NO団体名主な企画内容
16 冒険教育を推進する会(長野県) 「おたり森の子クラブ2008」
「挑むこと」をテーマにして、年間にわたっておこなう週末型の冒険教育。いかだ・沢下り、登山遠征、マウンテンバイク遠征などのアウトドアアクティビティがプログラムされている。

「おたり森の子クラブ2008」 山に挑む [9/20-21]

日  時:
場  所:
参加者:
2008年9月20日(土)〜21日(日)
雨飾山(1964m)、長野県北安曇郡小谷村、新潟県糸魚川市
15名
 <活動のねらい>

日常にないほど大きく「心揺らす経験」を提供する。
特に、チームでチャレンジすることから生まれる達成経験を通して提供する。

 <レポート>

おたり森の子クラブ第3回〜山に挑む〜が開催されました。
今回は1泊2日の登山遠征で、初めて森の子に参加する子供たちが多く
不安や期待に胸をいっぱいにOBS長野校に集まってくれました。
小学生15人が4〜6年生の高学年チーム7名、3年生の低学年チーム8名に分かれて
日本百名山の雨飾山(1964m)にチャレンジしてきました。

高学年チームは登山の計画も自分たちで決め、自分達の力で雨飾山に挑みます。
まずは1泊2日のプランニングです。子供達は楽しみにしていたのか身を乗り出して
「どうする?」「この時間にはここにいないとゴールできないんじゃない?」と、
みんなで小さな輪になって行動計画を決めていきました。
自分たちで寝る寝袋もマットも自分のバックに詰め込みバックは重くパンパンになっていきます。

荷物が重く少し不安になりながらいざスタート。
元気に出発したものの滑る岩があり、ドロドロの道があり、歩くのも大変。
でも子供達は元気に進んで行き、いよいよ登り坂へ。
段々大変になってきて息があがり、遅れだす子もでてきました。
みんなで休憩をとったり、大変な子に対して気を使って待っていたり
1日目のキャンプするところまでたどりつきました。

みんな「ここでキャンプするの?」と初めての山でのテント泊に驚いていました。
いつもより早い時間の夕ご飯、そして8時にはみんな寝袋に入って寝ます。
その日のふりかえりの話では、「まだまだいける!」「もう死にそうなくらいしんどかった」と様々な言葉が。
この日遅れてしまった子は、言葉にならなくても
明日がもっと大変なことがわかっていて心配そうな顔をしていました。
そこに一人の子が「明日はもっと協力して行かないと!」と話し、
「明日はどういう風に行きたい?」とインストラクターの問いかけに
「しんどくても頑張る!」「頑張って頂上に着く」「頂上に行かないなんて、ないでしょ」と
気合十分でたくましく思えました。

朝、眠たい目をこすって、まだまだ真っ暗な中ヘッドランプをつけ
自分たちのテント、寝袋をしまって、真っ暗な中歩き出します。
2日目は1日目より大変な行程、登り坂も長く急でおまけに雨も降ってきました。
いきなりの登り坂、しんどく一日目と同じようについていくのが大変で遅れてしまう子もでてきました。
「遅い子を真ん中に入れた方が早いよ」「前に来なよ」「杖使うといいよ」と
グループみんなで解決していきます。
その後もしんどい登りが続き真剣な顔をして、みんなで頂上を目指しました。

そうやって一つになったグループは、大人にも負けないスピードでドンドン進んでいきます。
頂上は雨で景色は何も見えず、寒くて大変なはずですが、みんな満足な顔をしていてやりきった達成感ありました。
下り道の状況も悪く、滑りやすい状態。そんな中でもみんな慎重に下っていきます。
一緒にやってきた仲間といるのが心地よいようで、
みんなで歌いながら、伝言ゲームしながら楽しく下山していきました。

少し降りたところで一人の子が「時間ヤバイよ、予定より遅れてる」
そこからみんなスゴイ勢いで下っていきました。
次のポイントまで着いた時「あっ、時間余裕だった」と間違っていたことが分かって一安心。
しかしそのことで、
みんなゴールしたいんだ、みんなゴールを目指してるんだ!そしていいグループになったなぁと感じました。

ゴールに着いて山を見上げ
「あそこに行って来たの?」「俺ら早く着いてすごくない?」と自慢げに話す子もいれば、
頑張って歩いてゴール出来たことに安心している子。
すごいことができたことでみんな満足していていい笑顔が印象的な高学年チームでした。

低学年チームは全員3年生。
登山の経験がある子、本格的な登山は初めての子。それぞれの期待や不安を胸に集まった8人。
身体は小さくても元気さでは高学年チームに負けませんでした。
インストラクターも子どもたちのエネルギーにはいつも圧倒されてしまいます。
でもプランニング中には「オレ大丈夫かな〜・・・」「ほんとに登れるかな〜・・・」という声も。
彼らにとってドキドキの登山が始まったのでした。

ぎゅうぎゅうに荷物を詰め込んだデイバッグを背負い、力強い足取りで子供達はグングン進んで行きます。
登山道といってもきちんと整備されているわけではなく、
沢を越えたり、ロープにつかまってよじ登ったり、ぐちゃぐちゃの水たまりがあったり。
今にも熊が出てきそうな場所を突き進んでいくのです。

途中チーム内で意見がぶつかる場面もありました。
先頭でどんどんチームを引っ張っている子、だんだん苦しくなってきた子。
「待ってよ〜・・・」「ペースが速すぎるよ〜・・・」
「ペースの遅い人を先頭にしたほうがいいんじゃない?」「でもそれじゃ着くのが遅くなっちゃうよ」
みんな「いきたい!」という気持ちがあります。ただ体力には個人差もあります。
チームとしてどうすればいいか。それが大きく問われました。
話し合いの結果、遅い子を先頭にして出発しました。
それでも快調なペースは変わらず、30分も早く1日目の幕営地にたどり着きました。

テントを立て、ご飯を食べて、明日の予定を立てました。
ふりかえりでは「今日はがんばった!」「すごく早く着けてうれしかった!」「明日はもっと早くいきたい!」と、
明日に向けてさらに気持ちが高まっているようでした。

そして2日目。朝から天気が崩れ、雨の中スタートになりました。
雨、寒さ、風でみんなこごえています。そして頂上手前から続くガレ場で大きくペースダウン。
「もう行けないんじゃないの・・・?」「死ぬかもしれない・・・」そんな言葉まで出るほどでした。
でも「ここまで来たんだから頂上まで絶対行こう!」と。
なんとか一歩ずつ前進し、雨飾山のピークにたどり着きました。
天気の良い日なら日本海や北アルプスが望めるはずでしたが、残念ながら辺り一面雲の中で真っ白・・・。
でも登りきった子どもたちの表情は晴々としていました。

雨の中の下りでは足場はぬかるみズルズルになっていました。
カッパの色が変わってしまうくらいドロドロになりながら、なんとか全員無事に登山口に戻ってきました。
ゴールテープを切った瞬間、みんなにはホッとした気持ちと共にやり切れたうれしさがあふれていました。

初日にOBSのグラウンドから見上げた雨飾山。
1泊2日の登山を終えて帰りの車中から振り返った雨飾山。
登る前の緊張や不安、やりきった後の安堵感や達成感。
「あんなところ登ったなんてウソだよ〜」という言葉が印象的でした。
子どもたちのきらっきらした瞳にどんな景色が残っていくのか。それが楽しみです。



おたり森の子クラブ2008 実施レポート(1)
おたり森の子クラブ2008 実施レポート(2)

■別年度のレポート
2011年度 子どもたちのための冒険キャンプ『ジュニアアドベンチャー2011』 実施レポート
2010年度 おたり森の子クラブ2010 実施レポート
2009年度 子ども達のための冒険キャンプ『ジュニアアドベンチャー15日間 2009』 実施レポート
2002年度 ジュニアアドベンチャー2002 サマーキャンプ 実施レポート

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