NO団体名主な企画内容
29 名古屋大学博物館(愛知県) 「地球教室」
次世代のナチュラリストを育成する企画。石に目を向け、川原の石で包丁を作り、その包丁での料理作りや、ビルの石材や化石を含む地層などを学んで行き、石を通じて「ものごとの多様性」などを理解してもらう活動。

速報レポート2

日 時:2010年8月21日(土) 13:30〜16:30、8月22日(日) 9:30〜15:30
場 所:名古屋大学博物館 (1日目)  名古屋駅周辺, 栄周辺, 東桜会館(2日目)
参加者:小中学生と保護者等30名

 「ナゴヤで化石!? うそだー」と思われる方も多いのではないでしょうか? そんなことはありません.実は名古屋に限らず,大都市はほぼ例外なく,化石の宝庫なのです.でもハンマーやツルハシ片手に,「さあ! 採集だ!」と張り切っているそこの人.ちょっと待ってください.そんなことをしたら,器物損壊罪で犯罪者になってしまいますよ.化石は,ビルの壁や床にあるのですから...
 8月21・22日両日,夏らしい真っ青な空ともくもくの入道雲の下,地球教室「ナゴヤで化石をさがそう!(定員:30名,対象:小学3年生〜中学3年生のその保護者)」を開催しました。このイベントには122名の応募があり、抽選によって30名の参加者を決定しました。 
 日本の夏は暑い! 特に最近の夏は異常気象とも言えるほどの猛暑で,毎日熱中症によって病院に担ぎ込まれる人のニュースが絶えません.そんな中での自然体験も悪いものではありませんが,元気な子供はいざ知らず,一緒に参加するお父さんやお母さんの方はヘトヘト.次の日の仕事に差し支える... ということで,今回は逆説的にあえて“自然”から離れ,「街の中での自然体験」を試みました.
 名古屋市の名駅と栄周辺は,高層ビルが建ち並ぶ中部地方最大のビジネス・ショッピング街で,ビルの内外壁には,しばしば化石や巨晶を含む石材が使われています.今回はこの“ビルの石材”をテーマとし,そこに含まれる化石の断面から,何の化石かを参加者自身に考えてもらいました.

 1日目は名古屋大学博物館で以下のようなことを学習しました.
(1)“石材”についての基礎学習
(2)現生マガキガイの縦・横断面を想像し,実際に切って確かめてみる.
(3)切断後のマガキガイでオリジナルスタンプを作る.
(4)二枚貝,巻き貝の横切・縦切・斜切・弦切面から,元の貝の形を想像する.
(5)名古屋大学博物館の化石標本で,化石の立体的な見方について学習する.

(2)と(4)は,2日目の「化石さがし」の予行練習として行いました.この作業は,化石に限らず,「モノを3次元的に想像する」ためのよい訓練となったようです.また多くの参加者は,貝の断面の複雑,且つ美しい幾何学的模様に,純粋に驚き,感動し,それが(3)を参加者にとってよりアトラクティブな作業にさせていました.


初日の事前学習の様子

名古屋大学博物館のアンモナイト標本での説明

参加者が作った,マガキガイのスタンプ

 2日目は名駅・栄両地区で野外学習を行いました.午前は,参加者を3班に分け,名駅周辺の含化石ビル壁(4箇所)を見学しました.各班2名の引率者が同行しましたが,極力「解説」は行わないようにし,参加者の1日目の練習成果を引き出すように行いました.午後は栄周辺で,含化石ビル壁をチェックポイント(4箇所)としたスタンプラリーを行い,その後,東桜会館(栄から徒歩20分)でまとめを行いました.スタンプラリーは家族ごとで行い,チェックポイントでは,ミッションをクリアした人にのみ,各チェックポイント係員がスタンプを押しました.
 今回の地球教室は,一般的な“引率型”野外(自然)学習とは異なり,“発散型(参加者主導型)” であることが特徴と言えます.このようなスタイルで能動的に行動(思考)することにより,結果的に参加者の積極性が増進されたようです.一方,参加者の行動自由度が高くなるということは,主催者の気苦労が多くなるということを意味するのですが... 
 ビルの壁の中に含まれるアンモナイトやベレムナイトの化石には参加者全員が興味津々で,街中で衆人の奇異の目にさらされるのも何のその,こんな身近に多くの化石が観察されることに驚いた様子でした.街の中で様々な時代や国からの化石が観察され,また興味深い堆積構造もみられるので,子供たちのみならず大学の実習にも使える教材ともいえるでしょう.
 まとめを行った東桜会館は,内外壁一面に保存良好の化石が含まれており,今回のイベント「ナゴヤで化石を探そう!」の総仕上げとして最適でした.2日目は,35℃を超える暑さの中,朝から夕方まで歩きづめであったにも関わらず,参加者の興味・興奮を最後まで維持することができ,健康増進と頭脳運動を兼ね備えたイベントとなりました.


あ,化石みつけた!

一心不乱に柱を見つめる,お父さん



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