NO団体名主な企画内容
6 網地島ふるさと楽好(宮城県) 「限界集落の社会貢献 温かな愛に包まれる心のふるさと~島の自然が虐待孤児の自分を大切に思う心を育む~」
虐待孤児や震災孤児が、子どもがいない限界集落のお年寄りの温かな愛に包まれ、島の自然に生かされた生活を通して自己肯定感を高める企画。荒んだ子どもたちに温かな人間関係を築く心を育んでいく企画。

速報レポート2 網地島ふるさと楽好うにコース1日目

実 施 日   2021年7月23日(金)~24日(土)
参加者数   小学生13名,中学生2名
(被災地の一般家庭や震災,虐待,貧困等の複雑な事情により里親家庭で暮らす子供達)
指 導 者   島のお年寄り等,専門分野の講師30名
ボランティア 宮城教育大学大学生ボランティア6名,高校生(かつての参加者)1名
ととかかスタッフ(保護者)11名
テーマ

  • 大学で研究している先生の指導を受け,網地島に流れ着いたゴミとなったプラスチック製品を拾うことから,海洋マイクロプラスチックの増大により,海の環境悪化が進み,生態系にも大きな影響を与えていることを子供達に実感してもらい,どのようにすれば,それを食い止めることができるのかを子供達に考えてもらう。
  • 被災地の子供達には,東日本大震災の大津波の恐ろしさが心の中に刻まれました。海の危険性ともに,島の昔の遊びを通じて,海の楽しさを教えていきたい。
  • 震災,虐待,貧困等の複雑な事情により,里親家庭で暮らす子供達と里親がより親密になれるように,家族として協力して行えるように,島の料理づくりや昔の遊びを体験してもらう。
  • 不登校で悩む中学生をリーダーとして活動してもうことによって,自信を取り戻してもらうともに,自分のことを理解し,また,島のお年寄りとの交流を通じて,コミュニケーションの取り方を再認識してもらうようにする。

目 的

  • 海洋マイクロプラスチックを通じて,豊かな生活と引き換えに,海の環境が悪化していることを学ぶとともに,その解決のためには,「自分自身が環境を守る」という小さな行動を大切にすることが重要であることを学びます。
  • 網地島の暮らしを使った自然体験を通じて,海と生きる島のお年寄りとの交流を通じて,震災,虐待,貧困等の様々な事情で,里親家庭で暮らす子供達に特別な時間を提供することによって,自分自身を大切に思う心を育み(自己肯定感),周りに感謝する気持ちを育みます。
  • 被災地の子供達に海の危険性と海の楽しさを教えたい。
  • 不登校に悩む子に,自然体験や島のお年寄りとの交流により,自信を付けさせたい。
  • 透き通った海やオニヤンマ・アオスジアゲハが飛び交う網地島で,子供の頃の楽しい思い出をたくさん作ってほしい。
  • 自然に生かされた網地島の生活を,自然体験を通じて学んで島に対する理解を深めてほしい。

成果

  • 海洋マイクロプラスチックの勉強会では,気温は高かったにもかかわらず,みんな真剣に取り組んでくれました。砂浜に埋まっているプラスチックも力を合わせて掘り出しました。ゴミとなったプラスチックの多さに驚くとともに,専用の器具を使い,海洋マイクロプラスチックを集め,視覚からその量を確認することができました。
  • 網地島に来たばかりのよそよそしかった子供達も,みんなで一緒に作る食の体験や網地島だけの魚釣りアナゴ抜きを通じ,次第に打ち解けて,島のお年寄りと仲良くなりました。
  • 食事づくりは,島のおじいさんが海から取ってきたものをみんなで調理しました。うには,子供たちも大好きですが,食べられるようになるまでは,中をきれいにしなければならないので,たいへん手間がかかります。子供達は,興味をもって,取り組んでくれました。
  • 網地島の豊かな自然の中から登場する魚,うに,カニ,ヤドカリ,つぶ貝,ひらめ,大ムカデ,アオスジアゲハ,オニヤンマ,ショウリョウバッタ,コクワガタ,ウミネコ,性悪カラスとの出会いが,子供達に驚きと感動,そして,小さな生き物に対する優しい心を育んでくれました。人は,大きく温かな自然の中で生かされていることを実感することができたと思います。
  • 2日間,おいしいご飯づくりの指導をしてくれた島のおばあさん(海女)に対しても,子供達から自然と感謝の気持ちを述べることができるようになりました。
  • 子供達は,網地島の楽しい思い出を胸に,笑顔いっぱいになって,帰路につくことができました。また網地島に行きたいという子供がたくさんいました。網地島の自然体験,温かな島のおじいさんやおばあさん,ボランティアとの関わりが,そして,愛情のこもった食事をおなかいっぱい食べることが,目には見えない子供達の心の傷を少しだけ癒し,大切にされ,愛される記憶を持つことができたと感じています。
  • 中学生もリーダーとして自信を高め,島のお年寄りとの交流を楽しみました。 (・島のお年寄りにとっては,子供達の笑顔から元気をもらうことができたと思います。)
    (・大学生ボランティアは,子供の貧困や虐待,東日本大震災の被災地支援に関心のある方々で,様々な問題を抱える子供達に接する機会を提供できたと思います。)

新型コロナウィルス感染症への対応

  • 参加者からは,来島するまでの2週間の発熱状況を報告してもらいました。
  • 講師,ボランティア,ととかかスタッフ(保護者)等からも,来島するまでの2週間の発熱状況を報告してもらいました。また,飲み会等や旅行等も自粛していただくようにお願いしました。
  • 島での体験活動は,身体を動かす場合はマスクを外してもよいこととし,屋内で行う場合は,マスクをしてもらうこととしました。
  • 手洗いを十分に行うように参加者にお願いしました。
  • 宿泊室については,十分に間隔が空くように宿泊人数を制限しました。窓を開けて,換気をよくするようにお願いしました。

体験内容

1日目  7月23日(金) 
9:52 カモメやウミネコにエサをあげながら網地島に到着。
 ライフジャケットを着て,真っ白い砂浜の網地島の海を楽しんでもらいます。子供達は,ライフジャケットの浮力に驚きます。
 島の性悪カラスが参加者のお弁当をどこからか狙っているので,注意が必要です。
 コロナ禍のため,誰もいない海です。
11:30 昼食
11:50 東北大農学部の池田先生の海洋マイクロプラスチック採取の授業です。筑波大学の先生3名も応援にいらっしゃいました。

(内容)
1 網地白浜の清掃活動
 網地白浜にあるプラスチックを拾います。漁業関係のひもや網,ペットボトル,食品の包装用の袋やトレイ等がたくさんありました。それらを分類しました。プラスチック製品の中には,中国語や韓国語や英語,それにどこの国の言葉か分らないものがありました。子供達は,喜々として砂の中にあるゴミを引っ張り出して集めていました。中身があるものは危険なので,触らないことが約束です。1時間弱の作業でしたが,大きな袋に5つも集めることができました。最も多いゴミは食べ物の包装,ペットボトルであり,生活ゴミがほとんどを占めていました。漁業関係は,全体の約20%でした。

2 50cm四方の中の海洋マイクロプラスチックが落ちているかを実際に調査
 50cm四方の中の砂を集め,ろ過や砂とプラスチックの重さの違いを利用した分別を行い,海洋マイクロプラスチックを見つけ出していきます。
 15分ほどで調査ができます。50cm四方の中でも多く見つかります。砂との違いがあまりなく,見慣れていないと見分けられないことも分かりました。



3 筒を使い,砂の中にどのくらいの海洋マイクロプラスチックがあるかを調べました。砂の表面だけではなく,砂の中にもかなりの量があることが分かりました。



4 まとめ
 海洋マイクロプラスチックに環境汚染が広がっていることが,視覚的に分かりました。子供達からは,海の環境を守るためには,どのようにすればよいかを意見を出してもらいながら,話し合いました。子供達が身体を動かして,実感していたと思います。終始,子供たちは熱心に取り組んでおり,生き生きしていました。


海洋マイクロプラスチックを増やさないようにするために,みんなで知恵を絞りました

海洋マイクロプラスチックの勉強会に参加されたうにさんチーム

13;30 大変!!スイカ割り用のスイカが流された
 海に浮かべておいたスイカが潮と風で流されました。
 女子大学生ボランティアが「私がSUPに乗って,スイカを救出します」と果敢に  出発。ところが,スイカの上を3往復。終いには,コントロールができなくなって,沖の方へ流された。見かねた中学生が颯爽と泳いでスイカを回収し,最後は女子大生も回収してくれました。彼はヒーローとなって,みんなから拍手を送られました。


スイカを回収に行く大学生ボランティア

コントロールができずに沖の方に流される

スイカを回収


女子大生を回収

13:50 開校式
 島のお年寄りから島に来てくれたことに対する感謝の言葉が述べられました。

13:50 網地白浜でのシーカヤックやスイカ割り
 シーカヤックは,昔の子供たちが使った小舟の代わりになる体験です。シーカヤックは,海を身近に感じることができる舟です。子供たちは,初めは,漕ぎ方が分からず,思うように進むことができません。体重の軽い子は,潮に流されたり,風に流されたりして,港の東の方に流されてしまいます。穏やかに見える海には,いろいろな力が作用していることを子供たちは理解します。それを勘定に入れて,シーカヤックを漕ぐ方向を決めていきます。子供たちは,すぐにコツを覚えて,簡単に操作できるようになります。小学1年生でも,自分が船長であり,自分の判断で操作しなければならないことから,うまくできたときには自信になります。みんな頑張って,操縦し,一人で,岸に戻って来てくれます。子供たちの諦めない心を鍛えます。
 岩場に引っかかって,動けなくなった子供がいると,みんながその場に行って,パドルでシーカヤックを押してあげたりして,助け出します。うまくできたときは,みんな自信を持つことができます。
シーカヤックが転覆し,慌ててしまい,海水を飲んでしまった子供もたくさんいました。海の怖さを感じる瞬間です。漁船で子供たちを見守ってくれていた島のおじいさんが助けてくれました。なかなか船に引き上げるのが,難しく,落ちた子供も,びっくりしていました。
 初めて着たライフジャケットの浮力に,みんな驚きます。沖の方に泳いで行き,「もう足が届かないところまで来た。」と自慢します。透き通った海なので,海の中を見ると,3m以上の深さがあっても,海の底を見ることができます。


シーカヤックで出発だ ほとんど人がいない

クモヒトデを手に載せる わ~気持ち悪い

15:30 おやつのスイカ
 島の楽校でライフジャケットを自分で洗い,物干し竿に自分で干します。シャワーを浴びて,スイカで水分補給です。お盆に孫が帰って来たときと同じように,海で冷やしたスイカを出しました。スイカはとても甘く冷えておいしかったので,小さな子も大きな口で食べてしまいました。


大きな口でスイカを食べる

甘くておいしい 海で冷えてておいしい

16:15 竹鉄砲・竹とんぼの使い方を学ぼう
 昔の子供達は,自分の小刀を持ち,山の中の竹を使って,自分で遊び道具を使って遊びました。島のおじいさんから昔の子供達の遊びを学びました。今回は,コロナ過であり,密になるため,小刀(島のおじいさんがなまくらの小刀に焼きを入れて,よく切れるようにしたもの)を使った竹鉄砲づくりと竹とんぼづくりは諦め,外で飛ばし方を島のお年寄りから学びました。
 竹鉄砲は,紙の玉の詰め方が大切です。空気が逃げないように芯棒をテコの原理でうまく使って,固く詰める必要があります。うまくいくと,大きな音と水煙が上がるので,子供達は大喜びです。
 竹トンボを飛ばした子供はほとんどおらず,最初はみんな苦戦しました。島のおじいさんからコツを教えてもらうと,みんな高く遠くに飛ばせるようになりました。
 自分の五感を十分に生かした昔の遊びに,みんな夢中で取り組んでくれました。


竹鉄砲の玉の詰め方を習っています

屋外で竹トンボを飛ばしました

17:00 三ツ星料理コンテスト
 昔のように,山で薪を拾い,マッチで新聞紙に火を付けて,ご飯を炊き,カレーを作ってもらいます。杉の葉や松ぼっくりはよく燃えるので,子供達はとても驚きます。昔ながらの方法でも,ご飯が食べられることを学びます。また,濡れた木や湿った木は,燃えないことも理解します。
 島ではかつて,浜対抗で運動会を行っていたことから,それに倣って,各チームに,島にある3つの浜(網地浜,長渡浜,根組浜)の名前を付けています。島のお年寄りが,三ツ星料理コンテストが行われている「網地島キッチンスタジアム」(勝手に名付けていますが,実は島の楽校の炊事場)に来ると,自分が住んでいる浜の応援団になります。応援にも自然と熱が入るようです。
 三ツ星優勝は長渡浜に決定。同じ材料で作っていますが,ご飯の味もカレーの味も違います。賞品は,大学生ボランティアが味付けした鳥の丸焼きです。


子供達も真剣です

自分が作ったカレーは特別です

19:15 後片付け
 食べた後はみんなで後片付けです。

19:45 Tシャツにロゴの印刷
 自分で印刷する場所を決めて印刷します。自分だけのTシャツを作ります。出来上がると,宝物を得たような表情になります。


どこにプリントしようかなと悩む子供達

島の自然を入れた2021年のTシャツデザイン

20:30 肝だめし
 男の子は,「怖いよ~」と言って,肝だめしになかなか参加できませんでした。小さな女の子は,「オバケ怖いよ~」と泣きながらも,前に進む歩みを止めませんでした。女の子はいざとなると,強いということが分かりました。


何の音もしない静かな網地島の夜

怖がる男の子を無理やり連れて行くかかスタッフ

21:00  就寝
 昼は海でたっぷり遊んだので,早めに寝ます。島の夜は,海から涼しい風が吹いてくるので,寝苦しくなく,ぐっすりと眠ることができます。



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2017年度 網地島ふるさと楽好 ~自然体験活動による 愛され、大切にされる記憶の醸成~ 実施レポート

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