NO | 団体名 | 主な企画内容
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尾鷲市立矢浜小学校(三重県) |
「僕らのあそび場づくり ~川育・雨育・おわせ行く~」 尾鷲市の「あそび場づくり」第2弾。水源の矢ノ川と、日本一の降水量を誇る雨をテーマに、川上流で滝あそび、中流で川あそび、下流ではシーカヤックで河口域の調査などを行い、自然で遊ぶ力を身につけながら、身体と心の成長を図る。 |
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速報レポート5
実 施 日 : 令和2年10月13日(火)12:30~15:30
活動場所 : 三重県尾鷲市大字南浦矢ノ川最下流(黒の浜~矢ノ川)
参 加 者 : 尾鷲市立矢浜小学校4年生11人、6年生5人、教頭、担任2人、
教職員1人 計20人
講 師 : 小山ハウス寺子屋(森田)
サポーター : 尾鷲藪漕隊(内山、木許、浜田)、三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本)、尾鷲ライフセービングクラブ(大谷)、三重県尾鷲農林水産事務所(辻本)、尾鷲市水産農林課(芝山、千種、高村)、商工観光課(浦岡) 計12人
活動内容
午後12時30分~3時30分→下流部「シーカヤック」体験、黒の浜観察
●この日の活動スケジュール
時間:午後12時30分~午後3時30分(総合的な学習の時間)
12:30~ 矢浜小学校出発
12:45~ 今日の活動説明
・カヤックに乗って矢ノ川最下流の「黒の浜」から矢ノ川を遡上して、海と川の境目をさがそう。
→川の水と海の水が交わるところはどうなっているのかな?
調べてみよう。
カヤックに乗って大人対子どもで海賊合戦をしよう!
12:55~ カヤックに乗って、海と川の境目をさがしに行こう。
14:00~ 矢ノ川下流を遡上しよう
14:30~ 黒の浜に戻って海賊合戦をしよう
15:20~ マイクロバスにて矢浜小学校へ戻る
活動レポート
(はじめに)
いよいよ最後の回となる今回は、「川育」の集大成として子どもたちも楽しみにしていたカヤックに乗船してのプログラムとなります。
今回は、同プログラムに取り組む4年生11人の「矢浜探検隊」に加え、新型コロナウイルスの影響で学校行事が減ってしまった6年生5人も特別参加をしました。
この日のプログラムは、下流の黒の浜から矢ノ川を遡上しながら、淡水と海水が入り混じる汽水域をさがすこと、そこで見られる「ゆらゆら帯」を観察すること、第4回目の最上流のデンガラの滝で観察した石や岩との違いを確認すること、そして、最後に、大人対子どもでカヤックに乗って水鉄砲で撃ち合いをする海賊合戦をするという内容です。
これまで4回にわたって「矢ノ川」をテーマにして自然の中で遊ぶための危機管理を学びながら、自然で遊ぶ楽しさを知った子どもたちには、最終回にカヤックに乗って海から川を遡上する体験は、本当に貴重なものとなり、また、新型コロナウイルスで思うような活動ができていない中で、大喜びの楽しい活動となりました。
(ガイダンス・カヤックの乗り方の説明)
矢ノ川最下流の「黒の浜」に集合した子どもたちは、2人1組になって二人乗りのカヤックを漕ぎます。まずは、カヤックで日本一周を経験している、カヤックのプロで世話人の森田さんにカヤックの乗り方、方向転換の仕方の説明を受けます。
陸上でパドルの使い方を学んだあとは、さっそく乗船です。全員が初めての乗船で、艇に乗り込むだけでもフラフラしながらもなんとか乗船し、いよいよ出航です。
(海と川の境目をさがしに行こう)
矢ノ川下流には、黒の浜という春には潮干狩りもできる市民憩いの砂浜があります。
その砂浜から出艇した子どもたちは、初めてながらも二人乗りのカヤックをうまく操縦していくチームや、行きたい方向に進まず右往左往するチームなど、さまざまでしたが、それでもみんな楽しさいっぱいといった感じで、森田さんの操縦するカヤックを追いかけて矢ノ川を遡上していきます。
撤退が決まり、解体が進む中 部電力の横を漕いでいく子どもたち。
子どもたちが体験しているプログラムを、この跡地で拠点化しようとする取り組みが、官民一体となって行われています。
黒の浜から矢ノ川に向かう子どもたち。
穏やかで美しい海と川と山に包まれた景色が心地よい。
子どもたちには、こうした故郷の良さをいつまでも心に刻んでもらえるような取り組みを進めていきたいと改めて思わせてくれる景色です。
黒の浜から200メートルほど遡上したポイントの川原にカヤックをつけ、そこで川に入って観察しながら川と海の境目をさがしていきます。
森田さんの、“川と海の境目はどんなだと思う?”の問いかけに、子どもたちは、「川は冷たくて海は暖かい」と答え、「今は冷たい」など、水温を歩きながら感じます。
少し下ったところで、森田さんから、“ここの水を少し舐めてみよう”と、川の表面からと底から水を汲み取って舐めてみます。
「どっちもあんまりしょっぱくないから、ここは川!」
“そうしたもう少し下ってみよう”
ここはしょっぱくないから“川”と子どもたち
矢ノ川は川底まで透き通る美しさ
もう少し下ったところで、表面と底の水を汲み取って、子どもたちがそれぞれ舐めてみます。
まず、底の水を舐めてみると、
「うえっ!しょっぱい!」
“それじゃ、表面は?”と、水面の水を舐めてみると、
「あれ、しょっぱくない」
“それじゃあ、ここが海と川の境目だね”
“でも、表面が普通の水で、底が塩水ということは、上が川で下が海ということだね”
と森田さんが尋ねると、ある生徒は、
「海と川は真っ縦にわかれていると思っていた」と答え、
“そう、そういう発見が大切だよね。では、つま先の冷たさと、上の冷たさはどう?”
「つま先が冷たい。」「上としたでは温度が全然違う」と子どもたち。
森田さんから、
“水の中をよく観察してごらん。海の水と川の水の層がゆらゆらしている「ゆらゆら帯」が見えるかな?”との問いかけに、よく見てみると水の中がゆらゆらして見えます。
“海と川の境目は、くっきり分かれているのではなくて、表面と底で入り混じりながら、ゆらゆらしながら混ざっているんだね”
と教わり、子どもたちは汽水域をまさに体で感じました。
少し下流で表面と川底の水を舐めてみます。
表面は真水なのに、底はしょっぱく、「うえー」
汽水域では、真水と海水が入り混じった“ゆらゆら帯”が見えました。
汽水域の“ゆらゆら帯”を体感して、その後、矢ノ川を400メートルほど遡上した子どもたちは、カヤックをつないで記念撮影のあと、下流の「黒の浜」に戻ってきました。
川底まで透き通る矢ノ川下流でカヤックをつないでの記念撮影
(海賊合戦をしよう)
黒の浜に戻ると、一度、上陸し、水分補給などをしたあとは、金魚すくいの「ポイ」を取り付けたヘルメットをかぶり、ゴーグルをつけ、ひとり一丁ずつビニールパイプで工作した水鉄砲を持ちます。いよいよお楽しみの、大人対子どもの「海賊合戦」です。
昨年の「山育」での森の中でのスポンジ銃での対決もそうでしたが、大人対子どもの対決では、大人は絶対、手加減をしません。
“大人も真剣に遊び、楽しむ”
これが「山育」でも「川育」でも共通して、「手を出さずに見守ること」とあわせて課せられた大人へのルールです。
ポイをつけたヘルメットに、ゴーグル、水鉄砲のいでたちで海賊合戦に臨みます。
再びカヤックに乗り込んだ一同は、大人と子どもに分かれて両岸に向かい合い、いよいよ合戦の始まりです。
艇の数も、ちょうど8艇ずつでハンデなしです。
しかも、大人チームは、プロカヤッカーの森田さんをはじめ、自然環境リテラシー学を考案、実践する三重大学の坂本教授や山本先生、外遊びのプロフェッショナルの尾鷲藪漕隊の皆さんなど、操縦のうまい人たち揃いです。
それでも、子どもたちは、持ち前のやる気、元気、ハイテンションのモチベーションで、互角に戦い、遊びに対する適応能力の高さを垣間見ることができました。
操縦になれた大人たちに一歩も引けを取らない子どもたちの大奮闘
大人も手加減なしで真剣勝負がルールです。
藪漕隊も、担任の先生も、森田さんも真剣そのもの。
海賊合戦の結果は、かろうじて大人チームの勝利となりました。考えてみれば、今日初めてカヤックを漕いだ子どもたちに対して、プロを含む慣れた大人チームでは当たり前ですが(笑)
そして、今回の「僕らのあそび場づくり~川育・雨育・おわせ行く~」も、無事5回の行程を終えることができました。
最後に、充実した顔で整列した子どもたちを前に、世話人を務めた森田さんは、
“5回の体験で正直ここまでみんなの成長を見られるとは思っていなかった。また、矢ノ川の素晴らしさは、実際に活動をしてみて自分が想像していたよりもはるかにすごくて感動した。みんなに感謝します”とねぎらいと感謝の言葉を言われました。
子どもたちからは、森田さんにお礼を言ったあと、
「去年の活動では、5回終わったあと、アンコールでもう1回してくれたと聞いた。僕たちももう1回してほしい」と、まさかのアンコールがかかり、担任の川口先生も、
「できれば、これまでの活動を授業の中でまとめあげて、矢の川のマップなどを作りたいので、その時は協力をしてほしい」との要請がありました。
トム・ソーヤスクール企画のプログラムは、今回にて無事終了しましたが、11人の「矢浜探検隊」の活動はもうしばらく続きそうです。
今回もこのような素晴らしい体験をする機会を与えてくださいましたすべての皆さまに感謝申し上げ、今年の「僕らのあそび場づくり」を終了させていただきます。
皆さま、本当にありがとうございました。
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