NO団体名主な企画内容
27 伊那市立東春近小学校 5年(長野県) 「「われら、きらり探検隊」」
カヌー探検や学校林探検など、自然の中で心と体を解放して遊びこむ企画と、間伐材でアスレチックを設計から作り上げる活動を通して創造力を養う企画を、教科の単元に位置付けて実施する。

活動レポート6 「アスレチック作り2」 

期日 9月1日(土)〜10月30日(火)
活動場所 東春近小学校
参加者 東春近小学校5学年児童57名 担任教諭2名
支援者 上伊那森林組合 (株)フォレストコーポレーション
活動報告

 子どもたちが考えたアスレチック遊具を基に、(株)中村体育様の遊具設計図を(株)フォレストコーポレーション様に設計し直しをしていただいた。設計図を作成する中で、当初予定していた場所では狭く、遊具をいくつも設置することは不可能だとわかった。それは遊具の安全基準に照らした場合、遊具間の距離がしっかりとれないことや、校舎との距離が十分確保できないことがわかった。そこで、学校職員に遊具設置場所を検討していただき、最終的に校長の裁可で、校庭北側の畑を潰してそこにアスレチック遊具を設置することにした。そこならば、子どもたちが希望した遊具5基を設置できるからだった。
 9月1日(土)
 上伊那森林組合様から41本の檜間伐材をいただいた。これは、伊那谷の森林から間伐したものだ。当初は学校のPTA林から伐採する予定だったが、PTA林では既に間伐が進み、必要な材料が手に入らなくなってしまったためだ。上伊那森林組合の寺沢さんにそのことを相談すると、「間伐材はいくらでも切り出してくるから、必要な本数を教えてくれれば、良いタイミングで切り出してくるから。」と助けて下さった。有り難いことだ。
 早速、保護者に声をかけると、休日にもかかわらず、間伐材の運び出し作業に集まって下さった。その折「小学校にはもっと沢山の遊具があった。でもいつの間にかなくなってしまった。」「われわれが卒業する記念にターザンロープをつくった。今はなくなったけど、やっぱり良い思い出だった。子どもたちにも良い思い出になってほしい。」「自分たちで遊具をつくって遊べるなんて幸せだ。こんなこと滅多にできる事ではない。」などと話してくださった。
 9月27日(木)
 2時間ほどかけて、檜の間伐材の皮むき作業をした。木材は皮を剥かないと虫が入り、傷みがすすんでしまう。皮を剥いて、表面を防腐処理して使用する必要があることから、みんなで力を合わせて皮むき作業をした。数日前の雨で皮がしめっていたため、比較的簡単に皮を剥くことができた。面白いように皮むきができたため、子どもたちは「どのくらい長く皮をむけるか競争だ。」とグループで競り合うようにして皮むきを行ったため、1クラスで20本の檜の皮を剥いてしまった。「檜のにおいがする。いいにおいだなあ。」「皮の内側に何かの幼虫がたくさんいたよ。隠れていたのかな。」などと檜の皮を観察する子どもも多くいた。
 数日後、皮が剥かれた檜に緑のカビがつきはじめていたことに気づいた子どもたちは、「木の表面に中についていた。何だろう。」と気にして担任教師に尋ねてきた。教師は「あれはカビだよ。本来は皮が気を守っているけど、切ってしまえばこんどは人が管理をしないと木が傷んでしまうね。」と答えた。
 (株)フォレストコーポレーション様との打ち合わせでは、木の防腐処理には薬剤を塗布することを考えていたが、子どもたちが使用することを考えて、木の表面を焼いて炭化させることでの防腐効果を狙うこととした。これなら、体にも安心、安全だ。


森林組合のトラックが間伐材を積んでやってきた

重たい間伐材を積みおろす保護者の皆さん

皮むき作業を楽しむ子どもたち


皮を剥いた檜丸太を丁寧に運ぶ子どもたち

 9月27日(木)
 予め学年PTA会長さんが重機で整地をしていただいた遊具建設地を、子どもたちの手で丁寧に整地作業をした。雨が降り、ぬかるんだ地面では「こんなところでは泥だらけになって遊べない。」と子どもたちは砂を入れながらぬかるみを埋めていった。
 「酒井さんが重機で平らにしてくれたので、楽に整地できる。」「もっと沢山砂を入れないと、靴が泥だらけになってしまうよ。」とスコップで砂場の周りの砂をすくって一輪車に入れ、これを何度か繰り返して土地の表面はさらさらの状態になった。この作業は26日にも行った。
 一方、校舎では(株)フォレストコーポレーション様から提供いただいたボイド管(遊具の基礎にコンクリートを入れるための枠)を幅40㎝に切る作業を行った。ノコギリを使っての作業はカヌー作りで経験していて、子どもたちは慣れた手つきでノコギリを使い、あっという間に1本のボイド管から10個の枠を切り分けた。


遊具建設地に砂を入れながら整地する

ノコギリでボイド管を切り分ける子どもたち

遊具建設地に砂を入れながら整地する

 10月28日(日)
 親子作業として、遊具の一つである、「タイヤブリッジ」の製作をした。
 保護者の方から「私たちも何か手伝いたい。」という声が上がっていて、それに応えるために休日作業を設定した。間伐材を使っての木製を遊具をつくることを考えていたのに、なぜ、「タイヤ」か、とうことだが、製作する遊具のうち、この遊具だけはスペースの関係で校庭に設置することになった。すると、サッカーなどボール遊びをしているときに子どもたちがぶつかってもケガをしにくい素材を考えたとき、木材はちょっと危険だという意見が多く出て、そこだけはゴム素材のタイヤを使うことにした。
 雨天という天気予報の中、午前9時からの作業中、雨はほとんど降らなかった。シャベルを使っての人力と、重機を使っての作業とを併用して、9カ所深さ60㎝の穴を掘り、4トン車用の大型タイヤ9本を地面に埋めた。子どもたちとその保護者の皆さんが力を合わせての作業をする機会はなかなかない。「良い経験だ。」「大人の力を子どもに見せる良い機会だ。」と良いながら保護者の皆さんは協力してどんどん作業を進めていった。総勢35名ほどの力によって約90分で遊具が完成した。
 この遊具はその後、子どもたちの相談で「食べかけドーナッツ」と命名された。


タイヤを埋める穴を掘る

掘った穴にタイヤを入れ、列を整える

完成した「食べかけドーナッツ」


完成した遊具を前に記念写真(後ろがアスレチック建設地)

 10月30日
 次の遊具作りは、いよいよ木製遊具だ。最初に製作するのは単純な平均台状の遊具だ。支柱を2本地面に刺し、そこに3本の丸太を乗せるだけの簡単な遊具だが、子どもたちにとっては初めての作業が多く、ここで遊具建設に関わる様々な作業を覚える。大きくは以下の作業だ。
① 三角測量によって地面に刺す丸太の位置を決める。
② 地面に穴を掘り、ボイド管を埋める。丸太材を刺すとその周りにコンクリートを流す。
③ 丸太材をノコギリで必要な長さに切る。
④ 丸太材の表面をバーナーで焼いて炭化させる。
⑤ 丸太材の接合のために電動ドリルで15㎜の穴を開ける。
⑥ ボルトを穴に通して、木材を接合する。
⑦ 木材の上を歩く部分をカンナで平らに削ったり、刻みを入れたりして滑り止めにする。
この日、2時間の作業で、①から④までの作業を行った。コンクリートを入れる作業は後日になったが、自分たちでここまできたことは子どもたちにとって大きな自信につながった。「地面に穴を掘るのがとても力がいって難しかったが、友だちと協力してうまく掘れて良かった。」「地面を掘ると、地層みたいに、中に違った色の土が出てきて面白かった。」「初めは火が怖かったけど、だんだんなれていって最後は面白くなった。」「ノコギリで丸太を真っ直ぐ切るのが難しかった。」「穴に切った丸太が立ったときは、ここまでやれたんだと嬉しかった。完成が楽しみ。」「早く遊具を完成させて、全校のみんなにどんどん遊んでもらいたい。」こんな声が子どもたちから聞かれた。


三角測量で穴の位置を決める子どもたち

バーナーで丸太の表面を焼く子どもたち

ボイド管を埋める穴を掘る子どもたち


地面にボイド管を埋める子どもたち

「丸太を立てたぞ」

成果と課題

 この活動は今年度末3月まで続く。子どもたちにとっては6年生になったとき、完成を見て「卒業の記念」としての意味と、小学校創立140周年記念の意味とを持たせ、文字通り思い出の一つになるに違いない。
 このアスレチック遊具は、子どもたちによって「ヒガハルチック」と命名された。「東春近小学校のアスレチック」という意味だ。
 「ヒガハルチック」の起工式に児童代表で読んだ2名の作文を掲載して成果と課題としたい。担任教師としては、ケガのないように製作作業を進めていきたい。

① T君「10年後のために」
 ぼくは、実際に木を切ったりそれをつなげて大きな物を作ったりしたことはありません。でも作ったことがないからこそ不安があったり、楽しみがあったりします。楽しみの中でも2つの楽しみがあります。
 1つ目は作る楽しみです。木を切ってそれをつなげて大きな物を作ったことがないのですごく楽しみです。
 2つ目は、10年後の楽しみです。10年後みんなで集まってアスレチックをて去するとき、アスレチックはどうなっている、みんながどうしているかが楽しみです。でも、アスレチックを10年もたせなければこの楽しみはなくなってしまうので、一生けん命作って10年もつアスレチックを作りたいです。みんなでがんばっていきましょう。一人一人の子どもが自分なりにアスレチックを考え、工夫したものを制作し、友だちに提示できた。また、学級の枠を越えてグループをつくった子どもたちは、友だちと議論を重ね、意見調整しながら力を合わせてアスレチックの全体像を作り上げた。また、自分たちの作品がコンペで選ばれるよう、プレゼンテーションを考える過程で、相手意識を持って文章や話し方を練ったり、練習したりできた。

② Hさん「ヒガハルチック作り」
 私は、ヒガハルチック作りがとても楽しみです。
 まず、私はけがをしないように、安全で、じょうぶなヒガハルチックを作りたいです。
 あと、木材で作るアスレチックは木を切ったり、つなげたりするのがとても大変そうで、すごく心配だけど、がんばりたいです。
 次に完成後のことです。全校のみんながヒガハルチックで遊んでいるところを見るのが楽しみです。仲よく遊んでいたらすごくうれしいです。
 そのためにも、安全でけがをしないヒガハルチックを完成させたいです。
 その次に、10年後のことです。二十歳、二十一才になっていると思うけれど、そのときにみんなで集まって、まだ使っているようだったらすごくうれしいです。その日が楽しみです。



活動レポート1 「春のPTA林探検」 
活動レポート2 「夏のカヌー探検」 
活動レポート3 「アスレチック作り1」 
活動レポート4 「三峰川探検」 
活動レポート5 「秋のカヌー探検」 
活動レポート6 「アスレチック作り2」 

プログラム検索に戻る