NO団体名主な企画内容
30 京都産業大学附属中学校(京都府) 「京都の森と水探検、調査」
京都の北山を源流とする鴨川や桂川水系の環境学習。河川のほか、京北町片波、花背、深泥池、下賀茂神社、京都御苑などで水質検査、生態学調査をおこなう。

「京都の森と水探検、調査」 夏季特別企画・鴨川を定点とするセミ殻調査 [2008/7-8]

日  時:
場  所:
2008年7月〜8月
鴨川
 <活動内容>

羽化開始から終了まで、本学生物部が過去12年間行ってきた調査に参加。

 <レポート>

本学生物部が過去12年間行ってきた調査に協力、参加。大きな成果をあげました。
次に、生物部がまとめた結果報告を掲載いたします。

1.早く始まった羽化
今年の夏は7月上旬から気温が高く推移し、クマゼミ、アブラゼミの羽化は7月9日に始まった。
これは、クマゼミ、アブラゼミともに3番目に早い記録となった。

2.クマゼミの羽化期間日数は最短、累計羽化数は5位、羽化ピークは7月22日他
クマゼミの羽化期間は7・09〜8・03で、羽化期間日数は26となる。
8・03の終了は、1998年と並んで過去最も早く
羽化期間日数26は2000年、2007年と並んで過去最短記録となった。
累計羽化数818は、過去5位のふつうの記録となった。
クマゼミの今年の当日最多羽化数95は7月22日に記録した。
40匹以上の羽化があった日は10日もあったが、これは、7月・8月と猛暑日が多く
今年羽化が順調に進み、例年以上に集中的に羽化が起きたためである。

3.アブラゼミの羽化期間は過去3位の短さ
アブラゼミ羽化期間は7・09〜8・17で、羽化期間日数は40となる。
8・17の終了は、過去2位と早く、羽化期間日数40は過去3位の短い記録となった。
累計羽化数305は、過去8位のやや少ない記録となった。
アブラゼミの今年の当日最多羽化数28は7月22日に記録した。
20匹以上の羽化があった日は2日と少なかった。

4.アブラゼミの割合は6年前に次いで低く、生活史を反映
今年定点のアブラゼミの割合は27%と2002年の17%に次ぐ低い割合となった。
このことは、アブラゼミの生活史6年を反映しているものと考えられる。
また、クマゼミの生活史がアブラゼミと同じ6年である可能性をも示唆する。

5.クマゼミの割合が親世代より子世代で低下
定点であっても、クマゼミの割合は83%から54%の間を変動しており、これはけっして小さくない変動といえる。
クマゼミの生活史をアブラゼミと同じ6年と仮定して、
親世代(1997〜2002年)のクマゼミの割合は平均64%である。
これに対して子世代(2003年〜2008年)のクマゼミの割合は平均61%にやや低下している。
これは、「都市の乾燥化により、クマゼミの割合が増大する」という
今流行の説を根底から否定するデータともいえる。
セミは成虫も幼虫も植物(主に樹木)に依存しており、都市における樹木環境の変化にこそ注目する必要がある。
孫世代の動向が注目される。

6.京都市街地のセミは減少傾向にある
今年セミ総数では6位(クマゼミ5位、アブラゼミ8位)である。
最近6年間では2003年、2005年を下回り、全体としてみると京都市街地のセミは減少傾向にある。
これは、都市化・都市の再開発の進行の中で
都市の生態系、とりわけ樹木環境が悪化していることが原因である。

来年より、いよいよ3巡目・孫世代に入るが
引き続き本調査を続け、都市のセミの羽化変動の実態、原因、法則性について、全国発信して行きたい。


 


京都の森と水探検、調査 実施レポート(1)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(2)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(3)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(4)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(5)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(6)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(7)
京都の森と水探検、調査 実施レポート(8)

■別年度のレポート
2007年度 生命の不思議に触れる環境生物学 -鴨川の水質・生物調査体験- 実施レポート

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