NO団体名主な企画内容
23 NPO法人 里豊夢(りほうむ)わかさ(福井県) 「自然の中で生きる力と笑顔を育む体験活動~里山の自然に触れ、遊びとモノづくりを楽しみ、生きる力を育む~」
里山の自然の恩恵を受け、何事もチャレンジし、笑顔で充実感を味わうことができる活動を行う。また、異年齢集団活動で、単にモノづくりの知恵だけでなく他者への思いやりや社会のルールを学び、人間力を育てる。

速報レポート2 「SDGsを学ぶ『森のそうじ』」

活動日:2022年6月19日(日)
活動場所:NPO法人里豊夢わかさ活動地 若狭町能登野区地係里地里山「のとのの里」
参加人数:小学生8名 高校生1名 幼児1名  保護者7名  スタッフ7名  合計24名
活動内容

 新型コロナ感染が地域の小学校にも広がっているため、開会式で感染対策への協力と、連日の高温多湿で体や行動にも影響出てくることが考えられるため、無理することなく、楽しく活動に取り組むことをお願いした。
 9時半からピザ生地作りを行い、発酵を待つ間、里山の倒木や立ち枯れの木、そして樹皮がはがれている木などから獣害の実態を調べた。11時半ごろから発酵したピザ生地を伸ばし、トッピングを行い、ピザ窯で焼いてもらう活動を行った。
 昼食後は、1時間ほど倒木で薪づくりを行い、その後、クラフトに使いたい倒木を拾い集め、クラフトづくりを行った。

(1) ピザづくり
 ピザ作りは、幼児でも取り組める野外料理で、子どもたちが自分の昼食を自分で作って食べる活動である。今回のピザづくりは、4歳児の時から参加している高校生が準備から後片付けまでを手際よく仕切ってくれた。単に手際が良いだけでなく、必要以上に関わらず、子どもたち一人ひとりが自分で最初から最後まで作るように対応していたのには感心させられた。
 ピザづくりの活動内容は、① まず、ピザ生地を作る活動で、ボウルに定量の力小麦粉、ドライイーストを入れ、今回初めて冷水を入れて軽く混ぜ、塩、オリーブオイル入れ、粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。ボウルから生地を面台に移し、滑らかになるまでこねる。 ② 滑らかになった生地を丸め、乾燥を防ぐため袋に入れて発酵を待つ。 ③ 発酵した生地を平たく伸ばし、トッピングする。 ④ クッキングシートに名前を書き、ピザパンにのせ、ピザ窯で焼いてもらう。⑤ 焼上がったピザを適当な大きさに切断し、食する。 ⑤ 使用した道具を洗い、乾燥し、元あった場所に戻す。
 開会式時点で既に30℃を超え、正午ごろには35℃近くまで上がってきた。この過酷な環境下で、ピザ窯担当スタッフは、窯の温度を500℃近くまで上げてくれた。おかげで短時間で外はカリッと、なかはふっくらとしたピザが焼き上がり、大好評であった。


<ピザづくり初体験> 初参加の1年生の女児は、母親に見守られる中で初めてのピザ生地作りに挑戦。母親は心配しながら、でも手出しを控えて応援していた。隣の4年生女児の手さばきを真似たり、高校生のアドバイスと励ましの言葉で生地作りを行っていた。

<トッピング> 発酵したピザ生地を伸ばしてトッピング。トマトピューレを塗り延ばし、好きな具材を載せていく。高温で焼き上げるため、具材の重なりを意識し、薄く広げている。

<焼きあがったピザ> 窯から出したばかりのピザを器に移し、ピザカットばさみで自分好みにカットしていく。そして、昼食。


<パンづくり> おやつ用にピザ生地を小さめにカットし、細く、平たく伸ばしてパンを作っている子どもたち。まぐろフレークを小さい竹輪のあなに詰込み、パン生地で巻いていった。ピザ焼きが終わった後、200℃近くまで窯の温度を下げ、余熱で焼いてもらった。

<後片付け> ピザづくりが終わった後、使用した道具を洗い、消毒、乾燥後片付けを高校生が中心になって行ってくれていた。気づいたときにはほぼ片づけを終えた状態で、最後の面台の消毒を行っているところであった。

(2) 木の観察・獣害の実態
 里山の実態を観察し、樹木に関心を持ってもらうための活動である。まず、「聴診器で木が生きている証として音が聞こえる?」を試す活動を行った。科学的にはありえないことと言われているが、五感を研ぎ澄ませて木は生きているという意識を高め、自然に接する機会となることを狙って行った活動である。聴診器を木に当て、何かを聞き取ろうとする子ども、それを邪魔しないよう息を殺して見守っている子どもたち。静寂の中で子どもたちは真剣に自然と向き合っていた。喧騒とした社会から離れ、別世界で時間がゆっくり流れているように感じた。このような形で自然と触れ合うものもいいものである。
 続いて里山が荒れ、獣害にあっている実態を探るため広場横の急斜面を登って冒険の森に入った。子どもたちに獣害の実態を探してもらった。何本もの木が枯れて倒れていることや草がほとんど生えていなことにも気づいた。さらに多くの立ち木の皮の一部がなくなっていることと、その位置がほぼ同じ高さであることに気づいた。これらは鹿による被害と考えられることを説明した。
 子どもたちがこれをきっかけに、野生動物との共生や里山の環境問題に関心を持ってくれることを期待している。


<木の生きてる音確認?> 聴診器を木に当て、わずかな音も聞き逃さないよう集中している。

<枯れた木の調査> 倒れずに立ったまま枯れている木を見て、なぜ枯れたのか原因を探っている。

<生命力の強い木と対面> 俗にいう首の皮一枚の状態になってもしっかり成長している木もあり、鹿の害以上に木の生命力の強さに子どもたちは興味津々であった。 

(3) 倒木で薪づくり
 獣害によって倒れている木の有効利用として、薪づくりを行った。杉や松などは、倒木後朽ちてボロボロになるが、広葉樹の倒木の芯の部分は、幾度もの雨や雪にさらされても朽ちることなく残っている。その芯の部分は硬くて切断も容易ではないが、子どもたちは積極的に取り組んでくれた。太い倒木を切断するのには時間がかかったが、しっかり切断し、薪として利用するため広場まで運び下ろし、薪置き場に積み上げた。
 倒木の芯の部分は何年も経っており、子どもたちが作った薪はおそらく煙は出ないであろうし、固いため火持ちは良い。ピザづくりに最適な薪である。


<幼児の初薪づくり> 竹の切断を経験している幼児が、薪づくりに初挑戦。まずは細い芯の部分から取り組んでいた。

<太い木に挑戦> 細い木を切り終えると、自信を得たのか太い木に挑戦していた。のこぎりの位置も使い方もしっかり身に付いており、将来が楽しみである。

<長い倒木に挑戦> 1本の長い倒木を薪にと取り組んだ小6男児と高校生。順次切り進み、見事薪づくりに成功。間伐材と異なり、圧を加えないと切れないだけに、思わずご苦労様!と。


<林業用ノコギリで> 4年生女児は、林業用の大きいノコギリで太い倒木の芯に挑戦。大きいのこぎりは、コツがいるが見事に切断していた。

<薪の運搬> 切断した薪を下の広場までかけて運ぶが、芯だけに結構な重さで1往復で休憩。

<一服> 普段であれば、冒険の森は夏でも過ごしやすいところであるが、今回は、高温多湿で子どももスタッフもバテ気味となり、途中で休憩。

(4) ネイチャークラフト
 「のとのの里」にある自然素材を生かした小物づくりの活動で、感性・創造性・表現力を高める活動である。薪づくりの後、クラフトに使用する枯れ木や松ぼっくりなどクラフトづくりの素材を集め、この素材を生かしてネイチャークラフトを行った。この活動が始まる前に小さい子どもたちは暑さが堪えていたため、帰宅してもらった。子ども3名が残ったが、小学生2人の活動が途中で緩慢になったため後片付けを簡単に済ませて活動を終えた。


<集めた素材で構想> 冒険の森から拾い集めた枯れ木や枝を前に構想を練っている。

<苦心> 枯れ木を台の上に立てるため重心を考えるなど試行錯誤を繰り返している。バランスが取れた位置にグルーガンで接着してもすぐ倒れてしまい、苦労していた。

<エネルギー切れ?> 枯れ枝を立てるところまではこぎ着けたが、そこからエネルギーが切れたのか、先に進まなくなってしまった。高温多湿の環境下でマスクをしての活動は堪えているようである。

活動を終えて

 福井県内では新型コロナ感染の拡大傾向に入っており、小学生以下が感染者の約3割を占める状況が続いており、感染の者の出た学校からは外出自粛要請がだされ、参加取り消しの連絡が入るなど、今回も少人数の活動となった。参加者、スタッフには、いつも以上にコロナ感染対策へ緊張感をもって臨むよう協力をお願いした。ただ、高温の中、マスクをしての活動は、体への負担は大きく、コミュニケーションもとり難く、楽しい活動とはかけ離れた活動となってしまった。
 また、真夏日や猛暑日、さらに熱帯夜が数日続いており、まだ、体が暑さに慣れていないなかでの活動であったため、休憩・水分補給の時間をとったが、気温が上昇するにつれ、明らかに緩慢な行動が見受けられるようになってきた。一番の問題は、活動広場が3方を山に囲まれた小さな窪地状で、おまけに無風で熱が籠る室状態となったことである。
 昼食時に参加者には、午後の活動は体力を使うため、翌日の学校のことも考え、無理することなく活動を終えてもらう選択肢があることを伝えた。幼児1名と小学生6名が薪を運び終えた後、帰宅した。クラフトをしたいという小学生2名と高校生が残ったが、小学生2人は明らかに疲れた様子が見受けられたため、簡単な後片づけだけして帰ってもらった。
 子どもたちの話を聞いていると、コロナ過でねる時間が遅くなり、生活リズムが少し乱れているように感じた。



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