NO団体名主な企画内容
24 尾鷲市立矢浜小学校(三重県) 「僕らのあそび場づくり ~川育・雨育・おわせ行く~」
尾鷲市の「あそび場づくり」第2弾。水源の矢ノ川と、日本一の降水量を誇る雨をテーマに、川上流で滝あそび、中流で川あそび、下流ではシーカヤックで河口域の調査などを行い、自然で遊ぶ力を身につけながら、身体と心の成長を図る。

速報レポート2

実 施 日 : 令和2年7月14日(火)13:00~15:20
活動場所 : 三重県尾鷲市矢浜二丁目3番52号 尾鷲市立矢浜小学校体育館
参 加 者 : 尾鷲市立矢浜小学校4年生11人、教頭、担任、教職員1名
講   師 : 小山ハウス寺子屋(森田)
サポーター : 尾鷲藪漕隊(内山、林、木許、浜田)、奥熊野体感ガイド(福田)、
        三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本)、三重県尾鷲農林水産事務所(須田)、
        尾鷲市水産農林課(芝山、湯浅、千種)尾鷲市商工観光課(浦岡)、
        尾鷲市教育委員会(大谷) 計13人
活動内容

全5回スケジュール案

第1回目:6月23日(火) 午後1時~3時
     →ガイダンス、ペットボトル雨量計作り、尾鷲の雨について
第2回目:7月14日(火) 午後1時~3時
     →安全対策講習、ラインロープ体験、雨量調査 ほか
     ※雨天につき、内容を変更して体育館にて実施
第3回目:8月25日(火) 午後1時~3時
     →下流部基本調査、河口調査
     =三重大学生物資源学部「自然環境リテラシー講座」タイアップ
第4回目:9月15日(火) 午後1時~3時
     →中流部川遊び
     =「どん淵」でのわんぱく川ガキ体験
第5回目:10月13日(火) 午後1時~3時
     →まとめパンフレット作成
     →雨量計での調査結果と、矢ノ川の様子の変化の確認

この日の活動スケジュール (※雨天により、体育館での講習に予定変更)

時間:午後1時00分~午後3時20分(総合的な学習の時間)
13:00~  ・あいさつ
     ・探検隊名の発表
     ⇒「11人で楽しくチャレンジ!矢浜探検隊」
13:05~ ・矢ノ川動画上映
     ⇒ドローンにて撮影した矢ノ川の上流から下流までの動画を見て状況把握を行う。
13:15~ ・安全対策講習
     ⇒動画を見て現場に興味を持たせる「引っ張り出し」を行う。
     ⇒危険情報の洗い出し
     ・雨量計を確認しよう
     ・危険対策を考えよう
     ⇒ライフジャケットをつけてみよう
     ⇒ヘルメットをかぶってみよう
     ⇒グローブをつけてみよう
     ※最終的に命づなが必要という意見を「引っ張り出す」
     ・命づなに見立てたガイドロープを使って歩いてみよう
13:50~ ハーネスをつけてみよう
     ⇒ラインロープをつかって自分の体にハーネスをつけてみよう
     ・カラビナ付け
     ⇒カラビナの役割、使い方をまなぼう
14:20~ ・カラビナでガイドロープをつないで歩いてみよう
     ⇒みんなでどう歩けばよいか相談しよう
     ⇒実際にやってみよう
15:00~ ・ハンモックでリラックスしよう
     ⇒次回に向けた予告(現地でハンモックを張る)
15:20  ・終了

活動レポート

(はじめに)
 この日は、予定では、矢ノ川上流にある「デンガラの滝」まで行き、滝あそびを行う予定でした。
 滝までの行程で、川にある危険なものの意見だしを行い、その危険をどうすれば安全なものにして滝まで行くことができるかを、現地で考えながら進んでいくプログラムを予定していました。
 最終的に、子どもたちには、安全のための服装として、つなぎ、地下足袋、手袋、ヘルメットの必要性を導き出し、また、移動の安全確保のためにハーネス、カラビナ、危険な箇所へのガイドロープの設置と使い方を理解し、遊びの中から危険感知とその対策の仕方を学ぶ予定でありました。
 しかし、梅雨に入り天気予報からも当日が雨の予報であったことから、同様のプログラムを体育館内で実施する雨天用に切り替えました。

(探検隊名発表)
 前回の宿題となっていた探検隊名は、自分たちの地域、学校から名前をとり、「矢浜探検隊」に決定しました。
 隊名を発表するときの子どもたちの顔は大変誇らしげで、これからはじまる取り組みにワクワクした感じがうかがえました。
 また、子どもたちの発案、アイデアで隊旗も作り、「11人で楽しくチャレンジ!」と銘打ち、全員で取り組む思いを現しています。
 世話人の森田さんからは、これから始まる探検に11人で楽しくチャレンジするためには「危険」なこともあるから、それをみんなで話し合って、対応することができてはじめて楽しくチャレンジすることができるよねとアドバイスされました。

(矢ノ川動画上映)
 事前にスタッフがドローンで撮影した矢ノ川流域の10分ほどの動画を鑑賞しました。
 鑑賞の前に、「矢ノ川の動画に何が出てくるか、考えながら観てみよう。この動画の中には何が出てくるかな」とミッションを与えられた子どもたちは、10分あまりの動画を食い入るように真剣に見続けることができました。
 終了後のスタッフの反省会でも、この子どもたちの集中力には驚いたという感想がたくさん聞かれました。


矢浜探検隊!隊旗もみんなでデザイン

動画鑑賞。集中してミッション確認

(安全対策講習)
 安全対策講習では、まずは動画で見た矢ノ川に一体何があったのかを子どもたち一人ひとりが発表していきます。
※子どもたちから出されたあるもの探し
 ・「滝」、「岩」、「水」、「木」、「流れの速い場所と遅い場所」、「生き物」、「植物」。
 動画を見た子どもたちから出された意見は、上記のものでした。
 「では、次回は、本当にあるか探しに行こう」という呼びかけに全員「うん!」と現地への思いをはせます。
 ここから、安全対策の講習に入っていきます。
 手法としては、動画を見た子どもたちに、何があったかを発見させ、そこから何が危険なものかを考えさせます。
 答えが出れば、「なぜ?」を繰り返し、そのなぜの繰り返しにより、出された意見を掘り下げ、理解を深化、共有していきます。
 そして、安全対策のための服装や装備はどのようなものが必要なのか、それはどのような使い方をするのかというポイントまで、子どもたちに引き出させます。
 この「引っ張り出し」という手法により、子どもたちが主体的に考える力を養い、プログラムを与えられたものではなく、自分たちで導いたものに変えていきます。

当日のやり取り=「なぜ」の繰り返しで、意見を掘り下げ理解を深める

  • 危険なものはなに?→「水」
  • 全員そう?→「そう」
  • なぜ水は危険?→「溺れそうになった時があるから」
  • では水は危険だから海や、プールや川には行ってはいけない?
    →「行きたい」
  • 今日はなぜ川に行かなかった?
    →「雨で増水しているから」、「流れが速くなっているから」
  • 増水はどれくらいしているの?→「わからない」
  • 何を見ればわかるの?→「雨量計!」
  • みんな前回作って調べているよね?見てみよう!→全員で雨量計を確認
  • 危険じゃないようにするには?→「浮き輪を持つ」、「ライフジャケットを着る」

    ↓
「ライフジャケットを着てみよう!」


7/13の13:00から7/14の13:00までの24時間降水量は20mm。気象庁発表と合致!

学校に配備されているライフジャケット(浮くっしょん)を装着。

  • 水のほかに危険なものはなに?→「岩」
  • なぜ岩は危険?→「コケがついていたらすべる」
  • すべったらどうなる?→「落ちて頭を打つ」
  • 頭を打つことから守るにはどうする?→「ヘルメットをかぶる」

    ↓
「ヘルメットをつけてみよう!」

  • ほかに岩の危険なことは?→とがっていると切ったり、突いたりする。

    ↓
「手袋をはいてみよう!」

  • ほかに危険なことは?→夏の暑い日は岩が熱くなって足の裏をやけどする

    ↓
「地下足袋をはいてみよう!」

 この意見の掘り下げにより、子どもたちは、前回与えられた服装について、なぜ、この服装なのかを理解しました。

 次に、今回行く予定であった滝までの移動の安全確保についての考え方の
「引っ張り出し」を行いました。

  • さっきのすべるのが危険について、どうすると良かった?→「地下足袋をはく」
  • そうだったね。でも地下足袋を絶対すべらない? →「バンドエイドを持っていく」 ・・・ それは大切なことだよね。
  • でも、すべらないようにするにはどうすれば良い?→「・・・」
  • 家に置き換えて考えてみよう。家の階段にはすべらないようにするために何がついている? →「手すり」
  • 川に手すりはついている?→「ついていない」
  • ではどうしたら良い?→「命づな?」
  • 命づな。そうだね。後ろを見てごらん。

※事前に、体育館のバドミントンやバレーボールのポールにガイドロープを張ってある仕掛けを見せる。


スタッフがポールを利用して設置したガイドロープを現場の命づなに見立てます。

 子どもたちは、自分たちで現場に行ったらどのように川を進んでいくのかを相談して、決めました。
 それは、「みんなでかたまって一緒に進もう」というもので、それを実際にやってみました。
PDCAサイクルをまわしながら、やり方を相談し、改善していきます。

(改善前)


みんなで一緒にガイドロープをつかんで進んでみました。

コーナーでは少し詰まってしまいました。

実際にやってみて感想を話し合います。
そこで出た感想は
 →「手袋をしないと手が熱い」
 →「みんなで引っ張るとグラグラする」
 →「角に行くと詰まってしまって、ロープが揺れて危ない」
というものでした。
ではどうすれば良い? ここでも「なぜ?」を繰り返して深掘りしていきます。
 →「もっと離れて進む」
ではどれくらい?
 →「2メートル」 ・・・ それはソーシャルディスタンスだね(笑)。
 →「ロープがグラグラしないくらい離れる」

 では、実際にやってみよう!

(改善後)


しっかりと距離をとって、1つのロープに1人で持つように改善しました。


 ここでは、PDCAサイクルを回して、全員でやった結果を振り返り、何か問題があったか、何がいけなかったか、やったことでわかる結果を探りました。
 そして、その結果を改善するためにはどうすれば良いか、再度全員で話合いました。
 最終的には、1張りのロープは1人で持つのが一番安定するという結論に達しました。
また、気がつけば1人が次のロープに到達すると「次、オッケー」と、自然に声をかけあうようになっていました。

(ハーネスをつけてみよう)
 ガイドロープの使い方を導き出したあとは、それで絶対安全か?の問いかけがありました。
 子どもたちからは、「手が熱かった」や、「手を放してしまった」などの意見が出され、自然の中で動くときにすごく役に立つロープワークと、そのロープワークによるハーネスづくりを教わりました。


実際にハーネスをつける様子をみます

手を放しても安全確保できます

 ハーネスをつけることで、もし手が放れてしまっても落下しないで、より安全性が高まります。
 少し難しいけど、サポーターの皆さんにお手伝いをしてもらいながら、ラインロープを体に巻きながらハーネスを取り付けていきます。


並べられたロープを使います

難しいところはサポーターに手伝ってもいらいます

(カラビナをガイドロープにつないでみよう)
 ガイドロープとハーネスをつなぐには、「カラビナ」という道具を使います。
 カラビナとは、登山などで命づなをハーネスなどをつなぐ際に用いられる道具で、大変はめやすく、はずれない、でも外そうとするときは、すぐにはずれるという登山にはなくてはならない道具です。
 子どもたちは、初めてカラビナを手にして、森田さんから取り扱い方を教わります。
 自分でつけたハーネスに、カラビナをセットした子どもたちは、その強度を確かめるように、サポーターの皆さんに「吊り下げて」もらい、その安定感に大満足の様子でした。


カラビナの掛け方を教わります

実際に吊り下げてもらって大喜び

 では、いよいよ、本番さながらに、ガイドロープに2つのカラビナを取り付け、進んでいきます。
 もちろん、先ほど改善したとおり、1本のロープに対して1人の割合で大きく間隔をあけて進みます。
 特に注意をする点は、ロープとロープのつなぎ目では、一度カラビナを外して、次のロープに付け替える必要があります。
 そこでは、なぜ2つのカラビナを付けるのかを体で学びます。1つ目のカラビナを外して次のロープに着け終えたら、残りの1つを外して付け替えます。これで、万が一バランスを崩しても、必ず、どちらかのカラビナはロープについたままで、安全が確保されます。
 子どもたちは、慎重にカラビナを付け替えながらゴールしました。


カラビナをガイドロープに掛けます

ロープのつなぎ目は慎重に1つずつ掛けます

(ハンモックでリラックスしよう)
 無事にゴールした子どもたちは、和気あいあいの遊びのなかにも、真剣な取り組みが続いて少し疲れ気味。
 この日最後のカリキュラムは、「ハンモックでリラックスしよう」でした。
 このハンモックは、前年度、宮之上小学校の仲間たちが市有林での「木育・山育・おわせ行く」で使用した、漁業の定置網の端材を使って特別につくってもらった海のハンモックです。
 「次回以降で川に行ったときに、このハンモックを張ることができる場所を探して、川遊びの途中で休憩できるようにしよう!」という呼びかけに子どもたちは疲れも忘れて「やりたーい!」。
 早速交替にハンモックに寝っ転がって、寝心地を楽しんでいました。
 このカリキュラムを最後にしたことで、矢浜探検隊の仲間たちは、早く次回、現地に行って探検をしたいという気持ちをいっぱいにして、今回の活動を終えました。


サポーターらに揺らしてもらいリラクゼーション

最後のカリキュラムに大喜びで次回を楽しみにします

(この日の振り返り・反省)
 この日の活動が終わってから世話人の森田さんを中心に、参加してくれたサポーターの皆さんたちで、この日の振り返り、反省会を行いました。

※雨となり急きょ体育館でのプログラムとなったことについて
 ・現地で子どもたちに何を体感してほしかったかということを十分に考えて、それを代用する仕掛けを体育館に作った。
  ⇒デンガラの滝で行う予定だったガイドロープの使い方と、ハーネス、カラビナの目的、使い方など
 ・現地にまだ行けていないことから、現地に対する「興味」を持たせる仕掛けを考えた。
  ⇒ドローンによる映像をもとに、「あるもの探し」のミッションを与えて、「引っ張り出し」を行った。

※この日のポイント
 ・今回の目的は、子どもたちが自然の中で遊ぶ際に、危険なことを察知するということにポイントを置いたうえで、危険を察知したらどうするのか、やるのか、やめるのか、どうしたら回避できるのかということを考えるきっかけを作ることが大きな目的であった。
  ⇒ハーネスづくりは危険回避のひとつの手法として取り組んだ。
 ・「考えるきっかけ」を作るにあたっては、いかに大人が手出しをしないかという点が一番大きい。
  ⇒今の子どもたちは「与えられること」がほとんど。
 ・今日のプログラムも、動画を見せて、ガイドロープの使い方を教えて、ハーネスとカラビナをつけて歩いたら終わりという内容にすれば30分もかからない。しかし、それでは子どもたちには何一つ残らないし、何の学びもないだろう。
  試行錯誤をさせながら、PDCAサイクルを回しながら、子どもたちに判断させる場面をたくさんつくってやるのが目的。
  ⇒自然の中では誰かひとりにすべてをゆだねるのではなく、自分たちで考え、動き、正解のないことを決めるなかで、自主性、自立性を高めていくことが重要。
   自然体験の良さは、それを「あそび」ながら、「楽しみ」ながらできることが素晴らしい。
 ・ハンモックリラクゼーションを最後のカリキュラムにしたのは、子どもたちに、次回の探検への期待感を創出させて終わるという仕掛けである。楽しかったという印象を、「アクティブな動き」と「ゆったりとしたリラクゼーション」でつくってやる。
 ・子どもたちのことを「探検隊」と呼びかけることで、探検隊としての気持ちを高め、「探求心」を増長していくように心がけた。
 

この日の感想
  • 子どもたちは、体育館での活動であったにもかかわらず、終始集中していたことがすごいと感じた。
  • 前回(第1回目)よりも、子どもたちの反応がよかった。世話人やサポーターにも慣れてきて、探検隊という呼びかけもあり、企画に入り込んできた感じがした。
  • 3年~4年生は成長過程の中で、身体的にも精神的にも個人差が出る時期なので、クラスの中での個人個人の性格や役割を尊重してやり、全員が同じ反応をすることを期待せず、個性を尊重した対応をしてやることが大切と感じた。
  • 子どもたちに無理に近づいていくよりも、子どもたちから、自分のスタンスで近づいてこられるような流れが重要。

⇒次回は、子どもたちから質問をしてくるようなやりとりを織り込んでいく。
⇒現場に出るときは「バディ」を組ませることも考える。



速報レポート1
速報レポート2
速報レポート3
速報レポート4
速報レポート5

プログラム検索に戻る