NO団体名主な企画内容
23 NPO法人 里豊夢(りほうむ)わかさ(福井県) 「自然の中で生きる力と笑顔を育む体験活動~里山の自然に触れ、遊びとモノづくりを楽しみ、生きる力を育む~」
里山の自然の恩恵を受け、何事もチャレンジし、笑顔で充実感を味わうことができる活動を行う。また、異年齢集団活動で、単にモノづくりの知恵だけでなく他者への思いやりや社会のルールを学び、人間力を育てる。

速報レポート1 「芋の苗植えと昔あそび」

活動日:2022年5月29日(日)
活動場所:NPO法人里豊夢わかさ活動地 若狭町能登野区地係里地里山「のとのの里」
参加人数:小学生8名 中学生1名 幼児2名  保護者9名  スタッフ7名  合計27名
活動内容

 会場に来た参加者から検温と体調確認を行い、開会式でコロナ対策について協力を求めた。午前中は、里地のサツマイモ畑に移動してサツマイモの苗を植え、その帰路、竹林に寄って竹の伐採活動を行った。午後から「昔あそび」として伐採した竹を使って「竹けん玉」をつくり、その竹けん玉で遊んだ。
 気温が高く、まだ、体が暑さに慣れていないなかでの活動で、マスクを外さない子どもがいたため、およそ30分おきに水分補給を行った。
(1) サツマイモの苗植え
 かつては農繁期に限らず子どもたちが田畑に出て農作業を手伝っている姿はよく見かけたが、久しく、そのような姿を見かけていない。このような時代、子どもたちが土に触り、その土が自分たちの命を繋ぐ大切な食糧を育てていること学ばせることは大切なことと考え、活動当初から取り組んでいる生産活動の一つである。サツマイモの苗植えは、1本の根が全くないサツマイモの細い茎が、秋には大きな芋をいくつも身に付けて掘り出される。その神秘的な土の力、自然の力を学ぶとともに収穫のよろこびを味わい、調理して食べる活動に繋がっている。
 例年通り200本の苗を発注していたが、今年は、サツマイモの苗の病気が発生し、品薄で回ってこず、活動日前日にようやく100本だけ手に入れることが出来た。昨年、子どもたちが植えた苗が強風で50本ほど吹き飛ばされたため、注意深く子どもたちは苗を植えた後、しっかり押さえ、軽く引っ張ても抜けないか確認していた。


気温がグングン上がるなかであったが、子どもたちはマスクをしたまま苗植えに取り組んでくれていた。

第一回目の水分補給の休憩時、マスクを外すことも指導し、小さい子どもたちはマスクを外して苗植えに取り組んでくれた。

竹の道具の先端に苗をひっかけて土の中に埋め込んでいく。ちょっとしたコツがあるが、高学年の子は躊躇することなく、手際よく植えていた。


初めて参加した子どもは、経験のある子どもの様子を見ながら会得して植えていた。「真似る」⇒「学ぶ」である。植え終えた後、苗が風に飛ばされないように足に体重をかけてしっかり抑え込んだ。

植え終わった後は、一本一本の苗にたっぷりの水やりを行ってくれた。

水やりが楽しいようで、順番待ち状態となった。ただ、乾燥が続いており、畑全体がカラカラ状態であったため、苗植え活動を終えた後、村田氏が畑全体をスプリンクラーで水を撒いてくれていた。

(2) 竹の伐採(竹けん玉用)
 サツマイモの苗植えを終えた帰路、竹やぶに寄り道し、竹けん玉づくりに使用する竹の伐採活動を行った。竹けん玉には太い孟宗竹が適しているが、近くにその竹林がないため、やや細い真竹を使用した。竹藪の持ち主からは、もう手入れはできないから全部切ってくれてもよいという承諾を得たが、全く手入れがされておらず、足を踏み入れるのも躊躇するほど荒れていた。子どもたちは、その竹藪に果敢に入り、太い真竹を探し出し、切り出していた。広場で切り出した竹の枝を払い、適当な長さに切断し、最後、切り落とした枝や不要となった竹の先端部分など集め、竹藪の一ヵ所に積み上げ、「来た時よりもきれいに!」が実践された。


足を踏み入れるのもおっくなほど荒れた竹藪の中に入って、適当な太さの竹を選んでいる子どもたち。足場が悪いので慎重に、一歩ずつ進んでいる。

探し出した太めの竹の切断に入るが、周りの竹などが邪魔となり、切り出すのも一苦労していた。

切り出した竹を必要な長さに切断し、次に枝を払い落して「竹けん玉づくり」の材料を確保した。

(3) 竹けん玉づくり
 自分の遊ぶ道具は、身近にあるものを利用して自分で作るという先人の知恵に学ぶ活動で、身近にある竹を利用して「竹けん玉」を作り、自作のけん玉で遊ぶ活動である。1枚の完成した「竹けん玉」の写真を見て、竹をどのように加工していくかを考えながら取り組ませた。途中、何度も写真を確認しながら取り組んでいた。子どもたちの構想や創造性、探求心を高めることができた。


提示した写真から製作過程をイメージしている。昔、そうであったようにあくまでも自分の頭の中でイメージ化し、形作っていくことを求めたため、真剣に取り組んでいる。

竹にマジックインクで印をつけ、ノコギリで切断していく。

沸騰したお湯の中に作った竹けん玉を入れて、油抜きを行った。


油抜きをし、完成した竹けん玉。磨きが不十分なけん玉と比較すると、落ち着いた雰囲気の竹けん玉に変身している。

「昔あそび」の竹けん玉遊びに挑戦。やや細い竹で作ったため受け止める難易度は高くなったが、何度か挑戦しているときれいに受け止めるようになった。

(4) 後片付け
 「来た時よりもきれいに」、「使ったものは手入れをし、元の場所に戻す」。昨年度から意識して取り組んでいる活動の締めである。一つの活動を終えるとこれが当たり前の行動になりつつある。初参加の子どもも当たり前のように真似て行っている。特にノコギリは、手入れが遅れると錆が広がり切れなくなるため、刃に固まって詰まっている木くずをブラシで取り除き、ヤニ取り剤でヤニを溶かしてふき取り、最後に椿油を塗って元の場所へ戻す。‥‥この一連の活動を指示されることなく行うまでに子どもたちは成長している。


払い落した竹の枝などを集めて所定の場所へ。この中学生の行動をきっかけに、子どもたちは広場のそうじを始めた。

使い終わった玉切り台の後始末を行ってくれた。この台は結構な重さであるが、仕舞う場所に運び込んでくれた。

ノコギリの目詰まりの木くずをブラシで取り除き、ヤニトリ液をつけている。ブラシできれいに取り除いたと思ってもこの液をかけるとヤニが浮き出てくる。使用したノコギリの手入れを終えた後、次回の活動で使用する大きなノコギリの点検と手入れまで行ってくれていた。

活動を終えて

 一向に収まらない新型コロナの影響を受け、少人数の参加者で活動を行なった。予定通り活動を行ったが、暑さに慣れていない小さい子どもは、サツマイモ畑への往復の移動で疲れたとのことで昼食後、帰宅した。コロナ禍で外出の機会が減少し、外遊びが疎かになっているようで、体力が落ちているのではと心配される。残った子どもたちは元気で楽しく午後の活動を行い、後始末もしっかり行ってくれた。
 竹けん玉づくりに使用する竹の伐採も体験させたいと考え、身近なところにある真竹を伐採して活動を行ったが、後の遊びのことを考えるともっと太い孟宗竹を準備しておいた方が良かったのでは反省している。
 子どもたちが真剣に、素朴な昔あそびに夢中になっている姿を見れたことは救いである。



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■別年度のレポート
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