NO団体名主な企画内容
18 NPO法人 里豊夢(りほうむ)わかさ(福井県) 「「里山の四季 まるごと体験」」
"身近にある里山の魅力を、自然体験活動を通して発見する。幼児から中学生までの異年齢集団の取り組みで、消滅しかけている自然遊びやモノづくりなどの伝承されてきた「子ども文化」の復活を目指し、生きる力を育む。"

速報レポート5 秋を楽しむ

日 程   平成30日年10月14日(日)
場 所 NPO法人里豊夢わかさ活動地 能登野地籍里地里山「のとのの里」
参加者 小学生11名 中学生2名 幼児3名 保護者11名  スタッフ6名
スケジュール

9:00  のとのの里集合・開会式
9:20  パン生地づくり一次発酵
9:50  サツマイモの収穫 春に植えたサツマイモの収穫
11:00  昼食の準備(野菜等のカット)
11:20  ハロインパンづくり 二次発酵  豚汁作り
12:00  石窯でパン焼き(発酵したパンから順次)
12:20  昼食  フリータイム   
13:30  植樹(第11回ミニ植樹祭) 
15:20  ネイチャークラフト
16:00 使用道具類の後片付け、活動地の後始末
16:10  解散

活動内容

子どもたちが自然との共存や自然環境を考え、生きる力を身に付けることを目的とし、収穫と林業の実体験活動である。特に植樹は、緑豊かな森づくりと同時に自然に対して興味・関心を持ち、自然について学ぼうとする意欲も高めることも目的とした活動である。活動全体として子どもたちに自分ができること、みんなのためにできることを見つけて行動する力を養うことも目的としている。
1) 5月の活動で植えたさつま芋を収穫し、食の大切さに気付かせる
2) ハロウィンに合わせ、かぼちゃペーストや抹茶を練り込んだ生地でパン作りを行い、ハロウィンを身近なものとする。
3) 豊かな森づくりのために植樹活動を行い、森の大切さを学ばせる。
4) 秋の自然素材を生かしてモノづくりを行う。

(1) ハロウィンパン作り
宗教的な意味合いは全くなく、本来、秋の収穫を祝う行事であったハロウィンを意識してハロウィンパン作りを行った。かぼちゃペースやト抹茶を混ぜ込んでパン生地作りから取り掛かった。第一次発酵を終えた生地を伸ばし、子どもたちの豊かな発想で表現されたハロインパンが次々と出来上がっていった。
二次発酵後、石窯で焼き、ふっくらとしたパンが出来上がり、ほとんどの子どもは食べるのがもったいない、飾っておくとお持ち帰りとなった。


6年生と中2年生がリーダーとなってパン作りの世話を行った

2歳児二人も初パン作りに挑戦。泥んこ遊びん延長であるが楽しんでいた

ハロウィンにちなんだパン。色を組み合わせてなかなかの出来栄え

(2) サツマイモの収穫
今年度は、夏の猛暑と水不足のため収穫量が少なく、大半が小ぶりの芋であった。収穫量には不満があるが、子どもたちが協力し、慎重に掘り出している様子見て、目的は達していると感じた。収穫はわずかであったが、今後の活動に有効利用して行きたい。


協力して芋掘り活動。幼児が掘ったように手助けしているのが素晴らしい

最後に芋の堀残しがないかスコップで土を起こして確認

収穫した芋の仕分け。小さい芋は蒸しておやつとして食した

(3) ネイチャークラフト
 身近な自然素材を利用して創造性を育むネイチャークラフトを行った。近年、ネイチャークラフトを行っていなかったため、楽しみにしていた子もおり、豊かな感性にあふれた作品を作っていた。
素材はのとのの里で拾ってきたドングリやクリ、クリのイガ、落ち葉、ススキなど多彩である。使用道具はクールガンで、いろいろな素材を接着し、置物・壁飾りなどを作っていた。今回初めて共同で「のとのの里」のモニュメント作りをしていた。いろいろ意見を出し合って活動している姿が微笑ましかった。
今回はあまり時間が取れなかったため、一つの作品に集中してもらった。最後に作品と記念撮影を行ったが、全員満足した表情であり、工夫・こだわりの説明を聞き、目標は達成できたと判断できた。


ドングリや松ぼっくりをクールガンで接着し、構想を形にしていく

共同でモニュメント作成。相談し、いろいろ試している姿が微笑ましい

どんぐりを使ってこけしづくり。一つ一つのこけしに意味があるとのこと

(4) 昼食づくり
今回の昼食は、おにぎりと豚汁である。包丁を初めて使う子どももいたため、使い方の指導受け、恐る恐る野菜をカットしていた。やや時間がかかったが、落ち着いて最後までやり抜くことを見守った。おにぎりづくりは子どもたちのリクエストで、個性のあるおにぎりが作られていた。もちろん楽しい食事時間が持てた。


初参加で初包丁に挑戦。手の置き方の指導を受け、緊張して大根切り

こんにゃくを適当な大きさにちぎって豚汁の材料作りに挑戦

炊きあがったご飯に具を混ぜて、おにぎりの準備

(5) 植樹活動
未来を担う子どもたちに自然の中で遊ぶだけでなく、自然に関心を持ち、自然の大切さについて理解を深めていくことはとても大切と考え、緑豊かな森づくりのために植樹活動を継続して実施している。今年度は台風21号による倒木などの被害を受け、その処理経費がかさみ、活動経費も規模を小さくせざるを得ず、クヌギとヤマグリの苗木16本を植えた。冬季に背後の山からの吹きおろしてくる風で、過去に苗木が吹き飛ばされてしまったため、添え木として太い杭を打ち込み、さらに、獣害(鹿の食害)から苗木を守るために苗木1本1本に獣害ネットを取り付ける活動も行った。
子どもたちは、黙々と穴を掘り、炭堆肥を入れ、苗木を植えて踏み固める一連の活動を真剣に取り組んでくれていた。この活動は単独ではできないため、お互いが協力し合って活動していた。最後に、長さ70㎝の特注の杭に樹木名、植樹日、植樹者名を書き、苗木の手前に打ち込んだ。なかなかの重労働であったが、幼児もお手伝いの真似事をするなど有意義な体験活動であった。
2時間近くの植樹活動を終えた後、トムソーヤ企画でいただいたチキンラーメンで腹ごしらえをした。
夕食が食べられないのではと思われるほど、お替りをしている子どももいた。お湯を沸かして注ぐだけととても手軽でできるため、次回の薪づくりの時もと子どもたちからアンコールが出ていた。


苗木と炭堆肥を運び入れ、木を植える場所で穴掘り活動

兄弟の共同作業で、しっかり穴を掘り、堆肥を入れて苗木を植えている

2歳児も見よう見まねで土堀作業に挑戦。この好奇心を大切にしたい


獣害ネットと苗木を支える支柱を打ち込んでくれた頼もしい中学生

すべてをセットし、風で飛ばされないよう土をかけて踏み固める

植樹木名、日付、植樹者名を書き、植樹木の手前に打ち込んで終了


重労働の後は手早くできるチキラーメンをおやつ代わりに

2時間近くの労働、余分に購入したチキンラーメンまで完食

(6) 活動を振り返って
 秋晴れのすがすがしい天候の元で活動を行うことができた。
 子どもたちのこだわりを大切にしたため、スケジュールが大幅に遅れた。特にハロウィンパン作りである。20分~30分程度であれば十分と考えていたが、子どもたちのこだわりが強く、細部まで丁寧に仕上げていた。中には昼食の準備に参加できずに取り組んでいる子もいた。活動時間を制約するのではなく、納得のいく活動をさせたいと考えているため、その行動は認めるようにしている。
 今回のメインは植樹活動である。子どもたちが直に森づくりにかかわる活動であり、自然環境について学ぶ活動である。今年度は、ヤマグリとクヌギの苗木を植樹したが、クリの木を植えてた子どもたちは、「桃栗三年柿八年‥‥ということは3年後にこの木に栗がなる。自分の植えた木に実がなるのが楽しみ」と将来に夢を持っていた。2歳からこの植樹活動に一度も欠かさずに参加している子が現在小学校5年生。自分が植えた木が成長しているのを植樹地帯に入るたびに確認し、成長を喜んでいる。
 また、この活動はお互いに協力なくしてはできない活動であるため、固定せずに自然発生的に協力し合っている姿が見受けられた。感心することは、全員目一杯の働きをしていたことである。30㎏の重い堆肥は、二人の中学生が木を植えているところまで運び、掘られた穴に入れていたり、杭をカケヤで打ち込むのを進んで行っていたりと自分の意志で状況判断して行っていたことに感心した。
 この日までとっておいたチキンラーメンをおやつ代わりに準備し、 植樹活動が終了後に全員で食した。大変好評で、次回の活動でもとアンコールを受け、実施することとした。
 自然体験活動を徐々に子どもたち主体に移行しているが、回を重ねるごとに成長している子どもたちの姿に体験活動に携わる者として充実感を味わっている。



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速報レポート5 秋を楽しむ

■別年度のレポート
2022年度 自然の中で生きる力と笑顔を育む体験活動~里山の自然に触れ、遊びとモノづくりを楽しみ、生きる力を育む~ 実施レポート

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