NO団体名主な企画内容
24 尾鷲市立矢浜小学校(三重県) 「僕らのあそび場づくり ~川育・雨育・おわせ行く~」
尾鷲市の「あそび場づくり」第2弾。水源の矢ノ川と、日本一の降水量を誇る雨をテーマに、川上流で滝あそび、中流で川あそび、下流ではシーカヤックで河口域の調査などを行い、自然で遊ぶ力を身につけながら、身体と心の成長を図る。

速報レポート4

実 施 日 : 令和2年9月15日(火)12:30~15:00
活動場所 : 三重県尾鷲市大字南浦矢ノ川最上流(通称:デンガラの滝)
参 加 者 : 尾鷲市立矢浜小学校4年生11人、教頭、担任、教職員1名
講   師 : 小山ハウス寺子屋(森田)
サポーター : 尾鷲藪漕隊(内山、林、木許、浜田)、小川耕太郎∞百合子社(藤井)、
        三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本)、三重県尾鷲農林水産事務所(辻本)、
        尾鷲市水産農林課(千種)、商工観光課(浦岡)
        計10人

活動内容
午後1時~3時 →上流部「デンガラの滝」遊び         

●この日の活動スケジュール

時間:午後12時30分~午後3時00分(総合的な学習の時間)
12:30~ 矢浜小学校出発
13:00~ 今日の活動説明
       野外活動の安全管理についてのレクチャー 
       ・ハーネスとスリングでのロープワークによる安全管理
       ・カラビナの使い方
13:20~ ロープを使って滝への移動
14:10~ 滝あそび
14:40~ 川原の岩の観察
15:00~ マイクロバスにて矢浜小学校へ戻る

活動レポート

(はじめに)
 今回は、第2回(7月14日)の体育館でのラインロープ体験から導き出した「危険回避」の実践版として、自然の中で、自分たちが考えた対策どおりの動きができるか、どれほど実践と想定と違うのかを、遊びの中で身をもって感じてみるのが目的です。

(ガイダンス・前回の振り返り)
 ・危険を察知して、その危険をどうすれば回避できるかを現場で感じてみよう。
 ・ハーネスとスリングの付け方の確認。


ハーネスの付け方のおさらい

お互いで安全確認。「ハーネス装着よし!」

(今日の活動のポイント)
 ・岩場での移動で注意することは何だろう?
 岩場 →(子どもたち)コケがある
    →(子どもたち)コケの上は滑る
    →(子どもたち)岩がのっている場所はグラグラする
    →(子どもたち)川の音があるので声は大きく
    →(子どもたち)1人ずつ移動、次の人に「OK」の掛け声
 ・事前に岩場にはロープを張っており、ロープを使いながら足場を確保し、どのようにすれば安全に滝までたどり着くことができるのかを、自ら考えるのが今日の目的です。

(ロープで移動してみよう) 
 子どもたちは、つなぎ、地下足袋、ヘルメット、グローブという探検隊のユニホームに身を包み、岩場の移動に挑戦していきます。




途中指導者から、「どこを通るか自分で考えて」、「時間がかかってもいいよ」、「カラビナのロックがかかっているかチェックしよう」と声掛けが行われ、子どもたちは一歩一歩、岩の状態を確認しながら慎重に足を運ばせます。


大人は、手を出すことなく「見守り」、「声掛けに」徹して、子どものみの力で踏破を目指します。



(滝遊びをしてみよう) 
 子どもたちは、なれない岩場の移動に緊張感をもって、また、大人も手出しできないもどかしさを持ちながらも、見守りに徹し、子どもたちの行動に任せ、苦労の末、「デンガラの滝」へ到着しました。
 滝に着いたらお待ちかねの、滝遊び。先ほどまでの疲れも忘れ、滝を見て歓声をあげ喜んでいました。
 こうした自然の中で遊ぶことが探検隊の醍醐味です。こうした遊び体験が地元の自然を知り、地元を愛する子どもに育っていく大切なことだと思います。
 また、ここまでの安全管理、対策のなかで、子どもたちは自然に危機管理力を身につけてきており、水の深さや流れ、危険な岩場の確認などを自ずと行っていました。


たどり着いた滝に大喜び

滝の下で滝行をまねる児童




 岩場では、大きなナガレヒキガエルを発見。こんな大きなカエルを見るのがはじめてという子どもたちは、恐るおそる手に取らせてもらい、観察していました。


興奮のなか、滝をバックに全員(ヒキガエルも一緒)で記念撮影

(岩の様子を観察してみよう) 
 滝で遊んだあとは、三重大学生物資源学部、三重大学環境リテラシークラブ顧問の坂本教授から、川原の石についての講義を受けました。
 坂本教授は、川原の石を拾い、この石(=岩石)は「花崗岩」と言い、加工すれば御影石といって、主にお墓の石に用いられることや、岩石は、「鉱物」という天然の結晶のようなものが集まってできているというお話をしてくれました。
 花崗岩をよく見てみると、いろんな「鉱物」が入っているのが見えます。
 主な鉱物は、透明な部分は、「石英(せきえい)」、白色は「長石(ちょうせき)」、黒色は「雲母(うんも)」、緑色は「角閃石(かくせんせき)」などで、特に、黒色「雲母」と緑色「角閃石」には水分が含まれていることから、地球に水が存在することを証明する石であるとのことでした。この岩石は、今のところ私たちが住んでいる「地球」にしかなく、宇宙を見渡してもめずらしい石であると教えてくれました。
 花崗岩は、もともと地球の地中深くにあって、陸地の土台となる岩石で、尾鷲市は、矢ノ川や尾鷲の南側にこの岩が多く見られ、花崗岩の産地です。




 また、坂本先生からは、生徒みんなに花崗岩のキューブをプレゼントしてくれました。
 このキューブを見ると、透明の石英、白色の長石、黒色の雲母、緑色の角閃石などの鉱物がよくわかります。




 今までは、単に「川の石」と言っていたものが、「花崗岩」という名前や、鉱物の種類も見ることができ、本当は地球の深いところにあるものや、宇宙の中でも水分を含んでいて、地球にしかない石ということを知ることができました。

 最後に、これだけの大人がサポートしてくれて、今回の「滝遊び」ができたことを子どもたちに伝えて、すべてのスタッフの皆さんに感謝をして終了しました。 

(この日の振り返り・反省)
 今回の挑戦は、矢ノ川最上部の「デンガラの滝」を目指し、危険を把握したうえで、回避しながら滝までたどり着き、「滝遊び」をしようというもので、普段の学校の授業ではなかなか取り組めない内容のものでした。
 特に、ロープを利用しての移動は、「天然のアスレチック場」で、それ自体がいわゆる「自然あそび」なのです。
そして、自然あそびをしながらたどり着いた「デンガラの滝」は、普段テレビで見るどの滝よりきっと美しく、滝の水は少し冷たく感じましたが、子どもたちにとっては汗をかいた体にとても気持ちよく感動的なものであったと思います。
これは通常の授業ではできないことです。もちろん、家庭でもここまですることはないでしょう。
 こういう体験は、今や貴重なものとなりつつあり、それとともに、子どもたちは、危険を回避する術を知らないまま、禁止事項として成長してしまいます。
今回、約1時間をかけて岩場を踏破した子どもたちには、達成感から自信に満ち溢れ、その顔つきは、確実に逞しくなったように思われました。
 危険を察知して、その対処の仕方を考え、一方で無理をしてはいけないポイントを認識し、そのうえで、自然あそびを満喫する。
子どもたちにとって、地元の最も身近な川である矢ノ川が、これほど魅力に満ち溢れた場所であり、自分たちのあそび場とすることで、もっともっと、地元・尾鷲を好きになってもらえればうれしいです。





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