NO | 団体名 | 主な企画内容
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名古屋大学博物館(愛知県) |
「地球教室」 次世代のナチュラリストを育成する企画。石に目を向け、川原の石で包丁を作り、その包丁での料理作りや、ビルの石材や化石を含む地層などを学んで行き、石を通じて「ものごとの多様性」などを理解してもらう活動。 |
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速報レポート
日 時:2010年10月16日(土) 13:30〜16:30、10月17日(日) 9:30〜15:30
場 所:愛知県岡崎市の矢作川右岸 (1日目) 名古屋大学博物館(2日目)
参加者:小中学生と保護者等30名
活動内容
NHKの「プロジェクトX」の主題曲にも採用された中島みゆきさんの大ヒット曲にもありますが,今回の地球教室はまさに“砂の中の銀河”探検.
「宝石」と聞いて,皆さんはどのような場所を思い浮かべるでしょう? 宝石屋さんや,あるいは外国の宝石原石採掘現場を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか.ところがところが,宝石はもっと身近なところにいくらでも転がっているのです.その一番身近な例は川砂です.実は川砂の中には,ガーネットや水晶,ジルコンといった宝石と同じ鉱物がたくさん含まれており,顕微鏡でみる川砂の様子は,まるで宝石箱,いや,宇宙に散らばる無数の星たちのような美しさ.そこで今回の地球教室では,参加者に川の砂の中から宝石を探してもらいました.
10月16・17日両日、見事な秋晴れの中で、地球教室「砂の中から宝石を探そう!(定員:30名,対象:小学3年生〜中学3年生のその保護者)」を開催しました。このイベントには48名の応募があり、抽選によって30名の参加者を決定しました。
このイベントは、(1) 矢作川で,自分たちで川の砂から重い砂粒を選別・採取した後、(2)いろいろな鉱物の性質について勉強し、(3)自分たちの取った重い砂粒の中から,いろいろな宝石(鉱物)を探してみる,という3点セット(実体験→机上学習→考察)からなります。またここでは、子供たちだけではなく親御さんにもぜひ自然への興味を持ってもらいたいとの思いより、「親子参加」の形態をとりました。
初日は名古屋大学博物館に集合し、バスにて現地に向かいました.なお,今回は大英博物館の自然史部門(ロンドン自然史博物館)で長年,展示・社会教育部門のトップを務めてこられた,ジャイルズ・クラークさんにも参加していただき,地球教室の進め方についていろいろとアドバイスを頂きました.バスの中では2時間ほど「鉱物の性質」について学習を行い,宝石類(一部除く)は他の鉱物より比重が大きいことを学びました。今回は“パンニング”という方法によって,重い鉱物を選り分け,その中から宝石を探します.
さてそれでは実際にはどのようにして重い鉱物を選り分けるのでしょう.皿に水とともに砂を取り,皿を細かく回転させたり左右に揺らすと,軽い(比重の小さい)鉱物が浮かび,重い(比重の大きい)鉱物が皿の底に下に沈みます.浮かんできた軽い鉱物を捨て,さらにパンニング作業を続けていくと,石英や長石などの軽い鉱物はどんどん少なくなり,皿には重い鉱物が濃集するようになります.
ここでは,バスで学習した鉱物の性質をパンニングを通して実際に確かめて貰い,座学で学んだ知識を“経験”として参加者の中に定着させることを目的としました.今回はパンニングにかけてはプロ中のプロ.モンゴル科学技術大学講師のマンチュクさんに,そのテクニックを教えてもらいました.
実際にパンニングを続けていくと,石英や長石が少なくなるにつれ,白っぽかった砂の色が次第に濃くなっていき,最後にはガーネットやジルコン,磁鉄鉱が濃集するため黒紫色になります.教室で学んだことが,実際に目の前で現象として現れたとき,参加者,特に子供たちの目の輝きが変わります.こういうのを「アハ体験」と言うのでしょうか.あちこちで「あ,これ金かな!」とか,「すごい! 本当に取れた!」等の歓声が上がりました.
パンニングについて説明するスタッフ.一番右は,大英博物館のジャイルズ・クラークさん
パンニングの実演をする,モンゴル科学技術大学のマンチュクさん
パンニングを行う参加者
鉱物の性質について説明するスタッフ
宝石集めをする参加者
2日目は、名古屋大学博物館に集合し,鉱物の性質についておさらいをした後で、 顕微鏡を覗きながら自分たちで宝石探しをしてもらいました.自然に対する興味の第一歩は,「きれい!」とか,「すごい!」とか,「かっこいいー!」といった,素直な感動の心ではないかと思います.想像してみてください.たくさんの宝石が散らばっている様子を.鉱物の性質なんか知らなくったって, 「美しいものは美しい」のです.
そこにちょっとした知識が加わると,モノへの興味はさらに広がります.
参加者達は,「お,これジルコンかな?」,「なんだこれー.隕石みたいだなー」,「こ,この金色の粒は,もしかして金ですか??(違います.ただの雲母です)」,「僕はガーネット専門に集めよーっと」などなどなど,ちびっこ宝石ハンターさながら,様々な楽しみ方をしていました.また中には「これって,輝石ですか?」など専門的な質問で,お手伝いの大学生も舌を巻くような子供もいました.
参加者がせっかく集めた宝石です.高性能の顕微鏡で全員のお宝写真を撮り,16:30には無事に終了しました.