NO団体名主な企画内容
27 伊那市立東春近小学校 5年(長野県) 「「われら、きらり探検隊」」
カヌー探検や学校林探検など、自然の中で心と体を解放して遊びこむ企画と、間伐材でアスレチックを設計から作り上げる活動を通して創造力を養う企画を、教科の単元に位置付けて実施する。

活動レポート4 「三峰川探検」 

期日   9月20日(木)
活動場所 伊那市長谷 三峰川 小黒川
参加者  東春近小学校5学年児童54名 担任教諭2名 理科専科教諭1名
協力者  5学年保護者会長
活動報告

 この日、カヌー探検を行う予定だったが、降雨量が少なかったことで美和湖の水位が下がり、岸が泥でぬかるんでいたため危険と判断し、三峰川探検に切り替えた。
 5年生の理科の学習で「川のはたらき」という単元がある。子どもたちは、学校での理科の授業で、川の働きについて観察を通して学習した。川を縦断的にとらえ、上流から「侵食」「運搬」「堆積」の3つの作用があることを理解した。また、曲流部を横断的に観察することで、同じ場所でも流れに速さの違いがあり、曲流の内側では堆積が、外側では侵食が、中間部では運搬が行われていることをとらえた。


理科の学習で行った流水実験

 「三峰川探検」では、実験で見たことが自然の中で、実際の河川の上流ではどのような様子なのか、その結果としてどんなことがおこっているのかを確かめることも目的の一つとした。また、小黒川の上流は戸台層が露出し、貴重なアンモナイトなどの化石が産出する。ここでは保護のために勝手に採取することが禁止されているが、林道沿いで落石から運良く化石が見つけられれば、今後の学習に役立つと思い、岩石観察も目的の一つとした。さらに、三峰川は多くの地質帯を流れることから岩種が多彩で、川原では様々な色や模様をもつ石が拾える。その石に絵などを描いて「ペーパーウエイト」にする学習も図画工作の単元に位置づけた。また、帰りには美和湖によって、水位が下がったことで拾いやすくなった流木も持ち帰り、これも図画工作で「流木アート」作りの材料にしようと考えた。
 朝8時30分、学校から2台のバスに分乗した子どもたちは、三峰川にある美和湖の上流で合流する小黒川に沿って林道を走った。この道は南アルプス林道バスが運行する山岳道路だ。途中「仙流荘」の脇にあるトイレにより、さらに1㎞ほど上流に行く。ところが途中、土砂崩落で大型バスは通行できず、予定より1㎞ほど余分に歩くことになった。ガードレールや路肩の構造物が小黒川に落ちている様子を見た子どもたちは、「すごいな。自然の力は。」「どうして崩れたんだろう。」などと友だちと言い合っていた。


路肩が崩れた場所(児童撮影)

 9月末とはいえ、残暑厳しく、道路の周りに茂る林がつくる木陰は、歩き始めた子どもたちに心地良い風を送っていた。「気持ちいいな。」「空気がうまい。」と口々に言いながら道路と平行して流れる小黒川の谷底を時折眺めた。「だんだん(河床から)高くなってきた。」「川の流れが急になってきたぞ。」「大きな石がゴロゴロしている。」「道路のわきの岩も感じがちがってきた。」子どもたちは歩きながら様々に気づいたことを口に出していた。班毎にデジカメを渡してあったため、時折写真を撮る姿もあったが、あとで確認するとブレてしまい、使えない物が多かった。デジカメの使い方も指導する必要も感じた。
 バスから降りて1時間30分ほど歩き、第一の目的地、戸台層の化石が拾えるかも知れない崩落地に着いた。はじめに落石等の注意を与え、子どもたちは思い思いの場所に移動して化石さがしを始めた。もともとアンモナイトなどの化石は10人で1日探して1人拾えるくらいの確率だ。ところが最近崩落した泥岩が多くあり、子どもたちは次々にアンモナイトや二枚貝、植物などのかけら化石を見つけ出した。結果的に専門家も驚くほどの大収穫だった。化石は子どもたちにとって魅力あるものだ。どの子も目を輝かせて石の表面を調べていた。これらはとりあえずお家へ持ち帰り、家族に見せた後、学校で分類、ラベリングして展示したいと思っている。


化石さがしに夢中になっている子どもたち

 その後、来た道を歩きながら、周囲を観察した。「道の上にあんな大きな岩がある。」子どもたちは今にも転げ落ちそうにしている巨大な岩を見ながら叫んだ。教師が岩の形を見てごらん。」と言うと、「丸い。」と応えた。「丸い形は、川などの水がその岩を運んだ証拠だよ。転がりながら運ばれるから角が取れて丸くなるんだ。」と教えると、子どもたちは「そうなんだ。なるほど。」とうなずいた。その後、道の脇に巨礫があると、「あ、この岩も丸い。川が運んだんだ。」「上流からころがってきたんだ。すごいな。」などとしきりに感心していた。途中、崖の中腹にスズメバチの大きな巣があり、「こわいな。刺されないように気をつけて通ろう。」とそっと歩く場面も見られた。雨上がりだったこともあり、ハチとヘビには要注意だったが、山道は無事歩き通した。


崖の中腹にあった巨大な蜂の巣(児童撮影)

水遊びを通して、諸感覚で川のはたらきを捉える子どもたち

 昼食をとるべく、小黒川の広い川原に出た。川の様子を観察し、実験で見たことと関係づけて自然の川を観察しようと考えたが、子どもたちはそそくさと昼食をとると、「水遊びしたい。」と言って子どもたちの多くが川の中に入っていった。さすがにここは上流だけあってかなり冷たい。中には泳ぎ出す子どもも出てきたが、教師は子どもたちの安全を見守りつつ、しばらく子どもに任せることにした。川の流れを体感する良い機会だと考えたからだ。子どもたちは、「つめたい。」「気持ちいい。」などと叫びながら川遊びを楽しんだ。


気に入った流木を集める子どもたち

 教師は子どもたちを集め、「学校で実験したこととつなげて川を観察してみよう。」と言うと、子どもたちは「ここは浸食、ここは運搬、ここは堆積。実験してみたとおりだ。」「実験で見た様子と同じだ。」と発言した。教師は、これはこの川原での観察だけでなく、これまで歩きながら見てきた川の上流の姿をまるごととらえての発言だと感じた。
 12時30分、バスに乗り、美和湖に向かった。美和湖でにつくと子どもたちは、「わー。水が減ってる。」「湖が川になってる。」と水位が下がってあちこちに湖底が露出する姿を見て叫んだ。
 美和湖湖畔で子どもたちは、思い思いに自分が気に入った流木を拾い始めた。「面白い形の流木を探そう。」「あ、この流木気に入った。これで竜が作れるかも知れないぞ。」などと友だち同士で言い合いながら流木を集めた。学年会長の酒井さんが軽トラで駆けつけて下さり、大きな流木を学校まで運んで下さった。
 学校に到着したのは午後2時30分だった。


活動レポート1 「春のPTA林探検」 
活動レポート2 「夏のカヌー探検」 
活動レポート3 「アスレチック作り1」 
活動レポート4 「三峰川探検」 
活動レポート5 「秋のカヌー探検」 
活動レポート6 「アスレチック作り2」 

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