」「危機管理能力の醸成」につながるプログラムを実践する。"

速報レポート2

実 施 日 : 7月4日(木)9:20~11:20
活動場所 : 尾鷲市立宮之上小学校
参 加 者 : 尾鷲市立宮之上小学校3年生14人、教職員2名
講   師 : 小山ハウス寺子屋(森田)、尾鷲市水産農林課(千種)
サポーター : 尾鷲藪漕隊(内山、林ほか2名)、小川耕太郎∞百合子社(藤井)、
三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本)、尾鷲市政策調整課(芝山)
【活動内容】全5回スケジュール案

第1回目 : 6月20日(木):ガイダンス、下草刈り作業 他
第2回目 : 7月 4日(木):作業道づくり、木育講習 他
第3回目 : 8月27日(火):三重大学環境リテラシー講座連携 ロープワーク 他
第4回目 : 9月12日(木):自然での危機管理、フィール遊び 他
第5回目 :10月10日(木):フィールド遊び、森の図書館、リラクゼーション 他

【活動全体のねらい】

 今は危険だからという理由で、子どもたちの自然を体験、実感する機会が激減しており、また自然の楽しさ、魅力、遊び方などを教えられる大人も少なくなっている。
 こうした時代に、三重県尾鷲市の豊かな自然環境をいかして、子どもたちが世界遺産、農業遺産の森に入り、自らの遊び場をつくる過程を通して、遊びのなかで楽しみながら、生きる力の向上、自己肯定感、自己概念、達成動機の向上などにつなげ、危機管理能力を身につけるプログラムを構築、実践する。

【この日のねらい】

※雨天のため、当初の予定を変更して学校内での④の活動のみとした。
※第2回目となる今回は、前回整備した作業道からの動線を通って、尾鷲ヒノキ樹齢30年生のエリアに入っての「木育講習」がメインであったが、あいにくの雨天のため、山に入っての作業を中止し、代わりに、尾鷲市水産農林課の協力により、前日に現地で間伐をした尾鷲ヒノキを、宮之上小学校にもってきて、学校内でできる木育講習とした。
(1)樹齢30年生のエリアで、間伐をしているゾーンと、していないゾーンの山の状態を体感し、間伐の効果、目的、必要性を、現場で山の状態の違いをみながら学ぶことを目的とする。(次回に持ち越しする)
(2)間伐をしていないゾーンにおいて、尾鷲ヒノキの八鬼山市有林に「僕らの遊び場」をつくるという目的のためには、山の状態や特性を知り、その上で安全な場所を選んで、どのような遊び場をつくるのか、どうすれば楽しい遊び場ができるのかを考えていくという活動の全体像をガイダンスで学ぶ。(次回に持ち越しする)
(3)間伐する木を選んで間伐の様子を体験する。(次回に持ち越しする)
(4)間伐した木の枝払い、丸太切り体験(コースターづくり)をする。

【活動の様子】

雨天による室内での作業だが、ユニホームを着用する。作業への気持ちの切り替えとなる。

用意された間伐材の枝葉を自分たちで切り落とす作業を行う。

尾鷲市水産農林課の技師に間伐材の丸太切りの作業を観察、手伝いする。観察の中で、のこぎりはどうすれば切りやすいや、また、安全かをみんなで考えていく。


プロの実技を見て、簡単と感じた子と、難しいと感じた子に意見を聞く。簡単と感じた子は、難しいと感じた子にアドバイスをする。観察だけではわからなかったら、「助けて」、「教えて」、「手伝って」とサポートを求めるなどを確認する。

実際に自分たちでやってみると、・木がグラグラすると切りにくい。・のこぎりの前に人がいると危ない。・一人で押さえるよりみんなで押さえた方がグラグラしない。などの意見が出て、みんなで相談、修正しながら実践していく。

自分以外の仲間がやっている様子を観察しながら、感じたことをアドバイスしたり、参考にしたりする。段々と観察の仕方が変わってくる。こうした中で、子どもたちは自然にPDCAサイクルを回しながら、情報の共有を図っていく。


一回り全員がやってみて、コースターとしての出来具合を確認し、もっとどうすれば良いかを相談する。感想を共有する。切った感想は、「硬かった」「腕が痛い」「細く切りすぎた」などで、一方、押さえた感想は、「すごく揺れた」「力を入れすぎると長続きしない」など。

どうやればもっとうまくできるかを全員で相談。うまくできなかったポイントとして「のこぎりをまっすぐ挽けない」「力が入りすぎて疲れる」などが挙げられた。それは、どうすれば良いか。「わからないことは、わかる人に教えてもらう」。 →プロに相談する。

わからないポイントを、市有林技師に尋ねる。プロからは、「肘をまっすぐに引くこと」、「力を入れるのではなく体重を乗せて挽く」、「ゆっくり歯全体を使って挽く」ことを教えてもらう。実際にやってみると、「簡単にできた」など、笑顔で体験する子が増えた。


一回り体験するごとに、もっと上手にするにはどうすれば良いかを相談し、わからないところを尋ね、修正していくうちに、切る早さも半分くらいの時間で、うまく切れるようになり、校長先生や教頭先生、担任の先生のコースターも作ってあげようとなった。

丸太切り体験のあとは、山での作業に欠かせないロープワークの基礎を学び、巻き結びのやり方を教わる。

実際にやってみると観察するよりもかなり難しく、ここでも、やり方の情報共有をしながら、みんなで取り組んでいく。


第2回目の作業終了。お世話になった講師の皆さんにお礼をして挨拶。

自分たちが作ったコースターを持って元気に記念撮影。みんなで助け合って作ったから、みんな満足。

【振り返り(気づきの共有)】

※今回は、現地で体験することができなかったが、学校としての授業枠が決まっていることから延期とせず、室内での体験に急遽切り替える。
 尾鷲市役所水産農林課の協力により、前日に間伐材を学校に搬入してもらい、その間伐材を使った体験を行う。

  • 本プロジェクト世話人の「小山ハウス寺子屋」主宰の森田さんの指導により、子どもたちには「遊び」、「楽しみ」の中で①PDCAサイクルを回すこと、②ホウレンソウ(報告・連絡・相談)により情報共有をすること、③わからないことは、わかる人に尋ねることの確認を行い、作業に入って行く。
  • 本プロジェクトは、大人がお膳立てをして学ぶのではなく、子どもたちが遊びながら自然に学んでいくことを主旨としており、そのためには自然の中での活動が大変有意義で有効的であるということからプログラムを構築しようとするものである。このことから、大人は子どもたちに対して、教えるのではなく「観察する」ことと「相談する」ことを促していくことを意識した。
  • 丸太切り体験では、丸太切りを行うなかでどのようにしてうまくできるかを、「観察」と「相談」のなかで子どもたちにPDCAサイクルを回しながら考えるよう、1回ごと作業を止めて、相談タイムを作り促していった。
  • 回を重ねるごとに、子どもたちの丸太を切るスピードがあがり、コースターの形も良くなっていく様子が顕著にみられた。
  • 子どもたちの中には、作業が得意な子、不得意な子もいるが、みんながチームとして、できる子はできない子に気付いたことをアドバイスする、苦手な子は、得意な子にサポートを求めることを事前に共有して臨んだことから、全員が満足した様子でコースターを作ることができた。また、印象的であったことは、一人の児童が、一番最初に作った形がいびつなコースターと、最後に作ったきれいな形のコースターを見て、きれいな形のコースターを校長先生にプレゼントして、いびつなのは、自分の記念に置いておくとうれしそうに言ったことであった。一番最初のいびつな形の物も、頑張った証として愛着があるという言葉が短い体験であったが子どもの成長を感じる印象的な言葉であった。



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