NO団体名主な企画内容
27 伊那市立東春近小学校 5年(長野県) 「「われら、きらり探検隊」」
カヌー探検や学校林探検など、自然の中で心と体を解放して遊びこむ企画と、間伐材でアスレチックを設計から作り上げる活動を通して創造力を養う企画を、教科の単元に位置付けて実施する。

活動レポート3 「アスレチック作り1」 

期日   7月3日(火)〜7月25日(水)
活動場所 東春近小学校
参加者  東春近小学校5学年児童56名 担任教諭2名
支援者  (株)フォレストコーポレーション
活動報告

 PTA探検を終えた子どもたちは、その振り返りの中から出された「間伐材をもっと何かに利用したい。」という思いと、「自分たちで遊び場をつくって、自分たちや全校の友だちが楽しく遊べるようにしたい。」という願いが合わさって、「アスレチック作り」が「われら、きらり探検隊」の活動に位置付いた。
 間伐材は、伊那市では、ペレットストーブの燃料として活用を推進してきている。そのために、上伊那森林組合では学校から少し離れたところにある「ペレット工場」で燃料のペレットを生産している。子どもたちは昨年度、伊那市が企画した「エコツアー」に参加し、そのペレット工場を見学させていただいた。
 現在は、切り捨てられ、森林に放置されてしまっている間伐材を有効利用する一つの手だてとして大事な活動だと言うことを子どもたちは認識した。加えて昨年度、子どもたちが通う学校の各教室にペレットストーブが導入され、炎を見ながら優しい暖かさを体感してきている。
 7月3日、教師から今後の手順を子どもたちに伝えた。それは、アスレチック製作を支援してくださる地元建築会社(株)フォレストコーポレーションの小澤 仁社長との打ち合わせて考えた段取りだ。アスレチック製作開始までの概略は下の通りだ。


一人一人がアスレチックを考える

構想を基に模型をつくる

個人が制作した模型を見合う子どもたち

(1) アスレチックの構想を立てる(子ども一人一人)。
(2) 自分が考えた構想をもとに、模型をつくる。
(3) 友だちと模型を見合いながらグループをつくる。
(4) アスレチック全体像の構想をたて、模型を製作する。
(5) コンペによって、自分たちが製作するアスレチックを決める。
(6) 決定したアスレチックの模型を基に、(株)フォレストコーポレーションで設計をする。
 (遊具としての安全基準、耐久性等を専門家として検討する)
(7) 完成した設計図や模型を使って、(株)フォレストコーポレーションの設計者が子どもたちにプレゼンテーションを行う。
(8) 子どもたちからの意見を基に設計を練り直す。
(9) アスレチックに必要な木材等の搬入(上伊那森林組合)
(10)アスレチック製作開始

 7月9日、子どもたちは一人一人自分が遊んだら楽しいアスレチック遊具を絵に描いた構想を練った。「大芝高原(南箕輪村)にアスレチックがあったよ。保育園の時遊んで楽しかった。あれを参考にしよう。」「駒ヶ根高原(駒ヶ根市)にもあるよ。あれも参考になるな。」子どもたちは、紙につくってみたいアスレチックの見取り図を描くと、教師が保存しておいた割り箸をノコギリで切り、瞬間接着剤でつなげながら模型を製作した。
 7月10日、一人一人が製作したアスレチックの模型を互いに見合いながら、つなげたりしたときより楽しいアスレチックになるように願ってグループ作りをした。グループは人数の多少はあったが9班できた。
 7月12日、9班のグループに分かれた子どもたちはそれぞれに知恵を出し合ってアスレチックの構想をたて、新たな模型制作を始めた。「まず、どんなアスレチックにしたいか意見を出し合ってから考えよう。」「一番中心になる遊具をみんなで決めてから、周りに遊具をつなげていこう。」「一人一人が考えた遊具をつなげてみない」それぞれの班で違った構想の立て方が見られた。7月17日18日と時間を連続して確保し、グループ毎のアスレチック模型を完成させた。
 7月25日、いよいよコンペの日だ。本校は願う学力の一つとして「伝え合い」を大事にしている。いわゆるコミュニケーション能力の育成だ。子どもたちは、どう友だちに自分たちのアスレチックの良さをアピールするか、紙に言葉を書いたり、発表順を決めたり、セリフの内容を検討したりした。アスレチック全体にテーマ性を持たせ、自分たちがあたかもそこでくらしているかのような物語を描いて発表しようとする班もあった。班をつくる条件に、「男女が混ざること。2学級の友だちが混ざること」とした。子どもたちはあたかも一つの学級のように活動した。そして9班全員が交代でプレゼンテーションをした。その後、子どもたち相互で挙手によるコンペを行った。はじめにほとんど手が上がらなかった2班が落選となった。発表した自分たちも納得したかのように、他の班に手を挙げたためだ。次に7班を対象として投票を行った。3班が落選した。最後に4班で投票を行った。僅差であったが1つの班のアスレチックが勝ち残った。決まった瞬間、その班の子どもたちは「やったー。」と飛び上がって喜んでいた。落選したグループの中には「悔しい。」「どうして、こっちの方が絶対良いのに。」と泣きながら悔しがる姿も見られ、教師はそんな子どもたちに、アスレチックづくりへの強い熱意を感じた。


グループを作って大きなアスレチック模型を制作する

自分たちのアスレチックをアピールする

コンペの結果発表を真剣に聞く子どもたち

6 成果と課題
 この活動の成果と課題を次のようにまとめた。
(1) 一人一人の子どもが自分なりにアスレチックを考え、工夫したものを制作し、友だちに提示できた。また、学級の枠を越えてグループをつくった子どもたちは、友だちと議論を重ね、意見調整しながら力を合わせてアスレチックの全体像を作り上げた。また、自分たちの作品がコンペで選ばれるよう、プレゼンテーションを考える過程で、相手意識を持って文章や話し方を練ったり、練習したりできた。
(2) コンペという選抜方法をとることにより、自分たちの作品や発表について、友だちと厳しく吟味し、練り上げる姿があった。可能であれば、全員の工夫が生かされると良いと思うこともあるが、自分のおもいをぶつけて人を説得する力をつけてほしいと願ったことが、コンペの結果に見られる子どもの真剣な姿に成果として表れていた。
(3) 子どもたちが選んだ作品のどれだけが実際のアスレチックの設計に生かされるかが楽しみでもあり、不安でもある。一般に開放される遊具だけに、これからクリアして行かなくてはならない課題が多い。その事は現時点で子どもたちの多くはまだ理解していないと感じている。