NO | 団体名 | 主な企画内容
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尾鷲市立向井小学校(三重県) |
「『僕らのあそび場づくり~海育・とと育・おわせ行く~』」 「山育・木育」、「川育・雨育」に続く第3弾。子どもたちが主体的に行う尾鷲の自然の特徴を生かした「あそび場づくり」を通して、リスクマネージメントや、自主性、自立性、郷土愛などを育み、自ら考え行動できる能力を身につける活動。 |
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速報レポート1
実施日 : 令和3年6月8日(火)9:00~12:00
活動場所 : 三重県尾鷲市大字向井134番地の12 尾鷲市立向井小学校体育館
参加者 : 尾鷲市立向井小学校5年生3人・6年生9人(複式学級)
校長、担任、教職員1名
世話人 : 三重大学 大学院 生物資源学研究科 竹端彬良
サポーター:(有)ドーモ(森田)、小川耕太郎∞百合子社(小川、藤井)、三重大学環境リテラシークラブ(坂本、山本他2名)、三重大学サテライト(山本)、尾鷲市水産農林課(芝山、千種、丸茂、石川)
この日の活動について
・場所:尾鷲市立向井小学校 体育館
・時間:午前9時00分~正午(総合的な学習の時間)
9:00~ ガイダンス
9:15~ 講座①:リスクマネジメント
「海に出るための装備を身に着けよう」
9:45~ 講座②:リスクマネジメント
「海の危険を考えてみよう」
10:15~ 講座③:尾鷲の海を学ぼう
「山と海はつながっている」
10:45~ 講座④:食物連鎖
「生物生産性と生物多様性」
11:20~ 振り返り:「尾鷲ととカルタを作ろう」
「振り返りシート記入」
今年の活動のねらい・ポイント
- 尾鷲市の自然の最大の特徴である、海と山と町が、場所によってはわずか数百メートルの近さで存在しているという地形を生かした「あそび場づくり」を行う。
- 年間4,000ミリを超える日本一の降水量がもたらす海(漁業)と山(林業)の関係性、海の食物連鎖など、自然の恵みを学ぶ。
- あそび場づくりの中で、学校の役割としては、フィールドでの課題提供、誘導、方向付けを行うのみとして、現場での子どもたちの主体性によってプログラムを構築していくこととする。
- すべてのプログラムに、三重大学生物資源学部の教授や学生が講師、サポートとしてかかわることで、本格的な調査を実施することができると同時に、児童と学生による学府間交流を図る。
- 子どもたちの安全管理を行い、成長を見守るサポートスタッフとして、登山ガイドや地元で自然フィールド整備を行っている団体、尾鷲市役所、尾鷲市教育委員会、三重県など、多様な組織・団体が参画する。
- 子どもたちには、活動するにあたり、揃いのつなぎをユニホームとして着させることで、安全なスタイルはもとより、活動に対する心構えや、気持ち(子供スイッチ)の切り替えを図る。
活動レポート
(ガイダンス)
今日が初顔合わせとなる向井小学校5年生3人と、6年生6人の複式学級の子どもたち。最初は、少し緊張も感じられたものの、教員も含め周りの大人の方たちが、三重大学の皆さんが用意した「お魚帽子」をかぶって子どもたちの雰囲気を和らげてくれる。写真①
写真① 大人のスタッフは、尾鷲で獲れる魚の帽子着用
今回のプログラムは、三重大学大学院 生物資源学研究科の竹端(たけはた)彬(あき)良(ら)さんが世話人として進行をしていただく。いつも指導する教員とは違い、子どもたちも大学生のお兄さんの指導と、一人ひとりに貸与された「つなぎ」、「沢靴」、「マリングローブ」にワクワクしている。写真②
写真② つなぎなどの装備と、三重大学の竹端さんによるガイダンス
竹端さんから、全部で5回にわたるプログラムの内容と、なぜ「海育・とと育」なのかということをみんなで学んでいこうと声をかけてもらい、竹端さんの子どもたちに素晴らしい体験をさせてあげたいとの言葉にうれしくなる。
(講座①:リスクマネジメント「海に出るための装備を身につけよう」)
次に、これまでの「山育・木育」、「川育・雨育」で世話人を務めていただいていたJMGA公認登山ガイド、(一社)日本セーフティカヌーイング協会公認インストラクター、日本スノーケリング協会公認インストラクターなどの資格を持つ、(有)ドーモの森田渉さんからリスクマネジメントの考え方を教わる。写真③
写真③森田氏によるリスクマネジメント講座
まずは、一人ひとりに渡された装備について、子どもたちに質問をしながら、答えを考えさせていく。
・「なぜ、つなぎを着るのか?」
=岩場での擦り傷や、海のなかでの生き物や藻から肌を守るため。
・「なぜ、マリングローブをつけるのか?」
=岩がゴツゴツしていて手が痛いから。
=生き物を触ったりするときに危ないから。
・「なぜ、沢靴をはくのか?」
=コケや岩で滑らないため。
※「では、早速着てみよう!」
子どもたちは、初めてのつなぎにとまどいながら装備を身につけていく。写真④
5回のプログラムが終了するころには、すっかり着慣れていることだろう。
写真④
(講座②:リスクマネジメント「海の危険を考えてみよう」)
装備を身につけた子どもたちは、森田さんの質問に答えながら、海のフィールドに出るときの「危険」を想像していく。
そして、次回以降、実際にフィールドに出たときの感覚と、今の想像との違い、ギャップを体感して、自分のなかで修正していくことが危機管理の一歩となっていく。
森田さんからは、「装備を身につけたら完全に安全なのか?」、「沢靴を履いていたら絶対滑らないのか」と質問がある。
子どもたちは、「絶対ではない。」、「気をつけないと滑る」と答え、そこで「気をつける」ためのフィールドの想像をしていく。
=岩場、海辺、生き物、天候・・・などの想定をして、危機管理を進めていく。
次に、第3回目のプログラムでは、海に入ってスノーケリングによる海中生物の観察なども行うことから、全小学校に配備されている救命胴衣「浮くっしょん」を装着してみる。
まずは、森田さんからは、「大人は手伝わないで、子どもたちだけで装着すること。」との指示で、子どもたちは、試行錯誤しながら装着していく。写真⑤
写真⑤ 子どもたちで相談しながら救命胴衣を身につける
最終的に全員が正しく身につけることはできなかった。
森田さんからは、「今、5分で身につけられた人はほとんどいなかった。」
この救命胴衣は尾鷲市が全小中学校に配備しているが、目的は、津波が来たときにみんながこれを装着して逃げられること。
現状は、5分で装着できる子がいないので、こういうことも危機意識のなかで、しっかりと、しかも遊びのなかで着られるようにしていこうと、学校にも呼びかけがあった。
担任の小倉先生をモデルに、正しい装着の仕方を教わる。写真⑥
写真⑥
次に、第3回目ウエットスーツとスノーケルの説明がある。写真⑦
写真⑦
同じように、子どもたちに質問をしていく。
・「なぜ、ウエットスーツを着るのか?」
=寒さから守る。
=ケガから守る。
もう一つ大事な機能がある・・・「浮く機能がある」
※どの道具もみんなの命を守るためにあるもの。
5回のプログラムの間に、すべての道具の使い方の説明くらいはできるようになろうの呼びかけで、リスクマネジメント講座が終了する。
(講座③:尾鷲の海を学ぼう「山と海はつながっている」)
続いての講座は、尾鷲市役所水産農林課の丸茂亮太調整監による、尾鷲の海に関する講義。写真⑧
写真⑧
丸茂さんはスライドを作成してくれており、
・尾鷲の雨はどのくらい降っているか(2019年は年間4,668mmで日本一)
・尾鷲の山に降った雨が川を通って海に流れる仕組み
・ミネラル豊富な海水により植物プランクトンが発生し、それを動物プランクトンが食べ、それらを小魚が食べ、小魚を食べに大きな魚が集まってくる(天然の漁場)、(食物連鎖)
・黒潮の流れ(潮目)と定置網漁業
などについて、子どもたちに語り掛けながら、わかりやすく解説してくれた。写真⑨
写真⑨ 尾鷲の雨が海に流れ込んでおこる食物連鎖のスライド
(講座④:食物連鎖「生物生産性と生物多様性」)
続いての講座は、三重大学生物資源学部研究員の山本慧史さんによる、今回の海育・とと育のなかでも生き物にスポットをあてた「生物生産性」と「生物多様性」についての講義を受ける。写真⑩
写真⑩
山本さんもスライドを用いて説明をしてくれ、
・海の魚のエサは何か?誰がエサをあげているのか?
➡「プランクトン」。プランクトンには、植物プランクトンと動物プランクトンがいる。プランクトンはどうやって増えるのか?
➡海の植物プランクトンを育てているのは、山から海へ流れ出る山の土壌の栄養分。
・「食物連鎖」を学ぶ。
➡プランクトンを小魚が食べて、小魚を食べに大きな魚が来る。
魚を鳥が食べに来たり、人間が魚を獲って食べる。生き物は、みんな連鎖して生きている。
・「里山」、「里海」の大切さ
➡里山、里海は、人の手が入って管理しないといけない。海にとって山はとっても大切な存在。「森は海の恋人」でもある。その山に栄養を蓄えるには、しっかり太陽の光が届いて、いろいろな植物や動物がすむ山にしないといけない。
写真⑪子どもたちも積極的に質問に答えていく
振り返り
すべての講義が終了し、今日学んだこと、気づいたことを振り返りシートに記入し、一人ひとり発表していく。
●発表内容(振り返りシートから抜粋)
- 生物生産性という言葉の意味をはじめてしりました。
- 食物連鎖の一番下は植物プランクトンということがわかった。
- 海にはきけんな魚がいっぱいいることがわかった。
- 森と海は恋人だとわかった。
- 山と海は恋人で恋人になるためには、人の手が必要だということがわかった。
- 安全のためにいろいろな道具を使えばいいことがわかった。
- 尾鷲どんぶりを早くつくって食べてみたい。
- 浮くっしょんの付け方が難しかった。
- おわせ丼のマハタが楽しみだと思った。
- シーカヤックでアーチ(洞門)をくぐりたいと思った。
スタッフ振り返り(反省)
- 全体内容説明の時に、もっと子どもたちとコミュニケーションとって子どもたち目線でやるべきだった。
- プログラム中、子どもたちを見て、名前や特徴を覚えられるとよかった。
- 他の発表者の時に子どもたちと一緒に話を聞く姿勢が必要だった。
- つなぎや靴を脱がせるかどうか、どの荷物を端に置かせるのか、並び順隊形の指示が難しかった。
- 事前の情報共有、資料準備をしっかりする。
- かるたの方向性、最終的な完成版のイメージをはっきりさせる。
※子どもたちと仲良くなり、良い関係は作れたと思う。
※積極的な子が多い。元気。
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