NO団体名主な企画内容
18 NPO法人 里豊夢(りほうむ)わかさ(福井県) 「「里山の四季 まるごと体験」」
"身近にある里山の魅力を、自然体験活動を通して発見する。幼児から中学生までの異年齢集団の取り組みで、消滅しかけている自然遊びやモノづくりなどの伝承されてきた「子ども文化」の復活を目指し、生きる力を育む。"

速報レポート4 秘密基地づくり

日程:平成30日年9月16日(日)
場   所 NPO法人里豊夢わかさ活動地 能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者小学生10名 中学生1名 幼児1名 保護者9名  スタッフ5名
スケジュール

9:00 のとのの里集合・開会式
9:10 ピザづくり(1) ピザ生地作り
9:40 竹で「飯ごう」づくり、米とぎ
10:10 ロープワーク
10:30 竹でつくった「飯ごう」でごはんづくり
11:00 ピザづくり② トッピングと石窯で焼く
12:10 昼食・フリータイム
13:00 秘密基地づくり
16:00 後片付け、解散

活動内容

 子どもたちが自然との共存や自然環境を考え、生きる力を身に付けることを目的とした自然体験活動である。子どもたちが協力し合い、自然の素材を生かした実体験活動である。
1 竹を利用して飯ごうを作り、焚火でご飯を炊く野外料理活動である。
2.雑木の木立を利用して秘密基地づくりで、子どもたちの冒険心をくすぐる活動である。創造性を高め、異年齢集団で子どもたちが計画から作成まで協力し合って取り組む活動である。
3.秘密基地づくりのアイテムとしてロープワークを学び、雑木林を利用した秘密基地づくりで、習得したロープワークを生かす活動である。

(1)竹で「飯ごう」づくり
 前日に伐採してきた青竹を利用して「飯ごう」を作った。太い竹の2つの節を残して両端を切断することから始め、飯ごうを固定するために両端に切り込みを入れ、米をいれるところを切り抜き、蓋を作るという活動をお互いに協力し合って行った。蓋が火にかけたとき縮小して落ち込まないように蓋になる部分を斜めに切断するなどやや細やかな活動であったが、小学生以上は全員自分で作ることができた。


竹が動かないようにお互いに押さえ合って太い竹を切断

両端に固定するための切れ込み部分の切断

ふたの切り取りはノミを使用するためスタッフにお任せ

(2)竹で作った飯ごうでごはんづくり
 初めて取り組む活動であるため、最初にスタッフが活動内容について説明した。コメのとぎ方、米粒一粒一粒が大切であること、1番最初のとぎ汁は養分が豊富であるため植樹木の根元にまくこと、30分間水に浸すこと、、飯ごうに米を入れ、水入れて平らにすることなど火にかけるまでの活動や注意することなど学んだ。子どもたちは一つ一つの活動を確認したながら取り組んでいた。
 次に、子どもたちは、おき火の炉に竹で作った飯ごうを載せ、ご飯を炊く時間、火から遠ざけて蒸らす時間、指導を受け、おき火に飯ごうを置いた。熱い竹を持ち運びは、危険を伴うためスタッフが行った。30分間火にかけ、30分蒸らして蓋をとると見事にふっくらとご飯が炊きあがっていた。感激の瞬間で自然と歓声が沸き起こった。昼食時、ご飯がおいしいとか、ご飯だけでおかずが入らないという言葉が聞こえてきた。


何度も試行して臨んでくれたスタッフの指導で、ごはんづくりについて説明を受ける

コメのとぎ汁を植樹木の根元に巻く‥‥環境教育の一環

といだ米を竹で作った飯ごうの中に慎重に入れる


おき火を利用してご飯炊き

ふっくらと美味しく炊きあがった

(3)ロープワーク
 秘密基地づくりに使用するロープワークをスタッフから学び習得した。学んだ結びは、「とめ結び」と「八の字結び」、「もやい結び」の3つである。「とめ結び」と「八の字結び」は、全員簡単に出来たが、「もやい結び」には、苦労していた。不思議と小学1年の子が最も早く習得し、何度も披露していた。秘密基地づくりではこの「もやい結び」を多用し、特にロープを木に固定する際に使う結び方であるため、個別指導で習得してもらった。全員が習得した後、雑木林に入って実際に木に結びつけ、しっかり固定できているかをお互い確かめ合った。


「とめ結び」の後、「八の字結び」に挑戦

秘密基地づくりで最も利用する「もやい結び」の技を習得中

雑木林に入って即ロープワークで習得した結びを実践練習

(4)ピザづくり
 毎回実施している手順ででピザづくりを実施した。今回初参加者はいなかったため手際よくピザ生地づくりが行われたことと、湿度が高く、短時間でピザ生地が発酵してくれたため、早めにピザのトッピングを行い、石窯で焼き上げた。高温多湿のためであろうか、石窯に入れるまでの間に二次発酵してしまったピザもあり、パンのようにふっくらとしたピザとなってしまった。これはこれで美味しいと子どもたちの評判は良かった。


余裕を持ってピザ生地作りを行うベテランの二人

ケチャップを塗り、何をトッピングするかを思案中

石窯で上々に焼き上げたピザを披露

(5)秘密基地づくり
 秘密基地づくりは、3年目に入り、今回のメインは、習得したロープワークを駆使した秘密基地づくりである。2年前に作成した竹を使った基地づくりの応用として、竹の代わりにロープを使ってステージ状の基地を作ることとなった。
 班をA・B・Cの3班に分け、雑木林に入って班ごとにロープを使ってどのような基地を作るか相談して決めることから始めた。描いた構想を実現するための基地づくりに適した立木を探し回り、決定した場所で活動に取り掛かった。
 A班は、4本の立ち木を利用し、腰の高さにステージ状にロープを張り巡らせることとした。最初1本のロープでネット状に張ってが、一人が乗っても不安定ということでロープ2本をより合わせて作成していた。
 B班は、A班同様のステージ状にネットを張り巡らせることを考え、やや広めのステージを作るため邪魔になる立ち木を切断し、場所を確保してネットを張っていた。
 A班・B班ともにネット上に目皿を載せ、くつろげる基地づくりを行っていた。
 C班は、大型のハンモックを作成することを決め、たるんでも地面に着かないようやや高い位置にネット張っていた。次回参加できない子どもがいるために何とか仕上げたいという要望があり、スタッフの応援要請を受け、後半、手伝ってもらい完成にこぎつけていた。
 それぞれ完成した基地で記念写真を撮り、後片付けをして下に降りた。


A班:目皿パーツを支えるようにロープを編んで基地づくりに挑戦

B班:ロープを使ってA班よりも広めの基地づくりに挑戦

C班:ロープを網目状につなぎ、大型のハンモック作りに挑戦


完成したA班の秘密基地:Vサインで記念写真

完成したB班の秘密基地:満足感の記念写真

完成したC班の大型ハンモック:心地よい寝心地に大満足

(6) 活動を振り返って
 秘密基地づくりは野外活動であるため、天候を最も気にしていた。前日まで雨の予報であったが、明け方に雨もあがり、曇り空で時々日が差す天候となり予定していた活動をすべて実施することができた。
 今回は、竹の飯ごうでごはんづくりと秘密基地づくりの2つの活動を午前と午後のメイン活動として行った。
 午前の竹の飯ごうでご飯を炊く活動はスタッフも未経験の野外活動である。過去に話題に上ったことがあったが子どもたちには難しいということで見送りになっていた活動である。3年前に新しく2名のスタッフが加わり、実施することが決定した。ただ、初の体験活動であるため、スタッフが事前に試行錯誤を繰り返し、米や水の量、米を入れる部分の蓋の切り取り方、火の具合、火にかける時間、蒸らす時間など、いくつかの成功に導く方法を見つけだし、体験活動に臨むことができた。
 米は紙コップ1杯、水も同量、火はおき火を利用することで予想以上に簡単に米を炊くことができた。何名かは失敗し、芯が残ったご飯の可能性があることを考慮し、そのご飯をリゾットにするための準備もしていたが、まったく必要なく全員成功した。おかずを全く必要としないほど美味しいと大好評であった。子どもたちにとって良い体験ができたと確信している。
 午後のメイン活動である秘密基地づくりは、子どもたちが潜在的に持っている冒険心を引き出すことを狙って行った活動である。予想通り、子どもたちは無心に基地づくりに熱中していた。少しでも良いものを作るために話し合いが行われ、自ずとコミュニケーションも豊かな活動となっていた。何よりもやりがいを感じたのは、子どもたちの輝いている目であり、必死に取り組んでいる姿である。特に仲間になかなか入れず、いつも母親の傍で活動を見ている子どももすっかり溶け込み、一緒に活動に取り組んでいる姿に出会えたことは大きな成果であり、喜びである。
 C班の一人の子が次回は地域行事で不参加のため、本日中に完成させ、その上で寝てみたいという要望が強く、一部スタッフも加わり4時前に完成した。その大型ハンモックに横になり、自然に溶け込んでいる姿を見てこの活動の成就感を味わった。
 まだまだ、子どもの持っている夢は広がっており、もう2時間ほしいと声を上げる子どもたちがいた。次年度、この秘密基地の拡張活動を実施したいと考えている。
 活動報告をまとめる中で後悔することは写真がないことである。子どもたちと一緒に活動していると写真を撮ることが疎かになってしまう。スタッフも童心に返り、「共に」というごく自然な気持ちが優先しているようである。
 今回も、自然との共存や自然環境を考え、自然の素材を生かした体験活動が実現できたことと、子どもたちが自分を出し、創造性を発揮し、お互いに協力し合ってモノづくりを行うなど、生きる力を身に付けることができたことが成果である。



速報レポート1 農業体験と巣箱づくり
速報レポート2 林業体験
速報レポート3 竹細工と水遊び
速報レポート4 秘密基地づくり
速報レポート5 秋を楽しむ

■別年度のレポート
2022年度 自然の中で生きる力と笑顔を育む体験活動~里山の自然に触れ、遊びとモノづくりを楽しみ、生きる力を育む~ 実施レポート

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