NO団体名主な企画内容
30 京都産業大学附属中学校(京都府) 「京都の森と水探検、調査」
京都の北山を源流とする鴨川や桂川水系の環境学習。河川のほか、京北町片波、花背、深泥池、下賀茂神社、京都御苑などで水質検査、生態学調査をおこなう。

「京都の森と水探検、調査」 大沢の池の森とセミ殻調査 [9/13]

日  時:
場  所:
2008年9月13日(土) 8:30〜14:00
世界遺産嵯峨大覚寺 大沢の池の森
 <活動内容>

膨大な数のセミ殻を採集し、25年前のデータと比較。

 <レポート>

場所は、京都市右京区の大覚寺・大沢の池で行い、
セミ相や種構成の特徴を探りました。
セミの種類によって、好む樹木環境の違い・樹種との関係・羽化する位置の微妙な違いなども観察できます。
セミ殻調査を通じて地域の環境変化を知ることができます。

昨年大騒ぎとなったクマゼミ大発生説や地球温暖化等によるクマゼミ増加説の間違いを
日本生態学会で本学の米澤先生が講演発表し、これらの説の間違いを指摘されました。
これらの説を唱えた学者は、今年これらの説は唱えなくなったものの
今度は「2030年東京はクマゼミ一色の街になる」という新説を唱えたりしています。

大沢の池から大覚寺を望む

しかし、大阪のすぐ隣の京都では
真っ先にクマゼミ一色になってよいわけだが、なっていないし
なる気配もないわけで、この新説も間違いです。
クマゼミ一色になるのは気温できまるのではなく、貧弱で自然度の低い
人工的樹木環境に原因があるのです。

大覚寺の調査で、30年前と比べ
クマゼミの割合が増えているのかどうかしらべてみれば
新説の真偽が解明できるのではなかろうか。
というわけで、皆の力で取り組んでみました。

「セミ殻を用いた自然度指数(米澤1990年)」
自然度0:成虫が見られても脱皮殻が見られない。
自然度1:クマゼミ、アブラゼミの脱皮殻が見られる。(※)
自然度2:ニイニイゼミの脱皮殻が見られる。
自然度3:ツクツクボウシの脱皮殻が見られる。
自然度4:ミンミンゼミ、チッチゼミ、ハルゼミ、ヒグラシ、エゾゼミ、エゾハルゼミなどの脱皮殻が見られる。(※)
※いずれか1種の脱皮殻でもよい

25年前(1978年)の調査によると、アブラゼミが圧倒的で95%を占めていた。
他はニイニイゼミ3%、ツクツクボウシ1%、クマゼミ1%でしかなかった。
今回、アブラゼミの割合は95.5%であるから、ほとんど同じである。
クマゼミの割合も、2%未満で、ほとんど変化していない。

各樹種でクマゼミが複数(2個以上)出て、しかもセミの種構成が2%以上占めるものは
1.マテバシイ69.2%
2.エノキ33.3%
3.タブノキ20.0%
4.アキニレ6.5%
5.シダレヤナギ2.4%
6.タイワンフウ2.4%
の順であった。

これらの樹種は都市公園に多く植栽されている樹種であり、大覚寺では少ない樹種である。
大覚寺の植生は都市公園とは明らかに異なる多様な樹種からなっており、この30年間ほとんど変わっていない。
このように、植生・生態系が変わらなければ、地球温暖化やヒートアイランドによる気温上昇とは関係なく
クマゼミの割合が急増することもないという良い例である。


  ニイニイゼミ脱皮殻/アブラゼミ脱皮殻(3ケ)/ツクツクボウシ脱皮殻(2ケ)

「嵯峨大覚寺・大沢の池のセミ殻調査」
樹 種アブラゼミクマゼミニイニイゼミツクツクボウシ総 計
ウメ207211418420
ソメイヨシノ174183357366
イロハカエデ94142236247
シダレヤナギ535711012125
フウ5664120123
アキニレ20234346
カキ17264343
タブノキ15223743
ツツジ10162626
アラカシ112021
ヤマモモ122128
スギ16153131
マテバシイ13
カナメモチ1013
アカメガシワ1111
クロガネモチ1111
エノキ
ゴヨウマツ
クスノキ
イチョウ
ツブラジイ
エゴノキ
イヌマキ
ネズミモチ
ハナミズキ
合   計7178171543111526141416301613
割 合(%)95.51.60.91.9



京都の森と水探検、調査 実施レポート(1)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(2)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(3)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(4)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(5)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(6)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(7)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(8)

■別年度のレポート
2007年度 生命の不思議に触れる環境生物学 -鴨川の水質・生物調査体験- 実施レポート

プログラム検索に戻る