NO団体名主な企画内容
14 柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(千葉県) 「理科の修学旅行」
「不思議な自然を科学する」のキャッチフレーズのもと、新潟県南魚沼郡を舞台に、子どもたちが不思議に感じるきっかけを提供できるよう構成されたプログラムのもとで行う自然体験活動。

速報レポート2 理科の修学旅行 1日目

実施日時:2014年9月20日(土)
実施場所:三國山荘(新潟県南魚沼郡湯沢町)
参加人数:小学2年生〜6年生 計36名、スタッフ13名
はじめに

 2週間前に行なった事前学習会の内容を踏まえ、実際に自然体験活動を行いながら理科・科学に触れ、親しむ合宿の日がやってきました。本稿ではまず三國山荘周辺で初日に行なった、炭づくり、BBQ、星空観察の様子について、時系列を追って報告します。

活動紹介

 8:00 千葉県柏市柏の葉キャンパス駅前に集合し、バスに乗り込みます。バスの車中では、目的地である苗場周辺や2日目に登る三国山、そして同行しているスタッフを紹介するようなクイズを行ないました。最初は緊張した面持ちだった子ども達も、事前学習会の時に顔見知りになったグループを中心に、徐々に馴染んでいきました。


班行動がスムーズに行なえるよう、バスの中では各班を担当するスタッフを中心にアイスブレイクを行ないました。

 12:00 三國山荘に到着、お弁当を食べた後、2日間のスケジュールやルールの確認、そして理科・科学に触れる上でのポイント・見どころを紹介するオリエンテーションを行ないました。初めての環境でソワソワしている子も多かったものの、火や刃物を扱う以上、冒頭でしっかりと注意を喚起することが重要です。さらに、ともすると見逃しがちな自然現象に対して注意を払い、原理を考えるきっかけを与え続けることが「理科の修学旅行」の大きな目的ですので、2日間で予定しているプログラムのひとつひとつについて、丁寧に解説を行ないました。


オリエンテーション開始直前の様子。これから、しおりを片手に勉強します。

 13:00 炭作り開始です。まずは薪をのこぎりで切り出し、一斗缶に詰めていきます。自主性に任せて見守っていると、元気があり余って木材を振り回したり、短くなった木材を淡々と一斗缶に詰めたりと、少しずつ子ども達の個性が光りはじめました。一斗缶に木材を詰めたら、ついに着火の瞬間です。


のこぎりを扱うのが初めて、という子も多く、夢中になって切り出している姿が印象的でした。

ジャンプして踏みつければ折れるのではないか、と試行錯誤を繰り返す子も。大人達はテコの原理を教えつつ、見守ります。

一斗缶のフタが閉まるように長さを揃えた木材を丁寧に詰め、密封します。

 火起こしが始まると、それまで散り散りに作業していた子ども達も、一斉に集まってきました。やはり最も気になる瞬間のようですね。なかなか火が拡がりませんでしたが、試行錯誤を繰り返して徐々に火の取り扱いに慣れてきたようでしたので、任せてみることにしました。スタッフは遠くから見守ります。


始めはどう見ても木材過多…酸素が通りませんが、そのまま燃やすというので、燃焼の3条件を思い出させながら見守ります。顔を近づけて息を吹きかけたり、あおげる道具を持ってきたりと、思い思いの方法で空気を送ります。その顔は真剣そのもの。直前までのふざけた雰囲気はありません。

火が拡がるとともに、火の扱い方も手慣れてきました。4つの一斗缶に均等に熱が加わるよう、火力を調整することも覚えました。

 当初の想定以上に時間がかかりましたが、次第に一斗缶から白い煙が出てきました。さらに加熱を続け、何も出て来なくなったところで火から下ろします。この部分は大人がお手伝い。一晩冷ました一斗缶は柏に持ち帰り、翌週の報告会でお披露目です。果たしてどんな炭ができたかな?


時間と共に飽きてしまう子が増える中、一部の子ども達は粘り強く火力を維持し続けました。

すると次第に、明らかに一斗缶の中から白い煙が上がりはじめました。これは事前学習会で行なった木材の蒸し焼き実験でも見られた現象です。整備された実験室で見た現象が、自然の中でも観察できたことに、感動した様子でした。他の子が別のことをし始める中、腰を据えて取り組んだ子達へのご褒美かもしれませんね。

 17:00 夕飯はバーベキューです。当初は自分たちで作った炭を使って行なう予定でしたが、火起こしに時間をかけすぎたため、予め購入しておいた炭を使います。大人数でのバーベキューは準備・片付けが大変ですが、初めての体験だった子も多く、とても盛り上がりました。


山小屋の庭でバーベキュー。大人数での立食BBQは多くの子ども達にとって新鮮な体験だったようです。

酵素の働きについてのレクチャーは、果たしてこの時の子ども達の頭をよぎることがあったでしょうか…

 19:00 多くの子ども達が今回の旅行で一番の楽しみに挙げていた星空観察の時間です。現場で楽しむだけでなく、今後の人生でも楽しめるよう、星座早見盤の使い方や方角の調べ方を学びます。当日の星空の見どころや、宇宙の構造についてもイメージしたら、いざ外へ。数日前の天気予報では曇り時々雨、当日も怪しい雲行きでしたので、かなりヒヤヒヤしましたが、日頃の行いが良かったのか、夜になると雲が全て消え、満天の星空を拝むことができました。夏の大三角や北斗七星、カシオペア座、北極星はもちろん、天の川や流れ星も見られました。かなり気温が下がっていたものの、草むらに皆で寝転んで星を眺める経験ができました。深夜に大人だけで再度外に出てみると、オリオン座を始めとする冬の星座が瞬いていました。


平面的に見える宇宙の三次元的な構造を学んだり、星座早見盤の見方を習得したりと、理科・科学の視点を養う取り組みは欠かせません。


天の川の夏の大三角が輝いていました。

天の川をバックにハイ、チーズ! 真っ暗な中ですが、満天の星空が見られて皆元気です。

深夜にはオリオン座やプレアデス星団(すばる)など、冬の星が上ってきていました。

 20:30 星空観察で冷えた体を温めに温泉へ。今回利用した温泉は、くみ上げた時は透明にも関わらず、浴槽の中には黄赤褐色のお湯が満ちています。これは鉄質の苗場火山の地下で鉄分と硫黄が溶出したためと考えられます。苗場山にある赤湯温泉と近い起源を持っているのかもしれませんね。実際、近くの川では鉄分が析出している様子が見られます。


お風呂場の様子は写真に撮れないので、代わりに鉄分が析出している川の様子をお届けします。

朝からはしゃぎ続けた子ども達、夜はあっという間に眠りにつきました。翌日は登山です。その様子は次のレポートで報告いたします。



速報レポート1 事前学習会
速報レポート2 理科の修学旅行 1日目
速報レポート3 理科の修学旅行 2日目
速報レポート4 理科の修学旅行 事後発表会

■別年度のレポート
2016年度 理科の修学旅行 〜アクティブラーニングで海と山と川と教室をつなぐ〜 実施レポート
2015年度 理科の体験農業 実施レポート

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