NO団体名主な企画内容
6 網地島ふるさと楽好(宮城県) 「限界集落の社会貢献 温かな愛に包まれる心のふるさと~島の自然が虐待孤児の自分を大切に思う心を育む~」
虐待孤児や震災孤児が、子どもがいない限界集落のお年寄りの温かな愛に包まれ、島の自然に生かされた生活を通して自己肯定感を高める企画。荒んだ子どもたちに温かな人間関係を築く心を育んでいく企画。

速報レポート5 網地島ふるさと楽好あわびコース2日目

実 施 日   2021年7月24日(土)~25日(日)
参加者数   小学生13名,中学生1名
(被災地の一般家庭や震災,虐待,貧困等の複雑な事情により里親家庭で暮らす子供達)
指 導 者   島のお年寄り等,専門分野の講師30名
ボランティア 宮城教育大学大学生ボランティア6名,高校生(かつての参加者)1名
ととかかスタッフ(保護者)16名
体験内容

2日目  7月25日(日) 
5:00 朝食準備
 島の海女である長渡婦人会(ふたわたしふじんかい)10名以上が,子供達のために朝5時に集まってくれました。おいしいものを作ろうと頑張っていただきました。


朝5時からの朝食作り

島のおばあさんの愛情がたっぷり入った甘い卵焼き

6:00 起床・身支度・部屋清掃・外で遊ぶ
 夜は早めに寝たので,みんな早起きで,カラスに食べられる前に,夜に外灯に集まったカブトムシ,コクワガタ等を捕まえることができました。

7:15 朝食
 クジラの脂身が手に入ったので,網地島のトイ汁が提供されました。クジラの脂身は,あっさりしていて,とてもおいしいです。外洋で育つ網地島のひじきはとても長く,みんなびっくり。厚焼き玉子は,島のおばあさんの愛情がたっぷり入ったとても甘い玉子焼きです。朝に捕ったうには生きています。おかずのうには逃げます。


うには朝に捕ったばかりなので 生きています

うにを不思議そうに見ている男の子

8:30 網地島の植物教室
  今から50年前に,島の網長中学校で理科を教えていた「長靴先生」(いつも長靴を履いて山を歩いていたことから,島民からニックネームで呼ばれていました)こと高橋和吉先生が,東北では珍しい常緑樹が多い島の植物について,教えてもらいました。また,昔の島の生活や植物を使った生活について教えてもらいました。興味深い話で,みんな熱心に聞いていました。そして,島の生活は島の自然に生かされていることを学びました。
 島にたくさん生えているトクサは,ザラザラしていることから,昔は鍋洗いに使われていたことを教えてもらいました。隣の田代島にはないことから,わざわざ船に乗って取りに来たそうです。
 島でたくさん飛んでいるアオスジアゲハは,常緑のタブノキをエサに大きくなります。
 網地島は昔,山百合を育てて,外国に輸出していたことから,夏になると,島が山百合の甘い香りに包まれます。網地島は山百合の島とも呼ばれています。山の中では,甘い良い香りがする山百合ですが,近くで臭いを嗅ぐと,その強烈な臭いにみんな「ゲッ」となります。


ながぐづ先生の山百合に気を付けろ

トクサで爪を研ぎます

9:00 網地島だけの魚釣りあなご抜き・磯観察
 島の昔の子供達が熱中した網地島だけの魚釣りあなご抜きを楽しんでもらいました。
 島に生えている長い真竹に短い糸と針を付けて,岩の下に突っ込んで釣ります。
 初めて魚釣りをする子もいて,みんな真剣でした。
 磯観察では,大学生ボランティアが先生になって,岩にたくさん付いているフジツボを食べている犯人を捜したり(犯人は何食わぬ顔で近くにいます),いろいろなイソギンチャクに手を入れてみたり(実は刺されていることを知ると,子供達は驚きます),いろいろな鮮やかな卵の親を探したりしました。楽しいクイズ形式で海の生物の特徴を学んで行きます。ヒトデも青色系と緑色系がいることに気付きます。


岩の下に突っ込んで釣るアナゴ抜き

島のおばあさん(海女)がウロコを取ってくれました

10:45 シャワー・外で遊ぶ
 シャワーを浴びてから,余裕があるので,子供達は大学生ボランティアと遊びました。
11:30 島の海女とのお昼づくり
 子供達が釣った魚は,島の海女のおばあさんがあっという間におろしてくれました。      炭火で焼いて,お昼のおかずにしてもらいました。普段は魚を食べない子供達も,自分が釣り上げた魚は愛おしくなるようで,骨まで舐めるように食べてしまいます。
 味噌焼きおにぎりも子供達と一緒に炭火でこんがりと焼きました。香ばしい香りが食欲をそそります。
 宮城県のソウルフードである「はっと」は,各家庭で作り方が違うことから,毎回,味付けの船頭が多く,どうなることかと思いましたが,海女のチームワークでうまくまとまりました。はっとは,子供達にちぎってもらい,汁の中に入れました。子供達は,「おいしい,おいしい」とたくさんお替りをしました。もちろん,あぶら麩入りです。
 島には田んぼが数枚しかなく,島ではお祝い事があると,昔は,杵と臼を使って,餅つきをしました。各家庭に杵と臼が常備されています。お餅を初めてついた子供も多く,お祭り騒ぎでした。臼の縁を杵でたたく子がいて,お餅が少し茶色になりました。


「はっと」をちぎって鍋に入れます

重い杵で餅をつきます

12:00  昼食
 味噌焼きおにぎり,はっと,鯨のお刺身,あんこ餅,きな粉餅が出されました。きな粉餅は,おばあさんのどのような隠し味があるか分かりませんでしたが,絶品でした。あまりにおいし過ぎるので,きな粉が足りなくなり,島のおばあさん達が家から持って来てくれました。和吉先生が植物教室で教えてくれた香りのよいクロモジの爪楊枝も添えられました。

12:30 網地島でお世話になったお礼に一人暮らしのお年寄りにお餅を届けました。たくさんの子供達が訪問したので,みなさん大喜びでした。
 (網地島は,高齢者が多いため,島民全員のコロナワクチン接種が終了しています)


遠くから網地島までよく来たね

本当にありがとうと涙ぐむお年寄りもいました

13:45 船に乗ってお別れ
 おいしいごはんづくりを教えてくれた島のおばあさん(海女)とお別れです。本当に明るく元気なおばあさん(海女)達です。そばにいるだけで,こちらも自然に明るく元気になります。
 船での別れは格別です。姿が見えなくなるまで手を振り続けます。また,網地島にまた遊びに来てね。


島のおばあさん(海女)にお別れです

岸壁での閉校式

まとめ

 網地島の豊かな自然の中,島の自然に生かされてきた明るく元気な島のおばあさん(海女)やにこやかな島のおじいさんとの昔の島の遊びや昔のご飯づくりを通じた交流に,子供達は積極的に取り組んでくれました。

 島の一人暮らしのお年寄りにお餅を届けたとき,涙を流すお年寄りもいました。子供達にはこの涙の意味を理解することは難しいと思いますが,いつまでも記憶に残ると思います。大人になった時に,思い出してもらえればと思います。

 島のお年寄りの温かな愛に包まれ,たくさんの発見や感動,本気の泣き笑いもあり,新しい友達もできました,充実した2日間を過ごすことができたと思います。


速報レポート1 網地島ふるさと楽好くじらコース
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速報レポート4 網地島ふるさと楽好あわびコース1日目
速報レポート5 網地島ふるさと楽好あわびコース2日目
速報レポート6

■別年度のレポート
2017年度 網地島ふるさと楽好 ~自然体験活動による 愛され、大切にされる記憶の醸成~ 実施レポート

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