NO | 団体名 | 主な企画内容
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26 |
名古屋大学博物館(愛知県) |
「地球教室」 鉱物の比重や堆積作用について学習し、学習成果をもとに野外で重鉱物の採集をおこなう。また、ザクロ石などの鉱物の採集を通して鉱物の性質についても学習する。 |
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「地球教室」 鉱物をさがそう! [10/18,19]
日 時:
場 所:
参加者:
2008年10月18日(土)13:30〜15:30、19日(日)9:00〜18:00
18日 名古屋市科学館、19日 愛知県幡豆町の採石場
30名(小学3年生〜中学3年生の子どもと保護者等)
<レポート>
10月18・19日両日、気持ちのいい秋空の下、地球教室「鉱物をさがそう!」を開催しました。
このイベントには131名の応募があり、抽選によって30名の参加者を決定しました。
実際に鉱物をたたいて割れ方を調べます
「地球教室」は、フィールドでのちょっとした自然観察をとおして
自然のすごさや面白さを
参加者のみなさんに体感して貰うことを目的としています。
またここでは、講師から参加者へ『教える』ことはあまりしません。
「地球教室」では、
講師は自然を観察する上での最小限のポイントを与えるのみであり
参加者には自由な発想で、様々な現象について自分で考えてもらいます。
それをベースにして講師と参加者が、結論を生み出すプロセスを
わいわいと一緒に楽しむことができればと考えています。
さて今回の地球教室ですが、鉱物を題材として
(1)鉱物の性質について学習をした後、(2)実際に野外にいって鉱物を探し、
(3)自分たちでとった鉱物でオリジナルオブジェを作る。
という3部構成(机上学習→実体験→実体験によって得た知識の定着)で実施しました。
またここでは、子供たちだけではなく親御さんにもぜひ自然への興味を持ってもらいたいとの思いより
「親子参加」の形態をとりました。
初日は名古屋市科学館に集合し、40分ほど「鉱物の性質」に関する学習を行いました。
思いつく鉱物の見分けポイントを挙げてもらい、その中から固さや形、割れ方に焦点を当てて
実際に鉱物試料を引っ掻いたり割ってみたりして見分ける方法を体感しました。
その後、トパーズや水晶、ホタル石など12種類の鉱物の特徴を自分たちで調べて記録し
その記録を参考にして鉱物鑑定試験を行いました。
グループ対抗の鉱物鑑定試験
鉱物鑑定試験では、制限時間内に10個の鉱物試料を鑑定する作業を
グループ対抗で競い合い 大変盛り上がりました。
出題された試料には磨かれて見た目の違う
赤鉄鉱や天日塩などの引っかけ問題もありましたが、
参加者の皆さんは好成績をおさめることができ
翌日に備えることができました。
2日目は名古屋市科学館に集合した後
バスで愛知県幡豆町の採石場に行き、前日の学習をもとに
鉱物を参加者自身に探してもらいました。
ここではどんな鉱物がとれると思いますか?
石英や長石など一般的な鉱物とともに、トルマリン(電気石)やガーネット(ザクロ石)が採取できるのです。
ここでは数mm大の、大きいものでは直径1cmほどのガーネットが
脈状の流紋岩質貫入岩の中に石英や長石、電気石などとともにたくさん入っています。
宝石だって、元をただせば岩石中の鉱物です。
皆さんもデパートや宝石店に宝石が並んでいるのは見たことがあると思います。
しかし、野外で岩石の中にあっけらかんと入っている宝石はなかなか想像ができないのではないでしょうか。
参加者も、「この赤い粒、全部ガーネット??」と大変な驚き様でした。
また、ここには砂質片麻岩とそこに貫入する流紋岩質貫入岩とが露出していますが
ガーネットは貫入岩の中にだけ入っています。
ですから、闇雲に周囲を探し回ってもガーネットをとることはできません。
“脈状の流紋岩質貫入岩”を探すことがポイントです。
なぜ「脈状の流紋岩質貫入岩」にガーネットが含まれるのでしょうか?
前回の地球教室では「金」を題材に砂金取りを行いました。
マグマによって熱せられた地下水に鉱物成分がとけ込み、冷えるとともに
いろいろな鉱物が析出・沈殿することがあります。
このようなものを熱水鉱脈鉱床といい、金はこのような鉱床に含まれています。
その後水の流れによって金粒が川に運び込まれるとそれが“砂金”となります。
一方、今回のターゲット「ガーネット」は貫入岩。
つまり地面を割って入ってきたマグマが冷えて固まった岩石の中に入っています。
金・ガーネット両方とも、マグマ活動に関係してできますが
そのでき方や周囲の地質状況は全く異なっています。
一言で鉱物探しといっても、まずはそのでき方をよく考え、作戦を練った上で
周囲をよく観察することがとても大事なのです。
このように現場では、「単純な事実から、どれだけたくさんのことを想像できるか?」が試されるわけです。
このような、少ない事実から想像をたくましくすることができる能力こそが
まさに“生きる力”というものではないかと思います。
現場では「あ、これなんだろう!?」などと親子であれこれと会話する場面がたくさん見られ
「大人にも自然への興味を持ってもらう」試みは成功したのではないかと思います。
また宝石の魔力でしょうか。子供もさることながら、
「売り物にはならない」と分かってはいても、むしろ親の方が夢中になってしまい
「みんないっちゃったし、バスに戻ろうよ〜」という子供を尻目に、
「もうちょっと!もうちょっと待って」とだだをこねる親の姿も見られました。
鉱物採集後は、採石場を見下ろす三ケ根山スカイラインの展望台へ移って昼食をとり
バスにて3時半頃には名古屋市科学館に戻りました。
科学館への道中のバス車内では、休むことなく
ずっと自分の採った鉱物を観察したり、スタッフに質問する親子もいました。
せっかく宝石をとったのですから、それを加工したくなるのが人情。
しかも今は、折しも芸術の秋です。
ということで科学館に戻った後は、自分たちでとった鉱物を使ってオリジナルオブジェを作りました。
科学館への道中のバス車内や休憩場所での気分転換もバッチリ。
参加者全員元気を回復して創作活動に精を出していました。
科学館では教材用のオリビン(カンラン石、ペリドット)やジルコン、石英粒を用意していただき
自分の“獲物”とのコラボレーションを試みました。
できあがった作品はというと、我々も「へぇ〜」と唸るような見事な作品から、
非常に“前衛的(?)”な作品まで様々でした。
しかし、できばえ如何に関わらず
自然教育においてこのような『加工する』というプロセスはとても大事だと私たちは思います。
『加工する』ということは、「手に触れる機会の増加」を意味します。
手に触れれば、その触っているものの特徴は、理屈ではなく五感を通してダイレクトに伝わってきます。
(例えば、重いとか、スベスベしているとか、キラキラしているとか)
しかも、それはどこかで買ってきたような得体の知れないものではなく、自分たちが野外で取ってきた
『出所が超はっきりしている(自分自身が手をかけた)もの』です。
講義でいくら知識を詰め込んでも、それはバーチャルでしかありません。
こうやって、実際にモノを見て(現場に行って取ってきて)、触る(加工する)ことによってのみ
本当に知識を定着することができるのだと思います。
4時半頃には創作活動も一段落し、事故もなく無事に解散しました。
イベント終了後のアンケート調査では、楽しかったかどうかの質問で
有効回答30名のすべてが「とても楽しかった(25名)」「楽しかった(5名)」と答えています。
(「とても楽しかった」〜「つまらなかった」の4段階からひとつ選択)
同じく全員が「同内容でもまた参加したい」と回答しており、
前回に引き続いて参加者の高い満足度がうかがえます。
さらに、具体的な実施内容について「楽しめたもの」と「勉強になったもの」を訊いた設問では、
1日目の“鉱物鑑定試験(77%)”と
2日目の“鉱物採集(77%)”“オブジェ作り(70%)”が
特に高い割合で「楽しめた」と答えられました。
そして1日目の“鉱物の説明(70%)”、2日目の“鉱物採集(77%)”が
「勉強になった」と答えられています。
飾付けのためのいろいろな砂・小瓶を持つだけで比重の違いを実感しました
1日目の“鉱物鑑定試験”は、「楽しめた」だけではなく
「勉強になった」も高率(50%)で回答されており
事前の学習に加えて、実際に採石場で目当ての鉱物を探し出し
それがどの鉱物なのかを自分たちで見分けることが、
楽しみながら学習できる理想的な結果になったと言えるでしょう。
また、選択式で感想を答えてもらう質問では
・親しみやすい企画だと思う(70%)
・親子で楽しめるのが良い(67%)
・持ち帰れるのが良い(60%)
・よく見ると石はおもしろい(57%)
・自然に関心を持つきっかけになった(57%)
が 高い割合を占めていたほか、自由記載欄には
・回数をもっと増やして何度も参加できるようにしてほしい(保護者)
・だんだん目が慣れてきてガーネットが見つけやすくなり、大きめのものもとれて嬉しかった(保護者)
・この鉱物がいつ頃できたのかな…と何でできたのかな?だんだん知りたいことがでてきました(保護者)
・きれいな石がいっぱいひろえてとても楽しかった(小4)
・いろいろのこうぶつの名前がわかったから、とてもたのしかった(小3)
などといった感想が寄せられました。
地球教室 実施レポート(1)
地球教室 実施レポート(2)
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