NO | 団体名 | 主な企画内容
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尾鷲市立矢浜小学校(三重県) |
「僕らのあそび場づくり ~川育・雨育・おわせ行く~」 尾鷲市の「あそび場づくり」第2弾。水源の矢ノ川と、日本一の降水量を誇る雨をテーマに、川上流で滝あそび、中流で川あそび、下流ではシーカヤックで河口域の調査などを行い、自然で遊ぶ力を身につけながら、身体と心の成長を図る。 |
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速報レポート3
実 施 日 : 令和2年8月25日(火)8:30~11:45
活動場所 : 三重県尾鷲市大字南浦矢ノ川(通称:どんぶち)
参 加 者 : 尾鷲市立矢浜小学校4年生11人、教頭、担任、教職員1名
講 師 : 小山ハウス寺子屋(森田)
サポーター : 尾鷲藪漕隊(内山、林、木許、浜田)、小川耕太郎∞百合子社(藤井)、三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本)、三重県尾鷲農林水産事務所(須田)、尾鷲市水産農林課(芝山、千種)、尾鷲ライフセービングクラブ(大谷)、尾鷲市ヒノキ内装材加工協同組合(楠)、尾鷲木材市場(坂井)、尾鷲市木材協同組合(畦地)
計14人
活動内容全5回スケジュール案
第1回目:6月23日(火) 午後1時~3時
→ガイダンス、ペットボトル雨量計作り、尾鷲の雨について
第2回目:7月14日(火) 午後1時~3時
→安全対策講習、ラインロープ体験、雨量調査 ほか
※雨天につき、内容を変更して体育館にて実施
第3回目:8月25日(火) 午前8時30分~11時45分
→中流部「川に流されてみる」体験 ほか
※コロナウイルス感染症の影響により、合同開催を予定していた三重大学自然環境リテラシー講座が延期となったため、予定を変更して開催
第4回目:9月15日(火) 午後1時~3時
→中流部川遊び
=「どん淵」でのわんぱく川ガキ体験
第5回目:10月13日(火) 午後1時~3時
→まとめパンフレット作成
→雨量計での調査結果と、矢ノ川の様子の変化の確認
●この日の活動スケジュール
(※三重大学自然環境リテラシー講座が延期となったことと、これまでの雨天等の関係で、スケジュールを再調整して実施。)
時間:午前8時30分~午前11時45分(総合的な学習の時間)
8:30~ 矢浜小学校出発
8:45~ 今日の活動説明
・前回の振り返り
・流されてみよう
9:00~ 自分の体だけで川に浮いてみよう
9:30~ ペットボトルを使って浮いてみよう
9:45~ ライフジャケット(浮くっしょん)を使って浮いてみよう
・流れに沿って流されてみよう
・流れに逆らって泳いでみよう
10:15~ おぼれている人にペットボトルを投げて助けてみよう
10:30~ 矢浜探検隊ミッション「岩から飛び込もう」
11:45~ 終了
活動レポート
(はじめに)
今日は初めての外での活動。やっと川に来ることができました。
前回の活動で導き出した「危険回避」を思い出し、実際に自然の中で自分たちが考えた対策どおりの動きができるかを、遊びの中で身をもって感じてみるのが今日の目的です。
(ガイダンス・前回の振り返り)
・危険を察知して、その危険をどうすれば回避できるかを現場で見て感じてみよう。
・暑かったり、寒かったりなど、体調がおかしいと思ったら、我慢、無理をせず、必ず言おう。
・活動をサポートしてくれるスタッフの皆さんへの感謝を忘れない。
=今日もたくさんの方がサポートしてくれている。
=ライフセーバーの紹介
▲探検隊のユニホームで川に入ります。
▲尾鷲ライフセービング協会、大谷氏
(今日の活動のポイント)
・おぼれる人はどんな人だろう? →(子どもたち)泳げない人
・泳げる人はおぼれない? →(子どもたち)おぼれない。
→(子どもたち)おぼれる人もいるかも。
・今日は、ライフセーバーやこんなにたくさんの大人が川に入ってみんなの活動を見守ってくれている。
こんな時だからこそ、おぼれる体験、流される体験をしてみよう。
※今日の活動のポイントのひとつは、泳げるようになることではない。
泳げる子も、泳げない子も、同じように、自然の中で、安全に、楽しく遊ぶことができるかである。
そのために、何をしなければならないのか。何をすれば、泳げない子もみんな、安全に楽しく遊ぶことができるのか。
それを考えるのが今日の目的です。
(流されてみよう)
子どもたちは、つなぎ、地下足袋、ヘルメット、グローブという探検隊のユニホームに身を包み、冷たいと言いながらも元気よく川に入っていきます。
まずは自分の体だけで浮くことができるか。
世話役の森田さんがお手本を見せます。
ポイントは、仰向けになり、力を抜くこと。体に息を静かに吸い込みながら、力を抜いていきます。
そうすると、自然と体は水に浮いてフワフワ漂う感覚を得られます。
やはり、泳ぎの上手な子は、すぐにコツを掴み、体ひとつで、何もしないでも浮いていることに大喜びです。
泳ぎの苦手な子は、浮くポイントがわかるまでは、そっと手を差し伸べます。
力を抜くポイントさえつかんでしまえば、みんなフワフワと漂いながら浮くことができます。
でも、今日の目的は、浮くことができるようになることではありません。
では、次に、2リットルの空のペットボトルを胸に抱いて浮かんでみます。
「さっきより浮かびやすい!」
ペットボトルひとつでこんなに浮くことができることに、子どもたちはみんな驚きです。
世話人の森田さんは、『体だけで浮くよりも、ペットボトル1個でもあったら、かなり浮きやすくなったよね。もしおぼれている人がいたときにペットボトルがあれば、投げて掴めば、助かるかもしれないね。後で、ペットボトルをうまく投げることができるか、やってみよう。』と語り掛けます。
『でも、それでも「体の力を抜く」ことができなかったらペットボトルではおぼれてしまうよね。』
今日の目的は、泳げるようになることではありません。
みんながおぼれずに安全に遊ぶことができるかを考え、体感することです。
それと合わせて、遊ぶときは、川や海の様子をしっかり観察して、流れの速いところや深いところ、岩や危険物のある場所などをしっかり把握、確認することが一番大切です。
(ライフジャケットを着て浮いてみよう)
ライフジャケット(浮くっしょん)を着て浮いてみると、みんな簡単に浮くことができました。力を抜いて流れに身を任せて浮いていると、川の流れに沿って流されていきます。
次は、流れに逆らって泳いでみて、その時の流れの抵抗や進みにくさ、力の入り加減を実際に体験してみます。
森田さんからは、『もし、万が一自分がおぼれてしまったときには、岸に近いからといって、無理に流れに逆らって泳ぐより、流れに沿って泳いでいく方が安全性は高い』という話がされました。
それを感じながら、子どもたちは流れに逆らったり、身を任せたりして、『流される体験』をしました。
そして、何よりも、「川や海で遊ぶときは、必ず大人と一緒に泳ぐこと」と、「必ずライフジャケットをつけて入ること」との話がありました。
(おぼれている人にペットボトルを投げて救助できるか?)
「流れされる体験」のあとは、もし、おぼれている人がいたらどうするか?を学びました。
これは、答えは、「絶対に自分だけで川に入って助けようとしない。ひとりではどうしようもない。無理をしない。大人をすぐに呼びに行く。」というものです。
それを聞いたうえで、もし、手元にペットボトルがあれば、それを投げて助けてみようという実験をしました。
ライフセーバーの大谷さんに、おぼれた人の役をしてもらい、川に浮いていてもらいます。
そこまでペットボトルを投げることができるか。全員ためしてみました。
結果は、大谷さんまでしっかりと届いた人は一人もいませんでした。
慌てれば慌てるほど、距離が伸びずに届きません。
また、川の流れによって、せっかく近くに投げられても、大谷さんがつかむ前に流されてしまいます。
こうしたことも考えながら、ペットボトル(浮き輪など)を投げて助けるのは、そう簡単なことではありませんでした。
ここでは、川には何人か人がいるはずなので、大人を呼びに行く人と、ペットボトルやロープなどを投げて助けようとする人に分けて動くこととの説明がありました。
でも、ここでも絶対守ることは、「自分が助けに行かないこと。」という注意がありました。
そして、助けることがこれほど難しいということを体験し、それによって、自分がおぼれないためにはどうすべきかを、今日の体験をもとに考えました。
(ハンモックで休憩~森林のお話)
ここで、一度休憩を兼ねて川からあがり、事前に皆さんが用意してくれていた「漁網ハンモック」で休憩をしました。
この漁網ハンモックは、昨年度の「山育・木育・おわせ行く」の宮之上小学校の仲間たちが体験した漁網の切れ端で作ってもらった特製ハンモックです。
気持ちの良い空間でゆっくり体を休めた後は、尾鷲市役所水産農林課市有林係の千種主幹から、森林のお話を聞きました。
千種さんは、傘を山に見立てて、ペットボトルから水を流し、雨を降らします。何もない傘(山)に水(雨)をかけると、その水は、すぐに勢いよく流れ落ちます。
次に、傘にタオルを置いて、同じようにペットボトルから水を流してみると、水は、タオルに吸い取られて、勢いはなくなります。
千種さんは、尾鷲は雨が日本一多い町だけど、大雨が降っても町の中で氾濫しないのは、ここのように山がしっかりと木をはやして、タオルの役割をしてくれているからと説明してくれました。
もし、タオルがなかったら、この傘のように雨は、そのままの勢いで町の中に流れ込んでくるので、町は至るところで氾濫してしまうので、山、木、森林は、我々にとって大変大事なものであるというお話をしてくれました。
(矢浜探検隊ミッション 「岩から飛び込もう」)
休憩のあとは、再度川に入り、向こう岸の大岩の上に上りました。
みんなで元気に記念写真を撮ったあと、「ここからどう降りるの?」と聞く生徒。
『さあ、矢浜探検隊のミッションです。ここから飛び込んで帰ろう!』
こわごわと下を覗き込む子どもたちに、まずは、担任の川口先生がお手本を見せて飛び込みます。
そのあとは、探検隊がすべて自分たちで動きます。
「次、だれが行くの?」など、子どもたちは、そわそわしながら、様子を見ています。
すると、サポーターの尾鷲藪漕隊のメンバーから、『こういうのは先に行くと気持ちが楽だよ(笑)』と励まし?の声。
1人の男子生徒が、よし!と気合を込めて飛び込むと、続いてもう1人の男子生徒が飛び込みました。
残りの9人は、大岩の上で考えます。
飛び込み終わった子どもたちの顔つきは、ホッとして、もう一回やりたいという安堵と自信に満ちた顔つきに変わります。
一方、大岩の子どもたちは、自分が行こうか、誰かが行くのを待つのか、不安と少しひきつった笑顔の子どもから、無言で考え込む子どもなど、対照的です。
岩の上を行ったり来たりしながら、また、崖っぷちまで出てみたり、後ろに引っ込んだりと、自分との葛藤がはじまっています。
この時間が子どもたちにとって、大変貴重な時間なのです。
そうしながらも徐々に子どもたちが勇気を振りしぼり、飛び込みはじめました。
岩に残る子が少なくなってきます。
徐々に子どもたちの会話がなくなっていきます。泣き出す子もいます。
岩のぎりぎりに立ち、あと少し体重を前にかけたら飛び込めるのに、その姿勢でずっと考え込む生徒。
その間、川のせせらぎの音とセミの鳴き声だけがあたりを包みます。
じりじりとした時間が流れ、その姿勢で考え込んでいる1分程度が、とてつもなく長い時間に感じられます。
岩の上の大人も、川の中でサポートする大人も、みんなが張りつめた時間を共有しています。
決して無理はさせません。
でも、あきらめることもさせません。見守り続けます。
自分との葛藤です。
自然あそびの中には、こうした非日常的な「一歩」を踏み出す場面もあるのです。
そして、意を決して飛び込みます。
最後まで残った生徒も、長い長い葛藤のすえに、勇気を振りしぼった、大きな大きな一歩を踏み出しました。
「よしー!やったー!」担任の川口先生が岩の上から大声で喜びを爆発させます。
川岸では、すでに飛び終えた子どもたちや大人が拍手かっさいでたたえます。
飛びこんだ時に鼻に水が入って、泣きながら川を渡る生徒も、岸にたどり着くとハイタッチで応えてくれました。
このミッションの大きなポイントは、泳げる子も、泳げない子も、運動が得意な子も、苦手な子も、活発な子も、そうでない子も、クラス全員が同じ達成感を味わうことです。自分との葛藤に打ち勝つことでした。
逃げようと思えば、「やりたくない」の一言でやめることができたことですが、子どもたちは、誰一人として歩いて降りようとはしませんでした。みんなで挑戦して、みんなで達成しました。
最後に、これだけの大人がサポートしてくれて、川での挑戦ができたことを子どもたちに伝えて、すべてのスタッフの皆さんに感謝をして終了しました。
(この日の振り返り・反省)
今回の挑戦は、川で流されたり、大岩から飛び込んだりと、普段の学校の授業ではなかなか取り組めない内容のものでした。
特に、大岩からの飛び込みは、1時間近くかかって、全員が飛び込むまでひたすら待ちました。これは通常の授業ではできないことです。もちろん、家庭での川遊びでも、ここまですることはないでしょう。
こういう大変貴重な経験をすることができ、子どもたちは、徐々に飛び込んだあとの表情のように、安堵感と自信に満ち溢れた顔つきに変わってきます。
危険を察知して、その対処の仕方、無理をしてはいけないポイントを体感し、そのうえで、自然を満喫して遊ぶ。
この体験を通して、子どもたちにとって、地元の川が自分たちのあそび場になってくれればうれしいです。
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